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映画マーケティングの新時代:ストリーミングと映画の板挟み - ワーナーのマーケが直面する五つの現実

映画マーケティングの新時代:ストリーミングと映画の板挟み - ワーナーのマーケが直面する五つの現実

2025年09月27日 10:51

1. 「一戦また一戦」を強いる産業構造

“ヒットの翌週には次の修羅場”——2025年のハリウッドでマーケティングに携わる者は、作品ごとに需要の山を立ち上げ、刹那に回収し、すぐさま次の山へ移る。劇場・ストリーミング・ソーシャルが複層に絡む現在、話題化は早く、忘却も早い。ワーナーはその極点にいる。分社化に向けた再編が走る中、作品の打ち手は“確実性”と“驚き”の同時追求を迫られる。


2. 組織の地殻変動:分社化と人員最適化

WBDは2025年、ストリーミング&スタジオとグローバル・ネットワークの二社体制への分離を掲げた。これに合わせ、映画部門ではマーケティング/配給/制作戦略など約10%の最適化が断行され、意思決定の重心は“米国本社+海外”から“フルグローバル”へ移りつつある。マーケティングの実務は、国・プラットフォーム・販路ごとに分断されがちだった情報や予算配分を一本化し、創造性と効率のバランスを取り直す段階に入ったと言える。


3. ブランドの舵取り:HBO Maxへの“回帰”と「ニュースタルジア」

ストリーミングの屋号を“Max”から“HBO Max”へ戻す決定は、ブランド資産をてこ入れする強いメッセージだ。HBOという高信頼の品質印象を前面に据え直しつつ、広告プロダクトや計測基盤を横串で統合する。WBDがうたう「Storyverse」や、旧作IPの再編集・再提案による「ニュースタルジア」は、若年層がクラシック作品を“新しい定番”として享受し始めた潮流を捉えたものだ。マーケは、懐かしさと発見の接点を、配信内外の体験(OOH、イベント、コマース連動)へ拡張する役目を負う。


4. ケーススタディ①:『Superman』——“王道”の再定義

DCの看板リブート『Superman』は、トーン&マナーを“良質な王道”に回帰させつつ、デジタル上ではファン主導のUGC熱量を丁寧にすくい上げた。ティザー段階から“期待の可視化”を促し、試写期にはキャストの横断露出とオーンド・メディアの長尺コンテンツで“作品の語り方”を統一。大量投下の旧来型から、ピークを精密に作る“計器飛行型”へ。結果、レビューと歩留まりの両面で“広く・深く”の線を引いた。


5. ケーススタディ②:『Minecraft』——四象限を越える“親子二段構え”

ファミリー領域の『Minecraft』は、ゲーム原体験を持つ若年層と、その親世代の“共有記憶”をコアに設計。公開前から教育・ホビー・YouTube系のマイクロインフルエンサーに“作って見せる”体験コンテンツを配り、公開直前には週末の“親子来場スイッチ”をCM・店頭・SNSで同期。結果として、初動の厚みと平日の持続を両立させた。


6. ケーススタディ③:『Weapons』——クリプティック×レトロのバイラル

ホラー『Weapons』は、あえて情報を削ぎ、90年代風の断片的ビジュアルと“謎解き導線”でSNSの探究心を刺激。ARG(代替現実ゲーム)的な仕掛けや、街中のミニマルOOHを点描的に置くことで、オーディエンスが“攻略”を共有したくなる感情を喚起した。重要なのは、ネタバレ回避とUGC拡散の境界線を緻密に管理した点だ。


7. マーケ費の最適化:KPIは“話題”から“送客”へ

2025年の映画マーケは、“話題化→検索→チケット/加入→滞在→波及”を一気通貫で最適化する運用競技だ。ワーナーは、クリエイティブの多変量テスト、配信面の重複排除、OOHの局地最適、PRの“語り筋”統一など、作品ごとにMROIを見直す。打ち手の選択肢は増えたが、すべてをやるのは非効率。“当てにいく施策”と“バズ狙いの一発”を同じダッシュボードで評価し、やる/やらないの判断を速くすることが肝になる。


8. 炎上と疲労:ソーシャルの“倍返し”リスク

SNS時代のマーケは、勇み足が即座に“倍返し”で拡散される。キャスティングや制作の舞台裏、過去発言まで文脈なく接続され、クリエイティブ評価と経営批判が混線しがちだ。ワーナーは、反発が予見される論点に関し“起動前説明”と“誤解が生じたときの初動動線”を事前に用意し、ネガの伝搬速度を鈍化させる必要がある。炎上はゼロにできないが、致命傷は回避できる。


9. マーケットの視線:M&A観測とレーティングの往復

買収観測は株価を押し上げる一方、収益性や負債水準、統合コストへの懸念から格付・アナリスト評価は揺れる。マーケ現場にとっては、作品の打ち手が短期の市場物語に“吸い寄せられ”過ぎないことが重要だ。投資家の物語と観客の物語は別物であり、後者においては“広告費の質”と“作品自体のクオリティ”が最終的に勝敗を分ける。


10. 提言:ワーナーの“勝ち筋”を設計する

  • IPの再編集と新規IPの両輪:旧作IPは「ニュースタルジア」の文脈で、若年層の発見体験に再設計。新規IPは“世界観設計×UGC誘発”を核に。

  • 作品別の“必要十分セット”:全方位ではなく、作品タイプごとに勝ち筋のテンプレを持つ(例:四象限/ホラー/アワード狙い/ファンダム特化)。

  • 計測の民主化:媒体横断の重複排除、MMO(マーケ・ミックス最適化)の内製比率を高め、クリエイティブテストを早期に回す。

  • ソーシャルの“初動設計”:火種の予見、謝罪・説明・訂正の導線を事前合意。危機広報とパブの連携を常時稼働に。

  • 人の物語:経営の物語と制作現場の物語を整合させ、クリエイター/タレント/ファンが“参加”したくなる舞台装置を用意する。



SNSの反応(要約)

 


  • 業界メディアは、年明けのマーケ幹部交代や夏のレイオフを“リスク大のスレートに向けた痛み”と分析。X上でも「なぜ今、トップ交代?」「グローバル最適化の狙いは?」といった疑問が飛び交った。

  • 一方で、ホラー『Weapons』の“謎めき”マーケや、DC『Superman』の“王道回帰×丁寧な露出”には好意的な声も多い。「情報を出し過ぎないからこそ語りたくなる」「ファンの自発的な拡散を設計できている」といった評価だ。

  • 分社化のスケジュール感やM&A観測をめぐっては、メディア/記者の発信が投資家クラスタに波及し、“期待と懸念”が交差する状況が続く。



まとめ

NYTの表現する“One Battle After Another”は誇張ではない。だが“戦い続けること”自体が敗因ではない。作品と観客に誠実で、ブランド資産を磨きながら、測定可能な仮説検証を止めないこと。マーケは“打ち手の多さ”ではなく“仮説の精度”で勝つ。ワーナーの次の一戦は、足元の成功体験を“仕組み”に変えられるかに懸かっている。



参考記事

映画のマーケティングはこれまで以上に難しくなっています。そして「次々と戦いがやってくる」のです。
出典: https://www.nytimes.com/2025/09/26/business/media/marketing-warner-bros-one-battle-after-another.html

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