メインコンテンツにスキップ
ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア ロゴ
  • 記事一覧
  • 🗒️ 新規登録
  • 🔑 ログイン
    • English
    • 中文
    • Español
    • Français
    • 한국어
    • Deutsch
    • ภาษาไทย
    • हिंदी
クッキーの使用について

当サイトでは、サービスの向上とユーザー体験の最適化のためにクッキーを使用しています。 プライバシーポリシー および クッキーポリシー をご確認ください。

クッキー設定

クッキーの使用について詳細な設定を行うことができます。

必須クッキー

サイトの基本機能に必要なクッキーです。これらは無効にできません。

分析クッキー

サイトの使用状況を分析し、サービス向上に役立てるためのクッキーです。

マーケティングクッキー

パーソナライズされた広告を表示するためのクッキーです。

機能クッキー

ユーザー設定や言語選択などの機能を提供するクッキーです。

ドイツ再統一35年:拡大する東西賃金格差の背景と未来

ドイツ再統一35年:拡大する東西賃金格差の背景と未来

2025年09月01日 11:53

「壁」は消えても、給与の“谷”は残った

2024年の年間賃金データから、ドイツの東西格差が再び広がったことが明らかになった。西のフルタイム平均は63,999ユーロ、東は50,625ユーロ。差は13,374ユーロ、率にして約21%である。再統一から35年を経ても、賃金の谷は埋まらないどころか、昨年はむしろ“深まった”という見出しが主要メディアを駆け巡った。 DIE WELTt-online


この数字は、連邦統計庁(Destatis)の公的データを、RND(Redaktionsnetzwerk Deutschland)が取りまとめた分析に基づくと報じられている。保守系からリベラル系まで複数の全国紙・経済メディアが同じ水準を示し、広く共有された事実認識となった。 RND.detagesspiegel.den-tv.de


分配の“厚み”を見る:上位1%と下位10%

平均だけでは実感がつかみにくい。分配の厚みを見ると、上位1%のフルタイム労働者は年21万3,286ユーロ以上、一方で下位10%は3万2,526ユーロ以下というレンジ感も報じられている。全国の中央値は5万2,159ユーロ。平均(算術平均)と中央値の開きは、高所得層の存在が全体の見かけを押し上げていることを物語る。 de.finance.yahoo.comTRT Global


「恥ずべき決算」か、「構造の反映」か

政治の反応は速かった。BSWのザーラ・ワーゲンクネヒトはRNDに対し、「東では平均で年13,374ユーロも少ない。再統一から35年の“恥ずべき決算”だ」と強い言葉で批判し、賃金格差を党の重点課題に据えると表明。TV・全国紙もこのコメントを引用した。 RND.detagesspiegel.den-tv.de


他方で、一部の論点は「構造の反映」を強調する。西側には本社機能や付加価値の高い産業クラスターが集中し、労使協約のカバレッジ(タリーフビンドゥング)や労組交渉力も地域差が残る。物価・家賃水準の違いにより、実質購買力の比較は単純ではない——こうした“留保”も根強い。ただし、主要メディアの見出しが「差は縮まらず、むしろ拡大」にそろう現状は、統合の果実が賃金にまで十分に波及していないことを示す。 DIE WELTt-online


参考:過去との比較

2022年時点でも、東西差は約1万3,015ユーロ(西59,257:東46,242)と報じられていた。2024年の水準と並べると、「名目賃金は上がったが、差の“額”も維持・拡大している」景色が見える。 regionalHeute.de


SNSの反応——「同一労働同一賃金」を求める声、構造論を説く声

 


このニュースはX(旧Twitter)でも大きく拡散した。象徴的だったのは、ワーゲンクネヒト本人のポストだ。彼女は「年13,374ユーロ差」を“恥ずべき決算”と断じ、賃上げと是正を強く訴えた。これに呼応して「同じ仕事なら同じ賃金を」というスローガンがタイムラインを席巻した。 X (formerly Twitter)


市民の反応は二極化している。

  • 是正派:「21%差は行き過ぎ。公共投資と賃上げで東側の底上げを」「公共調達の入札条件に“協約準拠”を入れよ」など、政策ドリブンの是正を求める声。BSW系アカウントを中心に拡散が目立った。 X (formerly Twitter)

  • 構造派:「産業構成・生産性・企業本社の分布が違う。単純な一律賃上げでは競争力を損ねる」と冷静さを求める投稿もある。東在住ユーザーからは「生活コストの差は縮小した」という指摘も。 X (formerly Twitter)


このほか、ユーモアや皮肉も混じる。「壁は崩れたが、給料の壁は観光名所並みに“堅牢”」「数字が出るたびに“東から西へ”の人材流出が頭をよぎる」といったトーンが目立ち、経済ニュースが生活実感と深くつながっていることを示した。 (上記は各投稿の趣旨を要約)


なぜ埋まらないのか:四つのレンズ

  1. 産業ポートフォリオ:西には自動車・化学・機械など高付加価値セクターの中核が集中。サプライヤー網・研究拠点・本社機能が賃金水準を押し上げる。

  2. 労使協約の広がり:協約カバレッジは地域差が残る。協約外の企業が多い地域ではベース賃金が伸びにくい。

  3. スキル移動と人口動態:若年・高スキルの流出入差が、賃金分布の“上側”の厚みを左右する。

  4. 物価・家賃の違い:名目賃金の比較に加え、実質購買力での評価が必要——ただし最近は都市部の家賃高騰で東西差が縮小し、名目賃金の差がより問題視されやすくなっている。


何をすれば縮むのか:実装可能な打ち手

  • 東側への産業誘致×人材政策:半導体・電池・再エネなど“将来の基幹産業”を東に張る。研究拠点と職業訓練(デュアル)をセットで。

  • 協約準拠の公共調達:国・州・自治体の入札要件に「協約水準賃金」を組み込み、賃金ダンピングを抑制。

  • 賃上げ余地の可視化:生産性・利益率データに基づく「支払い能力診断」を労使交渉の共通土台に。

  • インフラ×居住政策:通勤圏の統合(高速・鉄道・デジタル)と、賃上げを相殺しない家賃抑制策。

  • 人への直接投資:保育・教育・看護等の公的サービス賃金を引き上げ、人材流出を止める。


これからのウォッチポイント

  • 2025年秋の主要労使交渉:自動車・機械など輸出産業の妥結水準が、周辺産業に“波及”するか。

  • 東側州政府の投資案件:半導体・電池など大型プロジェクトの決裁と雇用創出。

  • 実質賃金の持続性:インフレ鎮静後にどれだけ手取りが残るか。高金利環境の長期化も鍵。


結び

「統合」は、法と制度の一体化から始まり、賃金という“最も生活に近い指標”で完結する。今回の数字は、その最終章がまだ遠いことを思い知らせた。必要なのは、感情の対立ではなく、データに基づく合意形成だ。東西どちらかの“痛み分け”ではなく、成長の果実を大きくしつつ配分の回路を太くする——そんな政策と交渉のアップデートが、2025年のドイツに求められている。 DIE WELTt-online


参考記事

東西間の賃金格差がさらに拡大
出典: https://business-panorama.de/news.php?newsid=6670857

Powered by Froala Editor

← 記事一覧に戻る

お問い合わせ |  利用規約 |  プライバシーポリシー |  クッキーポリシー |  クッキー設定

© Copyright ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア All rights reserved.