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「幸せの格差」はリスク社会のバロメーターだった ─ 32カ国調査が示す“弱いピラミッド”の危うさ : 「自分だけ不幸」の国と「みんなそこそこ幸せ」の国

「幸せの格差」はリスク社会のバロメーターだった ─ 32カ国調査が示す“弱いピラミッド”の危うさ : 「自分だけ不幸」の国と「みんなそこそこ幸せ」の国

2025年11月27日 11:34

1. 「格差」はお金だけじゃない時代に

物価高、戦争、不況、パンデミック──。
ここ数年、世界のニュースを眺めていると「安心して暮らせる未来」が少しずつ遠のいているように感じます。政府もメディアも「経済格差」や「分断」という言葉を繰り返し、社会の不安定さを指摘してきました。Phys.org


そんななかで、同志社大学の池田謙一教授と関西大学の赤江田直樹准教授による研究が、「幸福の格差」という視点からリスク社会を読み解こうとしています。彼らが焦点を当てるのは、所得ではなく「どのくらいの人がどのくらい幸せだと感じているか」という、社会全体の“幸福の分布”です。Phys.org


2. 32カ国・世界価値観調査から見えたもの

研究チームが使ったのは、世界各国の価値観を長年追い続けている「World Values Survey(世界価値観調査)」の第6波・第7波のデータ。32カ国の人々に、「生活満足度」を0~10点で自己評価してもらった回答を分析しました。DOI.org


同時に注目したのが、「自分の国や社会はどれくらいリスクにさらされていると感じるか」という“社会的リスク認知”です。戦争やテロ、経済危機、自然災害、政治の不安定さなど、個人の努力ではどうにもならないレベルで起こるリスクを、どれくらい現実的な脅威として感じているかを尋ねています。DOI.org


結論から言えば、「リスクを高く感じている社会ほど、人々の幸福度は低くなる」──これは直感的にも納得しやすい結果です。しかし研究の肝は、その効果が「幸福度の分布の仕方」によってまったく違ってくる、という点にあります。Phys.org


3. 「弱いピラミッド」と「逆ピラミッド」

研究では幸福の分布を表す指標として、2つの「比較的不平等」を定義しています。Phys.org

  • 上方格差(Upward disparity:Iu)
    幸福度が低い人たちが多く、幸福度の高い人が少ない状態。社会全体が「下に厚く、上が細い」弱いピラミッド型。

  • 下方格差(Downward disparity:Id)
    中~高い幸福度の人が多く、低い人が少ない状態。いわば中間層が厚い逆ピラミッド型。


重要なのは、平均値だけを見てもこの違いは見えにくいことです。平均点が同じ7点でも、「7〜8点が多くて、1〜2点はほとんどいない社会」と、「5点以下がゴロゴロいる一方で、10点の人も一部いる社会」では、暮らしている人の肌感覚はまったく違います。


研究の結果、リスクが高まったとき最もダメージを受けるのは「弱いピラミッド」の社会であることがわかりました。社会不安が増すと、もともと低い幸福層がさらに押し下げられ、全体の幸福度が急激に落ち込んでしまうのです。逆に、中間層が厚い「逆ピラミッド」社会では、リスクが高まっても人々の幸福度は比較的安定していました。Phys.org


4. リスク認知はどこから来るのか

研究では、統計的な手法(操作変数法)を使って、「不安な人が世の中を危険だと思いやすいだけでは?」という逆因果の可能性も検証しています。完全に因果関係を断定することはできないものの、「リスクを高く感じることが幸福度を下げる方向に働いているらしい」という示唆が得られました。DOI.org


また、GDPや所得格差、民主主義の度合いといったマクロ指標を加味しても、リスク認知と幸福度の関係は残り続けることが確認されています。つまり、「経済が豊かかどうか」だけでは説明できない心の問題が、社会レベルで存在しているということです。DOI.org


5. 日本の「不安度」はなぜ高いのか

池田教授は、以前から「日本人は客観的な指標に比べて、社会のリスクを高く見積もる傾向がある」と指摘してきました。2022年に出版した著書では、日本の政治とガバナンス不安を分析し、危機が続く時代における“国への信頼の揺らぎ”をテーマにしています。Phys.org


今回の研究は、その延長線上で「リスク認知」と「幸福の分布」を結びつけました。もし日本が「弱いピラミッド」に近い社会構造だとしたら、経済や治安の客観指標がそれほど悪くなくても、「不安を感じやすく、メンタル面のダメージを受けやすい社会」である可能性があります。


たとえば、非正規雇用や一人暮らしの増加、地域コミュニティの希薄化などが進むと、「自分が困ったときに助けてくれる人」が少ないと感じやすくなります。そうした孤立感が、社会全体のリスクをより大きく見せてしまっているのかもしれません。


6. SNSで巻き起こる「幸せの格差」論争

この記事の内容が報じられると、X(旧Twitter)やThreadsなどのSNSでは、さまざまな反応があふれました。ここでは典型的な声をいくつか紹介してみます(どれも実際の投稿そのものではなく、議論の傾向を要約したものです)。


  • 「結局“自己責任”論で切り捨てられてきた人が多い国ほど、リスクに弱くなるって話では?」

  • 「平均幸福度が高いって聞いてもピンとこなかったけど、分布を見るって発想は面白い。周りに“しんどそうな人”が多いと、そりゃ不安にもなる」

  • 「中間層が大事と言われても、税金と物価でじわじわ削られて、真ん中にとどまるのが一番キツいんだが…」

  • 「『幸せの格差』を減らすって、結局は“ほどほどに幸せな人を増やす政策”ってこと? ベーシックインカムとか教育投資とか?」


一方で、こんな冷静な指摘もあります。

  • 「“リスクを感じる”こと自体には、災害大国の日本ではプラス面もあるんじゃない? 問題は、その不安が共有され、支え合いにつながるかどうかでは」

  • 「幸福度の低い人に寄り添うと同時に、“まあまあ幸せ”な人たちを減らさないことが大事、というメッセージに聞こえた」


SNSの議論を通じて浮かび上がるのは、「平均値の高さ」と「自分や身の回りの実感」がズレているという感覚です。統計上は悪くないはずなのに、タイムラインには疲れた声が流れている。そのギャップを説明してくれる概念として、「幸福の格差」や「弱いピラミッド」という言葉が受け止められているようです。


7. 「厚い中間層」は心のセーフティネット

研究チームは、「中間層が厚い社会は、心理的にもレジリエント(しなやか)だ」と述べています。多くの人が「そこそこ幸せ」と感じている社会では、リスクや不安が高まっても、互いの不安を緩和し合うクッションが存在します。Phys.org


逆に、幸福度の低い層が厚い社会では、リスクが高まった瞬間から「自分ももうダメかもしれない」という感覚が一気に広がりやすい。これは、経済ショックが発生したときに生活困窮者が急増したり、ポピュリズム政治が勢いを増したりする構図とも重なります。


厚い中間層とは、単に“お金を持っている人が多い”ということではなく、

  • 仕事や収入がある程度安定している

  • 病気や失業をしても、社会保障や家族・コミュニティの支えがある

  • 将来の展望が、完全な悲観でも過度な楽観でもなく、「なんとかなる」という実感を持てる

といった心理的な安心の土台が広く共有されている状態だと言えるでしょう。


8. 政策への示唆:幸福の分布をモニタリングする

研究者たちは、今後5~10年の間に、政府が「幸福の分布」を定期的にモニタリングし、政策評価に活用していくことを提案しています。Phys.org


具体的には、次のような使い方が考えられます。

  1. リスクが高まる局面での早期警戒指標として
    経済指標や治安統計だけでなく、「低い幸福層がどれくらい厚くなっているか」をチェックすることで、社会不安の高まりを早めに察知できる。

  2. 政策の“心への効き方”を可視化する
    税制改革や社会保障の見直しが、「平均所得」だけでなく「幸福の分布」をどう変えたのかを追跡できる。

  3. 中長期的な“レジリエンスづくり”の指標として
    災害や景気後退などのショックが起きたとき、中間層の厚みがクッションとしてどれだけ働いたかを評価できる。


物価高対策や防災投資といった目先の政策も重要ですが、「どの社会構造なら人々の心が折れにくいのか」という視点が加わることで、より持続可能な制度設計につながるかもしれません。


9. 個人としてできることは?

「じゃあ、政府が中間層を増やしてくれるまで待つしかないの?」というと、もちろんそんなことはありません。社会構造の問題は個人では変えにくいものの、**“リスクの受け止め方”と“身近な幸福の分布”**には、私たち一人ひとりの行動が影響します。


  • 不安なニュースに接しすぎない、情報の“食生活”を整える

  • SNSで「つらい」「しんどい」という声を見つけたとき、無理のない範囲で支え合う

  • 自分の生活満足度を定期的に振り返り、「何があると1段階上がりそうか」を考えてみる

  • 地域やオンラインコミュニティなど、小さくても「自分がここにいていい」と思える場を増やす


こうした積み重ねはすぐには統計に現れないかもしれませんが、「自分の周りの逆ピラミッド」を少しずつ育てていくことにつながります。


10. 「幸せの格差」を問い直すとき

今回の研究が教えてくれるのは、「社会がリスクに強いかどうか」は、富の多さだけでなく**“幸福の配り方”**にもかかっているということです。

・ごく一部がとても幸せで、多くが不安定な社会
・多くの人がそこそこ幸せで、極端な不幸が少ない社会

どちらがいいかと問われれば、答えは明らかでしょう。


SNSでの議論を眺めていると、「みんなが同じくらい幸せであること」を目指すのは、どこか退屈で、競争を弱めるように感じる人もいるかもしれません。しかし、リスク社会を生き抜くためには、“めちゃくちゃ幸せな少数”ではなく、“まあまあ幸せな多数”をいかに増やすかこそが重要なのだと、この研究は静かに示しています。


あなたの周りの幸福の分布は、今どんな形をしているでしょうか。
もしかすると、その形こそが、これからの不安な時代を生き抜く力の源になるのかもしれません。



参考記事

社会的リスクと「幸福の不平等」が各国の幸福度にどのように影響を与えるか
出典: https://phys.org/news/2025-11-social-happiness-inequality-nations.html

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