Nvidiaが中国市場に再進出!規制の波を乗り越えたAIチップ販売再開の舞台裏

Nvidiaが中国市場に再進出!規制の波を乗り越えたAIチップ販売再開の舞台裏

1. 序章――“ウィップラッシュ”の意味

14日のTechCrunch報道は「regulatory whiplash(規制のむち打ち)」という強い言葉で始まった。米商務省による4月の禁輸令、わずか1週間での“部分撤回”、そして今回のライセンス付与決定──2025年前半のNVIDIAを取り巻く規制は、投資家も開発者も振り落とす乱高下だった。 TechCrunch


2. 禁止から再承認まで:時系列で振り返る

4月2日 米商務省がH20を含むAI推論向けGPUの対中輸出を全面停止。
4月8日 黄仁勲CEO、フロリダ州マール・ア・ラゴで開催された1席100万ドルの晩餐会でトランプ氏と面会。 Tom's Hardware
4月15日 NVIDIA、米国内に5000億ドル規模のAIサーバー投資計画を発表。 TechCrunch
5月28日 決算説明会で「2四半期で135億ドル失う可能性」と警告。 TechCrunch
7月14日 米政府がライセンス発給を保証、同日NVIDIAが再販手続き開始を表明。

3. 中国側の熱狂

H20は性能的にH100/H200の“ダウングレード版”ながら、メモリ帯域とCUDA互換性で華為昇腾910Bなどを依然リードする。規制解除を受け、ByteDance・Alibaba・Tencentが即日申請リストに名を連ねたとReutersは伝える。 Reuters
上海・深圳の半導体関連株は15日寄り付きで平均12%上昇し、特に中电港がストップ高となった。 证券时报

4. SNSが映す三つの温度差

(1) 中国Weibo

  • 「アメリカの“松竹梅”GPU戦略。次は梅ランクを売ってくるに違いない」(@芯片观察)

  • 「買えるうちに買いだめろ。次に止まるまでが勝負」(@量子位) 证券时报
    (2) 米テック投資家のX(旧Twitter)

  • 「$NVDA 新高値更新。トランプ政権の手のひら返しにマーケット歓喜」(@bill_baruch) X (formerly Twitter)

  • 「規制で失った時間を取り戻すにはCUDAの囲い込みしかない」(@StockMKTNewz) X (formerly Twitter)
    (3) 政治家・シンクタンク

  • 上院超党派議員は黄氏に書簡を送り「軍関連企業との面会を控えよ」と要請。 Reuters

 



5. なぜH20は“負けて勝つ”チップなのか

性能 FP16性能はH100の35%に過ぎないが、80GB HBM3と1.2TB/sの帯域で中国製AIモデルの“推論案件”には十分。
エコシステム CUDA+TensorRTが事実上の“OS”として開発者を囲い込む。
規制適合 1,100 GB/s I/Oと1,400 GB/s以上のメモリ帯域に触れない“絶妙の線”で設計。 TechCrunch

6. RTX PROという“保険”

同社は再販発表と同時に、中国専用GPU「RTX PRO」も公開。ロジスティクス/デジタルツイン向けに演算精度を削り、輸出管理番号の抜け道を作った形だ。 TechCrunch

7. 投資家が見る3つのリスク

  1. 政策の再転換 米議会は「黄CEOのロビー活動が安全保障を骨抜きにした」と批判。再び規制が強化されれば、H20は今度こそ完全に消える。 Reuters

  2. ファーウェイ追撃 HuaweiはCUDA互換フレームワーク“Qilin”を準備中と報じられ、ソフト面での牙城が崩れつつある。

  3. 米中関係のバーター取引化 稀土輸出やEDAツール解禁など“交換条件”が積み上がるほど、半導体は政治カード化し価格が乱高下する。 Tom's Hardware

8. 今後のシナリオ

  • 楽観ケース:22年比+1.5倍の中国向けGPU出荷で、2026年度売上+200億ドル。

  • ベースケース:ライセンス審査は案件単位で滞留、出荷回復は年末以降。

  • 悲観ケース:米議会がCUDA提供まで規制対象とし、HuaweiのAscend 1200がシェアを奪取。

9. まとめ

H20解禁はNVIDIAにとって一時的な安堵に過ぎない。だが半導体が「21世紀の石油」である以上、政治リスクと収益機会は常に表裏一体だ。黄仁勋氏の“昼は技術者、夜は外交官”という働き方が、しばらく続くことだけは確かである。


参考記事

Nvidiaは、数か月にわたる規制の混乱を経て、中国へのチップ販売を再開する予定です。
出典: https://techcrunch.com/2025/07/14/nvidia-is-set-to-resume-china-chip-sales-after-months-of-regulatory-whiplash/