語学は最強のアンチエイジング? 多言語を話す人は“加速老化”リスクが半分という研究

語学は最強のアンチエイジング? 多言語を話す人は“加速老化”リスクが半分という研究

「語学は若さの投資」——最新研究が示した多言語のアンチエイジング効果

「英語なんて、もう覚えられないよ」「今さら第二外国語なんてムリ」。
そう嘆いたことがある人にとって、今回のニュースは耳の痛い、しかしちょっとワクワクする内容かもしれません。


2025年11月に Nature Aging に掲載された国際研究によると、複数の言語を話す人は、1つの言語だけを話す人に比べて“生物学的な老化”の進み方が明らかに遅いことが示されました。分析対象は、ヨーロッパ27カ国に住む51〜90歳の健常な成人8万6149人という、かなり大規模なデータセットです。フィジ.org


研究チームは、この結果を「多言語が脳と身体の健康を守る、比較的手軽で安価な手段になりうる」と評価しています。Medical Xpress

ここでは、この研究がどんな方法で「老化」を測り、なぜ言語がそこまで重要なのか、そしてSNSではどんな反応が広がっているのかを解説します。



“脳の年齢差”を測る「BAG/BBAG」とは?

従来の研究でも「二言語話者は認知症の発症が遅いかもしれない」といった報告はありましたが、多くは患者を対象にした小規模研究でした。そこで今回のプロジェクトでは、健康な高齢者を大量に集め、AIを使って「脳と身体の総合的な老化度」を数値化するというアプローチが取られました。フィジ.org


使われた指標は「Biobehavioral Age Gap(BAG/BBAG)」と呼ばれるものです。ざっくり言えば、

  • 血圧や糖尿病などの身体疾患

  • 睡眠、感覚機能、運動習慣

  • 教育歴や認知機能、日常生活の自立度

といった数多くのデータから、AIモデルが「あなたの体と行動パターンなら、生物学的には何歳くらい」と予測し、その予測年齢と実年齢の差を計算します。Medical Xpress


  • 実年齢より“若い”と判断されればマイナス値(=遅い老化)

  • 逆に“老けている”と判断されればプラス値(=加速老化)

となります。この記事では分かりやすく「脳と身体の総合的な年齢差」と呼んでいきます。



多言語話者は“加速老化”リスクが半分以下

では、言語の数とこの「年齢差」はどう関係していたのでしょうか。

研究チームは、参加者を「モノリンガル(1言語)」「2言語」「3言語以上」などに分けて解析。すると、次のような傾向が見えてきました。フィジ.org


  • 1つの言語しか話さない人は、多言語話者に比べて“加速老化”を示す確率が約2倍

  • 長期追跡の解析でも、モノリンガルは将来的に加速老化に陥るリスクが約1.4倍高い

  • 国家レベルで見ても、住民の多くが第二言語を話す国では、加速老化の人の割合が低い

さらに重要なのは、**話せる言語が増えるほど保護効果も強くなる“累積効果”**が確認された点です。2言語より3言語、3言語より4言語、と段階的に「生物学的な若さ」が増していく傾向があったと報告されています。フィジ.org


もちろん、これは「多言語だから100%若くいられる」という話ではありません。ただ、「他の要因(教育、運動、社会経済的背景など)を統計的に調整しても、多言語の効果はきちんと残った」という点で、かなり信頼性の高い結果と言えます。Medical Xpress



なぜ言語が“脳の筋トレ”になるのか?

「運動が健康に良い」のは直感的に分かりますが、「なぜ言語なのか?」は少し不思議ですよね。

研究者たちは、その理由を次のように説明しています。フィジ.org

  1. 常に“2つ以上のOS”が並列起動しているから

    • 多言語話者の脳では、使っていない言語もバックグラウンドで活性化しています。

    • 話すたびに、「今は日本語モード」「ここから英語モード」と、不要な言語を抑えつつ必要な言語を選択し続ける必要があります。

  2. 注意・記憶・実行機能のフル稼働

    • 単語を探す、文法を組み立てる、会話相手の表情を読み取る…。

    • こうした処理には前頭葉を中心とする広いネットワークが関わり、日常的な会話そのものが“脳トレ”になります。

  3. 社会的なつながりが増える

    • 言語を増やすと、接点を持てるコミュニティも広がります。

    • 友人や活動の幅が増えることは、うつや認知症のリスク低下とも関連していることが知られています。

要するに、多言語で生活することは、脳のいろいろな機能に対する「長期的で、そこそこ負荷の高いインターバルトレーニング」のようなものだと言えそうです。



SNSの反応:憧れ、不安、そしてユーモア

このニュースは世界中のSNSでも話題になりました。ここでは、実際の投稿をイメージした“典型的な反応”をいくつか紹介します(ユーザー名などは架空のものです)。


1. 「英語コンプレックス勢」に刺さるポジティブな声

「ジムの会費よりオンライン英会話の方が、長い目で見たらコスパいいのかも。
60歳からでも遅くないって信じたい…!」

「親が『もう歳だから』って英語やめちゃったけど、このニュース見せたらまたやる気出してくれそう。」

「運動も食事も続かないけど、スマホ1つでできる語学なら頑張れるかも」というコメントも多く、「健康目的で語学学習を始める」という新しいモチベーションに共感が集まっています。


2. 「多言語エリート」への軽い嫉妬混じりの投稿

「ヨーロッパの人たち、3言語くらいデフォルトで話しててずるい。
そりゃ脳も若いよね…。」

「子どもの頃から3カ国語とか、人生最初のガチャで勝ってる。」

日本のタイムラインでは、特に「地理的にも文化的にも多言語環境にいるヨーロッパとの違い」を嘆く声が目立ちました。


3. 懐疑派・冷静派のコメント

「相関関係であって因果関係じゃないでしょ。
もともと頭のいい人が多言語もできて、健康にも気を使ってるだけでは?」

「睡眠不足でストレスフルに無理やり勉強したら、むしろ老けそう(笑)」

実際、研究者も**「多言語が直接老化を遅らせる」と言い切っているわけではなく、「他の要因を調整しても残る、有力な保護因子の1つ」**という立場です。Medical Xpress


4. 現場からのリアルな声

「うちの祖母(80代)、若い頃にフランス語をやっていて、今でも歌を全部覚えてる。確かに頭がしっかりしてるんだよなあ。」

「バイリンガル保育園で働いてるけど、子どもたちの切り替えの速さは本当にすごい。
将来どんな大人になるのか楽しみ。」

こうしたエピソードは、研究結果に“顔”を与えてくれます。統計だけでは見えない、生活レベルでの実感がにじみ出ています。



日本社会へのインパクト:高齢化×語学

研究の背景には、世界的な高齢化の加速があります。WHOによれば、2030年には世界の6人に1人が60歳以上になると見込まれています。フィジ.org


なかでも日本は、すでに「世界トップクラスの超高齢社会」。
脳の健康をどう守るかは、医療費や介護負担にも直結する大きな課題です。

そんな状況で、「語学が健康長寿の1ピースになりうる」という今回の知見は、教育政策にもシニア向けサービスにもヒントを与えてくれます。


たとえば、こんな未来像も

  • シニア向けフィットネスクラブに「英会話+脳トレ」クラスが併設

  • 地域の公民館で、退職者と留学生がペアになる言語交換イベント

  • 介護施設で、海外ドラマの視聴会&簡単なフレーズを一緒に練習

「英会話教室=若者かビジネスパーソンのもの」というイメージから、「生涯を通じた“脳の筋トレ”の場」へと発想を広げる余地があります。



とはいえ、注意したいポイントも

希望が持てるニュースだからこそ、誤解も避けたいところ。重要な注意点を整理しておきます。

  1. 薬や治療ではない

    • 多言語話者にも認知症になる人はもちろんいます。

    • あくまで「リスクを下げる可能性がある1つの要因」に過ぎません。

  2. 無理をしてストレス過多になれば逆効果

    • 睡眠不足や過度なストレスは、それ自体が老化のリスク因子。

    • 仕事や家事で疲れ切っているのに、毎日深夜まで勉強…では本末転倒です。

  3. 質より“楽しく続けること”が大切

    • 完璧な文法より、「楽しくアウトプットを続ける」ことが脳への一番の刺激になりそうです。

研究者も、「言語学習は、運動や社会活動と並ぶ“修正可能なライフスタイル要因”」と位置づけています。Medical Xpress



きょうからできる“小さな多言語習慣”アイデア

「それでも何から始めればいいか分からない」という人のために、気軽に試せるステップをいくつか挙げてみます。

  1. スマホの言語設定を一部だけ変えてみる

    • 天気アプリやカレンダーを英語表示にするなど、生活のごく一部から。

  2. 好きなジャンル×外国語のコンテンツを探す

    • K-POPが好きなら韓国語字幕、サッカーが好きなら海外実況を聞いてみる…など、自分の“推し”と組み合わせると継続しやすくなります。

  3. オンライン会話サービスで「週1回、30分だけ」話す

    • 完璧な文を話す必要はありません。とにかく脳に「別言語モード」のスイッチを入れる機会を作ることが重要です。

  4. 家族や友人と“今日覚えたフレーズ自慢”をする

    • 1日1フレーズを共有するだけでも、ちょっとしたゲーム感覚で続けられます。



「言葉を増やす=未来の自分を増やす」

多言語を話せるようになると、旅先で困らなくなる、仕事の幅が広がる——そんな実利ももちろんあります。
でも今回の研究は、それに加えて**「未来の自分の健康を守る投資でもある」**という視点を与えてくれました。

  • 新しい言語を学ぶとき

  • 子どもにどんな教育を受けさせるか考えるとき

  • シニア世代の生きがいをデザインするとき

そのどれもが、「脳の若さ」という観点からも語られるようになるかもしれません。

もしあなたが「いつか英語をやらなきゃ」と思い続けて数年経っているなら——
その“いつか”は、今日から始めてもいい。
完璧でなくていいし、1日5分でも構いません。

新しい言葉の一歩は、「未来の自分を少し若くする一歩」でもあるのです。



参考記事

複数の言語を話すことは、脳を若く保つのに役立つかもしれません。
出典: https://phys.org/news/2025-11-language-brain-stay-younger.html