コストコマジック!会費以上に“回収”できる?コストコが会員価値を底上げした3つの一手

コストコマジック!会費以上に“回収”できる?コストコが会員価値を底上げした3つの一手

会員制ビジネスは「一度払ってもらう」より、「毎年更新してもらう」ほうが難しい。物価が上がり、節約意識が強まるほど、消費者は“固定費”に敏感になる。そんな環境で、会員制倉庫店の強みを最大化するには、単に値札を下げるだけでは足りない。


そこでCostcoが打ち出してきたのが、「会員でいる意味」を日常の体験に溶け込ませる、地味だけれど効く改善だ。

今回注目された“会員価値の底上げ”は大きく3つ。ガソリン還元、早朝入店、そして配達関連の優遇。どれも「使う人には分かりやすく得」「使わない人には見えにくいが不満は出にくい」という“更新率を上げる設計”になっている。



1)ガソリン5%還元強化:「会費の元」を最短で回収させる仕組み

会員制で最も強い導線は、「どうせ買うもの」で差が出ることだ。食料品や日用品は週単位で変動しやすいが、車社会ではガソリンは“生活インフラ”に近い。ここにメリットがあると、会員費を心理的に「コスト」ではなく「投資」に変えられる。


今回のポイントは、提携クレジットカードでコストコのガソリンスタンド利用時の還元率を最大5%に引き上げた点(条件や上限はある)。給油頻度の高い家庭ほど、体感が早い。


SNSでも「ガソリンだけで年会費分が戻る」「家計管理が楽になる」といった“即効性”を評価する反応が目立つ。特に、日用品は他店の特売に流れる人でも、給油だけは固定化しやすい。「買い物先の固定」ではなく「給油先の固定」から会員価値を感じさせるのは、実はかなり合理的だ。


一方で、「上限を超えると還元が落ちる」「前より得になったが、そもそも車に乗らない人は恩恵が薄い」という冷静な声もある。万人向けではないが、刺さる層には深く刺さる。会員制の“強い固定客”を増やすには、この割り切りが効く。



2)エグゼクティブ会員の早朝9時入店:「混雑回避」を特典にする

次は、上位会員(エグゼクティブ)に対する“時間の優遇”だ。具体的には、通常オープン前の時間帯(例:朝9時)を上位会員の入店枠として設け、ピークを避けた買い物体験を提供する。


これが面白いのは、値引きでもポイントでもなく、「空いている時間」を価値に換算している点。混雑が苦手な人にとって、静かな通路、短いレジ待ち、落ち着いた試食コーナーは、金額以上の満足を生む。


SNSでは「9時台は別世界」「子連れでも回りやすい」「ストレスが減る」と歓迎する声がある一方、「知らずに9時に行って入れなかった」「普通会員を門前払いにするのは感じが悪い」といった反発・混乱も出ている。特典設計としては強いが、“周知不足”が不満の燃料になりやすい。


ただ、見方を変えると、これはアップグレードを促す装置でもある。上位会員への切り替えを悩む人は、「2%還元で元が取れるか」だけを計算しがちだ。しかし“混雑回避の1時間”は、家族構成や生活リズムによっては計算不能な価値になる。数字で説得できない層を、体験で説得する仕掛けと言える。



3)配達・デジタルの優遇:Instacart特典で「行けない日」も会員で得させる

3つ目が、配達やオンライン注文の利用促進だ。割安な年会費で配送サービスを使えるようにしたり、上位会員には月次のクレジット(一定金額以上の注文で適用)を付けたりと、「倉庫店に行く日」以外でも会員価値を発生させる工夫が入っている。


ここで重要なのは、倉庫店が抱える“弱点”——距離の壁だ。近所に店舗がない、車がない、子育てや介護で長時間の買い物が難しい。こうした層にとって、コストコは「行けば得」でも「行けないから損」になりやすい。
配達特典は、その摩擦を下げる。SNSでも「気づいてなかった」「実は地味に助かる」といった“隠れ特典の発掘”が盛り上がりやすい一方で、「配達は手数料や価格上乗せが気になる」「結局、店頭ほどは得じゃない」という慎重論もある。ここは賛否が割れやすい。


ただし企業側の狙いとしては明快だ。来店頻度が落ちる家庭でも、月1回の配達注文が入れば、会員でいる理由が続く。更新率を守るには、“買い物の選択肢”を増やすのが効くのだ。



SNSの反応をまとめると:歓迎は「体感メリット」、不満は「周知と線引き」

今回の3施策に対するSNSの空気をざっくり整理すると、評価軸は次の2つに集約される。

歓迎されやすいポイント

  • すぐ元が取れる実感:ガソリン還元のように、頻度が高い支出でメリットが見える

  • ストレスが減る体験:早朝入店で混雑回避、レジ待ち短縮など“時間の節約”が効く

  • 気づくと嬉しい隠れ特典:配達クレジットは「知らなかった」層ほど驚きが大きい

不満・揉めやすいポイント

  • 説明不足でのトラブル:9時に来て入れないなど、現場で不満が噴き出す

  • 会員内格差の心理:「上位会員だけ得」は納得できても、体験として突きつけられると反発が出る

  • 条件の複雑さ:還元率の上限や注文金額条件など、理解コストが高いと損した気分になりやすい


つまり、コストコの施策は“合理的”であるほど、運用と周知が雑だと炎上しやすい。逆に、店頭掲示やアプリ通知などで「知らずに損」を減らせれば、満足のほうが勝ちやすい。



なぜ今「会員価値の上積み」なのか:更新率とアップグレードが生命線

会員制モデルのキモは、会費が利益構造の土台になっていることだ。記事内でも、会費収入の伸びや会員数、上位会員数などが具体的に示されている。こうした数字が伸びているのは、単に会費を上げたからではなく、会員基盤の拡大とアップグレード(上位会員への移行)が寄与している、という整理になっている。


だからこそ施策も、「値引きで客数を増やす」より、「会員でいると便利・快適」を積み上げる方向へ進む。ガソリン・時間・配達。生活の三大ストレスに効くところを押さえるのは、更新率を守る上で理にかなっている。



生活者目線の結論:あなたに刺さるのはどれ?

最後に、読者が「自分に関係あるか」を判断するための目安を置いておく。

  • 車に乗る人:ガソリン還元は最優先チェック。上限と条件だけ把握しておけば“実感”が早い

  • 混雑が苦手・子連れ・朝型:早朝入店は、金額換算しにくいが満足度が高いタイプの特典

  • 店舗が遠い/忙しい:配達特典は、来店できない月でも会員価値を発生させる保険になる


会員制は「全員に同じ得」を配るより、「刺さる人に深い得」を与えるほうが強い。今回の3つはまさにその設計だ。あとは周知と運用。体験価値の差別化が、更新の背中を押す時代に入っている。



出典

  • 会員価値を高めた“3つの変更点”の概要(ガス還元、エグゼクティブ早朝入店、配達系特典など)TheStreet
    https://www.thestreet.com/retail/3-ways-costco-boosted-value-for-its-members

  • 公式FAQ:エグゼクティブ会員の「Instacart/SameDayで月10ドルクレジット」条件・紐付け方法Costco
    https://customerservice.costco.com/app/answers/answer_view/a_id/1016591/~/executive-membership-instacart-offer%3A-monthly-credit-of-%2410-off-%24150%2B-%28pre-tax%29

  • 公式条件ページ:月次10ドルクレジットの利用条件($150以上、月内失効などの要点)(Costco SameDay / Instacart側の条件)
    https://sameday.costco.com/store/costco/pages/executive-member-benefit-faq-terms

  • ヘルプ:Instacart側の説明(適用対象外・期限・付与タイミングなど)Instacart
    https://www.instacart.com/help/section/639415266/1764931202

  • 背景補足:早朝入店(9時枠)や月次クレジット等の“新特典”を一般向けに整理した解説Kiplinger
    https://www.kiplinger.com/personal-finance/spending/costco-offers-executive-members-a-new-shopping-perk

  • SNS反応(例):特典の賛否・混乱・現場の空気感(Redditスレッド)Reddit
    https://www.reddit.com/r/CostcoCanada/comments/1moy965/til_the_executive_membership_now_includes_a_10/

  • SNS反応(例):早朝入店の“分断感”についての議論(Redditスレッド)
    https://www.reddit.com/r/sanfrancisco/comments/1lgwr33/a_new_perk_for_costco_executive_members_being/

  • SNS投稿(例):TheStreet公式の告知投稿(X)X
    https://x.com/TheStreet/status/2017606314482946184