科学の記事一覧

93件の記事があります

人間が長期間にわたり持続できる代謝出力の上限は、安静時代謝量(BMR)の約2.5倍。Current...

米テキサス大学オースティン校とポルト大学の共同研究が、近赤外LED光とSnOx(錫酸化物)ナノフレークを組み合わせる新しい“光温熱”(フォトサーマル)治療を報告。LEDによりナノ材が局所的に発熱し、がん細胞を選択的に死滅させ、健常細胞への影響は最小化される。培養細胞では皮膚がんで最大92%、大...

ワシントン大学がPEDOT:PSS微粒子からなる導電性グラニュラー・ハイドロゲルを開発。粒子は注射や3Dプリントで自在に成形でき、密着後は多孔質ネットワークとして生体信号の取得・刺激に機能する。実証としてバッタ触角の嗅覚信号を記録。硬い金属電極の代替となり得る柔らかい電極の有力候補で、再生医療...

Cedars-Sinaiの研究チームは、ヒトのiPSC(人工多能性幹細胞)から作った“若い”単核食細胞(mononuclear phagocytes)を老齢マウスとアルツハイマー病モデルに短期間点滴投与し、記憶テストの改善、海馬の「mossy...

mRNA新型コロナワクチンを免疫チェックポイント阻害薬(ICI)開始前後100日以内に接種した進行肺がん・メラノーマ患者は、未接種群に比べ生存中央値が37.3か月対20.6か月と大幅に延長した、との後ろ向き研究が報じられた。ワクチンが免疫活性化を通じICIの効果を底上げした可能性が示唆される。...

最新の大規模解析は、抗うつ薬の短期的な身体副作用(体重・血圧・心拍・代謝)に薬ごとの差が大きいと示した。NYT...

米テネシー大学などの研究チームが、温室効果ガス一酸化二窒素(N₂O)をN₂へ還元する全く新しいタンパク質ファミリー(通称L-N2OR/L-NosZ)を特定した。既知の還元酵素NosZの系統Ⅰ・Ⅱとは配列が大きく異なるが、立体構造と機能は保存され、実験と質量分析でN₂O還元活性を確認。酸性土壌で...

2024年、地球の大気中CO₂は観測史上最大ペースで増え、年増加量は約3.7ppmに達した。衛星解析は、長年“炭素の吸い込み役”だったアマゾンが2023〜24年に吸収力を大きく落としたことを示す。主因は高温と記録的干ばつで、弱いエルニーニョにもかかわらず影響が増幅された可能性が高い。ところが、...

IncyteはESMO 2025(10/17–21、ベルリン)で二つの候補薬のフェーズ1データを発表。TGFBR2×PD-1二重特異性抗体INCA33890は、多数の既治療例を含むMSS大腸がんでORR 15.2%、安全性は概ね許容範囲とした。2026年に登録試験開始を計画。KRAS...

北極海には、海底の嫌気的メタン酸化(AOM)が水柱の好気的酸化(AeOM)へ切り替わる「メタン・スイッチ」が存在し、PETM期(約5600万年前)には北極海をCO₂の発生源へ転じさせ、温暖化と酸性化を長引かせた可能性がある。鍵は低硫酸・淡水化・酸素減。現代の北極でも類似条件が進行しつつあり、監...

フィンランドの全国調査をもとに、森が日々の幸福感に寄与する仕組みを「Forest Happiness」として整理。幸福は①自然に近い森への深い愛着、②ベリーやキノコ採りなど“実践的活動”、③通勤・散歩などの“接触”という三つの次元から生まれる。一方、皆伐やごみ、...

東アフリカ沖の無人島・ラザム島で、ワイツマン科学研究所のチームがエジプトオオコウモリの自由飛行中に単一ニューロン活動を野外で初記録。頭方位細胞が島全体で一貫した“グローバルなコンパス”を示し、月や星の有無に依存しないことを科学誌 Science...

米デザート研究所(DRI)らの新研究は、家庭用乾燥機の排気がマイクロファイバー(微細な繊維)の重要な発生源であることを市民科学で実証した。米国の電気乾燥機と家計の乾燥回数を踏まえ、年間3,543トンが空気中へ放出されると推定。排出の多くはコットン等の天然由来繊維で、平均すると1回の乾燥で約13...

10月14日(日本時間)にPhys.orgが報じた研究は、飲酒関連肝疾患(ARLD)の炎症と瘢痕化(線維化)を、肝臓の免疫番人であるクッパー細胞(Kupffer細胞)へ直接アプローチするナノ粒子で食い止めようという試みだ。粒子は生分解性のPLGAに、酸性環境で薬を放出するCMCコーティングと、...

男性は加齢に伴い、女性より広い脳領域で体積が減少することが最新の縦断研究で示された。しかし、これは女性にアルツハイマー病(AD)が多い“女性過多”の要因を説明しない。研究は頭蓋サイズや教育、さらには「死への近接」まで調整しつつ、健常加齢の性差とADの性差が一致しないことを明確化した。実際、米国...

ハダカデバネズミの長寿の一因を、DNA損傷センサーcGASの“仕様違い”が説明する可能性が示された。ヒトやマウスではcGASが相同組換え修復(HR)を抑えるのに対し、ハダカデバネズミでは4つのアミノ酸置換によりHRを促進、FANCIやRAD50の動員が高まり、損傷後もcGASが分解されにくい。...

ラパ・ヌイ(イースター島)の巨大石像モアイがどのように運ばれたのか――長年の謎に対し、ビンガムトン大学などの研究チームが「直立させたまま“歩かせた”」という仮説を3Dモデリングと野外実験で裏づけた。モアイには前傾姿勢やD字型の広い底面といった“歩行”に適した形状があり、両脇と後方に張ったロープ...

ハンガリーのエトヴェシュ・ロラーンド大学(ELTE)による総説が、「犬は人間のように話せるのか」を最新知見で検証した。結論は慎重で、犬は人間指向の社会性やコミュニケーション能力を獲得しているが、解剖学(発声器官・声道制御)と認知(音声模倣・語の構成)に根本的な壁があり、人間と同等の音声言語は現...

ドイツ・ケルン大学とデュッセルドルフ大学の研究チームが、ユビキチンの“延長版”前駆体 CxUb(C-terminally extended ubiquitin)...

痛覚受容体チャネルTRPA1がカルシウム流入後に素早く不活化(デサンシタイゼーション)する分子機構について、カルモジュリン(CaM)が遠位C末端の新規結合部位(DCTCaMBE)に主にCローブで結合し、チャネルを“締める”役を担うことが示された。結合を壊すと過活動化と不活化遅延が生じ、細胞外C...

オーストラリアの小児病院・研究機関が、従来の検査では見落とされがちな微小な脳病変を見つけ出すAIツールを報告した。小児てんかんでは、焦点(原因となる脳の一部)を特定できれば外科手術で発作が止まる可能性があるが、MRIで写りにくい“ごく小さな異常”が壁になってきた。新しいAIは脳画像のパターンを...