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北米をすべて森にしても埋まらない“炭素の借金”

北米をすべて森にしても埋まらない“炭素の借金”

2025年06月20日 00:38

1. イントロダクション――“森で穴を埋める”という発想の終着点

「化石燃料を燃やしても、同じだけ木を植えれば大丈夫」。カーボンオフセット市場を牽引してきたこの“常識”が、ついに統計の上でも限界値に到達した。英仏の研究チームが示した必要面積は2 475万km²――北米大陸全土を超える。しかも、それでもようやく現在の埋蔵量を帳消しにできる計算だ。phys.org

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2. 研究の骨子――「1820億トンvs.北米大陸」

論文は世界の石油・ガス・石炭大手200社が保有する埋蔵炭素(182 Gt C=約6.7 × 10¹¹ t-CO₂)を対象に、2050年までに植林で吸収するシナリオを作成。一般に“低コスト”とされるAfforestation(新規植林)でも、単純計算で約24.75 M km²が必要と算定した。これは陸地の17%に相当し、耕作地・居住地・生態系を圧迫する規模である。phys.org


3. 金銭的インパクト――「10.8兆ドルの帳簿外債務」

欧州2022年平均の排出権価格83ドル/t-CO₂を当てはめると、総費用は10.8兆ドル。200社の時価総額総計7.01兆ドルを3.8兆ドル上回り、実質的に“環境債務超過”となる企業が**95%**にのぼるという。これは“カーボンバブル”論とも符合し、埋蔵資産=座礁資産というリスクを改めて裏付けた。phys.orgen.wikipedia.org


4. SNSのざわめき――「魔法の消しゴムは存在しない」

  • 気候NGO Climate Reality は「木は気候のMVPだが、チームを単独で勝たせられない」と投稿し、“単独解決策”幻想を牽制。

  • Reddit「r/environment」では「3インチの苗木でプライベートジェットを相殺するのは詐欺だ」と痛烈なコメントが最上位に。reddit.com

  • 気候科学者Glen Petersは以前から「一時的な陸上貯留は化石燃料オフセットに使うべきでない」と警鐘を鳴らし、今回の結果に「やはり」と反応した。

総じて「植林=万能」論の揺らぎが可視化され、ハッシュタグ #Offsets #Greenwashing が急上昇。「“ネットゼロ”でなく“リアルゼロ”へ」との声が目立った。


5. 企業の“緑のディフェンス”崩壊

調査は各社の「Net Environmental Valuation(NEV)」という新指標も提案。排出相殺コストを差し引いた後の企業価値だ。報告ではBP、シェブロン、サウジアラムコ等が軒並みマイナス圏に沈む計算となる。企業広報は「複数のソリューションと組み合わせるべき」と反論するが、投資家の一部は「石油より森林保全債のほうがリターンが高い」と見ており、株主提案でも**“真の減産計画”**を求める動きが強まっている。


6. 政策サイドの動向――カーボンプライシングと土地競合

EUは2030年までに域内の自然回復法を整備するが、同時に再エネ用地と食料安全保障でも土地を奪い合う。研究は「広域植林は農地・居住・生態回廊と競合し、社会的受容性が低い」と指摘。さらに森林火災・病害虫・温暖化による貯留炭素の不安定化も無視できない。


7. 技術的オルタナティブ――DACとBiocharの現実解

論文は植林を全面否定していない。生物多様性や土壌保全の観点で小規模・地域主導の再植林は「多機能ツール」として推奨。一方、化石燃料由来CO₂に対しては**Direct Air Capture(DAC)**や海洋アルカリ化など“長期固定テクノロジー”が必須とする。コストは高いが「木よりは信頼できる金庫」と述べる。


8. グローバル・サウスの視点――森を“帳簿”にする不平等

アフリカや南米では植林オフセットが**土地収奪(Green Land Grabbing)**を招くとの批判が根強い。現地NGOは「気候債務を先進国が南に外部化している」と糾弾。今回の数字は実質的に「地球にそんな余白はない」ことを示し、代替地を求めるビジネスモデル自体が持続不能と明示した。


9. 未来シナリオ――“森林ブーム”の次に来るもの

  • シナリオA:加速する脱炭素
    企業は削減+長期固定技術へ投資をシフト。森林は多様性再生とコミュニティ支援の柱に。

  • シナリオB:緑の粉飾持続
    オフセット依存が続き、2050年の気温上昇は2.6 °Cへ。森林火災で“二重排出”が顕在化。
    研究チームは前者を後押しするため「オフセット上限規制」と「排出権底値引上げ」を提案している。apnews.com


10. 結論――必要なのは“植える”より“燃やさない”覚悟

植林は大切だが“万能ではない”――今回の分析は、数字でその限界を描き切った。森林が持つ社会的・生態的価値を守るためにも、まず化石燃料を地下に留める政策と企業行動が不可欠だ。魔法の消しゴムを探すのをやめ、排出という鉛筆自体を置く時が来ている。


参考記事

分析によると、化石燃料の埋蔵量を植樹で相殺することは実行可能な戦略ではないことが判明しました。
出典: https://phys.org/news/2025-06-offsetting-fossil-fuel-reserves-trees.html

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