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その魚、どこまで安全? PFASが食物連鎖で増幅する「見えないルート」

その魚、どこまで安全? PFASが食物連鎖で増幅する「見えないルート」

2025年12月24日 09:33

上海沖の海を、バンドウイルカが泳ぐ。狙うのは一匹の魚──だが、その魚が食べてきた“さらに小さな魚”、その小魚がついばんだ“プランクトン”、そして海水に漂う“ごく微量の化学物質”までさかのぼると、話は一気に私たちの食卓へつながってくる。PFAS(Per- and Polyfluoroalkyl Substances:有機フッ素化合物)は、そうやって食物連鎖をのぼり、最後に大きく効いてくる。 phys.org


「永遠の化学物質」が、なぜ厄介なのか

PFASは耐熱・撥水・撥油といった“便利さ”を武器に、食品包装、フライパンの非粘着加工、衣類、洗浄剤、泡消火剤など幅広い用途で使われてきた。物質群としては1万2,000種以上ともされ、しかも分解されにくい。環境に出たPFASは長く残り、土壌や水を移動し、生物の体内にも蓄積していく。だから“forever chemicals(永遠の化学物質)”と呼ばれる。 phys.org


新しい研究が示したのは「倍々ゲーム」

今回注目を集めたのは、世界各地の食物網(food web)を束ねた大規模メタ解析だ。研究チームは、世界の119の食物網(陸上・水域を含む)、64研究から、72種類のPFASについて「栄養段階増幅係数(TMF)」1,009件を統合した。結論は明快で、PFAS濃度は栄養段階が1つ上がるごとに平均で約2倍に増幅する(平均TMF=2.00、95%CI 1.64–2.45)。 Nature


“平均で2倍”と言われるとピンと来ないかもしれない。だが、食物連鎖は階段だ。仮に基礎段階(プランクトン付近)で1だとして、次が2、その次が4、さらに8、16…と上がっていく。頂点捕食者(大型魚、海鳥、海棲哺乳類など)に到達する頃には、環境中の濃度が低くても、体内負荷が“指数関数的”に膨らむ可能性がある。研究者が「低汚染に見える環境でも、頂点捕食者が不釣り合いに高曝露になり得る」と警告する所以だ。 phys.org


さらに厄介な点:PFASは“全部同じ”ではない

この研究がもう一段踏み込んだのは、「PFASは一枚岩ではない」という現実だ。化学物質ごとに、どれだけ増幅するかは大きく異なる。中でも研究が“要注意”として名指ししたのが、工業用途の代替PFAS「F-53B」で、最も高い増幅(TMF=3.07、95%CI 2.41–3.92)を示した。使用が広がっている一方で規制の網が薄いことも、リスクを押し上げる。 Nature


ここが、社会が何度も繰り返してきた“置き換えの罠”と重なる。問題視された物質を減らすための代替品が、毒性評価や環境動態の検証が十分でないまま普及し、のちに同等以上の問題を起こす──PFASでも、そのパターンが再演されかねない。Phys.orgの記事も「より安全とうたわれた代替品の一部が、置き換え対象より強く増幅する可能性」を強調している。 phys.org


“数値のブレ”は何を意味するのか:測り方が結果を左右する

一方で研究チームは、TMFのばらつきが大きい理由として「研究ごとの方法差」を主要因に挙げた。つまり、同じ自然を見ているつもりでも、採取法・解析法・モデル化の違いで、増幅度の推定が揺れる。この問題を放置すると、規制やリスク評価が“比較不能なデータ”に基づくことになってしまう。研究は、標準化が必要であり、どの物質を優先的に監視・規制するかの枠組みづくりを促している。 Nature


人間の健康リスクは?──「確からしさ」と「不確かさ」を分けて見る

ここで一番気になるのは、「結局、食べても大丈夫なの?」だろう。まず確かなのは、私たちが食物連鎖の上位にいる以上、食事がPFAS曝露の経路になり得るという点だ。Phys.orgの記事もその点を明言する。 phys.org


一方で、“PFAS=特定の病気が確実に起きる”と短絡するのは危険だ。例えばオーストラリアの専門家パネルは、PFAS曝露と健康影響の科学的根拠は限定的で、観察される差は概して小さく、特定の疾患との明確な因果は「限定的/ない」と整理する(ただし重要な影響を完全には否定できない、とも述べる)。 Australian Centre for Disease Control


欧州では別の角度から、食事由来曝露の管理を進めている。EFSA(欧州食品安全機関)は2020年、4種PFAS(PFOS/PFOA/PFNA/PFHxS)の合算について「耐容週間摂取量(TWI)4.4 ng/kg体重/週」を設定し、免疫(ワクチン反応低下)を重要影響として扱った。 European Food Safety Authority


要するに、「危険か無害か」の二択ではなく、①増幅して上位に集まりやすい、②影響が疑われる領域がある、③ただし疾患との確定はまだ難しい──この三つを同時に抱えた“管理の問題”として見たほうが現実に近い。


規制の盲点:「毒性」だけ見ていると、食物連鎖の上で負ける

Phys.orgの記事で印象的なのは、研究者が「急性毒性だけでなく、食物連鎖でどれだけ増幅するか(magnification data)を規制判断に入れるべきだ」と訴えている点だ。たしかに、毒性が同程度でも、上位に集まりやすい物質は“実効リスク”が上がる。さらに、物質ごとの差が大きい以上、「PFAS一括り」ではなく、化学物質ごとの情報に基づく規制(compound-specific)を求める主張も筋が通る。 phys.org


SNSの反応:研究者の発信と「食生活」への議論

今回の研究は、SNS上でも“研究発信→一般の解釈”という流れで広がった。Altmetricの集計では、Xで2投稿、Blueskyで5投稿が確認されている。 Altmetric


研究者サイドの発信
筆頭著者の一人はXで「PFAS汚染は食物連鎖で急速に上がり、段階ごとに倍増する。生態系・野生生物・人の健康にとって重要だ」と要旨を発信している(投稿文面はAltmetric上で確認できる)。 Altmetric


研究者自身が“論文の読みどころ”を短く提示することで、ニュース記事より先に「倍増」というメッセージが独り歩きしやすいのも、現代的だ。


一般の生活感覚に引き寄せた反応
Blueskyでは、Science X(Phys.org)が「上に行くほどPFASが増える」点を投稿し、複数ユーザーがリポスト。中には「汚染を止めるのが第一だが、食物連鎖の下位=植物中心の食生活へ寄せる理由にもなる」と、食の選択へ議論を接続する声も見られた。 Altmetric


また、日本語圏のX投稿でも「やはりPFASは食物連鎖で増幅される可能性がある」と、研究の方向性を受け止める反応が確認できる。 Altmetric


こうした反応は、「怖いから魚をやめる」へ短絡しがちな一方で、「汚染源対策や規制の設計をどうするか」「代替品の安全評価をどう担保するか」へ議論を押し広げる入口にもなる。


では、私たちは何を基準に動けばいい?

個人ができることは、過剰な自己責任化と無関心の間にある。

  • “食物連鎖の上位ほど濃縮しやすい”を前提に、地域の注意喚起を確認する(特に水域汚染が問題になっている地域の魚介類など)

  • 代替PFASも含め、製品側のPFAS削減の流れを後押しする(購入行動・企業開示のチェック・自治体や国のルール作りへの関心)

  • **「毒性だけでなく増幅しやすさも」**という視点で、規制や監視の設計を評価する(今回研究が突いた論点) phys.org


PFAS問題は、今日食べた一皿だけの話ではない。環境に残り、食物連鎖をのぼり、世代をまたいで管理が必要になるタイプの汚染だ。だからこそ「研究で何が分かったか(倍増)」「何がまだ不確かか(健康影響の因果の確度)」「政策の穴はどこか(増幅の扱い)」を切り分けて、議論を前に進めたい。 Nature


参考記事

PFASの濃度は、食物連鎖の段階が上がるごとに2倍になる可能性があります。
出典: https://phys.org/news/2025-12-pfas-food-chain.html

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