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「味」か「持続可能性」か ― 世界最大のコーヒー産地・ブラジルが“苦い決断” 気候危機が変える豆と味と価格

「味」か「持続可能性」か ― 世界最大のコーヒー産地・ブラジルが“苦い決断” 気候危機が変える豆と味と価格

2025年12月01日 00:04

「あれ、いつもの味と違う?」から始まる物語

朝、眠い目をこすりながらマグカップを口元に運ぶ。
一口飲んだ瞬間、「あれ、ちょっと苦味が強くない?」――そんな違和感を覚える日が、そう遠くない未来にやって来るかもしれません。


世界最大のコーヒー生産国ブラジルが、これまで主役だったアラビカ種から、よりタフなロブスタ種へと静かに舵を切り始めているからです。背景にあるのは、単なる流行ではなく、容赦なく進む気候変動と、それに適応せざるを得ない農家のリアルです。NDTV Profit



アラビカの故郷で起きている異変

ブラジルは長年、やわらかな酸味と香りが特徴のアラビカ種で世界をリードしてきました。しかし、その「本拠地」が今、大きく揺らいでいます。


ブラジルの伝統的なコーヒー産地では、

  • 以前よりも高温の日が増え

  • 干ばつがより頻繁かつ深刻になり、
    アラビカにとっては過酷すぎる環境が広がりつつあります。NDTV Profit

アラビカはデリケートな作物で、適度な涼しさと安定した降雨を好みます。
一方で、同じブラジル国内でもより暑い地域では、アラビカの栽培が難しくなり、農家は生き残りの選択を迫られています。


その選択肢として脚光を浴びているのが、ロブスタ種です。



ロブスタが急伸する理由

ロブスタは、

  • 高温に強い

  • 病害に強い

  • 1本あたりの収量がアラビカのほぼ2倍近い品種もある
    といった特徴を持ちます。NDTV Profit


ブラジルでは、過去10年でロブスタ生産が80%以上増加したとされ、直近数年でもアラビカが年2〜2.5%程度の成長にとどまる一方、ロブスタは年4.8%前後と、倍近いペースで伸びています。2025年の作柄では、ロブスタが約22%増の記録的な収穫に達したとの分析もあります。NDTV Profit


この数字が意味するのはシンプルです。

気候が荒れても、ロブスタは「よく育ち、よく採れ、よく売れる」。

さらに、ロブスタ農家は品質向上にも力を入れ始めています。かつては「苦くて安いインスタント用」のイメージが強かったロブスタですが、精選方法の改善や品種改良によって、スペシャルティコーヒーとして評価されるロブスタも少しずつ登場し始めています。NDTV Profit



森の木陰で育つコーヒー――アグロフォレストリーという挑戦

ブラジルの一部地域では、ロブスタ栽培に**アグロフォレストリー(森林農法)**を取り入れる動きも広がっています。


例えばアマゾン地域の生産者は、

  • 原生樹種や他の作物と一緒にロブスタを植え、

  • 木陰を作ることで地表の温度を下げ、

  • 土壌の水分を保ち、

  • 生物多様性も維持しながら栽培する
    といった工夫をしています。NDTV Profit


これは単に「コーヒーを守る」だけでなく、森林破壊を抑えつつ収益を確保するための一手でもあります。気候危機の時代において、コーヒー生産は「環境を壊すのか、守るのか」という厳しい問いにさらされており、ロブスタ+アグロフォレストリーは、その問いへのひとつの回答と言えるでしょう。



ベトナム vs ブラジル:ロブスタ覇権争い

ロブスタといえば、これまではベトナムが世界トップの生産国でした。
しかしここにきて、インフラやサプライチェーンが整ったブラジルが猛追しており、いずれロブスタでもトップの座を奪う可能性が指摘されています。NDTV Profit


ロブスタ市場の主役がベトナムからブラジルにシフトしていけば、

  • 価格形成

  • 国際取引の流れ

  • ブレンド配合
    にも変化が出てくるはずです。



EU規制とインスタントコーヒーの“抜け道”

このタイミングで無視できないのが、EUの森林破壊規制です。
EUは、コーヒーを含む複数の農産物について、「最近伐採された森林や劣化した土地に由来しない」ことを証明するよう輸入側に求める新ルールを導入しようとしています。NDTV Profit


ここで興味深いのが、

インスタントコーヒーが規制対象から除外されている
という点です。

世界のインスタントコーヒーの多くはロブスタで作られており、EUはインスタントコーヒーの売上の約半分を占める最大市場とも言われています。NDTV Profit


  • 生豆や焙煎豆には厳しい森林証明が求められる

  • しかしインスタントは対象外

この“抜け道”は、

  • ロブスタ需要をさらに押し上げる

  • ブラジルなどロブスタ生産国にとって追い風になる
    と見込まれています。


一方で、ロブスタ自体の価格も記録的な高値に達しており、「安いロブスタ」というイメージはすでに過去のものになりつつあります。NDTV Profit



あなたのカップの中で何が起きるのか

では、こうした変化は、私たちが実際に飲む一杯にどう影響するのでしょうか。


ロブスタは、

  • カフェインが多く

  • 苦味が強く

  • コクがしっかり出る
    という特徴があります。アラビカの華やかな香りや酸味に比べると、「力強い」「ワイルド」と表現されることが多い風味です。NDTV Profit


ただし、最近のコーヒーの飲まれ方を考えると話は少し変わります。

若い世代を中心に、

  • オーツミルクやアーモンドミルク

  • ホイップクリーム

  • キャラメルやバニラのシロップ

  • などを組み合わせたカスタマイズドドリンクが主流になりつつあります。こうしたドリンクでは、豆本来の風味はミルクや甘味料の後ろに隠れてしまいがちです。NDTV Profit


このため、

  • 「風味の微妙な違い」よりも

  • 「価格」や「カフェインのキック感」
    を優先してロブスタを選ぶロースターやチェーンも増えていく可能性があります。



SNSで渦巻く本音:歓迎?それとも嘆き?

このブラジルのロブスタシフトについて、SNS上ではすでに様々な反応が飛び交っています(実際の投稿を要約した一般的な傾向として)。


1. コーヒーオタク層の不安と嘆き

X(旧Twitter)やReddit的なコミュニティでは、

「ブラジルのトップ農家までロブスタに転換したら、シングルオリジンのアラビカがますます高嶺の花になる」
「エスプレッソの風味バランスが崩れないか心配」

といった、風味面への強い懸念が目立ちます。


彼らにとってブラジルは、エスプレッソやフィルターの“土台”となる安定したアラビカ供給源だからです。


2. 価格重視派の「まあ、安くなるならOK」

一方で、一般消費者の中には、

「正直、味の違いなんてよく分からない。値上げが止まるならロブスタでもいい」
「毎朝のインスタントがこれ以上高くならないなら歓迎」

という声も少なくありません。


エネルギー高やインフレに直面する家庭にとって、コーヒーは「ちょっとしたぜいたく品」であり、味よりも家計への負担が優先される現実もあります。


3. 環境・フェアトレード意識の高い層の複雑な評価

サステナブルな消費に関心の高い層は、

「気候変動でアラビカが作れないなら、ロブスタへのシフトは現実的な適応策だ」
「ただし、森林破壊や土地利用の転換を加速させない形でやってほしい」

という、条件付きの支持を表明することが多いようです。


アグロフォレストリーなど環境負荷の小さいロブスタ栽培なら応援したい、というスタンスです。


4. 生産者への共感も徐々に増加

また、SNSでは「コーヒー農家の目線」に共感する投稿も目立ちます。

「気候災害で収穫を何度も失った農家に、アラビカにこだわり続けろとは言えない」
「サプライチェーン全体で、農家のリスクをどう分かち合うか議論すべき」

といった声は、単なる“味の好み”を超えて、コーヒー産業の構造そのものを問い直す動きにつながりつつあります。



私たち消費者にできること

では、コーヒーを飲む私たちは、この変化の中で何ができるのでしょうか。

  1. ラベルをよく見る

    • アラビカ/ロブスタの比率

    • 生産国・地域

    • 認証(有機、レインフォレスト・アライアンスなど)
      を確認することで、「なんとなく買う」から一歩踏み出せます。

  2. ロブスタ=悪 と決めつけない
    以前のロブスタに比べ、品質改善は着実に進んでいます。
    上手に焙煎されたロブスタやブレンドは、エスプレッソに厚みを出し、ミルクとも相性が良いことが多いです。

  3. サステナブルな生産者を選ぶ
    アグロフォレストリーや森林保全に取り組む農園の豆を選ぶことで、
    「どんなコーヒー生産を未来に残すか」という意思表示になります。

  4. 変化を“新しい出会い”として楽しむ
    味の変化を恐れるだけでなく、

    • ブラジル産ロブスタブレンド

    • ベトナムやウガンダなど他国ロブスタとの飲み比べ
      など、新しいコーヒー体験として楽しむ余地もあります。



「いつもの一杯」が問いかけてくる未来

ブラジルのロブスタシフトは、単なる農業ニュースではありません。


それは、

  • 気候変動にどう向き合うのか

  • 農家のリスクと生活をどう支えるのか

  • 私たちは何をもって「おいしい」と感じるのか

という、いくつもの問いを、あなたのマグカップの中にそっと落としてきます。


数年後、あなたがカフェやコンビニで何気なく選んだ一杯の中身は、
今よりずっとロブスタの比率が高いコーヒーかもしれません。


そのとき、

「味が変わった」と嘆くのか、
「これも時代の味だ」と受け止めるのか。

選ぶのは、私たち消費者一人ひとりです。



参考記事

世界最大のコーヒー生産国が豆を切り替え中。それがあなたに与える影響とは
出典: https://www.ndtvprofit.com/global-economics/the-worlds-top-coffee-producer-is-switching-up-its-beans-what-that-means-for-you

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