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フランスで進むATMの消滅:銀行がATMを減らす本当の理由 — 便利さの代償は誰が払うのか

フランスで進むATMの消滅:銀行がATMを減らす本当の理由 — 便利さの代償は誰が払うのか

2025年12月25日 00:04

ATMが“当たり前”ではなくなる日

フランスで、街角のATM(現地ではDAB=distributeur automatique de billets)が静かに姿を消している。見出しは刺激的だ。「6年で5,000台が消えた」。だがこれは誇張ではない。SNSで共有されたFrance-Antillesの投稿でも、フランス銀行(Banque de France)の調査として「2018年以降で1万台が削減、2024年だけで約1,500台」といった数字が示され、反響を呼んだ。LinkedIn


もちろん“国全体がいきなり現金停止”という話ではない。フランス銀行の公式発表でも、2024年末時点で稼働するDABは42,578台。前年末(44,123台)から減ったとはいえ、急激な崩壊ではなく、じわじわとした縮小だ。Banque de France


ただし、じわじわ進む変化ほど生活の痛点になりやすい。なぜならATMは「使いたい時に近くにある」ことが価値そのものだからだ。


なぜ銀行はATMを減らすのか——“コスト”と“利用減”の現実

背景はシンプルだ。現金を引き出す回数が減っている。Le Mondeは、DAB利用が2017〜2023年に30%減り、年の引き出し回数が約10億回規模になったと報じる。非接触決済の普及やコロナ禍が流れを加速させた。Le Monde.fr


利用が減れば、機械の維持費(補充・警備・故障対応・設置場所の賃料)が重くのしかかる。銀行側から見れば、稼働が薄い機械を抱えるほど、別のサービス料金に跳ね返りかねない。


さらに利用者側でも、他行ATMでの“移動引き出し”に手数料がかかるケースが増え、「結局どこで引き出しても無料」ではなくなりつつある——という指摘も出ている。Le Monde.fr


“現金格差”は地方から始まる

とはいえ、数字だけで「まだ4万台もある」と言われても、困る人は困る。問題は台数の総計ではなく、誰の生活圏から先に消えるかだ。

フランス銀行は、アクセスの指標として「15分以内に現金引き出し地点へ到達できる人口割合」を示し、**98.8%**が該当するとされる。assemblee-nationale.fr


一見すると優秀だが、残りの1.2%は“統計上は少数”でも、実生活では深刻になり得る。車を持たない人、身体が不自由な人、公共交通が細い地域、観光地の繁忙期、そして高齢者——条件が重なるほど「15分」は簡単に「行けない距離」になる。


また、Boursoramaは、削減されたDABの多くが人口2,000人超の自治体側に偏っていた旨にも触れており、「地方が一方的に切り捨てられている」と単純化しにくい面もある。boursorama.com


それでも、ATMが1台しかない町でそれが消えると、体感のインパクトは都市部の比ではない。小規模商店は両替や釣り銭の確保にも現金流通が絡むため、“現金の入口”が細るほど地域経済に波及する。


対抗策1:銀行が手を組む「Cash Services」

ATM縮小の“穴埋め”として進むのが、銀行同士の共同運営だ。BNP Paribas、Crédit Mutuel(CIC含む)、Société Généraleなどが組む「Cash Services」は、DABを共通ブランド化して運用を効率化し、網を維持しようとする試みとして紹介されている。cash-services.fr


Société Généraleの案内では、2026年にかけて広い拠点網(数千サイト規模)へアクセスが広がる見通しも示されている。particuliers.sg.fr


重要なのは、これは“ATMを増やす”というより、**重複を減らして“必要な場所に残す”**発想だという点だ。都市部で数十メートルおきに別銀行のATMが並ぶ状況を整理し、維持費を下げ、その分を空白地帯に回す——理屈としては合理的だ。


対抗策2:店で引き出す「cashback/cash-in-shop」

もう一つの流れが「店で現金を受け取る」仕組みだ。フランス銀行は、カード決済額を商品代金より上乗せし、差額を現金で受け取る方式(いわゆるcashback)を説明している。Banque de France


さらに消費者団体側は、2026年にかけて“店舗での現金引き出し”が広がる(cash-in-shopの展開など)可能性に触れ、地域の現金アクセスを補完する動きとして整理している。Unaf


ATMが減るほど、こうした代替ルートは重要インフラになる。ただし、店舗側の負担(防犯・レジ資金・手数料設計)が課題として残る。


SNSの反応:怒り・不安・納得が同時に噴き出す

ATM減少の話題は、SNSで感情の振れ幅が大きい。


1)「現金を締め出すのか」不信と陰謀論的な連想
「キャッシュレス化=監視社会」「現金廃止が目的では」という投稿が伸びやすい。こうした文脈はCBDC(中銀デジタル通貨)とも結びつきやすく、AFPのファクトチェックでも、銀行危機やCBDCを根拠に「現金が消される」といった主張は誤りだと整理されている。factuel.afp.com


2)デジタル弱者の視点:「高齢者に冷たい」
スマホやアプリに慣れない人ほど、「ATMが遠い=生活が詰む」。特に地方では「現金がないと店が回らない」という声が出やすい。


3)現実派の声:「使わないものは維持できない」
一方で、「現金を使う人が減ったなら合理化は当然」「そのコストは結局、口座手数料や金利で全員が払う」といった投稿も多い。Le Mondeが示す利用減の数字は、この“納得”を後押しする材料になる。Le Monde.fr


4)解決志向:「共同ATMと店頭引き出しを整備して」
怒りで終わらず、「Cash Servicesのように共同化して空白地帯を埋めてほしい」「商店で引き出せる仕組みをもっと周知して」と、制度設計や広報を求める声も出る。cash-services.fr

(※以下は“よくある論点”を再現した投稿例(架空))

  • 「ATMが消えると“現金しか使えない店”が先に死ぬ。順番が逆じゃない?」

  • 「キャッシュレスは便利。でも停電や通信障害の時、最後に頼れるのは現金だよ」

  • 「共同ATMは良い。問題は“うちの村”に来るかどうか」

  • 「店で引き出せるなら助かるけど、店側のリスクもちゃんと補償して」


これは“ATMの終わり”ではなく、“現金インフラの再設計”だ

結局、起きているのは「現金をやめる」ではなく、「現金を支える仕組みの作り替え」だ。DABが減るほど、共同網(Cash Services)や店舗引き出しが重要になる。そして行政・銀行・地域が「現金アクセスは公共性の高いサービスだ」とどこまで捉えるかで、再設計の質が決まる。

フランス銀行のデータは、いまのところアクセスが高水準に保たれていることも示す。Banque de France


しかし、“平均”が守られていても、“端”が切れれば社会の不満は増幅する。SNSの反応が荒れるのは、数字の問題というより「置いていかれるかもしれない」という感情が核心にあるからだ。


ATMが減る時代に問われるのは、キャッシュレスの是非ではない。「現金が必要な人が、必要な時に、尊厳を損なわずに手にできる」——その当たり前を、どう保つかである。



参考記事

フランスでATMが絶滅の危機に:6年間で5,000台が消滅
出典: https://www.guadeloupe.franceantilles.fr/actualite/economie/les-distributeurs-de-billets-en-voie-dextinction-en-france-5-000-ont-disparu-en-six-ans-1062601.php

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