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「広告じゃない」と言い張るOpenAIが、“広告風”機能を止めざるを得なかった本当の理由

「広告じゃない」と言い張るOpenAIが、“広告風”機能を止めざるを得なかった本当の理由

2025年12月09日 09:59

1. 「広告ではない」けれど、そう“見えた”メッセージ

2025年12月7日、TechCrunch は「OpenAI says it’s turned off app suggestions that look like ads(広告のように見えるアプリ提案を停止)」という記事を公開した。OpenAI は「ChatGPT 内に広告は存在せず、広告テストも行っていない」と強調する一方で、最近のプロモーションメッセージについては「ユーザー体験としては失敗だった」と認め、問題の機能をオフにしたと説明している。TechCrunch


対象となったのは、ChatGPT との会話の末尾などに突然差し込まれる「Peloton アプリを試してみませんか?」「Target で買い物できます」といった“アプリのおすすめ”だ。OpenAI はこれは広告ではなく、「ChatGPT のアプリプラットフォーム上で動くアプリを紹介するための機能で、金銭的な対価は発生していない」と主張する。TechCrunch


しかし、ユーザーから見れば「ブランド名がデカデカと出てくる」「会話内容と関係ない」「自分でオフにできない」という時点で、感覚的には“広告そのもの”にしか見えなかった──ここに今回の騒動の根っこがある。



2. きっかけは Peloton と Target──SNSで一気に拡散

最初の炎上は、12月初旬にかけてX(旧Twitter)上で拡散したスクリーンショットから始まった。あるエンジニアは、まったく関係のない会話の中で突然 Peloton アプリを勧められた画面を投稿し、「これがもし広告なら終わりだ」と強く批判した。


さらに TechCrunch が紹介した別の投稿では、「Windows BitLocker について質問していたのに、チャットの最後で Target で買い物するよう勧められた」という有料ユーザーの怒りの声が取り上げられている。しかもそのユーザーは月額200ドルの Pro プラン加入者。高額なサブスクリプションを払っているのに、広告のようなメッセージまで見せられるのか──という不満が一気に広がった。


同様の事例として、音楽ストリーミングの質問をしているのに、何度も Spotify を推されるといった声も報じられている。ユーザーの立場からすると、「自分の選好とは違うサービス」を「繰り返し」推される経験は、不快感と不信感を強く増幅させる。TechCrunch


3. OpenAIの公式説明:アプリ発見機能の「失敗」

批判が高まる中、OpenAI では複数の幹部が X 上で説明に追われた。


  • データリードの Daniel McAuley 氏は、「これは広告ではなく、Peloton のアプリをインストールするための提案にすぎない。金銭的なやり取りはない」と説明しつつ、「関連性が低く、混乱を招く体験になってしまった」と認めた。Tom's Guide

  • ChatGPT 責任者の Nick Turley 氏は、「広告のライブテストは一切行っていない。SNS で出回っているスクリーンショットの多くは、偽物か、少なくとも広告ではないものだ」と火消しに回った。The Times of India

  • そして今回の TechCrunch 記事では、最高研究責任者の Mark Chen 氏が「広告のように感じられるものは慎重に扱うべきなのに、我々はそこを外してしまった」と述べ、問題の提案機能を一旦オフにしたことを明かしている。TechCrunch


OpenAI の説明を総合すると、今回の「アプリおすすめ」は次のような位置づけだ。

  1. 目的:ChatGPT 上のアプリプラットフォームで使えるアプリを適切な文脈で紹介し、ユーザーの行動を広げたい。TechCrunch

  2. ビジネスモデル:現時点では広告ではなく、ブランドからの出稿料も受け取っていない(=金銭的なインセンティブなし)。TechCrunch

  3. 問題点:コンテキストとの関連性が低く、ユーザーにとっての「押しつけ感」「ステルス広告感」が強かった。ユーザー側でオフにできない設計も、反発を増幅。TechRadar


つまり OpenAI にとっては「将来のエコシステムを見据えたアプリ発見機能の実験」だったが、ユーザーから見ると「中身はどうあれ、体験としては広告そのもの」だった、という認識のズレが露呈した形だ。



4. SNSの空気:怒り、不信、そして様子見

SNS 上の反応は、大きく三つの温度感に分かれているように見える。


(1) 「有料で広告は許せない」派

もっとも目立ったのは、月額20ドル~200ドルを払う ChatGPT Plus / Pro ユーザーの怒りだ。

  • 「無料プランならまだしも、高い料金を払ってるのに広告が出るとか、さすがにない」

  • 「これを“広告じゃない”と言い張るなら、それこそユーザーをバカにしている」

といった声が X や Reddit に多数投稿され、TechRadar や Tom’s Guide などの海外メディアの記事タイトルも「怒り」「大反発」といったトーンで揃った。TechRadar


(2) 「広告インフラの布石では?」と疑う派

Android 版 ChatGPT アプリのコードから「AdTarget」「SearchAd」「search ads carousel」といった文字列が見つかったことも、ユーザーの疑心暗鬼に拍車をかけている。Android Central


これを受けて、SNS では次のような見方が広がった。

  • 「今回は“金銭のやり取りはない”だけで、広告の枠組み作りはもう始まっているのでは」

  • 「今は無料のテストでも、そのうちスポンサー枠が売られるだろう」


実際、Hacker News などのコミュニティでも「チャットUIの中で広告効果をどう測るのか」「ステルス広告にならないのか」といった議論が活発に行われている。Hacker News


(3) 「まだ広告ではないから冷静に」という慎重派

一方で、「現時点では広告ビジネスとして回っているわけではないし、過剰反応では」という声も一定数ある。


  • 「アプリ連携を促すのは、ある種の“おすすめ機能”として理解できる」

  • 「ただし、表示のされ方や頻度、オン/オフの選択肢はもっと丁寧に設計すべき」

という、UI/UX の設計ミスとして捉える意見だ。Reddit のスレッドでも、「アイデア自体は悪くないが、やり方が拙すぎる」といった冷静なコメントも目立つ。Reddit



5. なぜ「広告ではない」が通用しなかったのか

では、なぜ OpenAI の「広告ではない」という説明は、ユーザーにほとんど受け入れられなかったのだろうか。


① ユーザーは“お金の流れ”より“体験”で判断する

企業側は「広告かどうか」を金銭のやりとりや契約の有無で区別しがちだが、ユーザーが見ているのは「体験として広告っぽいかどうか」だ。


  • 特定ブランドのロゴや名前が目立つ形で表示される

  • 会話の文脈と関係が薄い

  • 自分でオフにできず、勝手に挿入される

これらが揃えば、たとえ1円もお金が動いていなくても、心理的には「広告」にしか見えない。Tom’s Guide も、技術的な定義はともかく「ユーザー体験としては広告と変わらない」と指摘している。Tom's Guide


② 「相談相手」であるはずのAIが“売り込み”を始めた違和感

もうひとつ根深いのは、ChatGPT が多くのユーザーにとって「検索エンジン以上、友だち未満」の“相談相手”として機能していることだ。


学術論文でも、会話型エージェントに広告を埋め込むことの倫理的リスクとして、「フェイク・フレンド・ジレンマ(fake friend dilemma)」が指摘されている。ユーザーが親しい相談相手だと信じている存在が、実はスポンサーの意向を優先しているかもしれない──という構造そのものが、信頼を侵食する可能性がある、という問題提起だ。arXiv


ChatGPT がメンタルヘルスやキャリア相談など、センシティブなテーマで使われている現状を考えると、「その返答にスポンサーの影響が入り込むかもしれない」という懸念は、単なる広告嫌悪以上の重さを持って受け止められている。



6. 背景にあるビジネス事情と「コードレッド」

OpenAI をめぐる報道を追うと、今回の問題は単なる UI の失敗ではなく、「ビジネスモデルの模索」と「品質向上のプレッシャー」の板挟みから生じた揺れとも読める。


  • Android アプリのコード内で「ads feature」らしき記述が見つかったこと

  • 広告ビジネスに強い経営者がアプリケーション部門のCEOとして合流していたこと

  • 巨額の投資と推定されるランニングコスト

こうした情報が積み重なり、「OpenAI はいずれ ChatGPT に本格的な広告を導入するだろう」という観測は以前から存在していた。Android Central


一方で、Wall Street Journal や Business Insider は、Sam Altman 氏が最近のメモで「コードレッド」を宣言し、広告など一部のプロジェクトよりも ChatGPT 本体の品質向上を優先するよう指示したと報じている。


TechCrunch の記事でも、今回の機能停止はそうした方針転換の一環とみられるとまとめられており、「広告インフラを急いで整えるより、まずは信頼を取り戻すことが先」というメッセージがにじむ。TechCrunch



7. 今回の騒動が示した「3つの教訓」

今回の「広告風アプリ提案」騒動から、会話型AIと広告の付き合い方について、少なくとも次の3点が見えてくる。


教訓1:ラベリングとコントロールは必須

ユーザーが「これは広告(またはプロモーション)である」とひと目でわかるラベリングと、
「見たくない人は完全にオフにできる」明確なコントロールは、最低限の条件と言っていい。


OpenAI も今後、「ユーザーが提案の強さを調整したりオフにしたりできる仕組み」を検討していると述べているが、これが実装されるかどうかは、今後の大きなチェックポイントになる。TechCrunch


教訓2:広告(的なもの)は、品質と信頼を補完するものに限るべき

助手としての回答品質がユーザーの期待を下回っているときに、「広告っぽいメッセージ」だけが目立ってしまうと、不信感は一気に高まる。


逆に、ユーザーが「このアプリを使うと確かに便利になる」と納得できる文脈で、控えめに提示されるのであれば、広告的な機能も受け入れられやすい。たとえば「家計簿のつけ方を相談 → 家計簿アプリを紹介」といった、目的に直結した提案であれば、“押しつけ”ではなく“サポート”として理解されやすいだろう。


教訓3:AIと広告の境界線は、社会的な議論で決まっていく

学術的にも、会話型AIへの広告導入は「ユーザーの判断の自由をどこまで侵さずに済むのか」という難しい問題として議論されている。arXiv


検索エンジンのスポンサー枠、SNS のプロモツイートなどと比べて、チャットUIの広告は「どこからが広告か」「どこまでが純粋な助言か」の境界が曖昧になりやすい。今回のような事例をきっかけに、企業・研究者・ユーザーコミュニティがどのようなガイドラインを作っていくかが、今後の大きなテーマになる。



8. 日本のユーザーが押さえておきたいポイント

日本語ユーザーの視点で見ると、今回の騒動から押さえておきたいのは次の3点だ。

  1. 突然「ブランド推薦」が出てきたら、その背景を疑ってよい
    それが“広告”とラベリングされていなくても、「誰の利益が優先されているメッセージか」を一度立ち止まって考えることが重要だ。

  2. 設定画面やヘルプで「おすすめ機能」のオン/オフを確認する
    今後もし同様の機能が復活した場合、「どの程度コントロールできるか」は最初にチェックしておきたい。

  3. 代替手段も頭に入れておく
    もし ChatGPT の体験が広告的な要素で大きく損なわれた場合、他社のチャットボットや、よりプリミティブな検索エンジン+自分の判断という組み合わせに戻る選択肢もある。ビジネス上の競争がある限り、「嫌なら乗り換える」というユーザーの態度もまた、企業の設計方針に影響を与える力を持つ。



9. おわりに:今回の停止は「終わり」ではなく「始まり」

今回、OpenAI は「広告風」のアプリ提案機能を止め、「改善に取り組む」と表明した。だがそれは、「ChatGPT に広告的な要素を一切持ち込まない」という約束ではない。むしろ、

  • 巨額の投資とコスト

  • 競合(とくにGoogle)の急速な追い上げ

  • ユーザーの高い期待と、日常への深い浸透

といった条件を考えれば、何らかの形でのマネタイズ強化はほぼ不可避だろう。Business Insider


重要なのは、「どんな形で」「どんな透明性で」「どんなコントロールをユーザーに残したまま」それを実装するか、という設計の問題だ。今回の騒動は、その第一ラウンドにすぎない。


今後、ChatGPT を含む会話型AIがどのように広告や商取引と付き合っていくのか──それは、OpenAI だけでなく、ユーザーである私たち自身が選び、監視し、フィードバックを返していくことで形づくられていくテーマと言えるだろう。



参考記事

OpenAIは広告のように見えるアプリの提案を停止したと発表しました。
出典: https://techcrunch.com/2025/12/07/openai-says-its-turned-off-app-suggestions-that-look-like-ads/

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