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「援助より返済が優先」になる世界:開発途上国の債務危機を誰が“ビジネス”にするのか

「援助より返済が優先」になる世界:開発途上国の債務危機を誰が“ビジネス”にするのか

2025年12月22日 00:13

1) “洪水のあとに残るのは、請求書”——気候危機が債務危機を加速させる

干ばつ、洪水、サイクロン。気候災害が頻発する国ほど、復旧費用や食料・燃料の補助、医療体制の立て直しで財政は膨らむ。一方で外貨建ての借金返済は待ってくれない。通貨安が進めば、同じドル建て返済でも自国通貨で見た負担は増える。こうして「災害→財政悪化→追加借入→返済負担増→公共投資の先送り」という循環が起きやすくなる。 The Independent


国連貿易開発会議(UNCTAD)は、開発途上国の利払いが急増し、約34億人が“利払いが保健や教育より多い国”に住むと指摘する。返済のために未来への投資が削られる構図は、統計の上でも鮮明だ。 UN Trade and Development (UNCTAD)


2) だれが儲け、だれが削るのか——「危機の配当」を得る民間マネー

英インディペンデント紙が入手したChristian AidとDebt Justiceの新分析は、債務危機が深まる国々の国債などから、債権者側が総額60bnドル規模の利益を得る可能性があるとする。対象は債務ストレスが強い15カ国で、BlackRockが管理するファンドは約2.1bnドル、Goldman Sachsは約0.9bnドル、JP Morganは約0.7bnドルなどと推計された。 The Independent


ここで重要なのは、「貸した銀行がそのまま回収している」だけではない点だ。分析が焦点を当てるのは**資産運用会社(アセットマネジャー)**が運用するファンドで、背後には年金や個人投資家など“顧客の資金”がある。BlackRockは「私たちが投資しているのは主に退職後のために貯蓄する普通の人々のお金で、受託者責任として最善の利益のために行動する」と述べている。 The Independent


しかし、Debt Justice側は「受託者責任を理由に“自主的な減免はできない”と言うなら、なおさら民間債権者全体に同じルールを適用する法改正を支持すべきだ」と反論する。要するに“抜け駆け(フリーライド)”が起きる構造を、制度で潰せという主張だ。 The Independent


3) 「中国が最大の貸し手」神話の落とし穴——返済先の実態

債務問題が報じられると、しばしば「中国が貸し過ぎた」が前面に出る。だがDebt Justiceは世界銀行データに基づき、低〜中所得国など88カ国が2020〜2025年に支払う対外債務返済のうち、**民間(中国以外)の割合が39%で、中国向けは13%**だと整理する。しかもコロナ期(2020〜21年)には中国が返済猶予を提示した一方、民間は全面的な猶予に消極的で、結果として民間向け支払いが続いたという。 Debt Justice


インディペンデント紙も同様に、途上国債務の保有構造として、**民間39%・世銀/IMFなど多国間34%・中国13%・その他政府14%**を紹介している。議論の矛先が単純化されるほど、民間債務の存在感は見えにくくなる。 The Independent


4) “同じ金額で、何ができたか”——気候対策を食い尽くす返済

象徴的なのは、返済額と気候対策の見積もりが「ほぼ同額」だと示される瞬間だ。Christian Aidの報告書は、ナイジェリアが2025〜2030年に民間の対外債権者へ13bnドルを支払う見込みで、その規模が気候戦略で必要とされる投資と並ぶと指摘する。 クリスチャンエイド


さらに同報告書は、BlackRockと顧客が、債務ストレス国15カ国への投資で平均64%上回る収益を得うる(推計)とし、国別ではアンゴラやエジプト、ナイジェリア、ケニアなどの債券での利益率推計にも触れている。もちろん推計には前提があるが、「返済が優先されるほど、対策投資が遅れる」という因果の方向は現場感覚とも一致しやすい。 クリスチャンエイド


5) 債務救済はなぜ進まない?——制度不全と“訴訟カード”

債務救済の枠組みとしてはG20の「共通枠組み(Common Framework)」がある。だが報道によれば、申請した4カ国のうち債務元本の“帳消し”に至った国はなく、高い支払い負担が残ったままだという。 The Independent


民間債権者が絡むと、交渉はさらに難航しやすい。交渉に応じない債権者が訴訟をちらつかせれば、政府側は「合意してくれる相手」へ先に支払って時間を稼ぎたくなる。インディペンデント紙は例として、チャドでGlencoreが交渉を妨げたとの批判が出たことにも触れている(当該SNS投稿は本文リンク先)。 The Independent


Christian AidのCEOも、南スーダンが英国の高等法院で民間債権者から訴えられた事例に言及し、「最前線の国ほど資金が流出する」ねじれを訴える。 クリスチャンエイド


6) ロンドンが“要”になる理由——英法と民間債権のルール

この問題が英国政治とも結びつくのは、国際債券契約の多くが**英法(またはNY法)**に基づくためだ。Debt Justiceは別の事例(ザンビア債)で、国際債券契約の大半が英法かNY法だと整理している。 Debt Justice


Christian AidとDebt Justiceの報告書は、民間債権者の多くが英国法の下で活動している点を踏まえ、英国が「Debt Relief (Developing Countries) Bill」を通すことで、民間債権者の参加を促し、危機国の財源を解放できると主張する。 クリスチャンエイド


7) SNSの反応——「倫理」だけで終わらない、論点の分岐

今回の論点は、SNS上で大きく3つに割れて見える(※以下は公開投稿の一部を参照した“観測点”で、全体を代表するものではありません)。


(1) “危機で儲けるな”という怒り(糾弾型)
Debt Justiceは過去に、ザンビア債を例に「BlackRockが最大110%の利益を得うる」として、InstagramやXでの“ソーシャルメディア・ブラス卜”を呼びかけた。投稿文面は医療・教育など社会サービスの削減と結びつけており、「これは正しくない」という道徳的フレーミングが強い。 Debt Justice


(2) “気候×債務”を数字で可視化(共有・解説型)
LinkedInでは、ケニアが2030年までに民間の対外債権者へ約70億ドルを支払う見込みで、その額が再エネ投資(農村世帯への電化)と比較できる、という趣旨の投稿が拡散している。短い文章で「同じ金額で何ができるか」を示すため、シェアされやすい。 LinkedIn


(3) “制度を変えないと繰り返す”という設計論(政策型/懐疑型)
一方でコメント欄には、「援助が現地の腐敗した中間層を強め、社会発展を歪めることがある」といった援助モデルへの懐疑や、民間資本をどう動員するかの提案も見える。議論は“投資家が悪い”で止まらず、資金の流れの透明性や、現地の実装能力、ガバナンスへ向かう。 LinkedIn


8) これから何が焦点になるか——「減免」だけでなく「ルール」と「財源」

論点は大きく二段構えだ。第一に、債務救済の実効性をどう担保するか。民間債権者が“任意”で参加しない限り、共通枠組みのような制度は空回りしやすい。第二に、気候資金の“新規財源”をどうつくるか。Christian Aid報告書は、超過利得課税や金融取引税など「汚染者負担」を含む財源案と、民間債権者を巻き込む法制度を並行して訴える。 クリスチャンエイド


そして統計が示す通り、すでに多くの国で「利払いが医療・教育を上回る」状況が生まれている。ここに気候災害が重なれば、財政は“再起不能”に近い打撃を受けうる。債務は本来、成長のための手段だった。だが今は、成長の前提(人命・教育・エネルギー転換)を削る刃にもなる。 UN Trade and Development (UNCTAD)


参考記事

債務を抱える国々から個人投資家が数十億ドルを稼ぐ方法
出典: https://www.independent.co.uk/news/world/africa-climate-debt-development-aid-b2881957.html

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