古代ギリシャからの贈り物:寝る前の1杯で変わる?カモミールティーが「眠り」と「血圧」で話題の理由

古代ギリシャからの贈り物:寝る前の1杯で変わる?カモミールティーが「眠り」と「血圧」で話題の理由

「寝つけない夜に、まずは“薬”より“お茶”を」——そんな空気が年末年始にかけて、じわっと広がっています。きっかけは英紙 The Independent が2025年12月31日(GMT)に配信した「血圧を下げ、睡眠を助けるハーブ」の話。主役は、ハーブティーの定番・カモミールです。 The Independent


カモミールは“古代ギリシャ発”のリラックス飲料?

記事によれば、カモミールは古代ギリシャの時代から飲まれてきたハーブ。ポイントは「アピゲニン(apigenin)」という成分で、飲むと落ち着きや眠気を感じやすい、と紹介されています。 The Independent


クリーブランド・クリニックの栄養士Beth Czerwony氏のコメントとして「穏やかな鎮静剤のように働く」という表現も出てきます。 Cleveland Clinic


ここで大事なのは、“眠れる”の理由が一つではないこと。
成分の作用に加えて、温かい飲み物をゆっくり飲む行為自体が、就寝前のスイッチ切り替え(儀式)になります。SNSでもこの「儀式としての強さ」に言及する人が多いのが印象的でした(後述)。



“血圧にもいい”は本当?——鍵はカモミールというより「カリウム文脈」

Independentの記事は、カモミールの落ち着く作用が血圧を下げるのに役立つ可能性に触れた上で、ビタミン・ミネラル(カリウム、カルシウムなど)にも言及します。 The Independent


ただし、ここは一歩引いて整理したいところです。

  • カリウム摂取が血圧に関係すること自体は、栄養学の大きな流れとして知られています。米NIH(ODS)のファクトシートでも、カリウム摂取と高血圧の関係(低カリウム+高ナトリウムで高血圧リスクが高まりやすい、など)がまとめられています。 栄養補助食品局

  • 一方で、記事中の例では「カモミールティー1杯のカリウムは約21mg」とされており、これはNIHが示す成人の目安量(例:女性2600mg、男性3400mg)と比べるとかなり小さいThe Independent


つまり、血圧の観点で見るなら、カモミール単体に過剰な期待を載せるより、
減塩+野菜・果物・いも類などでカリウムを底上げしつつ、就寝前のリラックス習慣としてカモミールを足す——この組み立てが現実的です。



抗炎症・心臓・がん予防…どこまで言える?

Independentは「抗炎症作用」や「心疾患の死亡リスク低下の可能性」などにも触れています。 The Independent


根拠として、以下のような情報源が参照されています。

  • メモリアル・スローン・ケタリング(MSKCC)は、カモミール抽出物について試験管内・動物研究で抗炎症・抗高血糖・抗がんなどの可能性が示唆されている、と整理しています(=人間での結論とは別)。 Memorial Sloan Kettering Cancer Center

  • ハーバードの健康情報では、カモミールに「心疾患による死亡リスク低下の可能性」「一部のがんへの保護の可能性」など“可能性”として触れつつ、研究の強さには限界があるニュアンスでまとめています。 Harvard Health


ここから言えるのは、**“健康に良さそうな要素はあるが、万能薬の証明には至っていない”**という立ち位置。飲み物の話題はバズりやすい分、盛られやすいので、ここは冷静に。



糖尿病(血糖)への示唆は“研究がある”

Independentは「糖尿病のコントロールや予防に役立つ可能性」にも触れています。 The Independent


実際、2型糖尿病患者を対象にカモミールティー摂取の影響を見た研究(臨床試験)もあり、血糖指標や脂質などの評価を扱っています。 PubMed


ただし、研究条件(量・期間・参加者背景)次第で結果の見え方は変わるので、「効果が出る人もいるかも」くらいの受け止めが安全です。



SNSの反応(X/Instagram/掲示板系の“温度感”)

今回の話題で面白いのは、SNSがほぼ 「健康成分」より「寝る前ルーティン」寄りで盛り上がっている点でした。

 


1) 「寝る前の一杯=儀式として最強」派

  • Xでは、カモミールを“リラックスと睡眠”の定番として紹介しつつ、抗酸化成分(アピゲニン)や血圧の話に触れる投稿が見られます。 X (formerly Twitter)

  • Instagramでも「落ち着く→睡眠モード」の文脈で、習慣化をすすめる投稿が多め。 Instagram

結論:成分の理屈はさておき、“温かいものを飲む時間”が効くという感覚が強い。

2) 「効く人は効く。でも体感は個人差」派(体験談)

  • Redditのティー愛好者コミュニティでは、アピゲニン目的でカモミールを飲む人や、「効き方に慣れ(耐性)は出る?」「続けたらどう?」といった“体感の揺れ”が話題になっています。 Reddit

結論:プラセボも含めて“効く夜”はある、が、一定ではない。

3) 「合わない/変な感じがする」派(注意喚起)

  • 体質や状況によっては「なんか変」「だるい」などの書き込みもあり、血圧・カフェインとの兼ね合いを気にする声も。 Reddit

結論:睡眠サポート=万人向けではない。

4) 「科学的根拠は?」派(慎重)

この論点は、米NIHのNCCIH(補完統合医療センター)がかなり端的で、

  • お茶として摂る範囲は概ね安全性が高い一方

  • 不眠への効果は情報が少なく、レビューで明確な利益が示されなかった研究もある
    といった整理をしています。 NCCIH


じゃあ、どう飲むのがよさそう?

SNSの“現実解”をまとめると、

  • 就寝60〜90分前に、カフェインを避けて温かいハーブティー

  • スマホを置いて「飲む時間」を作る(ここが効く)

  • 体質に合わない日は無理に続けない


そして安全面も忘れずに。NCCIHは、アレルギー(キク科など)や薬(ワルファリン等)との相互作用の報告がある点、妊娠・授乳中の安全性情報が十分でない点などを挙げています。 NCCIH



まとめ:カモミールは「健康ハック」より「夜のスイッチ」

Independentの記事は、カモミールを“睡眠+血圧+栄養”の方向で魅力的に紹介しました。 The Independent
ただ、根拠の強さで言えば、薬の代替というより「生活の質を整える小さな道具」


SNSの反応もそれを裏付けるように、「飲み物の成分」より「寝る前の過ごし方」を変える入口として語られていました。


眠れない夜に必要なのは、効くかどうかの“正解”より、
自分の身体に合う“切り替えスイッチ”を見つけること
その候補として、カモミールはかなり手軽で、試しやすい一杯です。 NCCIH