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「和平目前」は希望か屈服か? ドンバスと原発が握るウクライナ戦争の行方

「和平目前」は希望か屈服か? ドンバスと原発が握るウクライナ戦争の行方

2025年12月09日 09:58

「終戦が“とても近い”」という爆弾発言

「ウクライナ戦争を終わらせる合意は“本当に近い”。いま私たちは、最後の10メートルにいる」


そんな発言が飛び出したのは、米カリフォルニア州のロナルド・レーガン大統領図書館で開かれた安全保障フォーラムだった。登壇したのは、ドナルド・トランプ米大統領の対ウクライナ特使キース・ケロッグ氏。2022年のロシア全面侵攻以来、欧州最大級の戦争となったこの紛争を終結させる合意が「ほぼ出来上がっている」と言い切ったのだ。InfoMoney


ベトナムやイラクでも戦った元中将のケロッグ氏によれば、これまでの戦闘で両軍合わせて約200万人が死傷したと推計され、その「規模の悲劇」を一刻も早く止める必要があるという。Reuters


しかし、その「最後の10メートル」に横たわる障害は小さくない。



交渉の焦点:ドンバスとザポロジエ原発

ケロッグ氏が明かした残る二つの争点は、

  1. 東部ドンバス地域(ドネツク・ルハンスク)の扱い

  2. 欧州最大の原子力発電所、ザポロジエ原発の将来

の二つだ。InfoMoney


ドンバスは2014年以降、親ロシア派武装勢力とウクライナ軍の衝突が続いてきた地域で、現在もロシアが大部分を占領している。一方で、少なくとも5,000平方キロの領域はウクライナ側が保持しており、国際社会のほとんどは依然としてドンバスをウクライナ領と認めている。InfoMoney


ザポロジエ原発は戦争初期からロシア軍が掌握しているが、いまも送電や冷却の確保が不安定で、国際原子力機関(IAEA)が繰り返し「重大事故のリスク」を警告してきた場所だ。Newsweek


ケロッグ氏は「この二つさえ片付けば、残りはうまく回る」と述べ、領土問題と原発の安全保障をめぐる妥協が合意の鍵だと強調した。Reuters



ロシアの反応:「抜本的な修正が必要だ」

しかしモスクワの見方は、米側の楽観とは対照的だ。プーチン大統領の外交顧問ユーリ・ウシャコフ氏は、ウィトコフ大統領特使とジャレッド・クシュナー氏(トランプ氏の娘婿)がクレムリンで4時間にわたり会談した後、「米国は“文書に抜本的な変更”を加えなければならない」と語ったと報じられている。InfoMoney


ウシャコフ氏は具体的な内容を明らかにしていないが、ロシア側は少なくとも以下の点で不満を抱いているとみられる。

  • ドンバス全域をロシアの統治下と認めるかどうか

  • ザポロジエ原発をロシア支配のままにするのか、国際管理に移すのか

  • ウクライナ軍の規模やNATOとの関係にどのような制約を課すのか


これらは、先に流出した米ロ主導の「28項目和平案」が、クリミアやドンバスのロシア支配容認、ウクライナ軍の縮小、NATO非加盟などを含んでいたこととも重なる。欧州連合(EU)の首脳らは、この初期案について「受け入れられない条項が含まれている」と公然と批判しており、米国案全体の修正を求めてきた。ガーディアン



ウクライナの立場:「ドンバスを差し出す和平はない」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、ドンバスをめぐる譲歩には一貫して否定的だ。ドネツク州の残りの領域をロシアに引き渡すことは、国民投票なしでは違法であり、さらに将来のロシアの侵攻に向けた足場を提供することになると警告する。InfoMoney


最近の米側との協議について、ゼレンスキー氏はX(旧Twitter)への投稿やインタビューで「建設的だが決して容易ではなかった」と振り返っている。Reuters


  • 米フロリダ近郊で行われた3日間の実務協議

  • ウィトコフ、クシュナー両氏との長時間の電話協議

  • その後、ロンドンとブリュッセルで欧州首脳との連続会談

と、ウクライナ側は米案の修正と安全保障の担保を求めて各国を奔走中だ。ゼレンスキー氏は「米国、ロシア、ウクライナにはそれぞれ異なるビジョンがあり、ドンバスについて一致した見解はない」と述べ、「ドンバスに関する合意はまだ存在しない」と明言している。Reuters


同時に、ウクライナは米国とは別に、英国やフランス、ドイツなど欧州主要国と長期的な安全保障協定の締結を模索している。ブルームバーグ



トランプ政権の思惑:「和平大統領」と国内政治

トランプ大統領は、今回の和平仲介を自身の大きな外交レガシーにしたい考えを隠さない。彼はたびたび「自分は平和をもたらす大統領として記憶されたい」と語り、ウクライナ戦争の終結を政権の最優先課題の一つに掲げてきた。InfoMoney


一方で、トランプ氏はゼレンスキー大統領に対して「提案をきちんと読んでいない」「まだ合意する準備ができていない」と公然と不満を表明している。euronews


この強いプレッシャーは、2026年以降の米国内政治、とくに次期選挙や議会との関係を見据えたものとみられる。長引く戦争への支援コストに疲れた有権者の一部に、「どんな形でもいいから戦争を終わらせてほしい」という感情が広がっているのも事実だ。


しかし、領土をめぐる妥協が「ウクライナの降伏」に映れば、欧州や国内の強い反発を招く可能性もある。



SNSに広がる期待と不信:四つのタイプの反応

ケロッグ氏の「和平は本当に近い」という発言が報じられるや否や、SNSにはさまざまな反応があふれた。ここでは主なパターンを四つに整理してみたい。


①「ようやく終わるかもしれない」と安堵する声

XやFacebookでは、「3年近く続いた戦争が終わるなら、完璧な合意でなくても受け入れるべきだ」といった、疲弊した市民の声が多く見られる。空爆警報の動画を日々アップしてきたウクライナ在住のユーザーの中には、「これが本当に最後の冬であってほしい」と投稿する人もいる。


戦争が世界経済やインフレに与えた影響を踏まえ、「エネルギー価格が落ち着けば生活も楽になる」と、経済面から早期終結を歓迎するポストも目立つ。


②「領土を差し出す和平は偽物だ」と批判する声

一方で、#NoLandForPeace や #DonbasIsUkraine といったハッシュタグのもと、「占領地を差し出して得る平和は、次の侵略を招くだけだ」という強い批判も広がっている。


とくにウクライナや東欧のユーザーは、歴史的に繰り返されてきた「領土と引き換えの宥和政策」を想起し、「これは21世紀版ミュンヘン合意だ」と警告する投稿を相次いでシェアしている。


③ ロシア寄りアカウントの「事実上の勝利宣言」

ロシア語圏のSNSでは、ドンバスやザポロジエ原発をめぐる議論を「新しい現実の国際的承認」に近づく動きとして歓迎する声も少なくない。「西側がようやく現実を認めた」と主張し、ウクライナ側を「頑固」と批判するプロパガンダ的な投稿も拡散している。


同時に、「ロシアはこれ以上譲歩すべきではない」として、クレムリンに強硬姿勢を求めるナショナリストの声も目立つ。


④ 平和運動・専門家による冷静な分析

もう一つの流れは、国際NGOや安全保障専門家によるスレッドだ。彼らは「終戦に近づいているのは事実かもしれないが、どのような監視メカニズムや安全保障枠組みが組み込まれるのかが重要だ」と指摘する。

  • ザポロジエ原発を国際管理下に置く案

  • ドンバスに国連・OSCEの監視団を長期駐留させる案

  • ウクライナに対する多国間の安全保障保証

など、具体的な制度設計を議論するスレッドが共有され、「感情論ではなく条文を見よう」という呼びかけも多い。



欧州の懸念:「押しつけの和平」は受け入れられない

EU首脳らは、米国主導の和平案の一部が「ロシア寄り」に見えることに神経を尖らせている。ポーランドのトゥスク首相は、28項目案には「受け入れがたい条項がある」と述べ、無理な領土譲歩を前提とした案には賛同しない姿勢を明確にした。Newsweek


欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長も、「力による領土変更を既成事実化するような和平は、将来の安全をむしばむ」と警告。EUとしては、ウクライナの主権と安全保障を守る枠組みが前提でなければ、戦後の支援パッケージや再建計画を成立させにくい事情がある。Al Jazeera


こうした欧州側の懸念は、SNSでも「#StandWithUkraine」「#NoMunich2.0」といったハッシュタグとともに拡散され、「和平は必要だが、誰かに一方的な犠牲を強いる形であってはならない」という声につながっている。



「最後の10メートル」の先にあるもの

ケロッグ氏の表現を借りれば、現在の交渉はゴール目前の「最後の10メートル」にある。しかし、マラソンでも最後の数百メートルで失速するランナーは多い。

  • ドンバス全域をどう線引きするのか

  • ザポロジエ原発の所有権と管理体制を誰が担うのか

  • 停戦ラインに国際監視をどのレベルで入れるのか

  • ウクライナの安全保障(NATO非加盟の代わりとなる枠組み)を誰が保証するのか


これら一つひとつが、国内世論と国際政治の綱引きを伴う重いテーマだ。


ゼレンスキー大統領はロンドンおよびブリュッセルで、英国のスターマー首相、フランスのマクロン大統領、ドイツのメルツ首相らと会談し、米案への修正要求と欧州による追加の安全保障保証について協議している。ブルームバーグ



終わりに:戦争が「終わる」ことの意味を問い直す

ケロッグ氏の「終戦は近い」という発言は、世界に一瞬の希望をもたらした。同時に、それがどのような形の終結なのかをめぐって、SNSや各国政府の間で激しい議論を呼び起こしている。


爆撃が止まり、若い兵士が前線から家に帰れるようになるなら、それだけで計り知れない価値がある。一方で、力による占領を事実上認めるような合意が将来の侵略を呼び込むのではないかという不安も根強い。


「最後の10メートル」をどう歩むのか。その選択は、ウクライナだけでなく、ヨーロッパ全体の安全保障秩序、さらには国際社会が「武力による現状変更」をどこまで許すのかという大きな問いに直結している。


SNSのタイムラインには、期待と不信、怒りと安堵が入り混じった声が今日も流れ続けている。世界が見守るなか、これから描かれる「和平」の中身が、本当に持続可能な平和への一歩となるのか、それとも新たな火種を残す妥協に終わるのか――その答えは、まだ誰にもわからない。



参考記事

ウクライナでの戦争終結? 米国特使が「非常に近い」と発言
出典: https://www.infomoney.com.br/mundo/fim-da-guerra-na-ucrania-enviado-dos-eua-diz-que-desfecho-esta-muito-proximo/

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