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写真映えする害虫? SNSで拡散「白い指輪」パニック

写真映えする害虫? SNSで拡散「白い指輪」パニック

2025年06月09日 12:12

はじめに――「白い指輪」が北イタリアを包囲する

今年5月末、北イタリア・ロンバルディア州の街路樹や庭園に、綿菓子のような白いリングが一斉に現れた。現地メディアは「Signora degli Anelli(指輪の貴婦人)」、ドイツ紙は「Herrin der Ringe(リングの女王)」と呼び、その正体が日本原産の外来カイガラムシ Takahashia japonica であると報じた。木漏れ日の並木道に連なる不気味な首飾りは、実は雌成虫が数千個の卵を守る“育児嚢”だという。専門家が「有効な農薬はまだない」と頭を抱える中、SNS では驚きとユーモア、そして不安が錯綜している。merkur.decorriere.it



1 どんな害虫か――「リング」の構造と爆発的繁殖力

  • 種名と形態

    • 和名は「ワタフキツノカイガラムシ」。雌は卵嚢を体外に押し出し、直径5〜7 cmのリングを形成する。このリングは蝋質で、乾燥するとゴムのように弾力をもつ。

  • 繁殖サイクル

    • 雌1匹あたり年間4,000〜5,000個の卵を産む。5月に産卵し、6月に幼虫(ネンニド)が孵化、葉裏に移動して樹液を吸い夏を越す。秋に越冬場所へ戻り、翌春に羽化して再び産卵する単世代制。merkur.de

  • 被害樹種

    • アカエゾマツ・ハルニレなど日本の在来種よりも、イタリアではイロハモミジ、エルム、シマトネリコ、ユダノキ、ニレ、シラカバ、リキダンバーなど街路樹や公園樹が集中的に被害を受ける。merkur.detg24.sky.it



2 被害の実態――ロンバルディアから広域へ

ロンバルディア州植物防疫局は2017年に最初の侵入を確認して以来、年次調査を継続してきたが、2025年は被害が「過去最大規模」に拡大。

  • 地理的拡散

    • 2017年 ミラノ郊外チェッロ・マッジョーレで初検出

    • 2020年 コモ湖畔・モンツァ・ブリアンツァ県に拡大

    • 2023年 ヴァレーゼ・ベルガモ南部で市街地に定着

    • 2025年 パヴィーア県ワイン産地オルトレポ・パヴェーゼでも確認merkur.dewired.it

  • 気候変動との関連

    • 近年の暖冬と春季高温により、卵嚢の越冬生存率が上昇。専門家は「温暖化が繁殖を後押ししている」と指摘する。merkur.dewired.it



3 対策の難航――「切る」か「見守る」か

  • 化学的防除の行き詰まり

    • 登録農薬なし。研究段階ではオレンジオイル、ニーム油、鉱物油、カリ塩剤などが試されているが、効果と環境リスクのデータが不足。

  • 生物的防除の限界

    • マダラテントウ (Adalia bipunctata) を放飼する自治体もあるが、必要個体数が膨大で生態系攪乱を懸念する声が強い。corriere.it

  • 物理的防除

    • 「孵化前(5月中)に卵嚢の付いた枝を剪定し、ビニール密封して焼却」が推奨される。ただし街路樹全てを切るのは景観・コスト両面で非現実的。



4 SNSで拡散する「リング」ショック


  • イタリア語圏のハッシュタグ

    • #SignoraDegliAnelli(指輪の貴婦人)

    • #TakahashiaJaponica

    • #AnelliBianchi(白いリング)

  • 代表的な反応

    1. 「庭のモミジがタコの輪切りみたいに!」――写真付きツイートが4万インプレッション。

    2. 「子どもの首飾りかと…触ったらベタベタで悲鳴を上げた」――TikTok動画が120万回再生。

    3. 「ロンバルディア版『未知との遭遇』」とジョークを飛ばす投稿も。

    4. 一方で園芸家コミュニティは「むやみに薬剤散布しないで。まず当局に通報を」と注意喚起。

  • 公式アカウントの発信

    • ロンバルディア州公式X(旧Twitter)〈@RegLombardia〉は「木の卵嚢を見つけたらアプリ FitoDetective で位置情報を送信して」と呼びかけている。twitter.com

    •  
  • 世論の分岐

    • 「人畜無害なら放置でいい」という安堵派

    • 「景観も農作業も台無しだ」という危機感派

    • 「外来種問題は気候変動の警鐘」と環境政策に結びつける声――議論は拡散の一途をたどる。



5 専門家の視点――日本への教訓

日本は本種の原産地だが、国内では天敵網と気候が抑制要因となり大発生の記録は少ない。

  • 輸出植物検疫への影響

    • イタリアから輸入される花木や苗木に検疫強化の可能性。

  • 国内公園樹の脆弱性

    • イタリアで被害が大きいリキダンバーやユダノキは日本でも人気の園芸樹種。気温上昇下では「逆輸入的」被害も理論上あり得る。

  • 都市緑化計画への示唆

    • 単一樹種の並木は外来害虫の「高速道路」になる。多様性を持たせる植栽設計がリスク分散になると指摘される。



6 現地住民インタビュー(SNS DMより要旨)

  • ミラノ郊外:30代女性・庭師

    「昨年は10本中2本だったが今年は全部にリングが下がった。剪定ゴミの捨て方が難しくて困る」

  • パヴィーア県:ワイン農家

    「今のところ葡萄は無事。ただ景観が悪く、観光客が写真を撮ってSNSに上げるから『病気の畑』みたいに見えてしまう」

  • ベルガモ市:生物教師

    「授業で話題にしたら生徒が“宇宙生物”だと盛り上がった。外来種と地球温暖化の関係を学ぶ良い教材だと思う」



7 まとめ――「景観害虫」が映す社会課題

白く美しいリングは、外来種リスク・気候変動・都市生態系の脆弱さといった複数の問題を可視化する“鏡”でもある。ロンバルディアの街路樹が示す未来は、同緯度の東京やソウルにも重なるかもしれない。解決の鍵は――

  1. 早期発見:市民参加型アプリで分布を可視化

  2. 多層的対策:剪定/天敵/新薬開発の並行推進

  3. コミュニケーション:SNSを「パニック拡散」から「知識共有」へ転換

指輪は決して“指輪物語”の呪いではない。だが、放置すれば都市の緑陰は静かに失われる。私たちが取るべき行動はリングを切り落とす一時凌ぎより、環境との長い物語を紡ぐことなのだ。


参考記事

「対策はほとんどない:小さな寄生虫が北イタリアの多くの地域を襲う - メルクル」
出典: https://news.google.com/rss/articles/CBMixwFBVV95cUxNcWtjT0tOWmdVZ3E4SWlwM3VTS2t1c3VkNTBaajY2SEZfVVJ3aG8yVWFYd1RHMzNkTkg5RzljamFEaW5ZYXQwSGtZRVZMR0gxS2hNVUR3VEt4Z0hQUzdZc0EwSlhRRFRSWUtjNC0xb2VlMGJ3UWZVU2tXZlZOSWFaVVBqWlRCWHRPRVh2MndyOFlUSUttXzRUN2IzRWtQaFJGWUliX1kyYVN1dk9jQVFhM0ZEZ1d4Ukp6czVYRjkxX0k5YzFlVHVn?oc=5

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