『FF IV』まで“過小評価”? 海外の再評価リストから見える、FFの意外な魅力

『FF IV』まで“過小評価”? 海外の再評価リストから見える、FFの意外な魅力

「もっと評価されるべきFF」には、どんな作品が入るのか

「好きなファイナルファンタジーは?」と聞かれたら、すぐに一本を挙げられる人は多いだろう。しかし、「評判を聞いて遊ばなかったFFは?」と問われると、別のタイトルが思い浮かぶかもしれない。

前作と雰囲気が違いすぎた。オンラインだから手を出さなかった。外伝なので後回しにした。予告映像がネタとして広まり、そこで満足してしまった――。

長く続くシリーズでは、作品そのものの出来だけでなく、こうした入口の印象が評価を左右する。

海外ゲームメディアPolygonは、そんな視点から「もっと評価されるべきFF」7作品を選んだ。『ファイナルファンタジーX-2』から『ファイナルファンタジーIV』まで、時代も遊び方も異なる顔ぶれだ。

ただし、これは売上やレビュー点数を集計したランキングではない。執筆陣が、それぞれの作品に再び光を当てるために選んだリストである。

日本の読者なら「その作品は十分に評価されているのでは?」と感じるものもあるはずだ。その違和感も含めて眺めると、FFというシリーズの幅広さが見えてくる。


1.『ファイナルファンタジーX-2』――明るいユウナの向こうにある、戦闘の奥深さ

『FF X-2』を語るとき、まず思い出されやすいのは、その大胆なイメージチェンジだ。

『FF X』の重い使命を背負った旅から一転し、ユウナ、リュック、パインの3人が冒険を繰り広げる。衣装や演出も華やかで、前作の余韻を大切にしていた人ほど、戸惑いを覚えたかもしれない。

しかし、その印象だけで判断すると、戦闘システムの面白さを見落としてしまう。

本作の「ドレスフィア」は、衣装とともに戦い方を変える仕組みだ。見た目の変化が目を引く一方、その中身はFFが積み重ねてきたジョブシステムの発展形でもある。状況に合わせて役割を切り替え、育てた能力をどう使うかを考える楽しさがある。

Polygonも、華やかな表現と、カスタマイズや戦闘の奥深さが両立している点を評価している。

物語の受け止め方も、少し視点を変えると違ってくる。世界を救うために生きてきた人物が、その後、自分のために何を選ぶのか。明るさを「前作からの逸脱」と見ることもできれば、「使命から解放された後の人生」と読むこともできる。

『FF X』と同じ感動を求めるだけでは見つけにくい魅力が、この続編にはある。


2.『シアトリズム ファイナルバーライン』――音楽からFFに帰ってくるという選択

FFの思い出は、映像だけでできているわけではない。

戦闘曲の出だしを聞いた瞬間に、苦戦したボスを思い出す。街の曲から、当時遊んでいた部屋の空気までよみがえる。そんな経験を持つ人にとって、『シアトリズム ファイナルバーライン』は特別な入口になる。

通常版の収録曲は385曲。公式サイトでは、デジタルデラックスエディション限定の27曲とDLCの93曲を合わせ、総楽曲数を505曲としている。通常版だけですべてが遊べるわけではない点は区別しておきたい。

本作は、曲を聞くだけの作品でもない。リズムに合わせて操作し、キャラクターでパーティーを組むことで、音楽とRPGの楽しさを結び付けている。

日本の長年のファンには、「好きな作品を最初から遊び直す時間はないけれど、あの世界には戻りたい」という人もいるだろう。そんなとき、一本の長編を再開する代わりに、一曲から記憶をたどることができる。

未プレイ作品の音楽に出会えることも大きい。懐かしさを味わうだけでなく、「この曲が流れるゲームを遊んでみたい」と、新しい興味につながる作品だ。


3.『ファイナルファンタジー零式』――学園の姿をした、重い戦争劇

『ファイナルファンタジー零式』では、14人の若者たちが戦場に立つ。学園や制服という要素から想像する以上に、戦争の重さが前面に出る作品だ。

Polygonは、学園生活と戦闘が交差する構成に注目し、『ペルソナ』シリーズを連想させる切り口で紹介している。ただ、日本の読者にとっては、「FF版ペルソナ」と捉えるより、学生たちが軍事的な役割を背負わされる物語と考えた方が、本作の特徴をつかみやすい。

大人数の主人公も、単なる人数の多さではない。それぞれに戦い方が異なり、操作する人物を変えることで、アクションの手触りも変わる。

その一方で、人物や世界設定が多く、入りやすい作品とは言い切れない。誰に注目すればよいのか、何が起きているのかをつかむまでに、距離を感じる人もいるだろう。

それでも、「若者たちが戦争の中心に置かれる」という題材には、華やかな英雄譚とは異なる強さがある。

外伝だから軽めの冒険だろうと思っていた人にこそ、意外性のある一本だ。


4.『MONSTER OF THE DEEP: FINAL FANTASY XV』――世界を救わず、その世界に滞在する

今回のリストで、とりわけ異色なのが『MONSTER OF THE DEEP: FINAL FANTASY XV』だ。

『FF XV』の世界を舞台にした、初代PlayStation VR専用の釣りゲーム。シリーズの壮大な物語を進めるのではなく、その世界の水辺に立つという体験を中心にしている。

興味深いのは、Polygonが本作を無条件に褒めているわけではないことだ。過去の試遊で操作やテンポへの不満が出たことにも触れつつ、「仮想観光」としての価値を見いだしている。

ゲームの世界で、何かを達成し続ける必要はあるのだろうか。

好きな景色を眺める。登場人物の近くで時間を過ごす。その世界に自分がいる感覚を味わう。そうした楽しみ方も、ファンにとっては十分に意味がある。

この作品が示した可能性は、「FFをVRにしたら戦闘がどう変わるか」だけではない。「FFの世界を訪れるだけでも、体験になるのではないか」ということだ。

なお、初代PS VR向けの作品であり、PS VR2には対応していない。興味を持った場合は、対応機器の違いに注意したい。


5.『ファイナルファンタジーXI』――誰かと冒険した記憶が、世界の厚みになる

『FF XI』が「もっと評価されるべき作品」に入ることには、日本のプレイヤーならさまざまな反応がありそうだ。

長く暮らすように遊んだ人にとっては、すでに特別な作品だろう。一方、シリーズ本編を追っていても、「オンライン作品だから」と未体験のままにしている人もいる。

Polygonが評価するのは、他者と協力して困難を越えることで生まれる、世界への愛着だ。

移動や攻略が簡単ではないからこそ、助けてもらった場面が記憶に残る。目的の場所に着いたことや、強敵を倒したことが、誰かと共有した出来事になる。その積み重ねが、地名や風景に個人的な意味を与える。

ただし、昔の「仲間がいないと何もできない」という印象だけで、今の姿を決め付けるのも適切ではない。

公式に案内されている「フェイス」は、有名キャラクターの分身を呼び出し、攻撃や回復などで冒険を支えてもらう仕組みだ。一人で進める際の助けとなる要素も用意されている。

共同体としての魅力と、一人で物語に触れる入口。その両方を見てこそ、『FF XI』を改めて考える意味がある。


6.『STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN』――「カオス」の印象だけではもったいない

主人公ジャックの強烈な言動が、作品の第一印象を決めた人もいるだろう。

「カオスを倒す」という執着や、ぶっきらぼうな態度が注目を集めた『STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN』。しかしPolygonが高く評価しているのは、その外見の下にあるアクションとジョブの仕組みだ。

開発を担ったTeam NINJAによる戦闘では、敵の攻撃への対応と、ジョブを組み合わせる面白さが結び付いている。二つのジョブを切り替えながら戦うため、同じ敵を相手にしても、選んだ構成によって攻略の感触が変わる。

注目したいのは、アクション作品でありながら、FFのジョブ遊びを濃く味わえることだ。

どの役割を組み合わせるか。何を得意とするキャラクターに育てるか。そうした試行錯誤が好きな人には、予告映像だけでは伝わらなかった魅力が見えてくる。

もちろん、荒っぽい会話や独特の演出が好みに合うとは限らない。ただ、「ネタになる主人公がいるゲーム」という理解だけでは、この作品の大部分を取りこぼしてしまう。


7.『ファイナルファンタジーIV』――有名な古典でも、面白さが伝わり切っているとは限らない

日本の読者が最も驚く選出は、『FF IV』かもしれない。

セシル、カイン、ローザ、リディア。登場人物の名前を聞くだけで、物語や音楽を思い出す人もいる。少なくとも、「誰にも知られていない隠れた名作」という言葉は似合わない。

それでもPolygonは、『FF VII』や『FF X』が語られる際に、その前から存在した人物描写やドラマの魅力にも目を向けてほしいと訴えている。

『FF IV』の面白さは、人物の事情が戦闘上の特徴と結び付くところにもある。

リディアの経験は、ある魔法を使うことへの抵抗として表れる。セシルの大きな転機は、能力の変化としてもプレイヤーに伝わる。物語を見る時間と、キャラクターを操作する時間が、別々になり切っていない。

自由に全員の役割を決められるわけではないからこそ、それぞれの得意不得意が人物像として残る。

「昔の重要な作品だから履修する」という姿勢だけでは、少しもったいない。人間関係や大きな転換に引っ張られて先へ進む、その楽しさ自体を味わえる作品として捉え直したい。


SNS・海外掲示板の反応――戦闘への絶賛と、物語への戸惑いが同居する

では、実際のプレイヤーはどう見ているのか。

ここでは、Redditで確認できる各作品についての既存の投稿を紹介する。今回のPolygon記事への直接の反応ではなく、個々の利用者による感想の要約であり、ファン全体の評価を示すものではない。

『FF X-2』では、戦闘のテンポやジョブシステムを高く評価する声が見られる。2024年の作品について語るスレッドには、『FF X』より戦闘が速く、育成も楽しく感じたという意見がある。別の投稿では、続編に優れたゲームシステムがある例として、『FF X-2』のジョブシステムが話題になっている。

 

一方、2022年の不満点を話し合う投稿では、戦闘やドレスフィア、物語が好みに合わなかったという意見も確認できる。

これは単に「理解した人は褒める、理解しなかった人は嫌う」という話ではない。『FF X』の慎重に考える戦闘が好きだった人と、テンポの速い切り替えを楽しむ人では、求める体験が異なる。

『STRANGER OF PARADISE』にも、似た評価の分かれ方がある。

2024年の投稿では、序盤は興味を持ちにくかったものの、終盤には人物たちの旅に引き込まれたという感想と、多様な戦闘スタイルへの評価が述べられている。

対して2023年の別の投稿は、映像や物語、単調に感じるマップへの不満を挙げながらも、戦闘は非常に楽しいと評価していた。

こうした声から見えてくるのは、「欠点がある」と「夢中になれる」は両立するということだ。

評判を一つの点数にまとめると見えなくなるが、ある人が苦手に感じた演出の先に、別の人が求めていた戦闘や育成がある。再評価とは、必ずしも全員の意見が好意的にそろうことではない。


日本のファンにとっては、「評価の逆転」より「選び直し」のリスト

今回の7作品には、共通の遊び方がない。

物語の続きを追う作品もあれば、曲に合わせて遊ぶ作品もある。戦場に身を置くもの、仲間と世界を歩くもの、釣りをしながら風景を眺めるものまで含まれる。

だからこそ、すべてを一つの「FFらしさ」で測ると、魅力を取りこぼしやすい。

また、日本での思い出と、海外メディアの選定は必ずしも一致しない。『FF IV』を名作として大切にしてきた人が、このリストを見て「今さら?」と思うのも自然だろう。

大切なのは、海外で名前が挙がったから評価を変えることではない。自分がまだ体験していない面白さを探すきっかけにすることだ。

昔は雰囲気が合わなかった作品でも、今は戦闘を楽しめるかもしれない。長編を遊ぶ時間がなくても、音楽から戻れるかもしれない。

次に遊ぶFFを、番号の順番や過去の評判だけで決める必要はない。「今、自分はどんな冒険をしたいのか」。その問いから選び直してみると、見送っていた一本が、思いがけないお気に入りになるかもしれない。


出典・参考URL

  1. Polygon「7 Final Fantasy games that deserved better」
    今回の7作品の選定と、各執筆者による評価。
    https://www.polygon.com/ff-final-fantasy-games-underrated-overlooked/

  2. スクウェア・エニックス『シアトリズム ファイナルバーライン』公式サイト
    通常版385曲、限定27曲、DLC93曲、総数505曲という収録内容を確認。SQUARE ENIX
    https://www.jp.square-enix.com/t_fbl/

  3. スクウェア・エニックス『ファイナルファンタジー零式 HD』ニュースリリース
    14人のキャラクターを操作するアクションRPGという作品概要の確認。SQUARE ENIX
    https://www.jp.square-enix.com/company/ja/news/2015/html/f80fcb3b43030c8bbe901e995af30035.html

  4. 『FF XV』公式ブログ:『MONSTER OF THE DEEP』配信開始のお知らせ
    初代PlayStation VR専用作品としての概要を確認。SQUARE ENIX
    https://blog.jp.square-enix.com/ff15/sp/2017/11/21/_xv.html

  5. 『ファイナルファンタジーXI』公式「フェイス」ガイド
    キャラクターの分身を呼び出し、攻撃や支援を受けられる仕組みの説明。playonline.com
    https://www.playonline.com/ff11/guide/trust/index.html

  6. Reddit「Thoughts on X-2?」/続編のシステムについての投稿
    『FF X-2』の戦闘テンポやジョブシステムへの好意的な感想の参照元。reddit.com
    https://www.reddit.com/r/finalfantasyx/comments/1h45jtg/
    https://www.reddit.com/r/FinalFantasy/comments/1ffu5tr/

  7. Reddit「To those unhappy with X-2, what would you change?」
    『FF X-2』の戦闘、ドレスフィア、物語への否定的な感想の参照元。reddit.com
    https://www.reddit.com/r/finalfantasyx/comments/u8flml/

  8. Reddit「Strangers of Paradise deserves more love」
    『STRANGER OF PARADISE』の終盤の物語と、多様な戦闘スタイルを評価する感想の参照元。reddit.com
    https://www.reddit.com/r/FinalFantasy/comments/1h27cvp/

  9. Reddit「Stranger of Paradise is the best worst game I've ever played」
    映像や物語、マップへの不満と、戦闘への高評価が併存する感想の参照元。reddit.com
    https://www.reddit.com/r/FinalFantasy/comments/15egqht/