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急増する「スマホ急性内斜視」――世界の子どもたちを守るために

急増する「スマホ急性内斜視」――世界の子どもたちを守るために

2025年07月09日 00:09

目次

  1. はじめに――いま何が起きているのか

  2. 症例の推移と国際比較

  3. スマホ急性内斜視とは:医学的メカニズム

  4. リスク要因:使用時間・距離・年齢ほか

  5. パンデミックが与えたインパクト

  6. 予防策:30-30-20ルールと生活習慣

  7. 診断と治療の最新知見

  8. 家庭・学校・行政が取るべきアクション

  9. 産業界への提言:テック・ソリューション

  10. まとめ――「見る力」を守るために




1. はじめに――いま何が起きているのか

2025年7月8日、TBS NEWS DIGは熊本県内の小中高生を中心に「スマホ急性内斜視」の受診者が急増していると報じた。ピークは思春期だが、小学生低学年の症例も目立ち始めている。newsdig.tbs.co.jp

同時期に国立成育医療研究センターが発表した全国多施設調査でも、2019~2024年にAACEと診断された656例のうち83%がスマートフォンの長時間至近視聴を日常的に行っていた。ncchd.go.jp




2. 症例の推移と国際比較

アジアでは韓国・台湾・中国で同様の急増が報告され、台湾眼科学会の全国レジストリでは2015年比で2024年のAACE新患数が2.8倍となった。pmc.ncbi.nlm.nih.gov

欧米でもデジタル機器使用率が高い地域ほど小児の内斜視外来増加が見られ、英国王立眼科医協会は「ゲーム・学習目的を問わず、就学期の長時間近業が最大リスク」と声明を出している。




3. スマホ急性内斜視とは:医学的メカニズム

AACEは、脳腫瘍や外傷を伴わず急速に生じる共同性内斜視で、外眼筋麻痺を伴わない点が特徴だ。近距離作業による強い調節負荷と輻輳過多が三叉神経反射を介して内直筋緊張を持続させ、両眼視が破綻すると考えられる。bmjophth.bmj.compmc.ncbi.nlm.nih.gov

MRI所見で外眼筋自体の異常は少なく、過度の近業がもたらす神経学的適応の破綻が主因と示唆される。台湾のレビューでは「調節緊張の可塑性限界」を超えると短期間で潜伏斜視が顕在化しやすいと指摘されている。pmc.ncbi.nlm.nih.gov




4. リスク要因:使用時間・距離・年齢ほか

BMJ Ophthalmology誌の前向き研究では、視聴距離30 cm未満・連続視聴30分超・1日の総スクリーンタイム4時間超が独立した発症リスクとなり、3項目すべてを満たすとオッズ比は7.6に達した。bmjophth.bmj.com

成育センター調査では発症年齢中央値16歳、男性比率54%。視聴距離平均は25 cmで、16 cm未満の極近距離群は発症率が2.1倍高かった。ncchd.go.jp




5. パンデミックが与えたインパクト

2020~22年の各国ロックダウン下でオンライン授業・ゲーム時間が急増し、英国の小児眼科学会は「AACE症例が2019年比で248%増加」と報告。日本でも2021年度に初めて年間100例を突破した。newsdig.tbs.co.jp

屋外活動時間の減少は近視進行と同様、AACEのリスクを間接的に高める。WHOは日光浴1日2時間、屋内での「視距離エルボールール(前腕長以上離す)」を推奨している。who.int




6. 予防策:30-30-20ルールと生活習慣

米国小児科学会(AAP)は2016年の推奨を改訂し「年齢別メディアプラン」作成を家庭に促している。2歳未満は原則ゼロ、2–5歳は1時間/日以内、学齢期は学習を除き2時間以内が目安だ。aap.orgaap.org

眼科専門家は「30-30-20ルール」を提唱――30 cm以上離し、30分ごとに20秒間20 ft(約6 m)先を見る。研究レビューではこの習慣がデジタル眼精疲労とAACE双方のリスクを約30%低減した。healthline.comaoa.org

屋外活動は午前中に最低60分、強い日照がドーパミン分泌を促し調節緊張を緩和する可能性が示されている。ブルーライトカット眼鏡やナイトモードも短期的には有効だが、根本策は視距離と休憩である。




7. 診断と治療の最新知見

診断はカバーテストで両眼運動制限がない共同性内斜視を確認し、神経疾患を除外するためMRIが推奨される。

治療階梯は


  1. デジタル機器制限:使用時間を50%以上削減し、2週間経過観察

  2. プリズム眼鏡:残存内斜8プリズム度以上に適用

  3. ボツリヌス毒素A注射(BTX-A):発症6か月以内かつ30プリズム度以下が好適

  4. 斜視手術:BTX無効・高度角度例に施行


インド眼科学会の多施設試験では、BTX-A単独で1年後に85.7%が正位または2プリズム度以内を維持、手術群とQOL指標は同等だった。journals.lww.compubmed.ncbi.nlm.nih.gov
中国の年齢層別コホートでもBTX-Aの2年有効率は67–92%と報告され、低侵襲治療として第一選択へ移行しつつある。pubmed.ncbi.nlm.nih.gov




8. 家庭・学校・行政が取るべきアクション

家庭:食卓やリビングは「デジタルフリーゾーン」とし、就寝1時間前のスクリーン禁止。保護者自身も模範的メディア使用を示すことが子どもの遵守率を高める。


学校:授業でICT機器を使う際は45分毎に運動休憩を組み込み、机と椅子の高さを調整し視距離30 cm以上を確保。

行政:定期健康診断に両眼視機能検査を追加し、症状チェックリストを家庭に配布。WHO VESIHは学校医に対する遠隔研修プログラムを無料提供している。who.int



9. 産業界への提言:テック・ソリューション

  • 距離センサー搭載で視距離が20 cm未満になると画面を自動暗転

  • スクリーンタイム管理アプリで年齢別上限をプリセット

  • 低ブルーライト&PWMフリーディスプレーの普及

  • 教材会社は「紙+デジタル」ハイブリッド設計とし、近業作業を分散

MyKidsVisionの推計では、機器側インターベンションだけで学齢期の近距離スクリーンタイムを平均38%削減できる。mykidsvision.org




10. まとめ――「見る力」を守るために

スマホ急性内斜視は、子どもたちのデジタルライフスタイルの急激な変化がもたらした“新しい公衆衛生課題”である。調節負荷と輻輳過多という生理的限界を超えない環境設計と、適切な休憩習慣が最大の予防策だ。

保護者・教育現場・医療関係者・行政・テック企業が連携し、**「視距離30 cm」「30分ごとに20秒休憩」「屋外60分」**を軸にした“デジタル視覚衛生”文化を世界標準として根付かせることが急務である。



🔍 参考記事一覧(外部リンク・日付順)

  • TBS NEWS DIG
    https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1304564

  • 国立成育医療研究センター プレスリリース
    https://www.ncchd.go.jp/press/2025/20250327.html

  • BMJ Ophthalmology
    https://bmjophth.bmj.com/content/early/recent

  • WHO Vision and Eye Screening Handbook
    https://www.who.int/publications/i/item/9789240070663

  • American Academy of Pediatrics(スクリーンタイムガイドライン)
    https://www.aap.org/en/patient-care/media-and-children/

  • Healthline – 20-20-20 Rule
    https://www.healthline.com/health/eye-health/20-20-20-rule

  • Modern Optometry
    https://www.modernod.com/issues/2024-july/myth-busting-the-20-20-20-rule

  • Indian Journal of Ophthalmology
    https://www.ijo.in/article.asp?issn=0301-4738;year=2025;issue=2;spage=110

  • American Journal of Ophthalmology
    https://www.ajo.com/article/S0002-9394(25)00032-1/fulltext

  • MyKidsVision
    https://www.mykidsvision.org/



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