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「生ハムショック第2波」──スペイン産輸入停止が日本と世界の食卓にもたらすもの

「生ハムショック第2波」──スペイン産輸入停止が日本と世界の食卓にもたらすもの

2025年12月06日 20:24

1. いま日本で何が起きている?「スペイン産ストップ」の衝撃

スペイン産豚肉・生ハムが一時輸入停止に

日本の農林水産省は、2025年11月末、スペインの野生イノシシでアフリカ豚熱(ASF)が確認されたことを受け、同国からの豚肉や生ハム、サラミなど豚肉製品の輸入を一時停止しました。農林水産省+1


対象となるのは

  • 生鮮・冷凍豚肉

  • 生ハム・サラミなどの豚肉加工品

  • 一部の加熱済み食肉製品

など広い範囲に及びます。輸入済みの在庫は流通しますが、新規の輸入はストップするため、中長期的には品薄や価格高騰が避けられないと見られています。食品ネット+1



日本市場でのスペイン産の存在感

日本は、カナダ・アメリカに次ぐ豚肉の主要調達先としてスペインを位置づけており、豚肉全体で約2割を依存しています。食品ネット


さらに重要なのが「生ハム」「乾燥熟成ハム」の分野です。

  • 日本が輸入する乾燥熟成ハムの約7割がスペイン産

  • その多くが外食チェーン、専門バル、輸入スーパーなどで提供

と報じられており、供給が細れば価格・品揃えに直接跳ね返ります。Nippon.com+1


東京・渋谷のスペイン料理店では、「とりあえず生ハム」という声が上がるほど、生ハムは看板メニュー。ある店舗では月150kg前後のスペイン産ハモン・セラーノを使っており、輸入停止が長引けば国産や他国産への切り替え、最悪の場合はメニュー自体の縮小も視野に入れざるを得ないと話しています。NEWSjp



「第2波」と呼ばれる理由──イタリア産の長期禁輸

今回「第2波」と言われる背景には、すでに続いているイタリア産生ハムの輸入停止があります。

  • 2022年1月:イタリア北西部ピエモンテ州でASFが確認され、日本はイタリアからの豚肉等の輸入を停止。Fior di Maso+1

  • その結果、日本の飲食店や小売店から、パルマ産プロシュートをはじめとするイタリア産生ハムが一気に姿を消す事態に。precofoods.co.jp+1


多くの輸入業者や外食チェーンは、イタリア産の穴を埋めるため、スペイン産ハモン・セラーノやハモン・イベリコに切り替えてきました。今回のスペイン産ストップは、まさに「代替の柱」まで折れる二重のショックになっているのです。NEWSjp



2. アフリカ豚熱(ASF)とは?──「人にはうつらない」けれど、経済には大打撃

ASFはどんな病気?

アフリカ豚熱(ASF)は、

  • 豚・イノシシだけに感染するウイルス性の家畜伝染病

  • 致死率が非常に高く、農場で発生すると大量殺処分が必要

  • いまのところ有効なワクチンも治療薬もない

という「最悪クラス」の家畜病の一つです。Food Safety+1


感染経路は

  • 感染した豚やイノシシとの直接接触

  • 汚染された車両・道具・靴など

  • 感染国の豚肉製品(生ハムやソーセージ)をエサとして与えるなどの間接ルート

など多岐にわたり、国境をまたいだ拡散のリスクも高いとされています。usda.gov



人への感染・食品安全リスクは?

国際機関や各国政府は、ASFについて**「人には感染しない」「食べても安全」**と明確に説明しています。

  • 欧州委員会の食品安全部門は「ASFは人や他の動物には感染せず、食品安全上の問題はない」と明記。Food Safety

  • カナダやアイルランド、香港、オーストラリアなどの当局も「ASFはヒトには感染しない。豚肉製品を食べても健康リスクはない」と繰り返し強調しています。inspection.canada.ca+2Agriculture Victoria+2


つまり、今回のスペイン産生ハムも、すでに市場に出回っている商品を食べること自体は健康上の問題がありません。日本政府が輸入停止に踏み切ったのは、ウイルスを**日本国内の家畜へ侵入させないための“水際対策”**です。



3. スペインで何が起きているのか──「豚肉大国」に走った緊張

30年ぶりのASF、スペイン豚肉産業への打撃

スペインでは、バルセロナ近郊の山岳地帯で、野生イノシシからASFウイルスが検出されました。これは同国で約30年ぶりとなるASFの発生であり、EU最大級の豚肉輸出国であるスペインに大きな衝撃を与えています。Reuters+1

  • これまでに少なくとも13頭の野生イノシシから陽性が確認

  • 被害を封じ込めるため、半径6kmの制限区域が設定され、軍も動員して消毒・死体回収・ドローン監視などが行われている

  • ウイルスの由来は、感染国から持ち込まれた肉製品を野生イノシシが食べた可能性や、研究用ウイルスの漏出の可能性などが調査されていますReuters+1


スペインの豚肉輸出は年間数十億ユーロ規模にのぼり、中国やEU各国、英国などにとっても重要な供給源です。ASFが拡大すれば、世界の豚肉価格やハム市場への影響は日本に限らないグローバルな問題になります。Reuters+1



各国の対応:日本は「全面ストップ」、欧州は「地域限定」

スペイン産豚肉をめぐる各国の対応には差があります。

  • 日本:スペイン全土を対象に豚肉・豚肉製品の輸入を一時停止(ゾーン分けせず、全面的な措置)。農林水産省

  • 英国:当初は全面停止したものの、欧州連合の方針に合わせて「感染地域のみを対象とする地域限定の規制」に切り替え、その他地域からの輸入は継続。Reuters

  • 中国:バルセロナ州からの輸入のみ停止し、他地域からの輸入は継続。Reuters


日本は「島国であることを活かし、家畜伝染病の侵入リスクを極力ゼロに近づける」という厳格な水際対策を重視する傾向があります。一方、欧州や英国、中国などは、地域限定の規制により家畜防疫と貿易維持のバランスを取ろうとしています。



4. 第1波:イタリア産生ハムが消えた日から、何が変わったか

イタリア産プロシュートの長期不在

2022年に始まったイタリアからの豚肉輸入停止は、いまも生ハム分野で影響が続いています。

  • 「プロシュート・ディ・パルマ」など本場イタリア産の生ハムは、2022年1月のASF発生をきっかけに日本向け輸出がストップ。precofoods.co.jp+1

  • 日本のイタリア料理店やワインバーから、本場イタリア産生ハムが姿を消し、代替としてスペイン産・国産・アメリカ産などへの切り替えが進みました。飲食店.com+1


2024年以降、イタリア産でも加熱処理済みのハムについては日本向け輸出が再開されつつありますが、**非加熱の生ハム(プロシュート)**に関しては再開の道筋がまだ見えていません。asahigrant.co.jp+1



「イタリアからスペインへ」シフトした輸入業者

多くの輸入会社は、イタリア産の穴を埋めるため、スペイン産に軸足を移しました。

ある大手輸入業者では、

  • かつて扱う生ハムの7〜8割がイタリア産

  • 禁輸後はスペイン産に切り替え、現在は取扱量の約8割がスペイン産という構成になっていたといいます。NEWSjp


その「新しい柱」が一気に折れたことで、

  • 事業継続への不安

  • 新たな供給国(アメリカ・フランス・メキシコ・チリなど)の探索

  • 国産生ハムの開発・強化

といった動きが加速すると見込まれます。



5. 日本の外食・小売はどうなる? 年末年始の「生ハム不安」

レストラン・バル:メニューから消える?

日本テレビの報道では、スペイン料理店の統括マネジャーが

「長期化すれば、日本産や他国産に切り替えるか、生ハムメニュー自体を見直さざるを得ない」

と語っています。NEWSjp


外食産業が直面する課題は主に3つです。

  1. 仕入れ価格の上昇

    • スペイン・イタリア以外の国から高品質な熟成生ハムを調達しようとすると、運賃や生産コストの関係で価格が上がりやすい。食品ネット+1

  2. メニュー構成の見直し

    • 生ハム盛り合わせ、ハムとチーズの前菜、ピザやパスタのトッピングなど、生ハムを使うメニューをどこまで維持できるかが課題。

  3. 消費者心理への影響

    • 「生ハムが贅沢品になってしまうのでは?」という不安から、注文を控える動きが出る可能性があります。FNNプライムオンライン



スーパー・コンビニ:当面は在庫でしのぐが…

大手コンビニ各社やスーパーは、「当面は在庫があるため、急な品切れはない」としつつも、2〜3カ月後以降の影響を警戒しています。NEWSjp


  • 今後、スペイン産の記載がない生ハムが増える

  • アメリカ産・フランス産・国産などの比率アップ

  • 値上げや内容量の縮小(いわゆる“ステルス値上げ”)

といった変化が、年末から来年にかけてじわじわと現れてくる可能性があります。



6. 世界から見た「日本の生ハムショック」

なぜ日本はここまで厳格な輸入停止をするのか

日本は、これまでも口蹄疫や鳥インフルエンザ、BSEなどの経験から、家畜伝染病の侵入防止に非常に慎重な国です。

  • 「発生国全体」を一括して輸入停止にする

  • 発生数が少なくても早期段階で止める

といったゼロリスクに近いアプローチをとることが多く、今回のスペインについても同様です。農林水産省+1


一方、英国やEU、中国は

  • 感染が確認された「地域(州・県)」だけを対象に輸入制限をかけ

  • それ以外の地域からの輸入は続ける

という「地域限定・ゾーニング」の手法で、貿易と防疫の両立を図っています。Reuters+1


この違いは、

  • 家畜産業の規模

  • 島国か大陸国家かという地理的条件

  • 過去の家畜伝染病の経験

  • 国民の「食品安全」への期待値

などが複雑に絡んだ結果と言えます。



グローバルサプライチェーンの揺らぎ

ASFは、すでに中国やベトナムなどアジア各国で膨大な豚の殺処分を招き、「史上最悪の動物パンデミック」と呼ばれるほどの被害をもたらしました。EL PAÍS English+1


いまヨーロッパのハム・豚肉サプライチェーンも、

  • イタリア北部の生ハム生産地帯

  • スペインのカタルーニャ地方
    などを中心にASFの脅威と向き合っています。PMC+1


日本の「生ハムショック第2波」は、そのグローバルな家畜衛生リスクが、どのように私たちの日常の一皿にまで波及するかを象徴的に示していると言えるでしょう。



7. これから生ハムはどうなる? 価格・供給・“プレミア化”の行方

価格高騰と「ご褒美フード」化の可能性

イタリア産に続いてスペイン産も供給が不安定になることで、

  • アメリカ産・フランス産など、他国産の生ハムの需要が急増

  • その結果、国際価格の上昇が起こる可能性が指摘されています。FNNプライムオンライン+1


日本市場では、

  • 外食:生ハム盛り合わせや単品の価格アップ

  • 小売:輸入生ハムの値段がじわじわ上がり、「日常の一品」から「ちょっとしたご褒美」へ位置づけが変わる

  • 一部の高級イベリコハムなどは、さらにプレミア化していく

といった変化が考えられます。



国産生ハムのチャンスと課題

一方で、国産生ハムにとっては追い風となる側面もあります。

  • すでに国内には、長期熟成や地域ブランドにこだわった国産生ハムメーカーが存在

  • 「地産地消」「フードマイレージ削減」といった観点からも注目が高まっている東洋経済オンライン


ただし、

  • 熟成には1〜2年単位の時間が必要

  • 一気に生産量を増やすことは難しい

という構造的な制約もあり、短期的に輸入分をすべて代替するのは現実的ではありません。生産者支援や中長期の育成戦略が重要になります。



8. 飲食店・輸入業者がいま取れる現実的なアクション

1)在庫状況と契約の見直し

  • 既存のスペイン産在庫と船積み分を精査し、何カ月分の供給が確保されているかを可視化

  • 取引先と、価格改定・数量制限・代替商品の条件について早めに協議

これによって、突然のメニュー中止や価格急騰を避けることができます。



2)ポートフォリオの多様化

  • スペイン一国に偏った仕入れから、複数国+国産を組み合わせる体制へ

  • アメリカ・フランス・メキシコ・チリなど、EU外の生産国も含めた調達検討

すでに複数の輸入業者が、スペイン以外の原料確保に動き始めています。nationthailand+1



3)メニューのストーリーを伝える

  • 「いま世界で何が起きているか」「なぜ価格や産地が変わるのか」を、メニューや店頭ポップ、SNSなどで丁寧に説明

  • 国産や他国産の魅力を、ストーリーとともに紹介

世界の家畜衛生リスクを共有しつつ、新しいおいしさとの出会いを提案することが、ファンを失わない鍵になります。



9. 消費者が知っておきたいポイント──「怖がる理由」と「怖がらなくていいこと」

怖がるべきは「感染国への違法持ち込み」、怖がらなくていいのは「安全に流通した商品」


怖がるべきポイント

  • ASF発生国の豚肉製品を、旅行者が無申告で持ち込むこと

  • それを家庭で廃棄し、野生イノシシが食べてしまうような事態

多くの国が、違法な肉製品の持ち込みを厳罰対象としているのは、このためです。Agriculture Victoria+1


怖がらなくてよいポイント

  • 正規輸入され、検査をクリアした豚肉・生ハムを食べること

  • 国内で加工されたハム・ソーセージを食べること

ASFは人には感染せず、食品としての安全性には問題がありません。過度な不安で豚肉そのものを避ける必要はありません。Food Safety+1



「生ハムが高くなっても楽しむ」ための工夫

  • 量を少し減らし、その分チーズやオリーブ、ナッツなどでプレートを華やかにする

  • 国産生ハムや加熱ハム、ベーコンなど、価格の安定した代替品も試してみる

  • クリスマスや年末年始には、少量でも「特別な一皿」として楽しむ

といった工夫で、「生ハムショック」の中でも食卓の楽しさを保つことができます。



10. フードセキュリティの視点から見た「生ハムショック第2波」

今回のスペイン産輸入停止は、単なる「一つの食材不足」ではなく、次のような課題を私たちに突きつけています。

  1. 家畜伝染病とグローバル貿易の両立

    • 食のグローバル化が進むほど、ASFのような家畜病は国境を超えやすくなる一方で、過度な輸入停止は物価高やサプライチェーンの不安定化を招きます。

  2. 特定国への依存リスク

    • 「イタリア→スペイン」と、特定の国に集中していた生ハム供給が一度に揺らいだことは、調達先の多様化や国産育成の重要性を示しています。

  3. 情報共有と消費者理解

    • ASFが「人には感染しない」「食品安全上の問題はない」という科学的事実を、いかに分かりやすく伝えるか。これが、パニックや過剰な忌避を防ぐうえで重要です。


生ハムが一時的に手に入りにくくなっても、その背後には「家畜の健康を守る」「次世代の食を守る」という大きな目的があります。世界の読者にとっても、今回の出来事は、自国の食卓がどれだけ複雑な国際ネットワークに支えられているのかを考えるきっかけになるでしょう。


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