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ウクライナの和平は“ヨーロッパの承認”が条件 ― トランプの28項目和平案にNO メルツ独首相が示した“ヨーロッパの一線”

ウクライナの和平は“ヨーロッパの承認”が条件 ― トランプの28項目和平案にNO メルツ独首相が示した“ヨーロッパの一線”

2025年11月24日 06:53

1. ヨハネスブルクで飛び出したメルツの一言

「戦争は、当事国の頭越しに大国同士が勝手に終わらせてよいものではない。」

南アフリカ・ヨハネスブルクで開かれたG20サミットの場で、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相はこう語り、会場と各国メディアの注目を集めた。Aktiencheck


彼が念頭に置いていたのは、ドナルド・トランプ米大統領(再登場)が打ち出した「ウクライナ戦争終結に向けた28項目の和平案」だ。米国の提案でありながら、ウクライナやヨーロッパ側からは「ロシア寄り過ぎる」「一方的な譲歩を強いる案だ」との批判が噴き出している。Reuters


メルツは「ウクライナの同意、そしてヨーロッパの同意がなければ、戦争終結はありえない。これはヨーロッパ大陸で起きている戦争なのだから」と釘を刺した。Aktiencheck


2. トランプ「28項目和平案」の中身とは

問題となっている28項目の和平案は、ロシアによる全面侵攻から続く戦争を「一気に終わらせる」として、トランプ政権が提示したプランだ。報道によれば、その骨格は次のようなものだとされる。Reuters


  • ウクライナはクリミア半島およびドネツク、ルハンスクなど東部の広大な領土をロシアに譲渡する

  • ロシアに占領された一部地域では前線を「固定」し、実質的にロシア支配を黙認する

  • ウクライナ軍の兵力を約60万人規模に制限する

  • 将来的なNATO加盟と一部の長距離兵器の保有を放棄する

一方で、ロシア側にも一部の撤退や停戦監視受け入れなどの条件が含まれているとされるが、全体としてはロシアの要求に大きく寄り添った“譲歩のパッケージ”だとの評価が多い。Reuters


トランプ自身はメディアに対し、「これは最終案ではない」としつつも、ウクライナに対しては「早く受け入れなければ、状況はもっと悪くなる」と強い圧力をかけている。ザ・ガーディアン


3. 欧州とウクライナが感じる“危険な既視感”

このプランに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は「主権と自由を差し出すか、最大の支援国を失うかという、耐えがたい二者択一を迫られている」と強い危機感を示している。Reuters


ヨハネスブルクで開かれたG20の場では、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、スペイン、オランダ、北欧諸国などの首脳が共同声明を発表し、「この案にはさらなる作業が必要だ」と表明。特に、ウクライナ軍に対する制約が、同国を将来の攻撃に対して脆弱にすることを懸念している。Aktiencheck


欧州と日本、カナダなども加わった一群の国々は、米政権に対して修正案を提出し、「ウクライナに受け入れ不能な一方的譲歩を押しつける和平は支持できない」と明確に伝えた。Deutschlandfunk


SNS上では、この28項目案に対し「1938年のミュンヘン合意の再来だ」との批判が目立つ。ミュンヘン合意は、ナチス・ドイツに対し英仏がチェコスロバキアの一部割譲を認めた歴史的な“宥和政策”であり、その結果、ヒトラーは「譲歩すれば押し切れる」と学び、さらなる侵略に踏み出したとされる。今回のプランも「ロシアに同じ誤ったメッセージを与えるのではないか」という不安が、特に東欧やバルト諸国のユーザーから強く発信されている。ザ・ガーディアン


4. メルツ発言の背景:ヨーロッパの「当事者意識」

メルツが「ヨーロッパの同意」を繰り返し強調したのには、単なる外交儀礼以上の意味がある。


第一に、ウクライナ戦争はNATOとEUの安全保障の根幹に関わる問題であり、和平案がNATOの将来像や欧州の防衛態勢に直接影響するという点だ。NATOへの加盟禁止や軍備制限は、ウクライナだけの問題ではなく、同地域に展開するNATO軍・EU軍の運用にも跳ね返る。欧州としては「自分たちの頭越しに、米露だけで安全保障の枠組みを決められては困る」という思いが極めて強い。Reuters


第二に、この戦争の帰結は、他の潜在的な侵略者――例えば中国など――に対する“前例”となる。もし侵攻によって事実上領土を獲得し、数年後の「和平交渉」でそれが国際的に追認されるという前例ができれば、「既成事実を作った者が得をする」という危険なメッセージを世界に送ることになる。それは、ヨーロッパにとっても欧州外にとっても、長期的な安全保障リスクだ。Reuters


こうした文脈の中で、メルツは「ウクライナの同意と欧州の同意」という二つの“当事者性”をセットで強調したと見ることができる。ウクライナの主権尊重と、欧州の安全保障主体としての立場――その両方を守るというメッセージだ。


5. SNSに見る多様な反応

今回のメルツ発言と28項目案をめぐり、SNS、とりわけX(旧Twitter)上では、多様な反応が見られる。以下はいくつかの代表的な論点を整理したものだ(具体的な投稿を網羅的に集計したものではなく、報道や公開投稿から見える傾向の要約である)。


(1) 「ミュンヘン再来」を恐れる声

ウクライナやポーランド、バルト三国のユーザーの間では、前述のように「第二のミュンヘン合意だ」というフレーズが繰り返し取り上げられている。

  • 「領土を差し出す和平は和平ではなく、次の侵略の準備にすぎない」

  • 「いまウクライナを売れば、次は誰の番か?」

といった書き込みがシェアされ、「No appeasement(宥和は許されない)」というハッシュタグも一定の広がりを見せている。ザ・ガーディアン


(2) 「それでも戦争を終わらせるべき」という現実論

一方で、欧州や米国の一部ユーザーからは、現実的な疲弊感がにじむ投稿も目立つ。

  • 「理想は分かるが、戦争が終わらなければ、ウクライナ人もロシア人も死に続けるだけだ」

  • 「完全勝利は幻想ではないか。痛みを伴っても妥協の落としどころを探るべきだ」

といった「戦争終結優先」派の声もある。エネルギー価格高騰やインフレ、財政負担など、戦争の長期化がもたらす“西側社会の疲れ”が背景にあることは否めない。


(3) アンチ・トランプとアンチ・EUの対立構図

アメリカ国内のSNSでは、トランプ支持者と反トランプ勢力の間で、いつもの政治的分断がそのままウクライナ問題に重ね合わされている。

  • 反トランプ側は「ロシアの“ウィッシュリスト”そのものだ」「欧州の安全保障を売り渡している」と激しく批判。ZDFheute

  • トランプ支持者側は「民主党政権よりも早く戦争を終わらせようとしている」「ヨーロッパはただ乗りしているだけだ」と擁護する書き込みも少なくない。


ヨーロッパ側でも、EU批判的なポピュリスト政党の支持者が「結局ブリュッセルの官僚は戦争を続けたいだけだ」とメルツら主流派を攻撃する一方、リベラル層や中道派は「いま譲歩すれば、欧州の安全保障秩序そのものが崩れる」と反論しており、オンライン上の議論は錯綜している。Süddeutsche.de


(4) ウクライナ国内の複雑な声

ウクライナ国内のSNSでは、表向きには「領土を諦めない」という強い決意が多数派だが、前線の疲弊や経済状況の厳しさから、「もし主権と民主主義が守れるなら、一部の妥協もやむを得ないのではないか」という、より複雑で葛藤を抱えた声も見られると報じられている。AP News


ただし、公然と大幅な譲歩を支持することは国内世論的に極めて難しく、政治的リスクも大きい。その意味で、SNSの言説は「本音」と「建前」が交錯する場となっている。


6. ドイツ国内政治にとっての意味

メルツにとって、この場面での発言は国際政治だけでなく、国内政治のメッセージでもある。

ドイツは長年、対ロシア政策で「対話と経済的関与」に重きを置いてきた。だが全面侵攻以降、エネルギー依存の見直しや防衛費増額など、従来路線は大きく修正を迫られている。


メルツは保守系の首相として、対ロ強硬路線を維持しつつも、「現実的な外交的出口」も模索している姿勢をアピールする必要がある。そのため、トランプ案を全面的に拒否するのではなく、「修正すれば交渉の土台になりうる」という余地を残しながらも、「ウクライナと欧州の同意」という赤線を引いたと見ることができる。Radio Wuppertal


国内では、右派ポピュリスト勢力から「アメリカとの関係を壊すべきではない」という批判が、左派からは「領土譲渡を前提とする和平構想自体を拒否すべきだ」という声が上がっており、メルツはその狭間でバランスを取らざるを得ない。


7. 「どのように終わるか」が問われる戦争

ウクライナ戦争をめぐる議論は、もはや「戦うべきか、戦わないべきか」という単純な二択ではない。

  • どこまで領土回復を追求するのか

  • どのタイミングで停戦・和平交渉に入るのか

  • その条件が将来の安全保障にどのような前例を作るのか

これらはすべて、ウクライナだけでなく、NATO・EU全体、ひいては世界の安全保障秩序を形づくる問いである。


メルツが発した「ウクライナの同意、そしてヨーロッパの同意なくして戦争終結はない」という言葉は、単に米国への牽制ではなく、「この戦争の終わり方は、欧州自身の未来を決める」という覚悟の表明だと言えるだろう。Aktiencheck


SNSで飛び交う賛否や怒り、疲労感、恐怖――それらは、私たちが今まさに歴史的な岐路に立っていることを映し出している。和平案の一つひとつの文言の背後には、戦場で命を落とした人々、故郷を追われた人々、次の侵略を恐れる人々の現実がある。


「どうやって終わらせるのか」。
その問いに対する答えは、ウクライナの人々だけでなく、ヨーロッパと世界全体が、これから一緒に背負っていくことになる。



参考記事

メルツ氏:ウクライナでの戦争終結はヨーロッパの同意があって初めて可能
出典: https://www.aktiencheck.de/news/Artikel-Merz_Kriegsende_Ukraine_nur_europaeischer_Zustimmung-19240175

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