メインコンテンツにスキップ
ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア ロゴ
  • 記事一覧
  • 🗒️ 新規登録
  • 🔑 ログイン
    • English
    • 中文
    • Español
    • Français
    • 한국어
    • Deutsch
    • ภาษาไทย
    • हिंदी
クッキーの使用について

当サイトでは、サービスの向上とユーザー体験の最適化のためにクッキーを使用しています。 プライバシーポリシー および クッキーポリシー をご確認ください。

クッキー設定

クッキーの使用について詳細な設定を行うことができます。

必須クッキー

サイトの基本機能に必要なクッキーです。これらは無効にできません。

分析クッキー

サイトの使用状況を分析し、サービス向上に役立てるためのクッキーです。

マーケティングクッキー

パーソナライズされた広告を表示するためのクッキーです。

機能クッキー

ユーザー設定や言語選択などの機能を提供するクッキーです。

シドニー水道水に「見えていなかったPFAS」 — 「基準は満たす。でも安心か?」“見えない汚染”PFAS

シドニー水道水に「見えていなかったPFAS」 — 「基準は満たす。でも安心か?」“見えない汚染”PFAS

2025年08月13日 00:26

「見えていなかったPFAS」が見え始めた日

2025年8月11日、UNSWシドニーの研究者が「シドニーの水道水から31種類のPFASを検出、うち21種類はこれまで見落とされていた」と発表した。さらに、短鎖分解産物とされる3:3 FTCAは世界の飲料水で初めて、水や食品包装などで知られる6:2 diPAPは“水道水”としては世界初の検出報告だという。検出濃度は総じてppt(兆分の一)レベルだが、未知の存在が“数”として立ち現れた意味は重い。 


どこで、どうやって、何が見つかったのか

調査は2024年初頭、シドニー水系の複数の取水域で実施。Ryde、Potts Hill、Prospect、North Richmondなどの蛇口水32件と、ボトル水10件が対象だ。質量分析法と特殊レジンによる前処理でpptレベルの成分を拾い上げ、従来の監視では取り切れていなかった化合物プロファイルを炙り出した。最も普遍的に見つかったのは短鎖のPFBAで、全蛇口サンプルから検出。North Richmondの一部ではPFOSが6pptを示したが、これは豪の指針値(8ppt)未満。一方で、米EPAの法的基準はPFOA/PFOSとも4pptであり、国際比較では“閾値の置き方”が大きく異なる。 US EPA


基準は「満たす」。それでも議論が続く理由

豪州では2025年6月、NHMRCがPFASに関する飲料水ガイドラインを更新し、PFOS 8ng/L(=8ppt)、PFHxS 30ng/L、PFOA 200ng/L、PFBS 1000ng/Lを提示した。規制はリスクの生涯最小化を狙うが、米EPAはPFOA/PFOSの目標値(MCLG)を「ゼロ」とし、法的MCLを4pptに設定した。数字の差は「科学の不確実性」「社会のリスク許容度」「費用対効果」の三者が織り成す政治・行政判断の反映でもある。 sydneywater.com.aunhmrc.gov.auUS EPA


“モグラ叩き”から“群としての管理”へ

PFASは分子の“ほんのわずかな作り替え”で新しい派生物として現れる。そのため、個別物質ごとに毒性評価と規制をやり直す構図は、研究者が言うところの“モグラ叩き”に似る。欧州ではPFASを「群」として扱う動きが強まり、規制の単位を切り替えつつある。今回の研究が示す多様な短鎖PFASの存在は、規制のパラダイム転換を後押ししうる。


シドニーの“現場感”:水道事業者の見解とモニタリング

シドニー・ウォーターは最新の検査結果を公開し、対象プラント(特にブルーマウンテンズ地域)でのPFOS等の測定値と、2025年7月1日からのPFOS・PFOA・PFHxS等の製造・輸出入・使用禁止(豪政府方針)を案内している。直近のサンプリング値はng/Lオーダーで推移し、同事業者は「新ガイドラインを満たしている」と説明する。 sydneywater.com.au


SNSはどう反応したか——不安、実務、そして政策論

 


報道直後、X(旧Twitter)やRedditでは、ABCの速報リンクを共有しながら「米国基準だとアウトでは?」と国際比較に言及する声、ブルーマウンテンズ住民の自主的な血液検査報道を引用して「個人でできることは?」と実務論に踏み込む投稿が目立った。r/sydney ではABC記事のスレッドが立ち、コメント欄は「豪基準は十分か」「家庭フィルタの効果」などで盛り上がった。シドニー在住のアクティビストらは、行政の説明責任や補償のあり方に矛先を向ける投稿も。いずれも一次データや公的説明へのリンクを貼り、事実で殴り合う“情報勝負”の様相だ。 ABCRedditX (formerly Twitter)


「血液検査」に意味はあるのか

NSW保健当局の専門家パネルは、PFAS曝露コミュニティでの個人血液検査に「臨床的利益はない」との最終見解を示した。これは「数字が出ても治療や予後判断には直結せず、不安を増幅する恐れがある」という立場だ。住民側は反発も強く、クラスアクションの動きも報じられている。科学が積み上げた相関証拠と、個人の安心・納得の間には、なお深い溝がある。 The Guardianニュース.com.au


家庭でできる実務的対策

「今すぐ安心したい」読者向けに、家庭での飲用水対策も整理しておく。EPAはPFAS低減に有効な方式として、①粒状活性炭(GAC)、②逆浸透(RO)、③イオン交換樹脂を挙げ、PFAS除去の認証(NSF/ANSI 53または58)を確認するよう助言している。フィルタはメンテを怠ると曝露をむしろ増やしうるため、交換サイクルの厳守が肝心だ。 US EPA


いま必要なのは「広さ」と「深さ」

研究者は、都市・郊外・上流域を幅広くカバーする全国的なモニタリングと、検出対象PFASの拡充を提案している。さらに、PFASを吸着・分解する新素材の研究も加速中だ。科学的知見の更新に合わせ、ガイドラインとインフラ投資、そして市民向け情報提供が“同時並行”で進む設計が望ましい。 


結論:数値だけでは測れない「安心」へ

シドニーの水は現行の豪州指針に概ね適合している——それは確かだ。しかし、3:3 FTCAの世界初検出に象徴される“未知の出現”と、国際基準の揺らぎは、安心の定義を数字以上に難しくする。規制の単位を“物質”から“群”へ、測る範囲を広く、説明をわかりやすく。誰もが参照できる生データと、家庭レベルの実務的ガイド、それを支える社会コストの見える化——“見えていなかったPFAS”が見えた今こそ、次の一歩を確かに踏み出す時だ。 US EPA


参考記事

シドニーの水道水には、これまで考えられていたよりも多くの種類のPFAS「永遠の化学物質」が含まれていることが判明
出典: https://phys.org/news/2025-08-pfas-chemicals-sydney-previously-thought.html

Powered by Froala Editor

← 記事一覧に戻る

お問い合わせ |  利用規約 |  プライバシーポリシー |  クッキーポリシー |  クッキー設定

© Copyright ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア All rights reserved.