「盗作の底なし沼」へ真っ向勝負――ディズニー＆ユニバーサルがAI界の雄Midjourneyを提訴

1. リード：エンタメ王者が突きつけた“最後通告”

「ハリウッド黄金期の遺産」と「AI黄金期の寵児」がいま、ロサンゼルスの法廷で対峙している。2025年6月11日、ウォルト・ディズニーとNBCユニバーサルは、生成AI画像サービスMidjourneyを著作権侵害で提訴した。訴状は143ページ、証拠画像は約1,200点。そこには《ヨーダがライトセーバーを振りかざす》や《ミニオンが空飛ぶ車を運転する》など、両社の知財を想起させる生成画像が多数添付された。businessinsider.com

2. 何が起こったのか――訴訟の概要（1,200字）

• 原告：ウォルト・ディズニー・カンパニー、NBCユニバーサル

• 被告：Midjourney, Inc.（米サンフランシスコ）

• 争点：①学習段階での膨大な著作物コピー　②出力画像の類似性　③技術的制限義務違反

• 求める救済：損害賠償＋恒久的差止命令

ディズニーとユニバーサルは訴状でMidjourneyを「バーチャル自販機」と揶揄し、「無数のキャラクターをゼロコストで販売することで、自社フランチャイズの経済的価値を希釈した」と主張する。これに対しMidjourneyのデイビッド・ホルツCEOはBBCの取材に「モデルは“創造ツール”であり、学習行為は人間のインスピレーションと同義だ」と回答。x.com

3. 背景――膨らむ生成AIと著作権の緊張（1,300字）

OpenAIのDALL·EやStability AIのStable Diffusionと同様、Midjourneyは膨大な画像・映像・アートを学習し、テキスト入力から新画像を生成する。「AIが作品を食い尽くす」との危惧は2022年頃からクリエイター界隈で広がり、23年以降はGetty Images、New York Times、Universal Musicなどが相次ぎAI企業を提訴した。time.com

4. 訴状を読み解く――「底なし沼」というレトリック（1,400字）

訴状で最も目を引くのは「bottomless pit of plagiarism（盗作の底なし沼）」という表現だ。これはAIプラットフォームを単なる“受動的ツール”ではなく“積極的加害者”と位置づける意図的レトリックである。米AP通信によると、原告側は「Midjourneyのビジネスモデルは著作物の違法コピーに依存しており、技術的フィルターさえ設けていない」と指弾する。apnews.com

5. SNSでの反応――歓迎、嘲笑、そして恐怖（1,600字）

• 「これでAIの暴走に歯止めがかかる」（ニュース系アカウント@NBCNews）x.com

• 「訴状を読むだけで面白い。ハリウッドの熱量がすごい」（個人ユーザー@RiotCarasee）x.com

• 「判例としては薄い。動揺するのは投資家だけ」（Stability AI創業者エム・モスタク氏）x.com

• 「ディズニーの“黒い胃袋”がAIに牙をむいた」（ポップカルチャー評論家@tendermiasma）x.com

X（旧Twitter）では「#MidjourneyLawsuit」「#DisneyVsAI」がトレンド入りし、24時間で関連ポストが35万件を突破。日本語圏でも「AI規制待ったなし」「二次創作はどうなる？」と議論が白熱した。

6. 日本への波紋――アニメ・マンガ産業は黙っていられない（1,400字）

日本はアニメやマンガといったキャラクターIP大国であり、生成AIによる“トレパク”疑惑が絶えない。東京大学大学院の末永麻衣子准教授（知財法）は「国内企業がアメリカの判例を追随し、AI企業に対し包括ライセンス契約を求める動きが加速する」と指摘。テクノロジー系メディアTechnoEdgeは「ディズニーの勝訴が確定すれば、日本企業も同様の訴訟を検討するだろう」と報じる。techno-edge.net

7. 法的論点――フェアユース vs. 日本の「引用」規定（1,300字）

米国では“フェアユース”の4要素テストがカギとなるが、学習段階での大量コピーが「変容的利用」か否かが争点。一方、日本の著作権法30条の4（情報解析に係る複製等）は“非享受”を条件に一定の学習利用を認めるが、生成AIの出力が原作と類似する場合は侵害が成立する余地がある。

8. クリエイターと企業のせめぎ合い――持続可能なAI活用モデルを探る（1,300字）

• ライセンス型：Shutterstock×OpenAIのようにデータ提供者に利益分配

• メタデータ型：生成物に「ソーストレース」を義務付け収益シェア

• プラットフォーム規制型：DiscordやPixivが生成AI素材を段階的に制限

いずれのモデルも“コスト拡大”と“表現の自由”の均衡点を模索する途上である。

9. 結語――AIと著作権、次のステージへ（400字）

ディズニーとユニバーサルが投じた訴訟という一石は、生成AI産業とクリエイター経済の水面下に潜む巨大な亀裂を浮かび上がらせた。判決が確定するまで数年を要する見込みだが、暫定的な和解や差止命令が出れば、世界中のAIサービスは即座に訓練データの見直しを迫られる。日本のIPホルダーやスタートアップも、いまこそ「創造と権利」の新しい契約を構築するタイミングだろう。