AIが無断で数百万冊の本を吸収：AIと著作権の攻防戦、法廷で揺れる未来

AIによる“本の略奪”──創作者と法廷、そして議会の攻防戦

著作権の海を泳ぎ回るAI──それはもはや創作のパートナー以上、脅威ともとらえられる存在となりつつある。ワシントン・ポストによれば、大手AI企業（OpenAI、Microsoft、Anthropicなど）は著者に無断で数百万冊もの書籍をトレーニングデータとして収集し、著作権を侵害した可能性が浮上している。著作家たちはこれを「アメリカ史上最大の知的財産の窃盗」と非難し、訴訟という形で反撃を開始した The Washington Post。

著者たちの怒り：訴訟の先にあるもの

法律スリラー作家デイビッド・ボルダッチを含む多数の著者が、OpenAI、Microsoft、Anthropicを相手取り提訴。彼らが懸念するのは、AI製品があらゆる二次創作を自動生成し、著作物の価値と著者の収入が毀損される恐れだ The Washington PostThe Week。

さらに一部の著者は、AnthropicがLibGenやPiLiMiといった“シャドウ・ライブラリ”から最大700万冊の海賊版書籍をダウンロードしたとされる点に注目している。サンフランシスコ地裁のウィリアム・アルサップ判事は、トレーニングの“変革性”を認めたものの、ストレージとしての海賊版大量保有は違法との判断を示し、集団訴訟の継続を許可 。

法廷の判断：fair use はどこまで許されるか

Meta や Anthropic に対していくつかの同様の判断が続くなか、フェアユース主張が支持されるケースも出てきた。2025年6月、アルサップ判事（Anthropic）とチャブリア判事（Meta）は、書籍収集自体は認めるものの、海賊版ストックには異議を示し、商用目的での大規模利用については訴訟を継続すべきと判断した。

これらの判決は“AIによる書籍使用”の法的枠組みを形作る先例となる。今後は裁判記録やAIの出力内容の“創造性”、影響下にある著者への損害などが争点となる見込みだ。

議会も反応：Train Actと法制度整備の可能性

一部上院議員は、著作者が自らAIトレーニングデータに含まれているかどうかを照会できる「Train Act」を提案し、透明性を高める法制度を検討中だ。

SNSの反響：「怒り」「皮肉」「行動の呼びかけ」

TwitterやRedditでは、著者の怒りと文学界の危機感が爆発。「“AIが自分の本を盗んでる”ってリアルに草」「著作権を失ってどうやって飯食えと」「創造性の“毒”になる前に手を打てよ」といった声が踊った。一方、フェアユース支持派は「書籍の“入手”と“利用”は別問題」「変革性があれば、二次的使用はOK」など、理性的な議論を展開している。

■ まとめ：対立の図式と今後の行方