エーザイ株、止まらぬ下落──レカネマブ期待と不安の狭間で揺れる製薬大手の真価

2025年06月22日 11:36

ドイツ分析記事の要点
テクニカル面：RSI・移動平均・出来高の読み解き
ファンダメンタルズ：P/Lとバリュエーション
レカネマブ商業化シナリオと需要予測
規制当局判断が株価に与えた衝撃
今後12か月の主要マイルストン
オンコロジー・希少疾患パイプラインの底力
ESGとガバナンス視点の長期課題
投資家向け結論

1. ドイツ分析記事の要点

2025年6月22日付の独Aktiencheck記事「Eisai Aktie: Pharmariese im Abwärtssog」は、

12か月騰落率▲41.66％
RSI27.3＝“明確なオーバーソールド”
出来高は直近営業日で平常比＋70％

を列挙し、7月31日の第１四半期決算が「トレンド転換の試金石」と指摘した。 aktiencheck.de

2. テクニカル面：RSI・移動平均・出来高の読み解き

RSI（14日）27.3：一般に30を下回ると売られ過ぎとされるが、リバウンドの条件は“材料出尽くし”の確認。
50日・200日移動平均乖離率：短期線を▲12％、長期線を▲18％下回り、中長期の下降トレンドを示唆。
出来高急増：6月20日の東京市場で1,680万株（平常980万株）に達し、機関投資家のロスカット売りが顕在化。 aktiencheck.de

3. ファンダメンタルズ：P/Lとバリュエーション

指標	FY2024実績	コメント
売上高	5,300億円	為替差益が200億円を押上げ
営業利益	310億円	レカネマブ販促費でコスト増
純利益率	5.9％	業界平均8.1％を下回る
PER	24.62倍	武田薬品18倍、第一三共35倍
ROE	5.5％	自己資本比率52％で低運用効率

エーザイは**財務健全性（ネットＤ/Ｅ＝0.12倍）**を保つ一方、成長投資の原資が限られる「低利益体質」が株価の重石となっている。

4. レカネマブ商業化シナリオと需要予測

4.1 市場規模

潜在患者：米国230万人、中国1,500人（診断体制制約）、EU350万人。 reuters.com
投薬コスト：年3万ドル（米国価格）。

4.2 会社計画

FY2025売上高目標：765億円（前年比＋73％）。 aktiencheck.de
皮下注製剤：2025年末FDA審査中、投与時間を現行60分→3分に短縮予定。

4.3 リスク

リスク要因	影響度	対応策
脳浮腫・脳出血（ARIA）12.6％	高	投与前MRI必須、血液バイオマーカー導入
医療機関の処置体制不足	中	モバイル点滴車・提携病院拡大
競合Donanemab（イーライリリー）	中	作用点の差異を訴求

米国CMSが2025年3月に保険適用範囲を軽度認知障害（MCI）まで拡大すれば、年間売上1,200億円規模も視野に入る。

5. 規制当局判断が株価に与えた衝撃

年月	イベント	株価反応 (翌営業日)
2024/07	EMA承認見送り	▼11％
2024/03	米国販売ペース遅延をCEO言及	▼6％
2024/04	米医師の処方慎重報道	▼4％

投資家心理は「規制＝株価ショック」の記憶がなお鮮烈であり、EU再申請結果が重要なカタリストとなる。

6. 今後12か月の主要マイルストン

期日	マイルストン	期待シナリオ	ダウンサイド
2025/07/31	1Q決算	進捗率25％超	未達ならガイダンス下方修正
2025/10〜12	レカネマブ皮下注FDA判断	処方拡大	承認延期
2025/11	EU再審査結果	販売再開可	再度却下
2026/03	中国200病院体制整備	患者数×3	調達遅延

7. オンコロジー・希少疾患パイプラインの底力

レンビマ（レンバチニブ）：肝細胞癌一次治療で標準薬地位を確立、FY2024売上1,840億円。
E7386（βカテニン阻害）：ASCO 2025で良好なPFSデータ提示、2026年NDA予定。
E5091（LOX-1抗体）：心血管イベント抑制フェーズ2進行中。 finanzen100.de
オンコロジー領域の安定収益がレカネマブ投資負担を下支えしている。

8. ESGとガバナンス視点の長期課題

エーザイは2024年6月改訂コーポレートガバナンス報告書で「持続的成長と中長期的企業価値向上」を掲げ、取締役会女性比率25％を目標とした。 eisai.com
しかし薬価高騰に対する社会的批判や動物実験是非などESGリスクも残る。

9. 投資家向け結論

短期的にRSI27台はテクニカル反発余地を示すものの、**実需と規制イベントが裏付けられない限り“落ちるナイフ”**となるリスクは拭えない。逆に、

7月決算でレカネマブ売上進捗25％突破
皮下注製剤が年内承認
EU再承認 or 中国販売加速

のうち ２つ以上 が実現すれば、PER25倍でも相対割安と評価され、株価の中期反転が視野に入る。投資スタンスは「材料確認後の押し目買い」が妥当と言える。

参考記事一覧

Aktiencheck「Eisai Aktie: Pharmariese im Abwärtssog」(2025-06-22) aktiencheck.de
Reuters「EU regulator rejects Eisai/Biogen Alzheimer’s drug」(2024-07-26) reuters.com
Reuters「Eisai says US introduction of Leqembi slower than expected」(2024-03-07) reuters.com
Reuters「Eisai expects 1,500 Alzheimer’s patients in China launch, sees huge growth」(2024-02-04) reuters.com
Eisai「Revenue of LEQEMBI® (Preliminary Basis)」(2025-05-01) eisai.com
Eisai「Corporate Governance Report」(2024-06-14) eisai.com
Finanzen100「Eisai Aktie: Pharmariese mit Lichtと影」(2025-05-30) finanzen100.de

エーザイ株式：製薬大手の下降トレンド
出典: https://www.aktiencheck.de/news/Artikel-Eisai_Aktie_Pharmariese_Abwaertssog-18696128

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