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推し活費は節約できない? 物価高でも揺らがない“心の生活費”――調査が映すリアルな消費傾向

推し活費は節約できない? 物価高でも揺らがない“心の生活費”――調査が映すリアルな消費傾向

2025年12月14日 19:24

1. 「推し活」は世界で通じる?――まず“oshikatsu”を説明する

「推し活(おしかつ)」は、特定のアイドル、アーティスト、俳優、VTuber、スポーツ選手、アニメ・ゲームキャラ、さらには自治体マスコットまで、“推し(=心から応援したい対象)”を支え、楽しみ、生活を彩る活動全般を指す日本発の言葉だ。


いまや海外メディアでも “oshikatsu” がそのまま使われることがあり、単なるファン活動というより「感情の投資」「コミュニティ参加」「体験消費」を含む、新しい消費文化として注目されている。Reuters

推し活の特徴は、支出が「一度きり」では終わらない点にある。ライブや舞台はツアーで複数公演があり、配信や会員サービスは月額で続く。グッズは“限定”が繰り返し出る。誕生日や記念日、作品の公開や周年など、カレンダーが埋まるほどイベントが生まれる。


結果として、推し活費は家計の中で“固定費化”しやすい。そして今、多くの人が口にするのがこの疑問だ。
「推し活費って、節約できないよね?」



2. 調査が示す結論:物価高でも“推し活の支出は減らない”人が多い

最新の調査では、推し活の世界にも値上げの波が押し寄せていることがはっきり出ている。たとえば、ある調査では約8割(77.1%)が推し活で物価高を実感しているのに対し、**支出を減らさない人が約半数(48.1%)**にのぼった。減らさない理由の上位は「精神的な満足感や幸福度を維持したかったから」。さらに、**推し活を“生活必需品”と捉える人(22.5%)や、“心のコンディションを整えるメンテナンス費”と捉える人(47.7%)**も目立つ。プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES+1


ここで重要なのは、推し活費が「贅沢」ではなく、本人にとっては“生活の機能”になっている点だ。
食費や光熱費は削れても、推し活を削るとメンタルが崩れる。あるいは、推し活があるから仕事を頑張れる。そういう感覚が、数字として現れている。


一方で、支出のコントロールがうまくいっているかというと別問題だ。
同じ調査で、予算を決めずに推し活をしている人が9割超(91.6%)、推し活費を使いすぎた経験がある人が約6割(58.3%)、そして**支出管理に悩む人が6割超(63.3%)**という結果も出ている。悩みの中で多いのは「突発的な高額出費に対応できない」。プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES


つまり、結論はこうだ。
推し活費は削りにくい。だが、削れないまま“設計しない”と苦しくなる。



3. 推し活の平均支出:月いくら?年いくら?――“普通の範囲”はどこにある

推し活の支出は、界隈・ジャンル・推し方で天井が変わる。だからこそ「自分だけ使いすぎ?」と不安になりやすい。


日本のデータとして、若者層の推し活支出に関する集計では、推し活に使う月額の平均が約13,305円という数値が紹介されている(年代別に差もあり、30代が高めという傾向も示される)。Nippon.com
この数字は“ライト〜ミドル層”の肌感とも近い。月1万円台は、会費・配信・小物グッズ・コラボカフェ数回で到達してしまうからだ。


一方、より広い層を含む推計では、推し活の参加者数や年額支出が大きな規模として語られる。たとえばロイターの報道では、推し活に関わる人が約1,400万人規模になり得ること、そして年あたり平均25万円程度を使うという推計が紹介され、経済効果が年3.5兆円規模になり得るとされる。Reuters
年25万円は月換算で約2.1万円。つまり、ミドル層の“実感”としても、十分あり得るレンジだ。



4. 「どこにお金が消える?」――推し活出費の内訳を分解する

推し活の支出は、だいたい次の6カテゴリに集約できる。

①チケット(ライブ・舞台・イベント)
一次販売、FC先行、一般、配信チケット。近年は座席種別が細かく、アップグレードや特典付きも増えた。「推しに会える」価値が最も濃縮された支出だ。


②グッズ(公式・コラボ・現地限定)
アクスタ、うちわ、ペンライト、衣装モチーフ、ランダム商法、数量限定。グッズは“在庫切れ”が購買を加速させやすい。


③遠征(交通・宿泊・食事・観光)
推し活の“体験消費”を巨大化させるのが遠征だ。推し活遠征に関する調査報道では、1回の遠征で使う平均費用が約4.7万円、最大は80万円というデータも出ている。主目的はライブ・コンサートが最多で、限定グッズ購入も遠征意欲を押し上げる要因として示されている。FNNプライムオンライン


④デジタル課金(配信・サブスク・会員サービス)
月額会費、メンバーシップ、投げ銭、限定チャット、限定動画。少額でも積み上がる“静かな固定費”。


⑤推し活演出(カフェ、祭壇、撮影、小道具)
推し色ドリンク、バルーン、祭壇小物、写真映え。SNSと結びつきやすく、支出が“表現”になる領域。


⑥二次的支出(美容・服・ネイル・準備)
推しに会う、現場に行く、写真を撮る。そこで“自分の整え”が支出として出てくる。これは見落とされがちだが、実は大きい。


この構造を見ると、推し活費が節約しづらい理由が見えてくる。
推し活は、**モノ(グッズ)とコト(体験)とサブスク(継続)**が同時に走る。どれかを削ると、満足度がごっそり落ちると感じやすいのだ。



5. 「節約できない」最大の理由:推し活は“心のインフラ”になっている

では、なぜ推し活費は削れないのか。
調査の言葉を借りれば、推し活は「幸福度」「心のコンディション」「生活必需品」と結びついている。プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES+1


これは“気合い”ではない。構造の問題だ。

  • アイデンティティ化:推しは「好き」以上に「自分は何者か」を支える柱になりやすい(とくに孤独が深い時代ほど)。

  • 回復装置化:疲労やストレスの回復に、推し活が直結する。「これがあるから今週も乗り切れる」。

  • 共同体化:SNSや現場でコミュニティが生まれ、推し活が人間関係の回路になる。

  • 期限のある幸福:推しの活動期間は有限かもしれない。だから「今しかない」が強くなる。


そして推し活には、予測できない出費が多い。
当落で行ける公演が変わる。追加公演が出る。限定グッズが突然落ちる。コラボが始まる。誕生日広告が立ち上がる。
こうした「不確実性」が、節約を難しくする。家計は“予測”で回るが、推し活は“サプライズ”で回るからだ。



6. お金の悩みは現実:推し活民の「理想」と「現実」のギャップ

推し活が心のインフラになっているとしても、お金の悩みが消えるわけではない。
別の調査(推し活とお金)を紹介した記事では、推し活をする人の約3人に2人が悩みを抱え、内訳として「推し活に使える金額が少ない」「貯蓄ができない」が上位に挙がっている。MarkeZine


ここで起きているのは、価値観の衝突だ。
「推し活は必要」だと思う自分と、「将来のために貯めるべき」だと思う自分が、同じ財布の中で殴り合う。
その結果、“罪悪感”と“後悔のなさ”が同居する。実際、使いすぎたときの心情として「不安や葛藤」が最多でありながら、「後悔はない」も僅差で続く、という結果も出ている。プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES

この矛盾は、推し活が「単なる娯楽」から「人生の一部」に移行しているサインとも言える。



7. 推し活は経済を動かす:市場規模と“周辺産業”の広がり

推し活の盛り上がりは、個人の幸福だけでなく、企業や地域経済にも影響する。
財務省の広報誌「ファイナンス」掲載の解説では、矢野経済研究所の推計として、「オタク」主要16分野の市場規模が2020年度から2024年度にかけて約50%拡大し、2024年度合計が**約1,009(十億円)**に達していることが図表で示されている。財務省+1


“推し活”と“オタク市場”は完全に同義ではないが、少なくとも関連領域が堅調に伸びていることは確かだ。

矢野経済研究所のプレスリリースでも、主要分野の多くが成長し、2.5次元ミュージカルなどではチケットとグッズの両輪、さらにインバウンド需要の存在も言及されている。市場調査とマーケティングの矢野経済研究所


推し活の面白さは、産業が“横に伸びる”ことだ。
音楽・映像・出版・ゲームだけでなく、旅行、ホテル、外食、アパレル、美容、撮影スタジオ、決済、フリマ、印刷、広告枠、推し活グッズ専門店…と、周辺がどんどん太くなる。
推し活は「コンテンツ産業」だけの話ではなく、都市の週末需要や地方の宿泊需要にも直撃する。



8. 世界でも同じ現象が起きている:「推し活=fun(楽しい)への出費は止まりにくい」

“節約できない推し活費”は日本だけの特殊現象ではない。
たとえば、アメリカでは大型ツアーが都市経済を押し上げる事例として、テイラー・スウィフトのツアーの経済効果が語られ、ある業界団体の試算では、ファンが宿泊・飲食・グッズなどを含めて平均1,300ドル規模の支出を地域にもたらしたという紹介もある。U.S. Travel Association
また別報道でも、ツアーが世界で巨額の売上を生み、ファンの遠征消費が注目されている。Axios


スポーツでも同様で、観戦・遠征が地域消費を生む「スポーツツーリズム」は巨大市場として扱われ、アメリカの業界団体は観戦ツーリズムの直接支出を大きな規模として報告している。sportseta.org
つまり、世界的に見ても「推し(=見たい体験)」に紐づく移動と滞在は、節約しづらい支出になりやすい。

日本の推し活は、その“熱”と“習慣化”が言語化され、日常の中に組み込まれている点でユニークだが、現象としてはグローバルな潮流とつながっている。



9. じゃあどうする?――推し活費を「削る」ではなく「壊れない形にする」

ここから先は、「推し活をやめよう」ではなく、推し活を続けるための設計の話になる。
(※以下は一般的な家計管理の考え方で、個別の投資助言ではありません。)



A. “推し活費”を先に確保して、残りで生活する
推し活が心のインフラなら、後回しにすると毎月ブレる。
月の最初に「推し活予算」を確保して、そこから使う。先に“枠”を作る発想だ。



B. 不確実性(当落・突発販売)に備える「積立」を作る
調査で支出管理の悩みとして多いのは「突発的な高額出費」。プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES
ならば「突発枠」を最初から用意する。
例:毎月○円を“当落・追加公演・限定グッズ対応”として積む。使わなかったら翌月へ繰り越す。



C. 体験とモノを分けて優先順位を固定する
同じ金額でも、満足の出方は違う。
「現場を優先」「グッズは厳選」「配信は最低限」など、“自分の幸福が最大化する順番”を決めると迷いが減る。



D. “循環型”で回収する(売る・譲る・レンタルする)
フリマなどで不要品を資金化して推し活に回す動きは、調査でも語られている。プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES
大事なのは「増やしっぱなしにしない」。
推し活は思い出が残れば勝ち、物量は必須ではない。



E. 罪悪感を減らすために、数字を“見える化”する
「推し活にいくら使ったか」を把握していないと、不安が増幅する。
家計簿アプリでもメモでもいいので、推し活費だけは別カテゴリで見えるようにする。それだけで“自分は破綻していない”と確認できる。



10. 推し活は「浪費」か「投資」か――答えは“持続可能性”にある

推し活費が節約できないのは、意思が弱いからではない。
多くの人にとって、推し活は“幸福の維持装置”だからだ。データもそれを裏付けている。プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES+1


ただし、推し活があなたを救うものである一方、設計を誤るとあなたを追い詰める。
節約のゴールは「ゼロにする」ではなく、推し活がある人生を、長く続けられる形にすることだ。

推し活は、世界の消費の見取り図も変えつつある。
“モノ”から“体験”へ、そして“感情の価値”へ。


あなたが使ったお金は、あなたの生活と、推しの活動と、街の経済を、同時に動かしている。
だからこそ胸を張っていい。
そのうえで、財布だけは折れないように、仕組みを作っていこう。


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