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GLP-1薬と視力低下の訴え、米国で集団訴訟の受け皿が新設へ — NAIONとは

GLP-1薬と視力低下の訴え、米国で集団訴訟の受け皿が新設へ — NAIONとは

2025年12月17日 00:10

「失明」訴訟が“別枠”で動き出した——GLP-1薬をめぐる新たな集団訴訟

肥満治療・糖尿病治療の切り札として世界的に普及したGLP-1系薬剤(オゼンピック、ウゴービ、サクセンダ、トルリシティ等)をめぐり、今度は**「視力を失った」「失明した」という訴えが法廷で一気に存在感を増している。米国では、患者が一部または全部の視力を失ったと主張する訴訟が相次ぎ、複雑化する争点を整理するために、連邦の司法パネル(JPML)が視神経障害(NAION)関連の訴訟を新たなMDLとして集中化**する決定を下した。 Reuters


ここで重要なのは「集中化=ただちに因果関係が認定された」という意味ではない点だ。MDLは、全米に散らばる類似訴訟を一つの連邦裁判所に集め、証拠開示や専門家証言の整理を効率化する枠組みである。つまり裁判所側は「争点が共通しているのでまとめて扱った方が合理的」と判断したのであって、医学的結論を宣言したわけではない。



何が決まったのか:既存の“胃腸障害MDL”とは別に、視神経障害MDLが新設

報道によれば、新たに集中化されるのは「GLP-1薬が非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)を引き起こしうる」とする訴訟群だ。原告側は「胃腸障害(胃不全麻痺=gastroparesis等)をめぐる既存のMDLとは、必要な医学的議論・証拠・専門家が異なる」と主張し、司法パネルもそれを支持。新MDLはフィラデルフィアの連邦裁判所で扱われ、既存の胃腸障害MDLと同じくカレン・マーストン判事の下で進むが、手続きは**“別建て”**で進行する。


件数感も無視できない。視神経障害をめぐる訴訟は連邦で約30件、州裁判所でも40件超が確認されている一方、胃腸障害をめぐるMDLには約3,000件規模の訴訟が集積しているとされる。 Reuters



NAIONとは何か:突然起きる“視神経の血流トラブル”

NAIONは、視神経への血流が低下することで視力障害を起こす病態として説明されることが多い。特徴としては突然の視力低下が問題になり、治療が難しいケースもある。研究論文でも、NAIONは「視神経への血流低下による視力喪失」と整理され、糖尿病・肥満・高血圧などの背景を持つ人で頻度が高いことが指摘されている。 JAMAネットワーク


この「もともと糖尿病や肥満と関連がある病態」が、糖尿病・肥満治療で使われるGLP-1薬と絡むことで、因果関係の議論が一段と難しくなる。薬が原因なのか、基礎疾患や併存リスク(血圧、脂質、睡眠時無呼吸など)の延長線なのか——裁判でも研究でも、ここが最大の争点になる。



科学の現在地:関連は示唆されるが、結論は一枚岩ではない

このテーマを押し上げた背景には、複数の観察研究の存在がある。たとえばJAMA Ophthalmology(2024)の研究は、セマグルチドとNAIONの関連を示唆しつつ、観察研究である以上「因果の確定には追加研究が必要」とまとめている。 JAMAネットワーク


さらにJAMA Network Open(2025)掲載の大規模コホート研究では、2型糖尿病患者の電子カルテデータを用いた解析で、セマグルチドまたはチルゼパチドがNAION等の視神経障害リスク増加と関連した一方、**“全体としてのリスクは低い”**とも明記されている。関連があるように見えても、個々人が直ちに恐怖するほどの頻度なのかは別問題、という整理だ。 JAMAネットワーク


この「関連の示唆」と「絶対リスクの低さ」をどう受け止めるかで、世論も投資家も医療者も割れやすい。しかもGLP-1薬は、体重減少だけでなく心血管イベントの抑制などを含め、患者によっては得られる便益が非常に大きい。だからこそ“怖いニュース”ほど、数字の読み方が問われる。



規制当局の動き:欧州では“非常にまれ”な副作用として整理

注目すべきは規制側のアップデートだ。欧州では、EMAの評価をめぐる報道で、NAIONがセマグルチド製剤(オゼンピック、ウゴービ、リベルサス等)における**「非常にまれ(very rare)」**な副作用として扱われ、添付文書情報に反映する方向が示された。頻度感は「最大で年あたり1万人に1人程度」と報じられている。 Reuters


一方でメーカー側は、便益とリスクの総合評価(ベネフィット・リスク)は依然として良好だという立場を取っているとも伝えられる。 Reuters


規制当局が“ゼロではない可能性”を拾い上げつつも、全面的な使用停止に舵を切っていない点は、現時点のバランス感覚を象徴している。



ここから裁判はどう進む:MDLが意味する“次のフェーズ”

MDL化によって起きるのは、ざっくり言えば次の3つだ。

  • 証拠開示・社内文書・専門家証言が集約され、個別訴訟よりスピーディーに争点が掘られる

  • 代表的な事例を選ぶ**ベルウェザー(試験裁判)**が見えてくる

  • 結果として、和解(または棄却)の方向感が市場に共有されやすくなる


ただし、視神経障害は胃腸障害と比べても「背景因子が多く、個別性が強い」と見られがちで、因果関係の立証は簡単ではない可能性がある。原告側は「警告が不十分だった」と主張し、企業側は「リスクは周知・規制下にある」「設計変更はFDAの承認なしにできない」と反論している。 Reuters



SNSの反応:怖さ、懐疑、そして“それでも使う”の分断

今回のニュースはSNSでも燃えやすいテーマだ。特に目立つのは、次のような温度差である。


1)「乱用・誤用が原因では?」という疑い
Redditでは、訴訟を「乱用・誤用の帰結では」と捉える投稿が見られ、自己責任論に寄った語り口もある。 Reddit


2)「糖尿病・肥満のリスクも深刻。薬だけ悪者にするな」
一方で、糖尿病や肥満そのものが重大な健康リスクを伴う以上、「薬の副作用だけを切り取って叩くのは違う」という反発も強い。 Reddit


3)「保険はMounjaroを拒否してOzempicを強制…矛盾してる」
制度への苛立ちも出る。保険適用・処方方針のねじれを挙げ、「現場はそんな単純な話じゃない」と訴える声もある。 Reddit


4)「警告しても人はやめない」——依存にも似たリアリズム
“健康リスクがあってもやめない人はやめない”という、ニヒルな現実論も散見される。 Reddit


5)「データを出して議論しよう」——感情よりエビデンスを求める層
個別の体験談より、頻度・比較・因果の議論を求める態度もはっきりしている。「数字を示してから話そう」という空気だ。 Reddit


6)当事者コミュニティでは“モニタリング”の話が中心に
GLP-1利用者が集まるコミュニティでは、恐怖煽りよりも「視力変化を見逃さない」「血圧や体重変化との関係は?」といった実務的な話題が多い。眼科医から得た助言として“夜間の血圧低下”に触れる投稿や、本人申告でNAIONを経験したという書き込みも見られる(※真偽や一般化はできない)。 Reddit



受け手としての最適解:「ゼロか百か」を避ける

このニュースの難しさは、“怖い”と“効く”が同居している点にある。GLP-1薬は多くの人に利益をもたらす一方で、まれでも重い副作用疑いが浮上すると社会の受容は急に揺れる。


現実的には、

  • 因果は未確定(研究は示唆、ただし観察研究中心で限界もある) JAMAネットワーク

  • しかし規制・法廷は**「論点として無視できない」**段階に入った Reuters
    この2点を同時に持つのが、いちばんブレない見方だろう。


※本稿は一般的な情報提供で、医療上の助言ではありません。服薬中の方は自己判断で中止せず、症状があれば医療機関に相談してください。



参考記事

GLP-1薬が失明を引き起こしたとする訴訟が集約される予定
出典: https://seekingalpha.com/news/4531648-lawsuits-alleging-glp-1-drugs-led-blindness-to-be-centralized?utm_source=feed_news_all&utm_medium=referral&feed_item_type=news

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