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「制度より“上司の裁量”が効く」慢性的メンタル不調の社員に必要なのは“柔軟性と信頼”だった

「制度より“上司の裁量”が効く」慢性的メンタル不調の社員に必要なのは“柔軟性と信頼”だった

2025年12月17日 00:14

「メンタル不調は“気合いで乗り切るもの”」——そんな空気がまだ残る職場は少なくありません。けれど現実には、慢性的なうつ病、不安障害、双極性障害などと付き合いながら働く人は大勢いて、症状は波のようにやってきます。では、彼ら/彼女らが仕事で力を発揮し続けるために、職場が提供できる“いちばん効く支援”は何なのか。


米国の研究者(経営学の教授ら)が示した答えは、驚くほどシンプルでした。必要なのは「柔軟性(flexibility)」と「信頼(trust)」。勤務時間や業務量を調整でき、症状マネジメントのための行動をとることが「許される」だけでなく、「この人はちゃんと仕事にコミットしている」と前提を置いてもらえることが、就業継続とパフォーマンスに直結する——。Phys.orgが紹介したこの研究は、そう結論づけています。 Phys.org


研究は“当事者の生声”をどう集めたのか

今回のポイントは、アンケートだけでなく“語り”を大量に扱っている点です。研究者は

  • 匿名ブログ171人分

  • Reddit投稿781人分

  • 多様な業界で働く59人へのインタビュー
    の3ソースを分析しました。対象は、慢性的メンタル不調(例:大うつ病性障害、全般性不安障害、双極性障害)を抱えながら働く人々。RedditはCOVID-19による働き方の激変と重ならないよう、**2020年3月中旬以前の“自発的な語り”**に限定したといいます。 Phys.org


インタビューは2020〜2021年に実施され、職種も弁護士、教授、ミュージシャン、飲食、エンジニア、バス運転手まで幅広い。つまり「特定の働き方の人だけ」の話に寄りすぎない設計です。 Phys.org


結論は「配慮=特別扱い」ではなく「裁量を返す」

研究が強調するのは、支援の中心が“特別な福祉”ではなく、**日々の仕事の運用(マネジメント)**にあることです。症状が強い日もあれば、軽い日もある。薬やカウンセリングの調整が必要な時期もある。そうした波に合わせて、社員が自分のペース配分を微調整できる——それが「柔軟性」。そして、その調整を「仕事をサボる口実」と見なさず、成果を出すための自己管理として扱う——それが「信頼」です。 Phys.org


ここで重要なのは、柔軟性が“甘やかし”ではない点。研究では、信頼と柔軟性があるほど、当事者は自分のウェルビーイングに手当てしながら、結果的に仕事の遂行能力が上がったとされます。 Phys.org


SNSの反応(研究が分析したブログ/Reddit投稿に見えた“典型パターン”)

この研究の面白さは、ブログやRedditという「SNS的な場」に溜まった体験談から、職場で起きている摩擦の型が見えることです。記事内の記述を踏まえると、投稿群には概ね次のような“反応の偏り”があったと読み取れます。 Phys.org

  • 「短い離脱」が命綱になる
    仕事中に一度席を外す、少し歩く、静かな場所で気持ちを落ち着ける、時には人目のない場所で涙を流す——。研究では、こうした“いったん離れる”行動が具体例として挙げられています。SNSの語りとしては、「離脱できない職場ほど詰む」「離脱=サボり扱いが一番きつい」といった文脈になりやすいところ。 Phys.org

  • 「深く没頭する」ことで回復する人もいる
    逆に、仕事に深く入り込む/同僚と会話してエネルギーを得るなど、“関わりを強める”方向で安定する人もいる。研究はこれを(離脱と対になる)engagement戦略として扱っています。SNSでは「在宅だと孤立して悪化した」「誰かと話すだけで持ち直す」など、真逆の体験談が並ぶのが特徴です。 Phys.org

  • 「万人向けの正解」がないことへの苛立ち
    研究が名付けたのが**“personalized disengagement and engagement strategies(個別化された離脱/関与戦略)”**。要するに、効くセルフケアは人によって違う。SNSの現場感としては「一般論のメンタル術が合わない」「“運動しろ・寝ろ”で片づけないで」といった不満が出やすい領域です。 Phys.org

  • 「周囲の無理解」が二次被害を生む
    気分障害や不安障害の人は、症状そのものに加えて、職場の偏見や誤解でストレスが増幅する。記事は“同僚からのスティグマ(烙印)のリスク”を明確に指摘します。SNSでも「怠け扱いされた」「評価が下がった」「言わない方が安全だった」という語りが出やすい構造です。 Phys.org


「EAPがあればOK」ではない——施策の落とし穴

企業側は近年、EAP(従業員支援プログラム)やメンタルウェルネス系アプリ、啓発施策などを導入してきました。もちろんそれらは、短期的・一過性の不調には役立つ場合がある。けれど記事は「全体としては十分ではない」と踏み込みます。大企業が広く導入するEAPであっても、当事者の目標達成に“体系的に”効いたとまでは言いにくい、という研究知見が紹介され、欠勤は減っても職務ストレスが減らない例、むしろ離職意向が高まる例まで触れられています。 Phys.org


ここから見えるのは、支援が“制度メニュー”に寄りすぎると、当事者が日常で必要とする「調整の自由」と噛み合わない、という問題です。EAPに繋いでも、目の前の上司が「今日は早く帰っていいよ」「午前は軽めでいこう」と言えるかどうか——結局そこがボトルネックになる。研究の結論(柔軟性と信頼)は、まさにこのズレを突いています。 Phys.org


なぜ今この話が“経営課題”なのか

メンタルヘルスは、個人の問題であると同時に、組織の生産性とも直結します。WHOは、うつ病と不安だけで年間約120億労働日が失われ、コストは約1兆米ドルにのぼるという推計を紹介しています。 世界保健機関


また米国では、過去1年に「何らかの精神疾患(Any Mental Illness)」を経験した成人が**23.1%(2022年推計)**とされ、珍しい話ではありません。 国立メンタルヘルス研究所


さらに“職場が何を提供すると効くか”の答えも、じわじわ一致してきています。Mind Share Partnersの2025年レポートでは、従業員が「役に立つ」と感じるものとしてワークライフバランスと柔軟性が上位に来ることが示されています。 mindsharepartners


今回のPhys.org記事の主張(柔軟性と信頼)は、こうした潮流とも噛み合います。 Phys.org


じゃあ職場は何をすればいい?——“運用”としての5つの処方箋

研究の示唆を、現場で動く形に落とすなら次の5つです。

  1. 「時間」より「成果」で握る:中抜け・時差・波のある稼働を許容し、成果や進捗の見える化で信頼を補強する。 Phys.org

  2. “小さな離脱”を制度化する:短い散歩・静養・クールダウンができる導線(休憩の取りやすさ、静かなスペースなど)を整える。 Phys.org

  3. 治療・調整期(診断直後)を支える:治療法探索や通院の調整が多い時期ほど柔軟性が効く。 Phys.org

  4. スティグマを“ゼロにする”より“起きにくくする”:開示強要ではなく、偏見が評価・配置に混ざりにくい仕組み(評価基準、面談のガイド)を整える。 Phys.org

  5. EAP/アプリは“入口”、本丸は“上司の裁量”:施策を並べるだけで終わらせず、現場マネジャーが調整できる権限と学習機会を用意する。 Phys.org


最後に:いちばんの支援は「信じて任せる」こと

このPhys.org記事が突きつけるのは、メンタル不調支援が“福利厚生のカタログ”では終わらない、という現実です。慢性的メンタル不調の当事者が必要としているのは、立派な制度名よりも、日々の現場で「調整していいよ」と言ってくれる運用。そして、その調整を「仕事に向き合うための戦略」と見なす信頼です。



参考記事

雇用主が慢性的な精神疾患を抱える従業員を支援する最良の方法は、柔軟性を提供することです。
出典: https://phys.org/news/2025-12-employers-employees-chronic-mental-illness.html

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