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苦しい思いの行き場を、電話の向こうに――孤独と不安が増える時代に「電話相談」が果たす役割

苦しい思いの行き場を、電話の向こうに――孤独と不安が増える時代に「電話相談」が果たす役割

2025年12月21日 12:30

はじめに:話す相手がいない夜に、「電話の向こう」の存在が支えになる

孤独や不安は、目に見えないぶん「自分だけが弱いから」と思い込みやすい感情です。ですが実際には、同じように苦しい思いを抱え、誰かに話したくても話せない人は少なくありません。

ドイツの報道では、ひとり暮らしの高齢女性が「もう話せる人がいない」と電話相談にかける場面が描かれています。特別な事件が起きたわけではない。けれど、心が「軌道を外れた」感覚になり、どうにも落ち着かない。そんなときに“今すぐ話せる相手”として電話相談が選ばれているのです。 tagesspiegel.de



ドイツの「TelefonSeelsorge」とは何か:120万件超が示す“社会の温度”

ドイツの電話相談(TelefonSeelsorge)は、つらさを抱えた人が匿名でつながれる支援として長く機能してきました。記事によれば、2025年も「120万件を超える電話」が寄せられ、前年と同水準だったとされています。 tagesspiegel.de


注目すべきは「どんな話題が多いのか」です。TelefonSeelsorge Deutschlandの会長であり、現場も率いる人物(Ludger Storch)は、相談の中心にあるのは恋愛や家族などの“関係性の悩み”だけでなく、関係が「ない」こと――つまり孤独だと説明しています。「多くの人が途方に暮れ、落ち着きを取り戻すための“負担の軽減”を求めている」という言葉は、電話相談が“アドバイスの場”というより“心を一度ほどく場”であることを示しています。 tagesspiegel.de



どんな悩みが多いのか:孤独は「最大のテーマ」になっている

記事は、孤独や不安だけでなく、相談の中で次のような深刻なテーマも明らかになると伝えています。

  • 絶望感、希望の喪失、悲しみ

  • 自殺念慮(死にたい気持ち)

  • 性暴力被害

  • 依存(アルコール・薬物など)

  • 心の病や精神的な不調 tagesspiegel.de


ここで大事なのは、「深刻な悩み」だけが電話相談に持ち込まれるわけではない、という点です。
たとえば記事では、パートナーとのストレスで「暴力を振るってしまいそうだから落ち着きたい」という男性の相談が紹介されています。本人が“自分を止めたい”と考え、衝動が現実になる前に相談する。これは、電話相談が“危機の直前”で人を踏みとどまらせる可能性を持つことを示す例でもあります。 tagesspiegel.de



誰が利用しているのか:女性が約3分の2、50〜70代が最大層

記事によれば、電話相談の利用者は「約3分の2が女性」で、年齢層では「50〜70歳が最も多い」とされています。 tagesspiegel.de


この傾向は「女性の方が弱い」という話ではありません。
むしろ、助けを求める行動に踏み出しやすい/踏み出しにくいという文化や役割期待の差、孤立の形(介護、離別、仕事の変化など)が影響している可能性があります。電話相談の統計は、個人の性格というより「社会の構造」を映す鏡になりがちです。



若い世代は“電話よりオンライン”:2025年は約9万件のチャット・メール

もう一つ、近年の大きな変化が「相談の手段」です。記事では、若い人ほど電話よりもチャットやメールを選ぶ傾向が強く、2025年にはオンラインでの接触が約9万件あったと伝えています。主な利用者は20〜40代が中心で、内容としては「試験が怖い」「人と関わるのが怖い」といった不安が多いといいます。 tagesspiegel.de


ここで語られているのは、“単なる緊張”ではなく、社会的接触の喪失から対人恐怖(社会不安)に近い状態へと進むケースです。コロナ禍を経て、人間関係の回復が思ったより難しくなっている人がいる――その現実が、オンライン相談の増加に表れていると読めます。 tagesspiegel.de



なぜ不安が増えるのか:パンデミックの余波と、遠い戦争が心に落とす影

記事では、不安の背景として、パンデミック後の社会的孤立に加え、ガザやウクライナなどの戦争・紛争が“既存の不安をさらに強める”ことがあると述べられています。 tagesspiegel.de


ニュースを見ているだけなのに、心拍が上がる。眠れない。未来が怖い。
こうした反応は「気にしすぎ」ではなく、人が危機情報にさらされ続けたときに起こりうる自然な反応です。特に、元々不安が強い人や、生活に余裕がない人ほど、遠い出来事が“自分の生活の崩壊予告”のように感じられてしまうことがあります。



「地域差」や「属性の不安」も相談に現れる:多文化地域での揺らぎ、LGBTQ+の恐れ

記事は、電話相談員が地域差を感じていることにも触れています。多様な文化的背景を持つ人が多い地域では、「これまで得てきた自由や安全が、今後も保たれるのか」という不安が出やすいという指摘があります。さらに、同性愛者が差別や抑圧(排除や不利益)への恐れを語ることもある、と述べられています。 tagesspiegel.de


これは、孤独や不安が「個人の内側」だけではなく、社会の空気や政治・言論、治安、価値観の変化と密接に結びついていることを示します。
“安心して生きられる感覚”が揺らいだとき、人は「誰かに確かめたい」「ここに居ていいのかを聞きたい」と思う。その受け皿が、電話相談にもなっているのです。



電話相談は誰が支えているのか:7,800人のボランティアと「1年の養成」

TelefonSeelsorgeは、全国で約7,800人のボランティアによって支えられ、活動前に1年かけて準備・研修を受け、継続的に学び続ける仕組みだとされています。 tagesspiegel.de

「電話に出るだけなら誰でもできる」と思われがちですが、実際は逆です。
相手を評価せずに聴き、危機を見立て、必要なら専門機関につなげ、境界線(依存・過度な期待)も保つ――こうした力は訓練が必要で、個人の善意だけに任せては壊れてしまいます。



“つながること”自体が難しくなっている:資金難と支援の持続性

記事では、資金調達が難しくなっていることも語られています。教会税からの資金が縮小し、連邦・州からの補助も減る中で、24時間365日体制を維持するには寄付への依存が高まっているという状況です。 tagesspiegel.de

支援は「必要なときにそこにある」ことが命です。
だからこそ、こうしたインフラが“当たり前に続く”わけではない、という現実も知っておく必要があります。



日本の読者へ:同じ「孤独」でも、日本では“言葉にする前”で止まりやすい

ここからは、日本の読者向けに視点を少し移します。


日本では「迷惑をかけたくない」「こんなことで相談していいの?」という感覚が強く、苦しさを言語化する前に一人で抱え込みやすい傾向があります。しかも孤独は、見えにくい。仕事は回っている、家事もしている、SNSも更新できる。だから周りも気づきにくい。


でも、電話相談の価値は「うまく説明できない状態でも、そこから始められる」ことです。
涙が出てもいい。沈黙があってもいい。まとまっていなくてもいい。相談は“完成した悩み”だけの場所ではありません。



相談が少しラクになるコツ:電話やチャットに「上手さ」はいらない

電話相談やチャット相談を使うとき、役立つ考え方をいくつか挙げます。



1) 目的は「解決」ではなく「10%軽くなる」でもOK

1回の相談で人生が変わる、というより、心の圧が少し下がる、眠れる確率が上がる、次の一手が見える――それで十分です。



2) 最初の一言テンプレを持っておく

たとえば

  • 「今すごく不安で、誰かと話したいです」

  • 「何がつらいのか自分でも整理できていません」

  • 「夜になると苦しくなります」
    この程度で始めて大丈夫です。



3) つながりにくいときは「あなたの価値」ではなく「回線の混雑」

窓口によっては混雑し、何度かかけ直しが必要な場合があります(公式にも注意書きがあります)。 いのちの電話
つながらない=拒否ではありません。



日本で使える相談窓口(日本語・英語)

※緊急で命の危険がある、今すぐ自分や他人を傷つけてしまいそうな場合は、迷わず日本の緊急通報(110/119)を優先してください。


日本語:国の相談窓口案内(厚労省)

厚生労働省は「#いのちSOS」「よりそいホットライン」など、電話相談窓口をまとめています。 厚生労働省


日本語:いのちの電話(全国一覧)

全国の「いのちの電話」一覧(都道府県ごとの番号・受付時間)が公開されています(2025年5月時点)。 いのちの電話


英語:TELL Japan(在日・訪日外国人にも)

TELL Japanは英語での支援につながれる窓口を案内しています(フリーダイヤル 0800-300-8355)。 TELL Japan



「電話相談に頼る人が多い」ことが示すもの:弱さではなく“回復の作法”

ドイツの例が教えてくれるのは、電話相談に頼ることは「弱いから」ではなく、「回復するための行動」だということです。


  • 孤独は“性格”ではなく、生活の構造で起きる

  • 不安は“気合い”ではなく、情報環境と経験で増幅する

  • つながりは“贅沢”ではなく、心の安全装置 tagesspiegel.de

そして、電話相談はその安全装置を“今この瞬間”に起動できる手段です。
言い換えれば、誰かに助けを求める力は、これからの時代の大事なライフスキルなのかもしれません。


参考記事

苦しい思い: 孤独や不安 - 多くの人が電話相談に頼る
出典: https://www.tagesspiegel.de/gesellschaft/panorama/qualende-gedanken-einsamkeit-angst-viele-suchen-halt-bei-telefonseelsorge-15070567.html

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