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「深海にも逃げ場なし」 クジラとイルカをむしばむ“永遠の化学物質”PFASの衝撃

「深海にも逃げ場なし」 クジラとイルカをむしばむ“永遠の化学物質”PFASの衝撃

2025年11月26日 10:29

「深海にも逃げ場なし」──クジラとイルカが教えてくれたこと

「海のどこにも、もはや安全な場所はない」。


ニュージーランド周辺で行われた最新の研究が、そんなショッキングなメッセージを放っています。調査対象となったのは、人間活動から遠く離れた外洋に暮らすマッコウクジラやアカボウクジラ、そして沿岸のマウイイルカやハンドウイルカなど、16種127頭のクジラ・イルカたち。研究チームは、打ち上げられた個体の肝臓を詳しく調べ、「PFAS」と総称される“永遠の化学物質”が、どの種からも検出されたことを明らかにしました。Phys.org


PFASって何者?

PFAS(ピーファス)は「ペルフルオロ・ポリフルオロアルキル物質」の略で、1950年代以降、撥水コート、ノン stick フライパン、食品包装、耐油紙、アウトドアウェア、泡消火剤、さらには一部の化粧品にまで使われてきた人工化学物質の総称です。その種類は1万4000種以上とも言われ、共通点は「自然にはほとんど分解されない」こと。だからこそ“フォーエバーケミカル(永遠の化学物質)”と呼ばれています。Phys.org


一度環境に放たれると、PFASは大気や河川、地下水を経由して海へ到達します。海に入った後も分解されることなく、プランクトンや魚の体内に取り込まれ、それを食べる大型魚、さらにその上の捕食者へと、食物連鎖を通じて濃縮されていきます。こうした「生物濃縮・生物蓄積」の性質により、人間の血液や母乳からもPFASが検出されるようになりました。ウィキペディア


PFASは血液中のタンパク質や肝臓に結びつきやすく、ホルモンバランス、免疫機能、コレステロール代謝、生殖能力などに影響する可能性が指摘されています。人での疫学研究では、一部のPFAS濃度が高い人ほど、がんや甲状腺疾患、ワクチンへの反応低下などとの関連が示されてきました。ウィキペディア


「深海なら安全」は幻想だった

今回の研究は、ニュージーランドのマッセー大学やオークランド大学、オーストラリアの大学などによる国際チームが実施し、『Science of the Total Environment』に掲載されました。サイエンスダイレクト


研究者たちは、沿岸に比較的近い場所で暮らすハンドウイルカやマウイイルカと、数千メートルの深海に潜るアカボウクジラやマッコウクジラなど、異なる生息域のクジラ・イルカを比較。同じニュージーランド周辺でも、沿岸⇔外洋、浅海⇔深海と、さまざまな環境の個体を集めてPFAS濃度を測定しました。Phys.org


研究チームが当初予想していたのは、「陸に近く、工場や都市排水の影響を受けやすい沿岸の種ほどPFAS濃度が高く、外洋の深海に暮らす種は比較的きれい」というシナリオ。しかし現実は、その期待を裏切るものでした。深く潜る種の中には、沿岸のイルカと同等か、それ以上のPFAS負荷を抱えているものがいたのです。Phys.org


この結果は、「深い海に逃げれば人間の汚染から守られる」という、どこかで信じたくなる物語が、すでに成立しない段階に来ていることを意味します。波や海流、大気循環を経て、PFASは地球規模で拡散し、海の最上位捕食者にまで確実に届いている――そんな“化学物質のグローバル化”の現場を、クジラたちの体が物語っています。


汚染を左右するのは「どこに住むか」ではなく「誰なのか」

さらに研究チームが統計解析を進めると、PFAS濃度を最もよく説明したのは「生息域」ではなく、「年齢」と「性別」であることが分かりました。Phys.org


  • 年齢:年を取った個体ほどPFAS濃度が高い。
    → PFASが体からほとんど排出されず、長年かけて蓄積していくことを示唆。

  • 性別:オスの方がメスより濃度が高い傾向。
    → メスは妊娠・授乳を通じて、体内のPFASを子どもに一部“輸出”していると考えられる。


つまり、海にどれだけ近い・遠いではなく、「どれだけ長く生きてきたか」「オスかメスか」が、PFASの蓄積により強く効いているのです。これは、PFAS汚染が一時的な事故ではなく、長期的で構造的な問題であることを物語ります。


クジラは「海のカナリア」

大気汚染の時代、炭鉱に連れて行かれたカナリアは、危険なガスが漂うと人間より先に命を落とし、「ここは危ない」と知らせる役目を担っていました。現在、海の世界でその役目を果たしているのが、クジラやイルカといった大型海洋哺乳類です。Phys.org


人間と同じ哺乳類であり、食物連鎖の上位に位置し、寿命も長い。だからこそ、彼らの健康状態は、海洋生態系全体の“健康診断書”であり、同時に私たち人間社会への警告でもあります。世界保健機関(WHO)が提唱する「One Health」という考え方では、環境・動物・人間の健康は切り離せない一つのシステムだとされています。今回のPFAS研究も、その典型例と言えるでしょう。Phys.org


私たちの食卓への影響は?

オーストラリア・ウーロンゴン大学の研究者は、この結果が「数十年後のシーフードの安全性に疑問を投げかけるかもしれない」とコメントしています。PFASは魚介類の体内でも濃縮され、人間がそれを食べることで取り込まれます。すでに一部の国では、特定のPFASについて飲料水の基準値を大幅に厳しくする動きが出ていますが、海産物に関してはまだ評価が追いついていない地域も多いのが現状です。uow.edu.au


もちろん、今すぐ魚を食べるのをやめるべきだという話ではありません。ただし、単に「魚はヘルシーだからたくさん食べよう」というこれまでのメッセージに、化学物質汚染という新しい視点が加わったのは確かです。水銀だけでなくPFASを含めた複合汚染をどう評価するのか。各国の規制当局や科学者にとって、新たな宿題が積み上がりつつあります。


SNSでは「怒り」「不安」「行動」が交差

この研究が報じられると、各国メディアだけでなくSNS上でも反響が広がりました。英語圏のニュースサイトや大学の公式アカウントが、X(旧Twitter)、Facebook、Instagramで記事をシェアし、「#PFAS」「#ForeverChemicals」「#Dolphins」「#Whales」といったハッシュタグが並びました。Facebook

 



コメントを追っていくと、大きく三つの感情が渦巻いているように見えます。

  1. 怒りと呆れ
    「どうしてまだこんな物質の使用を続けているのか」「企業は利益のために海を犠牲にしている」という怒りの声が多数。とくに欧州や北米では、すでにPFAS規制が議論されていることもあり、「規制を弱めようとするロビー活動を許すな」と政治への不信をにじませる投稿も目立ちました。

  2. 不安と無力感
    「深海のクジラですら汚染されているなら、自分たちはどうすればいいのか」「水も空気も汚れている世界で、子どもを育てるのが怖い」といった、不安や諦めに近い投稿も少なくありません。クジラの写真とともに「ごめんね、私たちのせいだね」と書かれた投稿は、多くの共感とシェアを集めていました。

  3. 行動を求める声
    一方で、「悲観しているだけでは変わらない」として、PFASの規制強化を求める署名や、地元の水道水のPFAS検査結果を共有する市民グループも登場。環境団体は「クジラを守ることは、海を守り、自分たちを守ることだ」と訴え、政策提言や企業への働きかけを強めています。


環境系のコミュニティでは、「PFASだけを悪者にするのではなく、私たちのライフスタイルと消費を見直す必要がある」という冷静な分析も見られました。ノン stick フライパンや撥水ジャケットの便利さと、クジラの健康とのトレードオフをどう受け止めるのか──SNS上の議論は、私たち一人ひとりの価値観を映し出す鏡でもあります。


世界各地で進む規制と“自己防衛”

PFAS問題は、今回のクジラ研究だけで突然浮かび上がったわけではありません。米カリフォルニア州では、調理器具や一部の消費財からPFASを段階的に禁止する法律が可決され、欧州連合(EU)の環境相たちは自らの血液中のPFAS濃度を測定して公表するキャンペーンを行うなど、各国で危機感が高まっています。Phys.org


個人レベルでは、以下のような“自己防衛策”を取る人も増えています。

  • PFASフリーをうたう調理器具や化粧品を選ぶ

  • 難分解性の撥水加工ではなく、ワックスなど代替技術を使ったアウトドアウェアを選択

  • 水道水のPFAS検査結果をチェックし、必要に応じて活性炭フィルターなどを導入

  • 企業や自治体に対して、PFAS使用状況や対策の情報公開を求める


こうした行動だけで世界のPFAS負荷が劇的に下がるわけではありませんが、「どこか遠くの工場の話」だったはずの化学物質が、自分のキッチンやクローゼットとつながっていることを意識するきっかけにはなります。


クジラたちから受け取った宿題

今回の研究チームは、「最も人里離れたクジラですら高いPFAS負荷を抱えている。人間だけが例外ということはあり得ない」と警鐘を鳴らしています。新華社


クジラやイルカは、海洋エコツーリズムのアイコンであり、文化的にも象徴性の高い動物です。だからこそ、彼らが抱える汚染の事実はニュースになりやすく、多くの人の心を動かします。しかし、見えない化学物質が静かに蓄積しているのは、クジラだけではありません。私たち人間もまた、同じ食物連鎖の一部であり、同じ地球という閉じたシステムの中で生きています。


PFAS問題の本質は、「便利さのツケが、時間と空間を超えて返ってくる」ということです。ノン stick フライパンの快適さが、何十年も先に生まれるクジラの健康に影響するかもしれない。そう考えると、私たちが選ぶ製品や政策は、未来の海の姿そのものを形づくっているとも言えます。


今回、ニュージーランドの海で見つかったPFAS汚染は、世界のどこでも起こり得る問題の一断面にすぎません。クジラたちから受け取ったこの“宿題”に、私たちはどう答えていくのか。SNSで怒りを共有するだけで終わらせるのか、それとも、日々の選択や政治の場で具体的な変化を起こしていくのか──次の一手は、私たちの側に委ねられています。



参考記事

「永遠の化学物質」がイルカやクジラをこれまで考えられていたよりも多く汚染していることが新たな研究で判明
出典: https://phys.org/news/2025-11-chemicals-contaminate-dolphins-whales-thought.html

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