マクドナルドやファミマは なぜ“ハワイ”メニューを出すのか? ――日本の外食・コンビニ業界における〈アロハ戦略〉完全解剖

マクドナルドやファミマは なぜ“ハワイ”メニューを出すのか? ――日本の外食・コンビニ業界における〈アロハ戦略〉完全解剖

目次

  1. はじめに――“ハワイ飯”ブーム再燃

  2. ハワイと日本:120 年を超える歴史的絆

  3. 夏こそアロハ:季節限定メニューと消費心理

  4. ケーススタディ① マクドナルド「アツイぜ!ハワイアンバーガーズ2025」

  5. ケーススタディ② ファミリーマート「ファミマでうまアロハ~♪」

  6. チェーン横断で拡大するハワイアンフェア

  7. ハワイ州観光局×企業タイアップの相乗効果

  8. “ハワイ味”の設計図――食材・フレーバー・ビジュアル

  9. インバウンド視点:外国人旅行者への訴求力

  10. サステナビリティとローカル愛――原料調達の裏側

  11. 今後の展望と課題

  12. まとめ


1. はじめに――“ハワイ飯”ブーム再燃

真夏の日本で「ハワイ」を連想させるメニューが溢れる光景は、もはや季節の風物詩だ。2025年は特にその傾向が顕著で、ファーストフードからカフェ、コンビニ、ドラッグストア系スイーツまで業態を越えて“アロハ戦略”が展開されている。マカロニ

2. ハワイと日本:120 年を超える歴史的絆

1899 年以降に始まった日系移民、戦後の新婚旅行ブーム、そしてゴールデンウィークの定番旅行先としての定着――これらが“憧れのハワイ”イメージを日本社会に深く根づかせた。文化誌的にも互いの料理・言語・祭事が影響しあい、今日の“ハワイ=身近なリゾート”という認識が生まれている。The Japan Times

3. 夏こそアロハ:季節限定メニューと消費心理

企業がハワイテーマを夏季に集中させるのは、「常夏」「開放感」「リゾート」というキーワードが高温多湿の日本列島に清涼感を与え、購買意欲を高めるためだ。マーケティング心理学ではこれを“気候同調型イメージ訴求”と呼び、季節感と旅情を同時に味わえる点が強いフックになる。


さらに観光統計を見ると、日本人のハワイ渡航者数は2024 年に約72万人へと回復。海外旅行欲は高止まりだが、円安と航空券高騰で「気軽にハワイへ」は難しい。国内で“プチ・ハワイ体験”を提供する限定メニューは、消費者の代替需要を巧みにすくい上げている。オールハワイトラベルボイス

4. ケーススタディ① マクドナルド「アツイぜ!ハワイアンバーガーズ2025」

今年で13回目の開催となるマクドナルド夏季ハワイキャンペーンは、「肉厚ビーフチーズロコモコ」「ガーリックシュリンプ」「ブルーハワイ2025」など全8種を投入。TVCMには岡田准一氏がアロハシャツ姿で登場し、SNS連動プレゼント企画でUGCを創出している。山陰中央新報デジタルマクドナルド


同社は“夏×ハワイ”を毎年繰り返すことでブランド記憶を強化し、期間限定商材の原価率を抑えつつ客単価を押し上げる好循環を構築。ビーフ+パイン+BBQソースといった甘辛系フレーバーは、日本人の醤油嗜好に合うだけでなく、海外旅行客にも“ジャパニーズ・ハワイ”として新鮮に映る。

5. ケーススタディ② ファミリーマート「ファミマでうまアロハ~♪」

コンビニ大手ファミマは7月15日から全国1.63万店で“ハワイフェア”を開催。SPAM®おむすび、マラサダ、アサイーボウルドリンクなど12品を並べ、初週はハワイ旅行が当たるキャンペーンも展開した。ファミリーマートファミリーマート


冷蔵・冷凍インフラを活かし、SPAM®缶詰の汎用ロジスティクスと、コナコーヒーのレギュラー商品ラインを組み合わせることで、低リスクで“非日常感”を演出している点が特徴だ。

6. チェーン横断で拡大するハワイアンフェア

コメダ珈琲、サンマルクカフェ、ロッテリア、クリスピー・クリーム・ドーナツなども夏季限定でハワイアンメニューを実施。ハワイ州観光局が監修や認証ロゴを提供し、店頭POPやSNSで“#FeelHawaii”ハッシュタグを共有するケースが増えている。マカロニ

7. ハワイ州観光局×企業タイアップの相乗効果

ハワイ州観光局(HTJ)は訪問者増を狙い、企業と共同で「味覚からハワイを思い出させる」施策を推進。2025年4月のジャパンサミットでは、日本市場向けプロモーションの柱として“食体験”を正式採用した。トラベルボイス

8. “ハワイ味”の設計図――食材・フレーバー・ビジュアル

主なキーワード代表メニュー狙い
SPAM®スパムむすび/ロコモコ米飯+肉=親和性高/常温保存可能
パイナップルチーズロコモコバーガー甘酸っぱさで夏向け/南国感
コナコーヒーフラッペ/ラテハワイ土産の定番を簡便化
ブルーハワイソーダ/かき氷視覚的清涼感・SNS映え


こうした要素は“ハワイらしさ”を瞬時に想起させるシンボルでありつつ、既存の日本食文化(米・醤油・甘辛ソース)と矛盾しない“折衷型ローカライゼーション”を可能にする。

9. インバウンド視点:外国人旅行者への訴求力

訪日客にとって、日本のチェーンで味わうハワイメニューは「異文化×異文化」のクロスオーバー体験になる。特に在日米軍関係者や韓国・東南アジアからの旅行者はハワイへの渡航経験が多く、親しみやすさが購買動機に直結する。店舗側も英語表記のPOPや多言語レジ表示を併用し、観光需要を取り込みやすい。

10. サステナビリティとローカル愛――原料調達の裏側

輸入素材ばかりではない。パイナップルは沖縄産をブレンドする企業も増え、“ジャパン・グロウン・ハワイアン”という新概念が芽生えつつある。フードマイレージを抑えつつ、南国イメージを保持できる点で注目だ。

11. 今後の展望と課題

  • コラボ深化:コナズ珈琲のような専門業態とコンビニのOEM提携が進む見込み

  • 健康志向:アサイー、ピタヤ、植物性プロテインなど“ハワイ×ウェルネス”にシフト

  • 価格高騰リスク:円安・物流費上昇でプレミアム価格帯へ移行する可能性

  • カルチャル・アプロプリエーション問題:ハワイ先住文化への敬意表現が求められる

12. まとめ

ハワイメニューは単なる季節限定の遊び心ではなく、歴史的絆・観光市場・SNS映え・原価管理を統合する高度な“夏の収益装置”である。それは同時に、外国人旅行者にも日本の多層的ポップカルチャーを体感させる窓口だ。背景を理解すれば、ひと口のロコモコやブルーハワイの炭酸にも、120 年の物語とマーケティング戦略が凝縮されていることが分かるだろう。




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