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TikTokのアルゴリズムが世界を魅了する理由とは? バズは偶然じゃない:TikTokが当て続ける「興味シグナル」の設計図

TikTokのアルゴリズムが世界を魅了する理由とは? バズは偶然じゃない:TikTokが当て続ける「興味シグナル」の設計図

2025年12月22日 00:13

「TikTokのアルゴリズムは結局、誰の手にあるのか?」——この問いが、2025年12月に再び世界のニュースとSNSをざわつかせました。きっかけは、TikTokを運営するByteDanceが、米国での事業継続に向けて“米国主導の新会社(ジョイントベンチャー)”をつくる合意に署名したこと。禁止(ban)リスクを回避するための大きな前進とされる一方で、肝心の「推薦アルゴリズム(おすすめ)」の扱いが、なお霧の中にあるからです。InfoMoney


1) なぜ今「アルゴリズム」が政治問題になるのか

TikTokの強さは、フォロー関係(誰とつながっているか)よりも、「あなたが何に反応したか」を起点に動画を当て続ける“当たり判定マシン”のような推薦にあります。だからこそ、もし国家や組織がその仕組みに影響できるなら、ニュース接触や世論形成にまで波及しうる——米国の安全保障議論でアルゴリズムが中心に置かれてきた背景はここにあります。APも、米国当局が「ByteDanceのアルゴリズムは中国当局に操作され得る」と警告してきた点を紹介しています。AP News


今回の合意は、長年続いた「売却か禁止か」の綱引きの“決着”に見えます。が、同時に「最も重要な資産は分離できているのか?」という疑念を強めもしました。Reuters


2) “米国JV”の中身:何が移り、何が残るのか

報道によれば、新たな枠組みでは TikTok USDS Joint Venture LLC が設立され、Oracle、Silver Lake、MGXなどが関与。ByteDanceは持分を 19.9% に抑え、取締役会も「米国側多数」にする設計とされています。Reuters


さらに、米国内ユーザーデータはOracle運用の仕組みで国内保管し、JV側が「データ保護、アルゴリズムの安全性、コンテンツモデレーション」などを担う——というのが大筋です。Reuters


一方で、収益を生む領域(広告、ECなど)の一部はByteDance側の別組織が握る構造が示唆されており、「運用の独立性はどこまで本物か?」が争点になります。InfoMoney


3) それでも最大の論点が「おすすめ」になる理由

TikTokは“動画アプリ”である前に、“推薦のアプリ”です。見たい人が検索して辿り着くのではなく、次々流れてくる動画の並びそのものが体験の核。つまりアルゴリズムは、UIや機能以上に、サービス価値を決める「王冠の宝石(crown jewel)」です。Reuters/InfoMoneyの記事も、ByteDanceが数か月前まで「売るくらいなら米国でアプリを閉じる」とさえ言われていた点を紹介しています。InfoMoney


今回の合意でも、アルゴリズムが“移転”なのか“ライセンス”なのか、あるいは実質的に北京(中国)に残るのかが曖昧——と元米NSC関係者のRush Doshi氏がXで指摘したことが、象徴的に拡散しました。InfoMoney


4) TikTokの推薦が「特別」とされる仕組み:ソーシャルグラフより“興味シグナル”

Reutersの整理は明快です。Metaなどが人間関係のネットワーク(ソーシャルグラフ)を重視してきたのに対し、TikTokは 「興味シグナル」 を軸にする。いいね、視聴時間、リピート、スキップ、コメント、保存——こうした微細な反応の集合で、「この人はいま何に刺さっているか」を推定し、次の1本を決める。InfoMoney


ここで重要なのは、フォロワー数が少なくても当たりさえ引けば伸びる、という体験が生まれやすい点です。SNSを「人の集まり」ではなく「興味の流れ」として再設計したとも言えます。


5) 短尺×モバイル×先行者利得:データの“回転数”が違う

TikTokの短尺フォーマットは、アルゴリズムの学習を加速します。1本が短いほど、ユーザーは短時間に多くの選択(見続ける/飛ばす)を行う。つまり“教師データ”が高速で貯まる。Reutersは、好みの変化を時間帯レベルで追えるほど動的になり得る、と述べています。InfoMoney


さらにTikTokはモバイル前提で設計され、既存SNSがPC由来のUIをスマホに最適化してきたのと対照的だ、とも指摘されています。加えて、Reels(2020)やShorts(2021)より先に短尺市場へ入り、データとプロダクト改善の年数差を築いた——この“先行者利得”も効いています。InfoMoney


6) 研究が示す「探索」と「搾取」のバランス——外れ球は“仕様”だった

多くの人が感じる「え、なんでこの動画?」は、バグではなく設計かもしれません。Reuters/InfoMoney記事は、TikTokがユーザーの興味に合わない内容も定期的に混ぜることを「体験に不可欠」と説明してきた、と紹介します。InfoMoney


そして学術研究では、TikTokの推薦が 興味に沿う(搾取)だけでなく、興味を探る(探索) 動画を相当割合で混ぜている可能性が示されています。たとえば TheWebConf 2024 の論文(ACM掲載)では、推薦動画のうち「ユーザーの興味を搾取している」比率が概ね30〜50%程度という趣旨の結果が報告されています。ACM Digital Library


この“探索の混入”は、ユーザーの嗜好推定を洗練させるだけでなく、離脱を防ぐ刺激(新規性)としても機能しうる。言い換えれば、TikTokの強さは「当て続ける」だけではなく「外し方がうまい」ことにもあるわけです。


7) 中国の輸出規制が“最後の関門”になる可能性

アルゴリズム分離が難しい理由の一つに、中国側の制度があります。米議会調査局(CRS)の資料は、2020年に中国がソーシャルメディアのアルゴリズムを輸出規制の対象に加えたこと、そして当局がByteDanceの切り離しに輸出規制を適用し得る、といった論点を整理しています。Congress.gov


つまり、仮に米国側が「アルゴリズムも含めて切れ」と求めても、中国当局の承認が絡むと“移転”は簡単ではない。だからこそ今回の枠組みも、「移転」ではなく「監査・監督」や「ライセンス」に寄せた設計ではないか、という見方が出ます。


8) SNSの反応:歓迎と不信が同居した“分裂タイムライン”

今回のニュースは、SNS上でも反応が割れました。


(A) 「結局、アルゴリズムは誰のもの?」派(懐疑)
Rush Doshi氏の「移転かライセンスか、Oracleは“監視”するだけなのか」という指摘は、まさにこの懐疑を言語化しました。Reuters+1
Redditでも「実際にはライセンスで、アルゴリズムのコントロールは残るのでは」といった推測が飛び交い、形式上の分離と実態の距離を疑う声が見られます。Reddit


(B) 「実務的な落としどころ」派(前向き)
一方、ビジネス寄りのSNSでは「データ主権(data sovereignty)時代の典型的ディール」として肯定的に受け止める投稿も。LinkedInでは、Oracleがデータの“要塞”になり、米国データでアルゴリズムを再学習し監査する、という筋書きを評価する論調が見られます。LinkedIn
市場反応としても、Oracle株が上昇したという報道があり、投資家視点では「不確実性の低下」を好感した面がうかがえます。AP News


(C) 「政治と富豪の癒着では?」派(批判)
さらに政治的には、エリザベス・ウォーレン上院議員が「未解決の疑問が多い」「富豪による“裏口”の支配ではないか」と懸念を表明したとReutersが伝えています。Reuters
同様の問題意識は、批判的メディアでも強調されています(論調として)。Common Dreams


9) クリエイターと企業は、ここから何を学べるか

政治や規制の話が先行しがちですが、運用者にとっての核心は別です。TikTokの推薦が「フォロワーの多寡」より「反応の質と初速」を重視するなら、やるべきことは明確になります。

  • 冒頭1〜2秒で“シグナル”を取る:視聴維持(離脱/視聴完了)が最重要の行動データになりやすい。

  • 探索枠を味方につける:ターゲット外に届く前提で、文脈がなくても伝わる編集・テロップ・結論先出しが効く。

  • シリーズ化で“学習”させる:同じテーマの型を繰り返し、興味シグナルを積み上げる。

  • コメント設計で関与を増やす:議論を誘発し、能動的アクションを引き出す。


逆に、広告・マーケ側は「誰に配るか」だけでなく「どんな順番で見せるか(学習させるか)」という発想が重要になります。TikTokは、配信の設計そのものがクリエイティブの一部になっているからです。


10) 次の焦点:本当に“操作不能”になるのか

APは、JV側がアルゴリズムを米国データで再学習し「外部からの操作がない状態」を目指す、と説明しています。AP News
ただし現実には、次の論点が残ります。

  • 再学習の範囲:モデルの“中身”まで置き換えるのか、データや運用だけなのか

  • 監査の実効性:Oracleの監査がブラックボックスをどこまで開けるのか

  • 中国側の承認:輸出規制・技術移転の線引きをどう超えるのか Congress.gov

  • 体験の同一性:ユーザーが感じる“TikTokらしさ”は維持されるのか(維持されなければビジネス価値が落ちる)


結局のところ、「TikTokのアルゴリズムが特別」という話は、技術の優劣だけでは終わりません。その“特別さ”が大きいほど、権力(政治)と資本(投資家)と制度(規制)が、アルゴリズムの周りに引き寄せられる。今回の騒動は、それを改めて可視化した出来事でした。InfoMoney


参考記事

TikTokのアルゴリズムには何がそんなに特別なのか?
出典: https://www.infomoney.com.br/business/o-que-ha-de-tao-especial-no-algoritmo-do-tiktok/

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