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英語は対面、数学はオンライン ─ 科目ごとに最適な授業スタイルをどう選ぶか

英語は対面、数学はオンライン ─ 科目ごとに最適な授業スタイルをどう選ぶか

2025年11月20日 00:16

「やっぱり対面が一番」は本当か?

コロナ禍の数年間、世界中の学校は半ば強制的にオンライン授業へと舵を切らざるを得ませんでした。
「やっぱり対面のほうがいい」「オンラインはモチベが続かない」──そんな声は日本でも散々聞かれましたが、実は科目によってはオンラインのほうが成績が上がっていたかもしれない、という研究結果が出てきました。


2025年11月に公表された、米ノートルダム大学などの研究チームによる論文は、中国の大学生を対象に、コロナ禍でのオンライン移行が学力に与えた影響を大規模データで解析しています。Phys.org


結論をひとことで言えば、

「数学などの定量科目はオンラインのほうが伸びていた」

という、直感に反するようでいて、よく考えると納得感のある結果でした。



中国9大学・約8,000人分の「自然実験」

研究チームは、中国の9つの大学から、約1万5,000件の履修データとおよそ8,000名の学生の成績情報を収集しました。Phys.org

ポイントは、同じ授業がコロナ前は対面、ロックダウン中はオンラインという形で提供されていたこと。


つまり、教授もシラバスも評価方法もほぼ同じで、「教室かオンラインか」だけが大きく変わった“自然実験”になっていたのです。

研究者たちは、学生の学年や専攻、事前の成績などを統計的にコントロールしながら、「対面期」と「オンライン期」のスコアを比較。さらに、地域ごとのロックダウン政策の違いも組み合わせて、オンライン化そのものの効果を丁寧に切り分けています。Phys.org



数学の点数が平均8〜11点アップ

最も目を引く結果は、数学などの推論ベースの科目でオンライン移行後の成績が8〜11点(100点満点中)も高くなっていたことです。Phys.org

なぜここまで差が出たのでしょうか。研究チームは次のような要因を指摘しています。Phys.org

  • 動画の一時停止・巻き戻しができる
    難しい証明や計算のステップを、自分のペースで何度も見直せる。

  • 例題や演習を好きなタイミングで反復できる
    「分かったつもり」で先に進んでしまうリスクが減る。

  • ライブ授業よりも“ノイズ”が少ない
    教室の雑音や友人との私語が少なく、集中しやすい環境になりやすい。

一方、英語やディスカッション中心の科目では、オンライン化による成績の伸びは小さく、場合によっては対面よりもやや劣るケースもありました。Phys.org


つまり、「オンラインが優れている/劣っている」ではなく、「どの科目がオンラインと相性がいいか」が問題だと、この研究は示しています。



ロックダウン政策が学力に与えた「揺らぎ」

もうひとつ興味深いのは、政府のロックダウン政策の厳しさがオンライン学習の成果を左右していたという点です。Phys.org

  • 外出をほぼ禁止するような厳格な自宅待機命令
    → 学生の心理的ストレスが増え、オンライン学習の効果はむしろ低下。

  • 職場の閉鎖や公共交通の停止など、比較的緩やかな制限
    → 親が在宅になることで子どもの学習を見守りやすくなり、学校外の誘惑も減るため、オンライン授業の効果を後押しする面も。

研究チームは「保護者が自宅にいる時間が増えることで、出席や生活リズムを見守る“家庭内チューター”のような役割が働いた可能性がある」と分析しています。Phys.org


同じオンライン授業でも、社会全体のストレスレベルや家庭の状況によって、学習効果がプラスにもマイナスにも振れることが、データから浮かび上がってきます。



オンライン教育は「緊急避難的な代替」から「戦略的な選択肢」へ

研究の責任著者であるシージェ・ルー准教授らは、今回の結果について「オンライン教育は緊急時の代替手段にとどまらず、特に分析力を鍛える科目では、きちんと設計すれば対面よりも高い学習効果を発揮しうる」と述べています。Phys.org


同時に、オンライン授業の“設計”こそが成否を分けると強調します。Phys.org

  • ただZoomで90分しゃべるだけではなく、短い動画を組み合わせたオンデマンド型にする

  • 自動採点付きの小テストや、インタラクティブな演習ツールを組み込む

  • フォーラムやチャット機能を活用して、質問しやすい環境を整える

こうした工夫があって初めて、学生は自分のペースで学習を進められ、オンラインの強みが生きてくる。
逆に言えば、「対面授業をそのまま画面越しに映しただけ」のオンラインは、やはり劣化コピーになりやすいということでもあります。



SNSでの反応:学生・教員・保護者、それぞれの本音

この研究結果が報じられると、海外・日本を問わずSNSではさまざまな反応が見られました(以下は典型的な声を要約・再構成したものです)。

学生サイドの声

  • 「数学は正直、オンラインのほうがありがたい。分からないところだけ何度も戻って見られるし、ノート取りに必死にならなくていい」(理工学部3年)

  • 「グループワーク系の授業はオンラインだと微妙。誰もしゃべらないブレイクアウトルーム、地獄だった……」(文系2年)

  • 「テストが全部オンラインだとカンニングする人が出るから、成績の比較は慎重に見たほうがいいかも」


教員サイドの声

  • 「大講義の知識伝達は録画+クイズで十分。その分、対面は演習やディスカッションに特化したい」(大学教員)

  • 「画面越しだと学生の“分からなそうな顔”が読み取りにくいのは事実。AIのログ分析で補えるかが次の課題」


保護者・社会人の声

  • 「うちの子は親が在宅勤務になってから、授業にちゃんと出ているか見守れるようになった。ロックダウンが学習にプラスに働く一面があるという指摘には納得」

  • 「社会人向けのリスキリングでは、もはやオンラインなしはありえない。大学も『対面でなければ』という前提を一度外してほしい」


肯定・批判・懐疑が入り混じりつつも、全体としては

「オンラインか対面か」ではなく「科目や目的ごとにベストミックスを探るべき」

という方向性への共感が多い印象です。



日本の大学・企業研修にとっての示唆

この研究は中国の大学を対象にしたもので、日本にそのまま当てはめることはできません。ただし、いくつかのポイントは日本の高等教育にも強い示唆を与えます。

  1. 「板書+一斉講義」型の数学・統計・会計は、オンライン最適化の余地が大きい

    • 例題動画+自動採点クイズ+個別フィードバックという構成にすれば、教室よりも細やかな学習支援が可能になります。

  2. 英語・ディスカッション系授業は対面を軸にしつつ、オンラインで“予習・復習レイヤー”を厚くする

    • 語彙学習やリスニングはアプリで、ディベートやロールプレイは対面で、と役割分担する発想です。

  3. 成績だけでなく、メンタルヘルスや孤立感にも目を向ける必要がある

    • 厳しいロックダウンがオンライン学習の効果を下げたという結果は、日本の過度な自粛や長時間オンラインに対する警鐘とも読めます。Phys.org

  4. 企業研修や社会人教育にも応用可能

    • 新人研修のうち、知識インプット部分はオンラインに切り替え、実務演習やロールプレイは対面で行う、といった再設計はすぐにでも検討できます。



「オンライン vs 対面」という二項対立から抜け出す

今回の研究が伝えている最大のメッセージは、とてもシンプルです。

「どちらが優れているか」ではなく、
「どの科目を、どの条件下で、どう設計すれば学びが最大化するか」を考えよう

ということ。


数学や統計のように手順理解が命の科目は、オンデマンド動画とインタラクティブな演習を組み合わせたオンラインに分があります。
一方、人との対話や身体性が重要な演劇・スポーツ・臨床系の実習などは、どう考えても対面が中心になるでしょう。

そして、その中間に位置する**「どちらの良さも活かせるハイブリッド科目」**が、今後は増えていくはずです。

  • 知識インプット:オンライン(動画+クイズ)

  • 理解の確認:オンラインまたは小テスト

  • 応用・ディスカッション:対面

  • ふり返り・ポートフォリオ作成:オンライン

大学だけでなく、企業・行政・個人学習まで含めて、学びの設計を「空間の制約」から解き放つこと。
中国の大学生たちが示してくれたデータは、その一歩を踏み出すための強力なエビデンスと言えそうです。



参考記事

研究によると、高等教育の特定の科目はオンラインで教える方が効果的であることが示されています。
出典: https://phys.org/news/2025-11-subjects-higher-taught-online.html

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