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ショート動画は本当に「脳を腐らせる」のか? 「映画が最後まで観られない」あなたへ ─ 短尺コンテンツ脳の正体

ショート動画は本当に「脳を腐らせる」のか? 「映画が最後まで観られない」あなたへ ─ 短尺コンテンツ脳の正体

2025年12月06日 10:05

1. 「ショート動画=脳の腐敗?」という強すぎるキャッチコピー

TikTok、YouTubeショート、Instagramリール。


気づけば、縦長の短い動画がSNSの主役になりました。電車を待つ2分、寝る前の5分、仕事の合間の1分──そのたびに私たちは親指ひとつで別世界へ飛び込みます。


そんな日常の風景に冷や水を浴びせたのが、「Experts weigh in: You’re definitely giving yourself brain rot(専門家の見解:確実に“脳を腐らせて”いる)」という英インディペンデント紙の記事です。The Independent


タイトルからしてインパクト抜群。記事では、ショート動画の見過ぎが注意力やメンタルヘルスに悪影響を与える可能性を、最新研究とともに紹介しています。


さらに象徴的なのが、“brain rot(ブレインロット)”がオックスフォード大学出版局による2024年の「Word of the Year(今年の言葉)」に選ばれたこと。オンライン上のくだらないコンテンツを見続けることで、知性や集中力が“腐っていく”イメージを表す言葉として、一気に世界中に広まりました。Oxford University Press


では、この「脳が腐る」という表現はどこまで本当なのでしょうか。



2. 71本・約10万人を解析したメタ分析が示したもの

インディペンデントの記事が紹介しているのは、71本の研究・約98,000人分のデータをまとめた大規模メタ分析です。The Independent
心理学のトップジャーナル Psychological Bulletin に掲載されたこのレビューは、ショート動画の使用と次のような傾向の関連を報告しています。


  • 注意力の低下:一点に集中し続ける力が弱くなる

  • 衝動コントロールの低下:ついスマホを触ってしまう、タスクを途中でやめてしまう

  • 認知機能全体のパフォーマンス低下:記憶や問題解決などのスコアが低め

  • メンタルヘルスへの影響:うつ・不安・ストレス・孤独感が高い傾向PubMed


別の10月の論文では、14本の研究を整理した結果、ショート動画の視聴時間が長いほど学業成績が低く、授業中の集中が続きにくいことも報告されています。The Independent


“brain rot”という俗っぽい言葉に、かなりシリアスなデータが追いついてきている、というのが現在の状況です。



3. ADHD増加との関係──「本物のADHD」か、「ショート動画脳」か

さらに気になるのが、ADHD(注意欠如・多動症)の診断増加との関係です。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の統計では、2022年時点で米国の子どもの約9人に1人がADHDの診断を受けているとされています。The Independent


インディペンデントの記事に登場する研究者キース・ロバート・ヘッド氏は、「ショート動画の見過ぎによる注意力の低下や落ち着きのなさが、本来のADHD症状と重なっている可能性がある」と指摘します。The Independent


もちろん、ADHDは脳の発達に関わる神経発達症であり、「動画を見過ぎたから発症した」と単純には言えません。


しかし、

  • もともとADHDの傾向がある子ほど、刺激の強い動画にハマりやすい

  • ハマればハマるほど、さらに注意力が削られて生活に支障が出る

という“悪循環”が起きている可能性は、複数の研究で示唆されています。PMC



4. 影響を受けるのは若者だけじゃない

「TikTok脳」という言葉から、若者だけの問題だと思われがちですが、専門家は中高年以降の世代にも注意を呼びかけています。


インディペンデントの記事で、スクリーンタイム研究を行う小児内分泌医ニディ・グプタ博士は、高齢者も自由時間が増え、テクノロジーリテラシーが十分でない場合、延々とショート動画を見続けてしまうリスクがあると述べています。The Independent


別の研究では、サウジアラビアを含む複数の国で、ショート動画の長時間視聴が注意力の問題・記憶力の低下・精神的疲労と関連していることが報告されています。The Independent


「若者文化だから自分には関係ない」と思っているうちに、気づけばベッドで何時間もショート動画を見て睡眠時間を削られていた──そんな中年以降の“隠れブレインロット層”も、世界的に増えているのかもしれません。



5. SNSの反応:不安と自虐と開き直り

ショート動画と“brain rot”をめぐる議論は、当然ながらSNS上でも大炎上中です。

 



  • X(旧Twitter)では、メタ分析の結果を紹介するポストがバズり、「71本・約10万人のデータで注意力低下が確認された」といった要約が拡散。コメント欄には「そりゃ2時間映画がもう耐えられないわけだ」「自分の集中力が死んでた理由がこれ」といった自虐的な声が並びます。X (formerly Twitter)

  • Redditのテック系コミュニティでは、「TikTokやリールが脳をダメにするという新研究」というスレッドに、「でもRedditも相当なブレインロット」「ネット全部がそうだろ」という皮肉な議論が続いています。Reddit

  • InstagramやTikTokでは逆に、「ブレインロット・ユーモア」として、あえて意味のない映像や奇妙なAIキャラを集めた動画が人気に。AP通信が報じた“Italian Brain Rot(イタリアン・ブレインロット)”現象は、まさに「意味不明さ」そのものを楽しむムーブメントです。AP News


一方で、クリエイター側からはこんな声も聞こえます。

  • 「複雑なニュースや科学の話を60秒で噛み砕いて説明している。これを“脳の腐敗”と呼ばれたくない」

  • 「ショート動画がなかったら、マイナーな教育コンテンツは人目に触れもしなかった」

実際、ショート動画から学習系チャンネルや長尺動画に流入する視聴者も少なくありません。


SNS上の空気は、「危険だ、禁止すべきだ」という一方的なものではなく、不安・自嘲・擁護・開き直りが入り混じったカオス、と言ったほうが近いでしょう。



6. 「脳が本当に腐る」わけではない──専門家の冷静な視点

ここまで読むと、「やっぱりショート動画は全部ダメなのでは?」と思うかもしれません。
しかし、多くの研究者は**“ブレインロット”を文字通りに受け取るべきではない**とも強調しています。


  • ほとんどの研究は、ショート動画の使用時間とテスト結果・自己報告との相関関係を示しているだけで、「ショート動画が原因でこうなった」と断言できるものではありません。The Independent

  • 注意力の低下やメンタル不調には、睡眠不足・ストレス・学業プレッシャーなど、他の要因も絡んでいます。

  • 過去にもテレビゲームやロックンロール、漫画など、新しいメディアが出るたびに「子どもの脳が壊れる」と騒がれてきた歴史があります。The Independent


インディペンデントの記事で、神経心理学者のジェームズ・ジャクソン氏は「これを心配する人を“時代遅れの老害”だと片付けるのも、逆に“ショート動画は絶対悪だ”と決めつけるのも、どちらも単純化しすぎだ」と語ります。The Independent

要するに、問題はメディアそのものではなく、使い方とバランスだということです。



7. ショート動画とどう付き合うか:5つの実践アイデア

では、私たちは日常生活の中で、ショート動画とどう向き合えばいいのでしょうか。
研究や専門家のコメント、そしてSNS上の「やらかし体験談」を踏まえると、次の5つが現実的な落としどころとして見えてきます。


① 「無意識スクロール」を減らす

メタ分析で問題視されているのは、「目的なくダラダラと見続ける」使い方です。PubMed

  • アプリを開く前に「これから何を見たいか」「何分だけ見るか」を1秒だけ意識する

  • ベッドに入った後は開かないよう、寝室では充電しない、あるいはショート動画アプリを1画面目から外す

といった小さな工夫だけでも、無意識スクロールはかなり減らせます。


② 「見る時間」を“予算化”する

お金と同じで、時間にも予算が必要です。

  • 例:平日は1日30分、休日は1時間まで

  • スクリーンタイム機能やタイマーアプリで、一定時間を超えたら自動的にロックする

中国の研究では、約35分を越えたあたりから、脳の報酬系が過剰に刺激され、“中毒的パターン”が見え始めると報告されています。ニュース.com.au


あくまで目安ですが、「30分ルール」は理にかなったガイドラインと言えそうです。


③ 「深い集中」を取り戻す儀式をつくる

ショート動画は、言ってみれば“集中力を刻んで消費するコンテンツ”です。
そのままでは、本や長い記事、2時間の映画に戻るのが難しくなります。


  • 1日のどこかで、通知を全部切って30分だけ本を読む/勉強する/仕事に集中する時間を確保する

  • その前後の15分はショート動画NGにする

こうした“深い集中の儀式”を習慣にすると、短尺コンテンツで削られがちな集中力を補うことができます。Richmond Journal of Law and Technology


④ 「学び」と「エンタメ」を意識的に混ぜる

全部を教育コンテンツにする必要はありませんが、エンタメ100%のフィードより、学びが混ざったフィードの方が、長期的には自分のためになります。

  • 教育系・ニュース解説・スキル紹介など、少なくとも数アカウントはフォローする

  • 単なる“脳死スクロール”に飽きたら、意図的に「#勉強」「#解説」などのハッシュタグからおすすめを探す

インディペンデントの記事でも、「短尺動画には学習やコミュニティ形成などのポジティブな側面もある」と専門家は強調しています。The Independent


⑤ 子どもには「ルール+対話」で

もし子どもや10代の家族がいるなら、「禁止」だけではうまくいきません。

  • 年齢に応じた1日の視聴時間と、夜の使用時間(例:21時以降は禁止)を家族全員で決める

  • 「なぜ危険なのか」を、研究結果をかみ砕いて一緒に話す

    • 注意力が落ちること

    • 睡眠が削られると成績やメンタルに響くこと

    • アルコールやギャンブルと似た“ハマり方”をする可能性があることニュース.com.au

ルールを守れなかったときも、一方的に叱るより、「何がストレスで、どんなときに見過ぎてしまうのか」を対話する方が、長期的には効果的です。



8. それでも私たちはスクロールをやめられない

ここまで冷静に分析しても、現実には、ベッドの中で「あと1本だけ…」とスクロールしてしまうのが人間です。


“brain rot”という言葉がこれだけ広まったのは、単にショックなフレーズだからではなく、私たち自身がうすうす感じている不安を、うまく代弁してくれたからでしょう。Axios


  • 「昔は本を読むのが好きだったのに、最近は3ページでスマホを触りたくなる」

  • 「2時間映画を観るより、15秒動画を100本見る方がラクだ」

  • 「頭が常にざわざわして、静かな時間が落ち着かない」

こうした感覚は、多くのSNSユーザーにとって“共通言語”になりつつあります。



9. アルゴリズムではなく、「どう使うか」を選び直す

結局のところ、“ブレインロット”を引き起こしているのは、アルゴリズムそのものではありません。
アルゴリズムは、**「ユーザーが長く滞在したくなるもの」**を淡々と最適化しているだけです。


  • 疲れているときほど、何も考えずに済む刺激的なコンテンツにハマりやすい

  • 退屈や不安を埋めるために、次の動画、また次の動画…と求めてしまう

その結果として、私たちの時間・集中力・感情が少しずつ“切り売り”されていく。
これをどこで止めるかを決められるのは、他でもない自分自身です。

インディペンデントの記事に登場する専門家は、「ショート動画を完全にやめろ」とは言っていません。むしろ、「自分にとって価値のある使い方」と「ただの時間泥棒な使い方」を区別することが大事だと繰り返し強調しています。The Independent


“脳が腐る”という極端なイメージに怯えるのではなく、

  • 今日はどれくらいショート動画を見たか

  • それで気分や集中力がどう変わったか

  • 明日はそれをどう調整したいか

この3つをほんの少し意識するだけでも、ブレインロット的な使い方から、もう一段マシな付き合い方へとシフトしていけるはずです。


「スクロールし続けるか」「一度画面を伏せてみるか」。
その小さな選択が、あなたの“脳の未来”を決めるのかもしれません。



参考記事

専門家の意見:それは確実に脳に悪影響を与えています。
出典: https://www.independent.co.uk/life-style/health-and-families/short-form-video-brain-rot-effects-b2878307.html

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