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電話一本が揺らした日本企業――“退職代行”が突きつけた課題と組織改革のリアル

電話一本が揺らした日本企業――“退職代行”が突きつけた課題と組織改革のリアル

2025年06月22日 12:23

1. 退職代行という“突然死”――一本の電話が示したもの

2025年1月7日午前10時15分。愛知県名古屋市に本社を置くヘルスケア雑貨メーカー「アメイズプラス」の総務部に外線が入った。受話器の向こうで名乗ったのは民間退職代行「やめるもん」のオペレーター。「御社○○(仮名)社員は本日付で退職を希望しています。本人からの依頼で、本件以降すべての連絡は当社を窓口にお願いします」



――取り次いだ担当者は一瞬言葉を失い、すぐさま社長室へ。この瞬間、社長の山本良磨氏は「とうとうウチにも来たよ……」とつぶやいたという。tokai-tv.com




2. 日本で退職代行が伸びる三つの背景

  1. 早期離職率の上昇
    厚労省集計によると、新卒3年以内離職率は34.9%と過去最高水準を更新。キャリアの短サイクル化が常態化しつつある。nli-research.co.jp

  2. 労働者優位の“超売り手市場”
    総務省「労働力調査」では、転職希望者が1,000万人を突破し就業者の約15%に達した。企業間競争は採用だけでなく「辞めやすさ」でも起きている。nli-research.co.jp

  3. 退職コストの“サブスク化”
    大手代行「モームリ」などの料金は19,800~30,000円前後。市場規模は2025年時点で5〜10億円に拡大し、最大手がシェア7割を占める。against-job.net




3. アメイズプラスの“3段階ショック”と社内ヒアリング

  • 驚き:「うちに限って」と思っていた経営陣に、現実は“誰にでも起こり得る”と突き付けた。

  • 困惑:退職理由は「本来やりたかった仕事ではない」。だが上司との定期面談は年1回、相談窓口は実質機能していなかった。

  • 反省:社長自ら全社員アンケートと1on1面談を実施。離職を考えたことがある社員は34%、理由トップは「相談できる雰囲気がない」。




4. 企業調査にみる“代行退職7.2%”の衝撃

帝国データバンクが2025年5月に実施した企業調査では、「退職代行を通じた退職を経験した」企業が全体で7.2%。大企業では15.7%と中小の倍以上に達し、人員規模が大きいほど“電話一本”が常態化している。tsr-net.co.jp




5. 法制度の隙間と“代行ビジネス”の正当性

退職は民法627条により「2週間前通知」で一方的に成立するが、日本には離職時の個別交渉を定める制度がなく、“伝達”さえ代行すれば合法。サービス会社は弁護士法違反を避けるため、①法律相談は行わない ②交渉を伴う場合は提携弁護士へ――というグレーな境界で事業を成立させている。




6. 世界の退職事情と比較

  • 米国:就労規定「At Will Employment」により、口頭でも即日退職可。ただし即座に保険が失効するなど従業員側リスクも大きい。

  • ドイツ:退職通知は書面義務、試用期間後は最短4週間前。代行業者は存在するが主に法務・翻訳サービス。

  • 韓国:労働基準法26条で30日前通知。ハラスメントを理由に退職代行を利用するケースが増加。




7. アメイズプラスが断行した五つの改革

  1. 月1回の“逆1on1”―部下が上司を面談し、業務改善点をフィードバック

  2. 匿名Slackチャンネル―経営陣へ直接質問・不満を投下可

  3. 異動希望セルフ申告制―年2回、理由不問で部署異動希望を出せる

  4. マネジャー研修リスキリング―心理的安全性とアンコンシャスバイアス対応を必修

  5. 退職プロセスの可視化―退職の意思表明から承認まで最大5営業日、残業代・有給精算をシステム自動化

改革初年度(2024年度)と比べ、2025年4月時点で**月次離職率は2.1%→1.2%**に低下。従業員満足度(ES)は10ポイント改善した。




8. “退職代行時代”を生きる企業への提言

  • 声を届ける仕組みを技術で補完せよ

  • 退職もキャリアの一部と受け止め、再雇用の扉を開けておく

  • 管理職を中間搾取者ではなく“キャリア伴走者”に再定義する

    その結果、退職代行は“最後の手段”から“選択肢の一つ”に変わり、企業と従業員の関係は対等な契約へと近づく。




9. 外国人読者へのメッセージ

日本企業は終身雇用や年功序列のイメージが強いが、現場では急速にジョブ型・成果主義へ転換が進む。本稿の事例は、日本特有の労使コミュニケーション課題と、その克服の兆しを示す。自国企業で同様の問題を抱える読者は、「退職代行」という鏡を通じて、自社のマネジメント文化を問い直す機会にしてほしい。




参考記事一覧

  1. 東海テレビNEWS「『とうとうウチにも来たよ…』突然鳴った“退職代行”からの電話 驚き→困惑→反省経て社長が進めた社内改革」(2025-06-21) tokai-tv.com

  2. Against Job「退職代行の市場規模 ~モームリは年商4億円、業界シェア7割の実態」(2025-05) against-job.net

  3. NLI基礎研究所「“サヨナラ”もプロに任せる時代-急増する退職代行サービス利用の背景」(2025-06) nli-research.co.jp

  4. 帝国データバンク「企業の『退職代行』経験に関するアンケート調査」(2025-05) tsr-net.co.jp

  5. note「管理職が考える『退職代行』の現実:Z世代部下の退職と向き合うヒント」(2025-04) note.com

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