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タコの祖先はじつはイカ寄り?コウモリダコがつなぐタコとイカの物語

タコの祖先はじつはイカ寄り?コウモリダコがつなぐタコとイカの物語

2025年11月27日 11:33

「血は吸わない吸血鬼」が進化の主役に

深海の闇をふわりと漂う、黒赤色のマントをまとった生き物。
「ヴァンパイア・スクイッド(吸血イカ)」という物騒な名とは裏腹に、彼らは血を吸うどころか、海中を舞う“海のゴミ”=マリンスノーをせっせと集めて食べる、おとなしい掃除屋だ。ウィキペディア


その吸血イカがいま、進化生物学のど真ん中に躍り出ている。
ウィーン大学や国立和歌山高専、島根大学などの国際チームが、この生物のゲノムを高精度で解読し、タコとイカの共通祖先が「タコ寄り」ではなく「イカ寄り」だったことを強く示す結果を発表したのだ。Phys.org


コウモリダコという“はざまの存在”

吸血イカの和名はまだ定着していないが、日本語ではしばしば「コウモリダコ」とも呼ばれる。記事中でも、研究代表の吉田正明氏が「日本語名は『コウモリダコ』、バットオクトパスという意味」と紹介している。Phys.org

  • 8本の腕はタコと同じ

  • しかし腕どうしをつなぐコウモリ状の膜や、体内に残る“殻のなごり(グラディウス)”はイカに近い

  • 生態的には、タコ・イカどちらにもあまり似ておらず、深海の低酸素環境に特化した「省エネ型デトリタス食」専門家

という具合に、形態・生態ともにタコとイカの中間的な特徴を持つ生物として、以前から注目されてきた。ウィキペディア


今回の研究は、こうした“はざまの存在”に、ゲノムというレベルから光を当てたものだ。


110億塩基対、史上最大級の頭足類ゲノム

研究チームは、吸血イカのゲノムをクロモソームレベルで組み立て、その全長が110億塩基対超——ヒトの約4倍に達することを明らかにした。これはこれまで解析された頭足類の中で最大規模だ。


しかし驚きはサイズだけではない。
通常、ゲノムが巨大化すると、染色体の構造は複雑にシャッフルされがちだ。ところが吸血イカでは、染色体の並び方が、より原始的なイカやコウイカの仲間に近い“古代型”のまま、驚くほどよく保存されていたのである。univie.ac.at


研究者たちは、こうした特徴から吸血イカを「ゲノム版の“生きた化石”(genomic living fossil)」と位置づけている。univie.ac.at


タコのゲノムは「融合とシャッフル」でできていた

では、吸血イカと比べたとき、現生タコのゲノムはどう違うのか。


チームは、外洋性の「カイダコ(Argonauta hians)」など他のタコの仲間のゲノムもあわせて比較し、タコの染色体は、イカ型の祖先ゲノムが「fusion-with-mixing(融合と混合)」と呼ばれる過程を経て再編成された結果だと結論づけた。univie.ac.at


これは、ただ染色体がくっついただけでなく、

  • いくつもの染色体が融合

  • その内部で遺伝子の並び替え(再配置)が起こる

  • 新しい「染色体の地図」が作られる

というダイナミックな再構築を意味する。
その結果として、タコ特有の柔らかい体、器用な腕、殻を失った生活様式など、形態の大進化が一気に進んだと考えられるのだ。univie.ac.at


研究のポイントは、「新しい遺伝子が次々と生まれたから進化した」というよりも、「もともとあった遺伝子を、染色体レベルで並べ替えた結果として多様化した」と示したところにある。


共通祖先は「タコっぽいイカ」だった?

従来、タコとイカの系統関係は、化石記録や形態比較から「イカ型の祖先から殻が退化してタコが出てきた」と推定されていたが、その詳細は曖昧だった。ウィキペディア


今回、吸血イカという“中間型”のゲノムが手に入ったことで、次のようなストーリーが、かなり具体的な形を持つようになった。

  1. 約3億年前、タコ・イカの共通祖先(イカ寄りのコウイカっぽい動物)が存在

  2. そこから

    • デカポディフォルム(イカ・コウイカ):比較的祖先型の染色体構造を維持

    • オクトポディフォルム(タコ・吸血イカ):うちタコが染色体の大規模再編成で“タコ的”形態を獲得

  3. 吸血イカは、その途中段階の染色体構造を今も保持するゲノム上の中間種

つまり、**「タコのご先祖は、思っていた以上にイカっぽかった」**というわけだ。univie.ac.at


深海に潜む“省エネ・デザイン”の勝利

吸血イカ自身も、進化の話抜きにして十分に奇妙で魅力的な生き物だ。

  • 全長30cmほど

  • 世界の温帯〜熱帯の深海600〜900m、酸素がほとんどない「酸素最小層」に棲む

  • 代謝を極限まで落とし、ゆっくり漂いながらマリンスノーを集めて食べる“省エネ生活”

  • 危険を感じると、マントを裏返してトゲだらけの「パイナップル姿」になり、さらに青緑色に光る粘液をまき散らして敵をくらませる

といった、とんでもない適応のオンパレードである。ウィキペディア


深海の環境は、3億年前から大きく変わっていないとされる。
そのため、「深海に逃げ込んだ吸血イカの祖先は、環境が安定していたおかげで、染色体レベルでも“古代のまま”進化がスローモーションになったのではないか」という見方もできる。ウィキペディア


言い換えれば、**「進化が早く進んだタコ」と、「環境にぴったりハマって変わらなくてよかった吸血イカ」**という、対照的な二つの成功パターンが、同じ頭足類から生まれたことになる。


SNSでは「ラブクラフト級」「やっぱり地球外生物」?

このニュースは、物理・生物系ニュースサイトPhys.orgや大学のプレスリリースなどから世界中に配信され、X(旧Twitter)やThreadsなどのSNSでもじわじわ拡散している。Phys.org

 


Xでは、サイエンス系アカウントが

  • 「#Research Vampires in the deep, an ancient link between octopuses and squids」とリンク付きで淡々と紹介する投稿X (formerly Twitter)

  • 「ゲノムの“生きた化石”が見つかった」「タコとイカの分岐を直接つなぐ存在だ」と解説するスレッド

などを立て、研究者やオタク層を中心にリツイートが増えている。

一方で、深海生物好きが集まるコミュニティや、過去の“ヴァンパイア・スクイッド”動画で盛り上がったRedditなどでは、

  • 「頭足類はやっぱり地球の“ほぼエイリアン”」

  • 「ラブクラフト作品そのままの見た目なのに、やっていることはひたすら海の掃除」

といったコメントが付き、「見た目はホラー、中身はエコヒーロー」というギャップに驚く声も多い。Reddit


日本語圏でも、「コウモリダコって名前が推せる」「タコもイカも好きな人にはたまらないニュース」といったポジティブな反応が先行しており、専門的な内容のわりに、ビジュアルと名前の強さで拡散しやすい題材になっている。


進化を「遺伝子の数」から「染色体のデザイン」へ

この研究がユニークなのは、進化の駆動力を「新しい遺伝子の発明」ではなく、「染色体レベルの再配置」へと視点を移している点だ。

同じゲノムの中身でも、

  • どの遺伝子が、どの染色体のどの位置にあるか

  • 近くに置かれた遺伝子どうしが、どのタイミングで一緒に働くか

によって、生物の姿かたちは大きく変わりうる。
タコの驚くべき知能や器用さも、遺伝子セットそのものより、その「配線図」の変化に支えられているのかもしれない。Discover Magazine


吸血イカの“保存版ゲノム”と、タコの“改造版ゲノム”を並べて比較できるようになったことで、これからは「どの染色体再編成が、どの形態変化とリンクしているのか」を、より具体的に追えるようになるだろう。


深海から届いた「これからの問い」

今回の成果は、もちろんタコ・イカ好きにとって最高のニュースだが、それだけでは終わらない。

  • 深海という、気候変動の影響がじわじわ届きつつある環境で、吸血イカのような“低代謝・長寿命”の生き物がどこまで耐えられるのか

  • 酸素最小層でのデトリタス食というライフスタイルが、海洋の炭素循環や気候システムにどれだけ効いているのか

  • 染色体の大規模再編成という現象が、他の動物グループの進化にもどこまで共通する仕組みなのか

など、今後の研究テーマはむしろ増える一方だ。Discover Magazine


深海の“吸血鬼”は、私たちの血を吸う代わりに、進化と地球環境の物語をたっぷり吸い込んだ巨大なゲノムを差し出してくれた。


その情報をどう読み解くかは、これからの研究者と、そしてニュースを追いかける私たちの好奇心にかかっている。



参考記事

深海の吸血鬼:タコとイカの古代のつながり
出典: https://phys.org/news/2025-11-vampires-deep-ancient-link-octopuses.html

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