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褒め言葉がうれしいとき、ゾワッとするとき――境界線と上手な伝え方

褒め言葉がうれしいとき、ゾワッとするとき――境界線と上手な伝え方

2025年11月22日 16:26

1.なぜ「褒め言葉」でモヤっとするのか

褒め言葉は、本来は相手を喜ばせるためのものです。
にもかかわらず、「ありがとう」と素直に受け取れるときと、「え、それ今ここで言う?」とイヤな気持ちになるときがあります。


ドイツの公共放送ZDFの解説記事によると、褒め言葉は「人間関係の潤滑油」にも「人間関係を壊すダイナマイト」にもなり得る、と心理学者のベアーテ・ディッツェンは指摘します。ZDFheute
問題は、言葉そのものよりも「誰が、どんな関係性で、どの場面で、どんな意図で言うか」という文脈にあります。


同じ「よく頑張ったね」というフレーズでも、
親しい友人から言われたらホッとするのに、
普段から上から目線で接してくる上司に言われると、妙にイラっとする――。

このギャップを理解することが、「好意的に受け取られる褒め言葉」を選ぶ第一歩です。



2.「褒め言葉」の基本:言葉の意味と歴史

ドイツ語の「Kompliment」は、Duden(独語辞典)で「誰かに心地よい・喜ばしい気持ちを与えるための、賞賛やお世辞の表現」と定義されています。ZDFheute


もともとフランス語の“compliment”に由来し、「豊かさ」や「少し大げさな言葉」というニュアンスもあったと言われます。
昔のヨーロッパでは、「どうぞ私のコンプリマンをお伝えください」のように、丁寧なあいさつ言葉としても使われていました。


つまり褒め言葉は、
相手を尊重し、場の空気を和らげる「社交の道具」
として歴史的に使われてきたもの。


ところが現代では、SNSやハラスメントの議論が進んだことで、
「その褒め方、セクハラでは?」
「それって上から目線じゃない?」
といった批判も生まれています。

歴史的な役割と、今の価値観とのズレが、褒め言葉の扱いを難しくしている、とも言えます。



3.恋人・夫婦関係での褒め言葉:何を褒めるといい?

ディッツェンらは、カップルを対象にした研究で、どんな褒め言葉が実際に関係満足度を高めるのかを調べました。ZDFheute+1


結果として多かったのは、次のような内容でした。

  • 「あなたといると何でも話せる」:コミュニケーションのしやすさ

  • 「一緒にいるとよく笑える」:ユーモアや空気感

  • 「○○に一緒に行けて楽しかった」:共通の経験への言及

つまり、相手の「外見」より、「一緒に過ごす時間」や「関係の質」に関する褒め言葉が、関係を温める傾向が強いのです。


日本でも、
「今日のメイクかわいいね」だけより、
「最近忙しいのに、いつも笑顔でいてくれて嬉しい」
といった言葉の方が、心に響く人は多いでしょう。


恋人やパートナーに対する褒め言葉は、

  1. 自分たちだけの共通体験

  2. 相手の性格や行動

  3. 二人の関係そのもの

という「中身」にフォーカスしたほうが、安心感と信頼を高めやすいと言えます。



4.外見の褒め言葉とジェンダー差

ZDFの記事では、「見た目を褒める言葉」が、誰同士の会話かによって受け取られ方が変わると指摘されています。ZDFheute


心理学者ディッツェンは、

  • 女性同士での外見への褒め言葉は、ポジティブに受け取られやすい

  • 男女間では、同じ言葉でも誤解や不快感を招きやすい

と説明しています。

たとえば、

  • 女友達同士

    • 「今日のワンピめっちゃ似合う!」

    • 「その髪色、雰囲気に合ってて素敵」

こうしたコメントは、多くの場合うれしく感じられやすいものです。

しかし、職場で男性上司から女性部下に

  • 「そのスカート、いいね」

  • 「最近、色っぽくなったね」

と言うと、相手が「評価されている」のではなく「値踏みされている」「性的な目線で見られている」と感じるリスクがあります。


大事なのは、相手が「相互に安全だ」と感じている関係かどうか。
特に日本では、ジェンダーギャップやセクハラ問題に対する社会の目も厳しくなっています。


外見を褒めるときは、

  • 相手との距離感は十分に近いか

  • 相手がその話題を普段からオープンにしているか

  • 公の場(職場・飲み会・オンライン会議)ではないか

などをよく確認した方が安全です。



5.性的・親密なニュアンスを含む褒め言葉:どこからがアウト?

ディッツェンは、「性的な文脈を含むコメント」は、恋人同士でも必ずしも喜ばれるとは限らないと警告します。ZDFheute+1


たとえば、

  • 「今夜の君、いつも以上にセクシーだね」

が、パートナーに安心感を与えるときもあれば、

  • 「そんなふうに見られているのか…」

  • 「期待をかけられているみたいでプレッシャー」

と感じさせてしまうことも。


特に、

  • セックスレスなどデリケートな問題を抱えているカップル

  • 性的な話題をあまりオープンにしてこなかった関係

  • 相手が体調不良やメンタル不調で負担を抱えているとき

には、性的な褒め言葉は簡単にプレッシャーや不安に変わります。


職場や学校、サークルなど、そもそも性的な話題がふさわしくない場面では当然NGです。
「かわいいね」「スタイルいいね」など、一見ライトなコメントでも、文脈によってはセクハラと受け取られます。



6.職場での褒め言葉:鍵は「I(アイ)メッセージ」

ZDFの記事では、職場での褒め言葉として、

「あなたはいつも仕事ができる」より
「さっきのプレゼン、構成がすごく分かりやすくて助かりました」

のように、具体的な行動と自分の感想をセットにした言い方が推奨されています。ZDFheute


これは、日本でよく言われる「Iメッセージ(私は〜と感じた)」に近い考え方です。


良い例

  • 「今日の会議の進行、とてもスムーズで助かりました」

  • 「資料の図解が分かりやすくて、クライアントにも説明しやすかったです」

  • 「この案件への粘り強さ、すごいなと感じています」


良くない例

  • 「君って、やっぱり天才だよね」

  • 「うちのチームで一番マシなのは君かな」

  • 「若いのに頑張ってるよね」


一見ポジティブに見える言葉でも、

  • あいまいで具体性がない

  • 上から目線に聞こえる

  • 年齢や性別を強調する

といった点があると、相手は素直に喜べません。


また、上司から部下だけでなく、同僚同士・取引先・フリーランスへのフィードバックでも同じことが言えます。
ビジネス上の褒め言葉は、「人柄」ではなく「仕事の内容・プロセス・成果」にフォーカスすると安全で、かつ相手の自己効力感も高めやすいのです。



7.権力差・上下関係があるときの注意点

ディッツェンは、「上下関係」がある状況では褒め言葉が難しくなると指摘します。ZDFheute

  • 上司と部下

  • 教師と生徒

  • 親と子

  • 先輩と後輩

など、片方が評価権限や影響力を持っている関係では、褒め言葉も「支配」や「コントロール」の一種として受け取られがちです。


たとえば、親がティーンエイジャーの子どもに、

  • 「その服いいね、お母さんそういうの好き」

と言った瞬間、
子どもが「じゃあ着替える」とばかりに服を変えてしまう、というエピソードも紹介されています。ZDFheute


褒め言葉が、「親の好みに合わせなさい」というメッセージとして機能してしまうのです。

日本の「ママ友」関係や、部活の先輩・後輩の世界でも、

  • 「そういうの似合うじゃん」

  • 「そういうキャラでいなよ」

といった言葉が、実は相手の「あり方」を固定してしまい、息苦しさを生むことがあります。


上下関係がある場面では、

  • 相手の選択や価値観を尊重しているか

  • 自分の好みを押しつけていないか

  • 相手が嫌だと感じたときに、きちんと引き下がれるか

を意識することが、特に重要になります。



8.若い世代ほど「距離感」に敏感になっている

哲学者ハンノ・ザウアーは、若い世代ほど褒め言葉に対して慎重で、「昔よりも褒めることが難しくなっている」と分析します。ZDFheute+1


背景には、

  • #MeTooなどの影響で、ハラスメントへの感度が高まったこと

  • SNSで発言がすぐ拡散・炎上するリスクがあること

  • 多様性やジェンダー、プライバシーへの意識が強くなったこと

などが挙げられます。


日本でも、

  • 「女性はやっぱり○○だよね」

  • 「男なら、これくらい頑張らないと」

といったジェンダーを前提にした褒め言葉や評価は、若い世代ほど冷ややかに受け取る傾向があります。


昔は「褒めない方が失礼」とされた場面でも、
今は「黙っている方が相手に安心感を与える」こともある。

この価値観の変化を理解せず、「昔はこうだった」とだけ言ってしまうと、「距離感がわからない人」として敬遠されてしまう可能性もあります。



9.良い褒め言葉の条件:Dos

ZDFの記事では、良い褒め言葉の条件として、次のようなポイントが挙げられています。ZDFheute



良い褒め言葉(Dos)

  • 自発的で、心からの言葉であること

    • 義務感や「その場を取り繕うため」だと、言外に伝わってしまいます。

  • 具体的なポイントを挙げること

    • 「すごいね」より「今日の説明の順番が論理的で分かりやすかった」です。

  • 自分の感じ方として伝えること(Iメッセージ)

    • 「私はこう感じた」と言うことで、押しつけ感が減ります。

  • 相手の価値観や努力を尊重すること

    • 結果だけでなく、「そこに至るまでの工夫や継続」に目を向けると、より深く伝わります。

  • 可能な限り対等な関係・場面で伝えること

    • 人前での「公開褒め」は、プレッシャーや気恥ずかしさにもつながります。



10.やってはいけない褒め方:Don’ts

一方で、次のような褒め方は避けた方がよいとされています。ZDFheute


NGな褒め言葉(Don’ts)

  • 見返りやお返しを期待している褒め言葉

    • 「こんなに褒めてあげたんだから、もっと頑張ってよ」

    • 「これだけやってあげたんだから、飲みに付き合ってよ」

  • 性的・親密さを連想させる発言(特に仕事場)

    • 「その服、男がほっとかないよ」

    • 「うちの会社のアイドルだね」

  • 本心でないお世辞や、明らかな誇張

    • 「世界一かわいい」「人生で会った中で一番○○」など、相手が「そんなわけない」と感じるレベルの誇張は、かえって不信感を生みます。

  • 相手のコンプレックスを刺激する言い方

    • 「前より痩せたね(=前は太っていた)」

    • 「昔より若く見える(=前は老けて見えた?)」

  • 比較ベースの褒め言葉

    • 「他の人よりマシ」

    • 「女の子なのに、その分野得意なんだ」

これらは、一見ポジティブな言葉でも、

  • 相手をカテゴリ分けする

  • 他人との比較で優劣をつける

  • 相手の外見や体型を評価する

などの要素が含まれており、不快感や傷つきを生みやすくなります。



11.褒め言葉が心と体にもたらす効果

ZDFの別記事や子ども向けニュースサイト「logo!」では、褒め言葉が脳と健康に与える影響についても紹介されています。ZDFheute+1


パートナー同士が互いに褒め言葉を送り合う実験では、

  • 褒め言葉を「受け取る側」だけでなく、「送る側」の脳の報酬系も活性化

  • オキシトシンやドーパミンといった「愛情」や「幸福感」に関わるホルモンが分泌

  • 社会的なつながりの感覚や、安心感が高まる

といった結果が報告されています。


さらに、大規模な疫学研究では、

  • 良好な人間関係

  • 孤独感の少なさ

が、寿命の延長や病気のリスク低下と関連していることも示されています。ZDFheute


つまり、誠実な褒め言葉は、

  • 相手の自己肯定感を高め

  • 関係性を強くし

  • ひいては自分自身の心身の健康にも良い影響を与える

「小さいけれど、とても強力な行動」でもあるのです。



12.日本でありがちな「モヤる褒め言葉」例

日本特有の文化や言い回しにも、モヤモヤを生みやすい褒め方があります。


1)「女の子なのに」「男なのに」系

  • 「女の子なのに、よく食べるね(=本当は控えてほしい?)」

  • 「男なのに料理できるなんて、偉いね」

→ 性別役割分業の前提が透けて見えてしまいます。



2)「若さ」「見た目」前提の褒め言葉

  • 「まだ若いから大丈夫だよ」

  • 「ママなのに、全然そんなふうに見えない」

→ 年齢や母親であることを「マイナスの基準」として扱う言い方になりがちです。



3)「細い=偉い」前提

  • 「痩せた? いい感じ!」

  • 「産後なのに、そんなに細いなんてすごい」

→ 体型へのコメントは、ダイエットや摂食障害の経験がある人にとってトリガーになる場合もあります。



4)「ママ友」「保護者同士」での比較ベース

  • 「○○ちゃんママは、いつも完璧だよね(=私はそうじゃない?)」

  • 「あの人の子ども、いつも元気でいいよね(=うちの子は…?)」

→ 子どもを介した比較は、親同士のプレッシャーや孤立感を生む原因にもなります。

褒め言葉を選ぶときは、自分の中にある「当たり前の価値観」が、相手にとって本当に心地よいものか、立ち止まって考えることが大切です。



13.好意的に受け取られやすい褒め方の実例

ここからは、実際に使いやすい日本語の褒め言葉を、場面別に挙げてみます。


(1)友人・パートナーに

  • 「最近、前よりも自分の意見を言えている気がして、見ていてうれしい」

  • 「一緒にいると、安心して本音を話せるところが本当にありがたい」

  • 「さっきの場面で、相手の気持ちをすごく気遣っていたのが印象的だった」

ポイントは、目に見えない「性格・姿勢・価値観」を言語化することです。



(2)同僚・部下に

  • 「今日のミーティングの資料、構成が論理的で助かりました」

  • 「あの案件で、最後まで諦めずに検討してくれたのを見て、すごいなと思いました」

  • 「あの場面で、相手の立場を汲みながら説明してくれたのが印象に残っています」

「すごい」「偉い」だけでなく、どの部分が良かったのかをできるだけ具体的に伝えましょう。



(3)子どもに

  • 「できるようになるまで、何回も練習していたね。あの粘り強さがかっこいい」

  • 「今日は自分から『手伝おうか?』って言ってくれて、とてもうれしかった」

  • 「うまくいかなかったのに、ちゃんと謝れたの、すごいことだよ」

結果よりも、過程やチャレンジそのものを褒めると、自己肯定感が育ちやすくなります。



14.褒められたときにどう受け取ればいい?

褒める側だけでなく、「褒められる側」もまた、どう反応していいか困ることがあります。

  • 「いえいえ、全然ですよ」

  • 「そんなことないです、たまたまです」

と、謙遜しすぎていませんか?

ディッツェンは、「褒め言葉を素直に受け取ることも、関係性を育てる一部」だと説明します。ZDFheute+1


シンプルに、

  • 「ありがとうございます。うれしいです」

  • 「そう言ってもらえると、頑張ったかいがあります」

と受け取り、心の中でじっくり味わうことは、自己肯定感にも良い影響を与えます。

一方で、明らかに不快な褒め言葉や、セクハラ的な発言を“笑って流す”必要はありません。

  • 「そういう言い方は、あまりうれしくないです」

  • 「仕事の場では、見た目より内容で評価してもらえるとうれしいです」

と、軽く線を引く表現を準備しておくと安心です。



15.今日からできる「褒め言葉」トレーニング

最後に、褒めるのが苦手な人でも取り組みやすいステップを、3つにまとめます。


ステップ1:一日一回、「いいな」と思ったことをメモする

  • 家族、友人、同僚、通りすがりの人でもOK。

  • 「何が」良かったのかを、できるだけ具体的に書いてみる。



ステップ2:そのうち一つを、言葉にして相手に伝える

  • メッセージアプリでも、直接でも構いません。

  • 「突然なんだけど」と前置きしてもOK。



ステップ3:相手の反応を観察し、「こういう言い方は伝わりやすい」を自分なりに分析する

  • 相手が笑顔になったか

  • 照れながらも、うれしそうだったか

  • 逆に、戸惑っていたり、話題を変えようとしていなかったか

この「観察と微調整」を続けることで、少しずつ「その人らしい褒め方」が身についていきます。
そして、褒め習慣ができてくると、関係性も、自分自身の心の状態も、じわじわと変わっていきます。



まとめ

  • 褒め言葉は、文脈次第で「最高のギフト」にも「不快な侵入」にもなり得る。

  • 好意的に受け取られる条件は、具体性・対等な関係・相手へのリスペクト・下心のなさ。

  • 職場では、外見や性的な話題ではなく、「行動や成果」をIメッセージで褒めるのが基本。

  • 若い世代ほど、ジェンダーやハラスメントへの感度が高く、昔の感覚のまま褒めるのは危険。

  • 誠実な褒め言葉は、相手だけでなく自分も幸福にし、健康にも良い影響を与える。

今日、あなたは誰に、どんな褒め言葉を贈りますか?
一つの小さな言葉が、誰かの一日、そしてあなた自身の一日を、少しだけ優しく変えるかもしれません。





参考記事

「褒め言葉が好意的に受け取られるときと、不快に感じられるとき」
出典: https://www.zdfheute.de/ratgeber/komplimente-kommunikation-tipps-100.html

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