メインコンテンツにスキップ
ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア ロゴ
  • 記事一覧
  • 🗒️ 新規登録
  • 🔑 ログイン
    • English
    • 中文
    • Español
    • Français
    • 한국어
    • Deutsch
    • ภาษาไทย
    • हिंदी
クッキーの使用について

当サイトでは、サービスの向上とユーザー体験の最適化のためにクッキーを使用しています。 プライバシーポリシー および クッキーポリシー をご確認ください。

クッキー設定

クッキーの使用について詳細な設定を行うことができます。

必須クッキー

サイトの基本機能に必要なクッキーです。これらは無効にできません。

分析クッキー

サイトの使用状況を分析し、サービス向上に役立てるためのクッキーです。

マーケティングクッキー

パーソナライズされた広告を表示するためのクッキーです。

機能クッキー

ユーザー設定や言語選択などの機能を提供するクッキーです。

コストコが米政府を提訴、「関税全額返して」─「値上げは最後、値下げは最初」コストコ流・顧客第一主義の行き着いた先が“対政府訴訟”だった

コストコが米政府を提訴、「関税全額返して」─「値上げは最後、値下げは最初」コストコ流・顧客第一主義の行き着いた先が“対政府訴訟”だった

2025年12月04日 08:39

1. コストコが「米政府を訴えた日」

2025年11月28日、全世界で会員制倉庫型店舗を展開するコストコが、米国政府とトランプ政権を相手取って提訴しました。舞台はニューヨークのマンハッタンにある米国国際貿易裁判所(Court of International Trade)。


争点はきわめてシンプルで、かつ重いものです。

「トランプ政権が“非常時”を理由に課した輸入関税は、そもそも違法ではないか。もし違法なら、コストコが支払った分は全部返してほしい」

コストコ側は、2025年に導入された一連の「非常時関税」によって支払った輸入関税について、“フルリファンド(全額返還)” を求めています。Investopedia


このニュースは、「コストコが米政府を訴えた」「トランプ関税に大企業が反旗」という分かりやすい見出しと共に、金融メディアやSNSで一気に拡散しました。



2. そもそも何の関税が問題になっているのか

今回の訴訟のカギを握るのが、国際緊急経済権限法(IEEPA:International Emergency Economic Powers Act) という1977年の法律です。


もともとIEEPAは、

  • テロ支援国家や

  • マネーロンダリング

  • 安全保障上の脅威

といった「国家の安全にかかわる非常事態」に対して、対象国の資産凍結や制裁措置を発動するためのツールとして使われてきました。mexicobusiness.news


ところがトランプ政権は2025年、

「米国の巨額な貿易赤字は“国家的緊急事態”だ」

と宣言し、IEEPAを根拠に**ほぼ全ての輸入品に一律10%の“非常時関税”**を上乗せする政策を打ち出します。いわゆる「リシプロカル(報復)関税」や、対中輸入などを狙い撃ちにした「トラフィッキング(フェンタニル)関税」と呼ばれるものも、この枠組みの一部です。mexicobusiness.news


しかし、ここに大きな法的な争点が生まれました。

  • IEEPAは「輸入を規制する」権限は与えている

  • しかし「関税(税金)を課す」ことまでは明記していない

  • そもそも関税・税金は議会(立法府)の権限であり、大統領が単独で決めてよいのか?


すでに下級審(国際貿易裁判所と連邦巡回控訴裁判所)は、これらの非常時関税について「法律が想定していない使い方であり違法」とする判断を示しています。連邦巡回控訴裁判所では、7対4で違法判断が維持されました。mexicobusiness.news


現在、この問題は最高裁に持ち込まれており、2025年11月にはすでに口頭弁論が行われました。複数の判事が「大統領の権限が広がりすぎではないか」と懐疑的な質問を投げかけたと報じられており、トランプ流の関税政策が大きく制限される可能性も見えています。Investopedia



3. コストコが「今すぐ訴えた」切迫した理由

では、なぜコストコはこのタイミングで提訴に踏み切ったのでしょうか? ポイントは**「時間切れになると返金が受けられない」**という米通関のルールです。


  • 輸入品ごとに「エントリー」が作られ、一定期間を経て「リキデーション(最終精算)」される

  • 一度リキデーションが完了したエントリーについては、後から関税が違法と認定されても、払い過ぎ分を取り戻す権利が失われる可能性が高い

コストコが提訴のなかで強調しているのは、

「12月15日前後を境に、多くの輸入エントリーがリキデーション期日を迎え、返金請求の道が閉ざされてしまう恐れがある」

という点です。mexicobusiness.news


そこでコストコは、「最高裁が違法判断を出したときに備え、返金を受ける権利だけは確保したい」という目的で、あえて先に訴訟を起こしたと見られます。


訴状では、

  • 非常時関税そのものの無効確認

  • 追加関税のさらなる徴収の差し止め

  • すでに支払った関税+今後判決までに支払うかもしれない関税の全額返還の保証

などを求めています。Investopedia


同様の訴訟には、すでにカワサキ、バンブルビー・フーズ、レブロン、横浜ゴムなどの企業も加わっており、「関税返金戦線」は一社の問題ではなくなっています。mexicobusiness.news



4. どれくらいのカネが動いているのか

具体的な金額はコストコも米政府も公表していません。ただし、公表済みの統計や決算コメントから、スケール感は見えてきます。

  • 米税関・国境警備局がIEEPAベースの非常時関税として徴収した額は
    → 2025年9月までに 約880億ドル(約13兆円)
    → 今後10年間で 2.3兆ドル(約340兆円) に膨らむとの推計もあるThe Washington Post

  • コストコの場合
    → 米国売上の約3分の1が輸入品
    → そのうち約8%が中国からの輸入とされるThe Washington Post


これらを踏まえると、コストコが支払ってきた追加関税は少なくとも数億〜数十億ドルのオーダーになる可能性があります。
もし最高裁が非常時関税を違法と判断し、さらにコストコ側が「返金権を確保できた企業」として勝訴すれば、巨額のキャッシュがコストコの手元に戻ることになります。


投資家の視点から見れば、

  • 関税の返金 = EPS(1株当たり利益)の押し上げ要因

  • ひいては特別配当や自社株買いの原資になるかもしれない

といった連想が働くのは自然です。実際、金融メディアの中には「関税返金が実現すれば株主還元の余地がさらに広がる」という見方を紹介するところも出ています。Investopedia



5. 「値上げは最後、値下げは最初」コストコのジレンマ

コストコの特徴は、「顧客第一」を口だけでなく価格政策で体現してきた点にあります。


CFOのコメントや決算説明などによれば、コストコは非常時関税導入後も、

  • 花などの嗜好性の高い商品は値上げ

  • 一方で、フルーツや生鮮食品など生活必需性の高い商品はできる限り据え置き

という方針を守り、利益率を削ってでも会員価格を守ろうとしてきました。The Washington Post


CEOのロン・ヴァクリス氏も、

「もし値上げせざるを得ない時でも、上げるのは市場の中で一番最後。下げられるときは真っ先に下げる」

と繰り返し強調しています。The Washington Post


その意味で、今回の訴訟は

「値上げをギリギリまで抑えてきた分、法的に不当な関税であれば、きちんと返してもらいたい」

という、消費者を守るための“コストコ流の筋の通し方”と見ることもできます。



6. SNSで飛び交うリアクション──「正義の訴訟」か「大企業のわがまま」か

このニュースはすぐさまX(旧Twitter)や金融系SNSに波及しました。

 


6-1. 金融クラスタの反応

オプションやフロー情報で知られる金融アカウント「unusual_whales」が、「コストコ(ティッカー:$COST)がトランプ政権を相手取り、支払った新関税の全額返還を求めている」と投稿したことで、個人投資家の間でも一気に話題に。X (formerly Twitter)

タイムラインには、

  • 「これ、もし勝ったらとんでもない特別利益になるのでは?」

  • 「関税返金が現金ポジションと株主還元にどう効くか計算してみた」

といった“数字遊び”系ポストも多く、関税訴訟=株価イベントとして捉える視点が目立ちました。


6-2. ジャーナリスト・エコノミストの視点

経済記者やTVレポーターの間では、

  • 「この訴訟はトランプ関税の“出口戦略”をめぐる一大テストケース」

  • 「これが認められれば、他社も一斉に払い戻しを求める可能性」

と、広く貿易政策全体へのインパクトを指摘する声が多数。


ある記者は、X上で「This will be ugly. #tariffs(これは相当な泥試合になる)」とコメントし、政策論争の激化を予告するようなトーンで伝えています。X (formerly Twitter)


6-3. 一般ユーザーの賛否

一般ユーザーの反応は、ざっくり3つの方向に分かれています。

  1. 「よく言った派」

    • 「違法な関税なら返すのが当たり前」

    • 「企業が声を上げないと、政府の暴走を止められない」

    • 「消費者への値上げを最小化してきたコストコなら応援したい」

  2. 「結局は大企業のためでしょ派」

    • 「どうせ返金されても、全部が価格に転嫁されるわけじゃない」

    • 「関税で苦しんだ中小企業も多いのに、動けるのは弁護士を雇える大企業だけ」

  3. 「政治対立に巻き込まれたくない派」

    • 「トランプ支持かどうかで論調が変わりすぎ」

    • 「ただ安くまとめ買いしたいだけなのに、政治の話になるのがしんどい」


SNSの空気を一言でまとめると、

「コストコが“正義の味方”としてヒーロー視されているわけでもなく、かといって一方的な悪者扱いでもない。政治対立の延長線上で、企業までもが左右に引き裂かれている」

という印象です。



7. 日本の読者にとっての意味──「他人事」では済まないワケ

「アメリカの話でしょ?」と感じるかもしれませんが、日本にとってもこの訴訟は無関係ではありません。


  • 非常時関税の対象には、日本からの輸出品も含まれている

  • 自動車部品、機械、化学製品など、幅広い分野で追加関税の影響を受けた企業が存在

  • コストコのように米国内で大量輸入・販売している企業が関税返金を勝ち取れば、
    → 日本企業側も価格交渉や長期契約の見直しを迫られる可能性


また、日本国内でも、円安や原材料高を背景に「どこまで値上げを許容するのか」「どこからは企業努力で吸収すべきか」という議論が続いています。


コストコのケースは、

  • 「顧客の値上げ負担を抑えつつ」

  • 「法廷で不当なコストを取り返しにいく」

という、ある意味での“攻めの物価防衛策”とも言えます。


日本の小売・外食企業にとっても、

「自社のコスト構造がどこまで“政治リスク”に依存しているのか」

を見直すきっかけになるかもしれません。



8. これから何が起きるのか──チェックすべきポイント

今後の注目ポイントを整理すると、次のようになります。

  1. 最高裁の判断の行方

    • IEEPAを関税賦課の根拠として認めるのか

    • あるいは「輸入規制」と「税金」の線引きを厳格にするのか

  2. 返金の“権利”を持てる企業と持てない企業

    • 期限までに個別訴訟を起こしたコストコやカワサキなど

    • 何も動かなかった企業との間で、扱いに差が出る可能性

  3. 米中・米メキシコ・米カナダなどとの通商関係

    • 非常時関税が無効になれば、貿易交渉の前提が大きく変わる

    • 再び別の名目で関税が導入される“イタチごっこ”になるリスクも

  4. コストコの価格政策と株主還元の変化

    • 返金額次第では、さらなる低価格戦略や特別配当の可能性

    • 逆に、訴訟が長期化して法務コストが積み上がるリスク



9. おわりに──「安さの裏側」にあるもの

コストコといえば、日本でも「とにかく安く、大量に買える倉庫店」というイメージが強い存在です。


しかし、その“安さ”は、

  • グローバルなサプライチェーン

  • 複雑な貿易ルール

  • そして各国の政治判断

の上に成り立っています。


今回の訴訟は、

「安さの裏側で、どのような力学が働いているのか」

を可視化した象徴的な出来事と言えるでしょう。


最高裁の判断次第では、世界中の輸入業者・小売企業のビジネスモデルが揺らぐかもしれません。コストコ vs 米政府の一件は、単なる一企業の裁判ではなく、“誰がルールを決めるのか”を問う、21世紀型の権力闘争なのかもしれません。



参考記事

コストコ、関税の全額返金を求めて米国政府を提訴
出典: https://seekingalpha.com/news/4527456-costco-sues-us-government-tariff-refund?utm_source=feed_news_all&utm_medium=referral&feed_item_type=news

← 記事一覧に戻る

お問い合わせ |  利用規約 |  プライバシーポリシー |  クッキーポリシー |  クッキー設定

© Copyright ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア All rights reserved.