メインコンテンツにスキップ
ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア ロゴ
  • 記事一覧
  • 🗒️ 新規登録
  • 🔑 ログイン
    • English
    • 中文
    • Español
    • Français
    • 한국어
    • Deutsch
    • ภาษาไทย
    • हिंदी
クッキーの使用について

当サイトでは、サービスの向上とユーザー体験の最適化のためにクッキーを使用しています。 プライバシーポリシー および クッキーポリシー をご確認ください。

クッキー設定

クッキーの使用について詳細な設定を行うことができます。

必須クッキー

サイトの基本機能に必要なクッキーです。これらは無効にできません。

分析クッキー

サイトの使用状況を分析し、サービス向上に役立てるためのクッキーです。

マーケティングクッキー

パーソナライズされた広告を表示するためのクッキーです。

機能クッキー

ユーザー設定や言語選択などの機能を提供するクッキーです。

警察を「電話で呼ぶふり」で保育士が懲戒──“脅しのしつけ”はどこから虐待になるのか? 世界で共有したい境界線と、子どもを守る代替策

警察を「電話で呼ぶふり」で保育士が懲戒──“脅しのしつけ”はどこから虐待になるのか? 世界で共有したい境界線と、子どもを守る代替策

2025年12月14日 18:40

1. 何が起きたのか:旭市立保育所の「不適切保育」と戒告処分

今回の発端は、千葉県旭市が公式に公表した「不適切保育」の事案だ。市によれば、2025年6月12日、市立中央第三保育所の2歳児クラスで、保育士(会計年度任用職員)が特定の児童に対して不適切な関わりを行った。内容は大きく2点である。


  • おもちゃの取り合いを注意する際、児童の胸元を掴み、擦り傷を負わせた

  • 泣き止まない児童に対し、自身のスマートフォンで警察を呼ぶ“ふり”をして、児童を脅かした
    朝日市

この件は報道でも伝えられ、市は当該保育士を戒告の懲戒処分とした。毎日新聞
自治体が“脅し”の類型を明確に不適切と位置づけ、処分まで行った点は、世界的にも共有する価値がある。なぜなら「子どもを怖がらせて言うことをきかせる」手法は、文化圏を超えて家庭・教育・保育の現場に残りやすい“古典的な近道”だからだ。



2. 「警察を呼ぶふり」は、なぜ問題になりやすいのか

2-1. 子どもにとって“警察”は、罰や恐怖と結びつきやすい

幼い子どもは、社会制度としての警察の役割(安全を守る、被害を止める等)を理解できないことが多い。一方で「警察=怖い存在」「連れていかれる」といったイメージは、周囲の言動から簡単に刷り込まれる。
その結果、「警察を呼ぶよ」は、行動の理由づけ(なぜ危ないのか、どうすればよいのか)ではなく、恐怖で停止させるスイッチとして働く。



2-2. “外部権力”を使った統制は、関係性の土台を削る

保育や家庭のしつけは、本来「安全・安心の基地」を前提にして成立する。ところが「警察を呼ぶ」「通報する」は、子どもにとっては“関係の断絶”や“排除”にも見え得る。
つまり、子どもが学ぶのは「落ち着く方法」ではなく、「怖がらせる人の前では止まる」「本音や感情を出すと危険」という防衛反応になりやすい。



2-3. 国際的にも“恐怖で従わせる”は「情緒的虐待」の典型類型

英国の子ども保護の文脈では、情緒的虐待(emotional abuse)の類型に「Terrorising(恐怖で支配する)」が挙げられ、そこには「暴力をほのめかす」「意図的に子どもを怖がらせる」などが含まれる。NSPCC Learning
「警察を呼ぶふり」は暴力そのものではなくても、**“怖がらせて従わせる”**に該当しやすい構造を持つ。



3. 日本の法制度で見る:「しつけ」と「虐待」の境界線はどこにある?

ここからは“世界に向けて”わかりやすくするために、日本の枠組みを整理する。



3-1. 日本法は「心理的虐待」を児童虐待に含めている

日本の「児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)」は、児童虐待を複数類型で定義しており、心理的虐待もその一つだ。e-Gov 法令検索+1


日本小児科学会の資料でも、心理的虐待として「著しい暴言」「著しく拒絶的な対応」等が法律上位置づくことが示され、日常的に子どもを脅すような態度等が問題になり得ることが論じられている。日本小児科学会

ポイントは、「殴る蹴る」のような身体的虐待だけでなく、言葉・態度・威圧で子どもの心に傷を残す行為も対象になり得ることだ。



3-2. 「体罰は禁止」──しつけの名でも許されない線引きがある

日本では、親権者等がしつけに際して体罰を加えてはならないことが法定化され、2020年4月に施行された。国際会計基準審議会
これは「親が子をしつける権利」を否定するというより、**“子どもの権利・安全が最優先”**という社会的合意を、法律上のルールに落とし込んだものだ。



3-3. では「警察を呼ぶふり」は直ちに虐待なのか?

結論から言うと、“必ず虐待”と一言で断定できる行為ではない。ただし、虐待(特に心理的虐待)の評価は、単発の言葉よりも、次の要素で実質判断されやすい。


  • 頻度・反復性:繰り返されるほど、恐怖と支配のパターンになる

  • 子どもの年齢・発達:幼いほど、現実と比喩の区別が難しく、影響が重く出やすい

  • 状況:危険回避のための短時間の制止なのか、苛立ちの発散なのか

  • 結果:子どもが極端に怯える、園や家を怖がる、睡眠・食欲・行動が変わる等の影響が出ているか


旭市のケースが「懲戒」という公的な評価に至ったのは、自治体が“子どもの安全が最優先されるべき保育所で起きた不適切な関わり”として重く見たためであり、当事案の事実関係(傷、脅し)も公式に示されている。朝日市+1

家庭でも、同様の構造(恐怖で統制)が継続すれば、心理的虐待として問題化する可能性は十分にある。



4. 「親もやりがち」問題:それでも“虐待”という言葉が難しい理由

「警察呼ぶよ」は、親自身が幼少期に受けたしつけのコピーとして残りやすい。疲労や孤立、時間のなさの中で、最短で子どもを止められる“禁じ手”として出てしまうこともある。


同時に、“虐待”という言葉は強く、保護者が「自分はもうダメだ」と支援から遠ざかる副作用もあり得る。虐待という言葉の強さや、支援につなぐコミュニケーションの重要性は、啓発団体の側からも指摘されている。オレンジリボン

だからこそ重要なのは、レッテル貼りより先に、行為のリスクを具体的に理解し、代替策へ置き換えることだ。



5. 代替策:「恐怖で止める」から「安全に落ち着かせる」へ

ここからは実践編。保育でも家庭でも応用できる。



5-1. “警察”ではなく「安全のルール」を短く言う

  • ×「警察呼ぶよ!」

  • ○「止まろう。危ない」

  • ○「いまは体を守る時間。落ち着いたら話す」

目的は“罰”ではなく“安全”だと明確化する。



5-2. 子どもの行動を「止める」より、まず環境を変える

2歳前後は衝動の制御が未熟で、言葉の説得が効きにくい。

  • おもちゃの取り合い→同じ玩具を増やす/ゾーン分け/順番カード

  • 癇癪→刺激を減らす場所へ移動/水分/抱っこ・圧迫感の少ない安心



5-3. 「落ち着くスキル」を教える(その場しのぎにしない)

落ち着き方は“教わらないと身につかない”。

  • 深呼吸を一緒に数える

  • 手を握って「ぎゅー、はなす」

  • 気持ちの言葉を代弁する:「悔しかったね」「止めたかったね」



5-4. 大人側の“限界サイン”を先に認識する

恐怖で従わせたくなる瞬間は、大人のエネルギーが底をついている合図でもある。

  • 10秒だけ距離をとる

  • 交代を頼む(園なら同僚、家庭なら家族・支援先)

  • 「今は無理」ではなく「今は安全第一にする」と決める



6. もし「これ、虐待かも」と感じたら:通告・相談は“間違ってもいい”

日本では、児童虐待が疑われるときの相談先として、児童相談所虐待対応ダイヤル「189」が周知されている。サイト上でも「間違いでも大丈夫です」というメッセージを明確に出し、ためらわず相談することを促している。kodomoshien.cfa.go.jp


また、虐待の防止は社会全体の課題として位置づけられ、国の政策としても情報提供や支援の枠組みが整理されている。国際会計基準審議会+1

「通報=罰」ではなく、「支援につながる入口」でもある、という前提を共有することが、世界的にも重要だ。



7. 世界に向けた結論:「警察で脅す」は“しつけ”の近道に見えて、信頼を壊す近道でもある

旭市の事案が突きつけたのは、「暴力だけが不適切ではない」という当たり前だ。自治体の公式資料には、“警察を呼ぶふり”が児童を脅かした行為として明記され、再発防止・研修強化・相談窓口周知などの対策も示されている。朝日市


恐怖で従わせる方法は、短期的には効く。だが長期的には、子どもに「関係は安心ではない」「助けを求めると罰が来る」という学習を残し得る。
子どもが必要としているのは、恐怖のスイッチではなく、落ち着く力と、守られている感覚だ。家庭でも保育でも、その方向へ社会がシフトしていることを、日本の制度と今回の事例は示している。国際会計基準審議会+1

← 記事一覧に戻る

お問い合わせ |  利用規約 |  プライバシーポリシー |  クッキーポリシー |  クッキー設定

© Copyright ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア All rights reserved.