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インドの巨大ダム計画が世界に与える影響:中国との水資源競争の行方

インドの巨大ダム計画が世界に与える影響:中国との水資源競争の行方

2025年10月01日 11:31

導入──ヒマラヤの谷で高鳴る太鼓

霧に巻かれた山々とエメラルドの濁流。インド北東端・アルナーチャルの峡谷で、弓矢を掲げるアディの人々が叫ぶ。「川は私たちの名そのものだ」。政府はここに、国最大級となるメガダムを計画中だ。名は上シアン多目的プロジェクト(SUMP)。意図は発電だけではない。対岸、チベットのヤルツァンポで中国が動かす“世界最大級”水力計画に対する安全弁――水を蓄え、急放流にも備えるという理屈だ。だが、地域社会は「私たちの暮らしが沈む」と反発を強める。議論は、電力・気候・安全保障・先住民の権利が絡み合う、典型的な“水の政治”へと拡大している。 International Business Times Australia


何が起きているのか:SUMPの骨子

報道によれば、候補地は上シアン地区。計画のイメージは、堤高約280m級のダムと約92億立方メートル(オリンピックプール数百万分に相当)の巨大貯水池、約1.1〜1.16万MWの出力で、名実ともにインド最大規模だ。政府系NHPCの関係者は「主目的は電力より水の安全保障(渇水補填と急放流吸収)」と説明している。雨季は貯水位を2/3程度に抑え、上流で突然の放流があっても呑み込む“余白”を持たせる設計思想だという。 International Business Times Australia


なぜ今なのか:上流で進む中国の“超大型”計画

きっかけは上流の中国側計画だ。中国はチベットのメドグ(ヤルツァンポ=インド名シアン)で5基の発電所を含む巨大水力群を推進すると表明し、三峡ダムの3倍規模の発電能力に達するとの見方もある。2025年夏、中国当局は着工宣言を行い、地政学リスクと環境影響をめぐる議論に火を付けた。中国外務当局は「下流への悪影響はない」「水を武器化する意図はない」と主張している。 Al Jazeera


インド政府も年初に懸念を正式表明。流域の大河ブラマプトラはインドとバングラデシュの生命線であり、上流の巨大な貯留・放流が洪水や渇水のタイミングを左右し得るというのが下流側の直感だ。ただし、水文学的には降水・支流寄与が大きい区間も多く、評価は“科学的検証中”というのが実情である。 Reuters


現地の声:沈む村、消える名

候補地の村々では、抗議に火が付いた。先住民アディの人々は、シアンを「聖なる川」と呼び、農や漁、祭祀、言葉の比喩にまで川のリズムが染み込んでいる。住民は「ダムは村々を呑み込み、文化そのものを断ち切る」と訴える。5月には測量を阻止、機材が焼かれた現場も出たと伝えられ、行政と住民の緊張は高い。 International Business Times Australia


写真報道は、谷に集う部族社会の“集会裁判”や、抗議横断幕の列を記録する。画面に映るのは、政治でも開発でもない、胸の奥に刻まれた川との関係そのものだ。 Al Jazeera


リスク地帯に巨大構造物を置くという判断

専門家は、アルナーチャルが地震多発帯である点を繰り返し指摘する。巨大ダムは土砂移動、堆砂、誘発地震、極端降雨時の操作といった複合リスクを抱える。気候変動はモンスーンと氷河融解の“両端を揺らす”ため、設計値の見直しも常に付いて回る。こうした技術・運用リスクは、外交と情報共有の不足が重なると、社会不信として噴出しやすい。 International Business Times Australia


それでも“進めるべき”という論理

州政府は「対中の水戦略として国家安全保障上の必然」と強調。仮に上流での取水・放流パターンが下流へ衝撃波を生む場合、SUMPは“バッファ”として働くという主張だ。実際、下流アッサム州では毎年のように大洪水が繰り返され、治水と発電の同時達成は政治的に強い訴求力を持つ。ただし、州内でも「直ちに心配はいらない」と慎重論を唱える首長もおり、評価は割れている。 International Business Times Australia


「外交」と「協定」の選択肢

反対派の研究者は、ダム対ダムの発想は逆効果だと指摘する。必要なのは堰の数を競うことでなく、透明なデータ共有・流域協定・共同運用である、と。流域外交を先に立てるべきだという処方箋は、長期安定に資するが、短期の政治的“見える成果”を出しにくい。どこに“公共性”の軸を置くかで、処方は変わる。 International Business Times Australia


SNSの反応ダイジェスト

 


  • 治水・安全保障重視派:「中国のダムに対抗できる安全弁が要る。電力も得られ、地域発展にも寄与するはずだ」との投稿が拡散。州首相ペマ・カンドゥの“SUMP進捗レビュー”報告ポストには支持コメントが相次いだ。 X (formerly Twitter)

  • 先住民・環境重視派:国際先住民団体のアカウントは「アディの抵抗」を世界に可視化。現地学生組織のバンド(ストライキ)呼びかけも共有され、「#SaveSiang」がローカルでトレンド化した。 X (formerly Twitter)

  • 冷静派・分岐評価:一部メディア・識者は「環境影響と洪水緩和のトレードオフ」を指摘し、拙速な政治化を戒める投稿を発信。 The Times of India

※上記は公開ポストの要旨であり、表現は要約・引用(短文)で再構成している。


もう一つの現実:支持表明と反対運動の“せめぎ合い”

地域の中にも賛否は混在する。たとえばリガ村では、前向きな合意形成の動きが報じられ、事前調査(PFR)に向けた手続きが進んだ。いっぽう、著名な反ダム活動家が渡航制限を受けたとの報もあり、強まる緊張を象徴する出来事として議論を呼んだ。社会は完全には二分されず、村・氏族・職の単位で細かく割れていく。開発の意思決定は、その“きめ”をどう丁寧に扱うかで成否が変わる。 The Economic Times


比較視点:上流の“超巨大”にどう向き合うか

チベット峡谷の計画は、地形規模が桁違いで、世界の水力地政学を塗り替える可能性を秘める。環境派は生態系分断や堆砂・土砂移動の変化を懸念し、政策研究者は“技術と政治が絡むテクノポリティクス”として読み解く。巨大化の論理は、エネルギー移行の看板をまといながら、周縁の声をかき消しやすい――そんな構造は国境を越えて共通だ。 Yale E360


これからの争点:三つの“透明性”

  1. データの透明性:降雨・融雪・放流の実測共有。

  2. 意思決定の透明性:PFRから環境影響評価(EIA)、住民合意(FPIC)までの手順と説明責任。

  3. 運用の透明性:異常気象時の放流ルール、公表タイミング、越境連絡の確実性。

この三点が担保されれば、賛否の溝は“完全には”埋まらなくても、少なくとも互いの合理性は見通しやすくなる。SUMPが進むにせよ止まるにせよ、透明性こそが流域のレジリエンスを押し上げる最短路だ。


結語──川は境界線を知らない

国境も、言語も、宗教も、川には関係がない。水は高きから低きへ、ただ流れるだけだ。だが人間はそこに、電力と雇用と安全保障と祈りを重ねる。上シアンの谷で問われているのは、巨大プロジェクトの是非そのものよりも、「誰がどの情報で、どんな未来を選ぶのか」という民主主義の作法である。川を止める政治と川に生かされる生活――その間に、次のルールをつくる時間は、まだ残っている。 International Business Times Australia


参考記事

インド、中国の水問題に対抗するための巨大ダム計画
出典: https://www.ibtimes.com.au/india-plans-mega-dam-counter-china-water-fears-1860654

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