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コンビニ食と若年性大腸がん:20〜40代女性に増える大腸がんリスク “便利な食べ物”が腸に残す小さな傷跡

コンビニ食と若年性大腸がん:20〜40代女性に増える大腸がんリスク “便利な食べ物”が腸に残す小さな傷跡

2025年11月17日 01:39

「便利さ」と引き換えに失っているもの

「仕事が忙しいから、朝は菓子パンと甘いカフェラテで済ませてしまう」
「夜はコンビニのパスタとチキン、デザートにスイーツ」

そんな“あるある”な食生活が、若い世代の大腸を静かにむしばんでいるかもしれない──。

米紙ワシントン・ポストは2025年11月15日付の記事で、50歳未満の女性における大腸ポリープと超加工食品の摂取量の関連を報じた。The Washington Post


この記事の背景には、29,105人もの女性看護師を対象にした、24年にわたる大規模コホート研究がある。研究成果は医学誌 JAMA Oncology に掲載され、世界中のメディアやSNSで大きな話題となっている。ユーリックアラート



看護師3万人を24年間追った結果、何が見えたのか

研究チームが用いたのは、米国の「Nurses’ Health Study II」と呼ばれる前向き研究。40代前後の女性看護師を長期的に追跡し、健康状態や生活習慣の変化を詳しく記録してきた有名なプロジェクトだ。Harvard Gazette


今回の解析では、以下のようなポイントが明らかになった。

  • 対象は50歳未満で、少なくとも2回以上の下部内視鏡検査(大腸内視鏡など)を受けた女性 29,105人。Harvard Gazette

  • 1991〜2015年の24年間、4年ごとに詳細な食事アンケートを実施し、**超加工食品の摂取量(1日あたりの「食」単位)**を推定した。The Washington Post

  • 平均すると、参加者は1日5.7食分の超加工食品を摂取しており、これは総摂取カロリーの約35%に相当する。Harvard Gazette

  • そのうち、もっとも摂取量が少ないグループ(平均3食分/日)と、もっとも多いグループ(平均10食分/日)を比べると、後者は大腸の「従来型腺腫」と呼ばれるポリープを発症するリスクが約45%高かった。The Washington Post


ポリープと聞くと「良性だから大丈夫」と思ってしまいがちだが、放置されれば一部はがんへ進行する。研究に関わったマサチューセッツ総合病院の消化器専門医アンドリュー・チャンは、「平均的な大腸ポリープが長期的にがんへと変化するリスクは約5%だ」としつつ、「小さくても悪性化の可能性はゼロではなく、サイズが大きくなるほどリスクは高まる」と指摘する。The Washington Post


一方で、超加工食品と関連が見られたのは「従来型腺腫」のみで、成長が遅いとされる「鋸歯状病変」には有意な関連は見られなかった。Harvard Gazette


つまり、この研究が示しているのは、「早期にがんへ進行しやすいタイプのポリープ」と超加工食品の間に、より強い結び付きがあるかもしれないということだ。



そもそも「超加工食品」とは何者か

「超加工食品(Ultra-processed foods, UPFs)」という言葉は、ブラジルの研究者が提唱した食品分類「NOVA」で広く知られるようになった概念だ。簡単に言えば、家庭のキッチンではまず使わないような添加物や加工技術を多用し、長い原材料表示と強いマーケティングを伴う工業的な食品を指す。The Washington Post


今回の研究でよく食べられていたのは、

  • 食パンや菓子パン、朝食用シリアルなどのベーカリー・朝食製品

  • ドレッシングやソース、マヨネーズなどの調味料

  • 砂糖入り・人工甘味料入り飲料

といったラインナップだという。The Washington Post


こうした食品は、

  • 食物繊維やポリフェノールなどの保護的な成分が少なく、

  • 塩分・砂糖・飽和脂肪酸が多く、

  • 乳化剤・甘味料・着色料などの添加物を含み、腸内細菌叢に影響する可能性がある、

と栄養学者のサラ・ベリーは解説する。The Washington Post


ただし彼女は同時に、「“超加工”というカテゴリには幅があり、明らかに健康的とは言えないものもあれば、条件付きで役立つものもある」とも述べている。たとえば、全粒粉を使ったシリアルや、減塩・高たんぱくの冷凍食品など、使い方次第で栄養的にプラスになるものも含まれるからだ。The Washington Post



「因果関係」はまだ断定できない

ここで重要なのは、この研究はあくまで「観察研究」であり、超加工食品が大腸ポリープを「直接引き起こした」と証明したわけではないという点だ。研究チームも、「関連は見られたが、因果関係までは言えない」と慎重な姿勢を崩していない。The Washington Post


理由はいくつかある。

  1. 参加者の偏り
    対象はほとんどが白人で高学歴の看護師。医療アクセスも一般の人より良く、結果をそのまま他の国や人種に当てはめることはできない。The Washington Post

  2. 自己申告の食事データ
    アンケート形式の食事調査は有効性が検証されているとはいえ、「食べたつもり」「忘れていた」などの誤差は避けられない。Harvard Gazette

  3. ポリープ=がんではない
    大腸ポリープのうち実際にがん化するのはごく一部であり、「ポリープが増えた」ことと「がんが増えた」ことの間にはまだ距離がある。The Washington Post

それでも、スタンフォード大学などの外部専門家は、「早期発症がんの研究はまだ少なく、今回のような大規模データは貴重だ」と評価している。The Washington Post



世界で増える「若年性大腸がん」という現実

なぜ、この研究がこれほど注目されたのか。その背景には、世界的に50歳未満の大腸がん(early-onset colorectal cancer)が増え続けているという現実がある。

  • 米国では、新規大腸がん患者のうち50歳未満が占める割合が、1990年の6%から2023年には13%へと増加。現在では5人に1人が55歳未満で診断されているという報告もある。GI Oncology Now

  • 国際的な解析では、世界の新規大腸がんの約1割が50歳未満で発症しており、27カ国で若年層の罹患率が上昇している。がん情報センター

  • 日本を含む高所得国では、60〜70代の大腸がんはむしろ減少傾向にある一方で、20〜40代の患者が増えていることが複数の研究で示されている。ランセット


生活習慣の変化、運動不足、肥満、飲酒、喫煙、腸内細菌や環境汚染物質まで、疑われている要因は数多い。最近では、大腸がん患者の腫瘍DNAに、特定の大腸菌が作り出す毒素「コリバクチン」に特徴的な傷跡が残っていたという研究も話題になった。Reuters


超加工食品は、その巨大なパズルの「ひとつのピース」に過ぎない。しかし、今回の研究は「そのピースが思ったより大きいかもしれない」と示唆している。



日本の私たちにも無関係ではない

では、日本に住む私たちにはどの程度関係があるのだろうか。

日本は長らく「米と魚と野菜の国」というイメージで語られてきたが、実際にはここ数十年で食生活は大きく変わった。全国調査を用いた研究では、日本人の超加工食品摂取量が増えるほど、食事全体の質が確実に低下することが示されている。PMC


さらに、国際的な解析では、アジアの中で日本が早期発症大腸がんの増加がもっとも急な国のひとつである可能性も指摘されている。Safe Food Advocacy


コンビニ弁当や総菜、冷凍食品、菓子パン、スナック菓子、エナジードリンク──。
忙しい現代の日本人の生活に、超加工食品は深く入り込んでいる。今回の研究はアメリカのデータだが、「似たような食生活を送っているなら、自分たちの腸でも同じことが起きているかもしれない」と考えた方が自然かもしれない。



SNSがざわついた──3つの代表的リアクション

ワシントン・ポストの記事が公開されると、FacebookやThreadsなどのSNS上でもリンクが次々とシェアされた。Facebook
コメント欄や引用ポストを見ていると、おおまかに次の3パターンの反応が目立つ(以下の声は、実際の投稿を要約・再構成したイメージだ)。



1. 「これまでの食生活が怖くなった」派

「毎日コンビニ食だから、まさに自分のこと…」
「若いのに大腸がんで亡くなった友達を思い出した」

こうした声は特に20〜30代の女性に多く、「仕事と家事で時間がなく、超加工食品に頼らざるを得ない生活」と研究結果を重ね合わせている人が多い印象だ。

怖さと同時に、「検診に行こうと思った」「とりあえず甘い飲み物を減らす」といった行動変容のきっかけになっている様子もうかがえる。



2. 「また“○○は危険”記事か」と冷静なツッコミ派

「観察研究だから因果関係は分からないのに、見出しが煽りすぎでは?」
「野菜を食べる人はそもそも健康意識が高くて、他の習慣も違うのでは」

疫学研究に慣れた人や研究者らしきアカウントからは、「リスク45%増」といった数字の解釈に注意を促す投稿も多い。
例えば、CBSニュースは「超加工食品を3食分とる人のポリープリスクがおよそ3%、10食以上の人では5%」という絶対リスクの違いも報じている。CBSニュース


「45%増」と聞くとギョッとするが、絶対値で見ると「100人中2人ほどの差」に過ぎない。もちろん、それでも公衆衛生上は無視できない差だが、個人のレベルでは「すぐに病気になる」というイメージとは少し違う。



3. 「個人の努力だけの問題ではない」派

「安いのは超加工食品ばかり。健康的な食品がもっと買いやすくならないと」
「広告や食品表示のルールを変えないと若者は守れない」

ヨーロッパでは、すでに超加工食品のラベル表示義務や、子ども向け広告の制限が議論されている。今回の研究結果を受け、「個人の自己責任」ではなく「環境のデザイン」を見直すべきだという議論もSNS上で盛り上がっている。



じゃあ、私たちは何をどう変えればいいの?

ここまで読むと、「結局、何を食べればいいの?」という疑問が残るかもしれない。
研究者たちは、決して「超加工食品を一切食べるな」と言っているわけではない。

スタンフォード大学のダイアナ・ペレルマンは、「完璧な食生活を目指す必要はなく、小さな置き換えから始めればよい」とコメントしている。The Washington Post


ワシントン・ポストの記事でも、次のようなシンプルな代替案が紹介されていた。

  • スナック菓子の代わりに、素焼きのナッツをひと握り

  • 甘いシリアルの代わりに、プレーンオートミール+少量のメープルシロップ

これを日本の生活に当てはめるなら、例えばこんな工夫が考えられる。

  • 菓子パンを「ごはん+納豆+卵」に替える日を週に数日つくる

  • 甘いペットボトル飲料を、水・お茶・無糖炭酸に一部置き換える

  • コンビニ弁当を選ぶとき、揚げ物ではなく焼き魚や煮物が入ったものを選ぶ

  • デザートは“毎日”ではなく、“週に数回”にする


大切なのは、**「ゼロか100か」ではなく、「少しずつ割合を変える」**という発想だ。
1日のうち超加工食品が占める割合を少しずつ減らし、代わりに野菜、果物、豆類、全粒穀物、魚などを増やしていく。そうすることで、腸内細菌叢や炎症レベルを穏やかに改善できる可能性があると、複数の研究が示している。PMC



検診と“違和感への敏感さ”もセットで

食生活の見直しと同じくらい重要なのが、検診と症状への気づきだ。

  • 米国では、若年層の大腸がん増加を受け、平均リスクの人の検診開始年齢を45歳に引き下げた。がん情報センター

  • 直腸出血などの症状が、50歳未満の大腸がんリスクを8倍以上高める強力なサインであるという研究も報告されている。ニューヨーク・ポスト

日本でも、40歳以上を対象に大腸がん検診(便潜血検査)が推奨されているが、受診率は決して高くない。国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向けサイト


「若いからまだ大丈夫」と思わず、血便・便通の急な変化・原因不明の体重減少などが続くときは、年齢に関係なく消化器内科を受診してほしい。



「恐怖」ではなく「選択肢」を増やすために

超加工食品は、忙しい現代人にとって「時間とお金を節約できる便利なツール」だ。一方で、今回の研究や世界各地のデータは、その便利さが腸と将来の健康へのリスクと引き換えである可能性を示している。


  • 完全に避ける必要はない

  • でも、「どれくらいの頻度で」「何を、何に置き換えるか」を考える価値はある

ワシントン・ポストの記事の中で、研究者のチャン医師はこう語っている。
「これは大腸がんというパズルの一部にすぎません。ただ、その部分に私たち自身で手を加えられるかもしれない、貴重なピースなのです」The Washington Post


食べ物は、毎日の小さな選択の積み重ねだ。
次にコンビニやスーパーの棚の前に立ったとき、あなたはどのパッケージを手に取るか。
その選択が、10年後・20年後の自分の腸の風景を、少しだけ変えていくのかもしれない。



参考記事

「超加工食品が若い女性のポリープリスクを増加させる可能性、研究結果」とワシントン・ポストが報じる
出典: https://www.washingtonpost.com/wellness/2025/11/15/ultra-processed-foods-polyps-colorectal-cancer/

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