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デジタル時代の信仰: 教会離れの先で起きた“静かな回帰” - Z世代が“聖書系インフルエンサー”に救われる理由

デジタル時代の信仰: 教会離れの先で起きた“静かな回帰” - Z世代が“聖書系インフルエンサー”に救われる理由

2025年12月23日 12:27

「日曜の外側」で信仰が育つ——クリスチャン・インフルエンサーが若者を集める構図

「教会は日曜に行く場所」——その常識が、スマホの通知ひとつで静かに更新されている。いま米国では、ミレニアル世代〜Z世代のクリスチャン・インフルエンサーが、ポッドキャストやショート動画を通じて聖書の読み解きを“生活の言葉”に翻訳し、若い層のリスナーを大きく増やしている。彼らが扱うのは、救済や来世といった抽象的なテーマだけではない。不安、孤独、恋愛、自己肯定感、依存症、仕事への過剰な期待——日常でこじれる問いを、聖書の文脈に結びつけて語る。 AP News


背景には、宗教的帰属意識の長期的な変化がある。米国では「自分はクリスチャン」と答える割合が長期的には低下したが、直近では下げ止まりも指摘される。一方で若年層は相対的に宗教から距離があり、世代間ギャップは大きい。 AP News


さらに「神を確信して信じる」若者が減っているというデータも報じられており、18〜35歳で“確信”を持つ割合が2007年の65%から2023〜24年には41%へ低下した、という数字が示されている。 ABC News


つまり、信仰が“当たり前の習慣”として継承されにくくなる一方、心の空白や意味への渇きは消えていない。その隙間に、SNS時代の語り口で入り込むのがインフルエンサーたちだ。



「月〜土の伴走」:ポッドキャストが“信仰の生活相談”になる

象徴的なのが、ポッドキャスト「In Totality」を配信するメーガン・アシュリー(35)。彼女は「日曜の説教だけでは埋まらない、月曜から土曜までの“間”を支えたい」と語り、信仰を“週間運用”に変換する。 AP News


ここで重要なのは、教義の正しさを競うよりも、「孤独な週の途中で、ひとりじゃないと感じさせる」機能が前面に出ている点だ。宗教は本来共同体のもの——そう言われてきた。しかし現代の若者にとって共同体は、地理よりもタイムラインにある。通勤中に15分、眠る前に10分、落ち込んだ夜に“おすすめ”に流れてくる言葉。それが「礼拝の代替」ではなく、「礼拝の外側での補助線」として働く。


アシュリーが熱心に語るテーマの一つが、「自分を“生きたささげ物”として捧げる」という聖書の一節だという。願望や行動の一部を手放すことが、神に近づく道だと説く。 AP News


自己実現や最適化が美徳になりやすいSNS時代に、「手放す」「抑える」「待つ」といったメッセージは逆張りに見える。だが、だからこそ刺さる層がいる。燃え尽きるほど頑張っても満たされない人にとって、“制限”を意味付けする宗教の語彙は、むしろ救いになるからだ。



「Girls Gone Bible」——“失敗談”と祈りがライブ会場を満員にする

もう一つの中心が、アンジェラ・ハリリ(29)とアリエル・レイツマ(36)が共同で運営するポッドキャスト「Girls Gone Bible」だ。番組は月間100万回以上の再生・ストリームがあると報じられ、オンラインの熱量はリアル会場にも波及している。 ABC News


実際、アトランタのAtlanta Symphony Hallでは2025年11月14日に「Girls Gone Bible Live Tour」が予定されていることが、会場側の告知でも確認できる。 アトランタ交響楽団


記事では、アトランタのイベントで彼女たちが「仕事や恋愛を偶像化しない」よう観客に語り、過去の依存症、失恋、メンタル不調などを率直に振り返ったうえで、「神が急進的な癒やしをもたらした」と述べた場面が紹介されている。 ABC News


終了後、観客と抱き合い、祈りを捧げる光景も描かれ、17歳の来場者が「“お姉さん”みたいな存在」と感じていることが伝えられた。 ABC News


ここで起きているのは、「教会=権威者から教えを受ける場」から、「信仰=一緒に歩く“年の近い先輩”に伴走してもらう体験」への重心移動だ。説教者より“友だち寄りの語り手”のほうが、失敗や迷いを持つ若者にとって近い。しかも、コンテンツは切り抜き可能で、共感できる部分だけを持ち帰れる。宗教の“フルコース”ではなく、“一口サイズの処方”として流通する。



伝統の延長線上にある“新しさ”:デジタル布教は突然生まれたわけではない

もちろん、宗教とメディアの結合は今に始まらない。テレビ伝道、ラジオ説教、著名牧師の出版——「カリスマがメディアを通じて大衆に届く」構図自体は古い。研究者は、歴史的な伝道者を例に、今回の潮流を“メディア上の宗教スター”の系譜として位置づける見方も示している。 The Washington Post


では何が違うのか。最大の違いは、配信が組織ではなく個人主導で回り、アルゴリズムが「悩みのある人」に“偶然の出会い”を演出してしまう点だ。教会は人を集めるのに苦労するが、ショート動画は悩みを抱える人の前に勝手に現れる。入口のハードルが桁違いに低い。



ただし“危うさ”も同時に拡大する:権威、炎上、政治の混線

この潮流には称賛だけでなく、強い警戒もつきまとう。第一に、神学的訓練の有無や、発信者への過度な権威付与だ。SNSで影響力を持つ人が、必ずしも十分な学びや牧会経験を持つとは限らない。 The Washington Post


第二に、オンライン空間は“対立を拡散しやすい”。記事でも、キリスト教内の政治・文化的亀裂がSNS上で露出しやすいことが指摘され、実際に「Girls Gone Bible」の2人が(当時の)トランプ氏の就任前集会で祈ったことへの反発など、政治と信仰が絡む局面が紹介されている。 The Washington Post


また、別のインフルエンサーは、保守派からは人種的不正義や警察暴力に触れる姿勢を批判され、リベラル派からは同性婚や中絶への反対を批判されるなど、“どちら側からも燃える”状況が語られている。 The Washington Post


第三に、「コンテンツ化」と「商品化」の問題。信仰が“ブランド”として整えられた瞬間、メッセージの純度よりマーケティングが優先されるのではないか、という疑念が出る。実際、彼女たちの“本物らしさ(authenticity)”を売りにする手法について、演出やビジネス性を問題視する論考もある。 Salon.com



SNSの反応:称賛と違和感が同じタイムラインで流れる

では、視聴者やネット世論はどう受け止めているのか。ここでは、記事内で紹介されたファンの声に加え、公開掲示板などで確認できる反応を“論点ベース”で整理する(※個別投稿を網羅した世論調査ではなく、公開の反応例に基づく整理)。 ABC News


1)肯定派:「近い」「わかる」「一緒に歩いてくれる」

  • “年の近い先輩感”が安心:ライブ会場の若い来場者が「姉のよう」と感じたという証言は、まさに“距離の近さ”が価値になっていることを示す。 ABC News

  • 宗教のハードルが下がる:教会文化に馴染めなかった人でも、動画から入れる。「まず聞いてみる」導線が、回復や再入門のきっかけになる。 AP News

  • 「完璧じゃない」語りが救う:「私たちも失敗する」という前提で悩みを話す姿勢が、自己啓発やSNSの“盛り文化”に疲れた層に刺さる。 AP News


2)慎重派:「便利すぎて危ない」「権威が無制限になる」

  • “切り抜き神学”への不安:短尺で強い結論が出るほどバズりやすい。結果、難しい文脈や異論が省かれ、単純化された信仰理解が広がりうる。 The Washington Post

  • 教会の代替になってしまう懸念:共同体や牧会的ケアを伴わないまま“教えだけ”が消費されると、困難に直面したときの支えが薄い。 The Washington Post


3)批判派:「見た目や商業性が気になる」「政治色が濃い」

  • 商業化・イメージ優先への反発:公開掲示板(Reddit)では、外見やライフスタイル、グッズ販売などをめぐり、「信仰を売り物にしているのでは」といった批判が見られる一方、「完璧を装っていないから好き」という擁護も混在している。 Reddit

  • 政治との接近への警戒:メディア論考では、ムーブメントが保守政治の文化戦争と結びつく可能性を問題視する視点も提示される。 Salon.com


SNSの反応を総合すると、「救われた」「近い」という体験談が伸びる一方で、「誰が教えるのか」「何と結びつくのか」という不信も同時に拡散する。“共感の速さ”と“炎上の速さ”が同居するのが、デジタル宗教の宿命だ。



なぜ若者は「オンラインの信仰」に引き寄せられるのか:3つの要因

  1. 孤独と不安の“常時接続”
    SNSはつながりを増やしたが、比較も増やした。不安が日常化した社会で、宗教の言葉は「自分の価値を外部評価から切り離す」機能を持つ。 AP News

  2. 制度よりも体験が先に来る
    信仰共同体に入る前に、まず“救われた感じ”がほしい。その入口としてコンテンツが機能する。ライブでの祈りやハグは、まさに“体験の可視化”だ。 ABC News

  3. 「正しさ」より「伴走」
    教会の説教が「教える」だとすれば、インフルエンサーは「一緒に悩む」。アシュリーの「月〜土の助け」という言い方は、その象徴だ。 AP News


これから起きること:オンライン信仰は“教会の敵”ではなく“鏡”になる

この現象を「教会の代替」とだけ捉えると、議論は分断に向かう。むしろオンラインの熱量は、教会が見落としてきた問い——若者は何に傷つき、何を恥じ、何に救いを求めているのか——を映す鏡でもある。


同時に、影響力が拡大するほど、発信者の責任や説明可能性は重くなる。政治との距離、収益化の透明性、神学的な足場、共同体との接続。課題が整理されないままバズが先行すれば、信仰は“便利な言葉”として消費され、次の炎上で燃え尽きる。


それでも、数字が示すように「確信」は薄れ、帰属は揺らいでいるのに、意味への渇きは消えない。 ABC News
その空白を埋める手段として、若者が“説教台ではなくタイムライン”で聖書に触れる時代が、すでに始まっている。 AP News


参考記事

これらのインフルエンサーはオンラインでキリスト教を教えており、若者たちが耳を傾けています。
出典: https://financialpost.com/pmn/these-influencers-are-teaching-christianity-online-and-young-people-are-listening

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