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スシローはなぜコメ高騰でも黒字なのか?―「くら寿司」「かっぱ寿司」と分かれた勝敗の真相

スシローはなぜコメ高騰でも黒字なのか?―「くら寿司」「かっぱ寿司」と分かれた勝敗の真相

2025年07月10日 16:04


第1章:コメ価格高騰のメカニズム

1-1. 供給サイドの縮小

  • 気候変動による不作:2024年夏は東北地方を中心に過去20年で最も少ない日照時間を記録し、作況指数は全国平均で"94"(やや不良)。

  • 農家の離農と高齢化:70歳以上のコメ農家比率は2020年の56%から2025年は63%へ上昇。生産量の減少とコスト上昇を招いています。

  • 肥料・燃料価格の高止まり:ロシア・ウクライナ情勢の影響で尿素やリン酸の国際価格が2年連続で高止まり。生産コストが押し上げられ、卸値に転嫁されました。


1-2. 需要サイドの急増

  • インバウンド回復:2023年末に訪日客がコロナ前比90%まで戻り、外食需要が一気に拡大。

  • 宅配・テイクアウトの定着:Uber Eatsや出前館による寿司需要の底上げが続き、業務用米の取引量が増加。


1-3. 政府備蓄米政策の限界

政府は2024年秋に45万トンの備蓄米を市場放出しましたが、急激な需要増に追いつかず、結果として2025年3月の卸売価格は60kg=18,900円(前年比+32%)と過去最高値を更新しました。



第2章:回転寿司業界の勢力図

チェーン店舗数(国内)売上高(2024年度)海外店舗比率営業利益率
スシロー678店2,480億円15.3%7.8%
くら寿司536店1,865億円9.1%1.2%
かっぱ寿司301店705億円0%▲0.7%


図表:2025年3月期・公開データベースより筆者作成

寡占が進む回転寿司業界ですが、利益率はチェーンによって大きな差があります。特に顕著なのがスシローの営業利益率7.8%で、同業他社の6〜8倍にあたります。



第3章:スシローの黒字メカニズムを解剖

3-1. AI × ロジスティクス

F&LCが2023年に導入したAI需要予測プラットフォーム「鮨マイスター」は、過去3年分のPOSデータと気象情報を学習し、30分単位で客数と商品別販売予測を生成します。これによりシャリ(酢飯)ロスが前年比▲26%、ネタ(具材)ロスが▲18%を達成。コメ使用量も1店舗平均で1日15kg削減しました。


Case Study:東京都内旗艦店/2025年2月の実績

  • 廃棄率:1.2%(前年同期2.3%)

  • 廃棄コスト削減額:月120万円


3-2. メニュー戦略:価値訴求型プレミアム化

  • シャリ小・ネタ大:重量比で米を▲12%、ネタを+15%とすることで、原価率上昇分を相殺しつつ顧客満足度を向上。

  • 月替わりフェア:旬魚フェアや海外現地食材コラボを毎月ローンチ。単価の高い皿(220円〜360円)が構成比22%→32%に。


3-3. DXによる省人化

  • モバイルオーダー比率76%:レーン上での“待ち”皿を減らし、廃棄抑制。

  • 配膳ロボット「さびロボくん」:現在220店舗に導入、料理提供時間を平均45秒短縮、人件費を年間12億円削減。

  • Self-Checkout:会計待ちゼロで回転率が18分→15分に短縮。


3-4. 海外展開と為替メリット

  • ASEANでの成功:タイ・ベトナムでは富裕層向けに1皿50〜70バーツ(220〜310円相当)で展開し高収益。

  • 円安効果:海外売上高が円換算で膨らみ、連結営業利益に+38億円寄与。



第4章:「くら寿司」と「かっぱ寿司」の苦戦要因

4-1. くら寿司:コラボ疲れとコスト増

  • アニメ・ゲームタイアップ乱発:限定メニューの材料コストが高く、フェア終了後の客数が反動で▲15%減少。

  • 北米事業の構造問題:カリフォルニア州最低賃金の引き上げ(時給20ドル)で固定費が急増。加えて輸送コスト上昇でコメ原価率が38%→46%に。


4-2. かっぱ寿司:ブランド空洞化

  • 中価格帯の罠:100円寿司より高く、プレミアム路線より安い、という中途半端な価格設定で顧客セグメントが不明瞭。

  • 老朽店舗のデッドスペース:郊外店舗比率78%、席稼働率が47%程度で固定費負担が大きい。

  • 経営資源の分散:親会社コロワイドの多業態投資が優先され、かっぱ寿司への投資が後回しに。



第5章:消費者行動の変化と寿司チェーン

5-1. 値上げ耐性の高まり

2022年からの度重なる値上げで、消費者は「価格より体験価値」を重視する傾向が強まりました。F&LCのアンケートでは、**"ネタの厚さ"と"新メニューの頻度"**が満足度に占める割合は合計68%と、"価格"(14%)を大きく上回っています。


5-2. 外国人客の行動特性

  • グループ利用が多い:平均来店人数は日本人の2.3人に対し、外国人は3.8人。高単価メニューの注文率も22%高い。

  • SNS拡散力:Instagramの投稿率は訪日客56%。スシローは店内に撮影スポットを設け、UGC(User Generated Content)を促進。



第6章:テクノロジーとESGの交差点

6-1. トレーサビリティ

F&LCは2024年より、ブロックチェーンを活用した魚介類の産地証明システムを導入。MSC(Marine Stewardship Council)認証済みのネタ比率を2023年の24%から2025年は42%に拡大予定。


6-2. エネルギー効率

店内照明をLED化し、店舗あたり年間38%の電力削減。省エネ補助金を活用し4年で投資回収。



第7章:今後のリスクと成長機会

リスク概要潜在影響
米価格高止まり供給制約が続く場合、2026年も高値維持原価率+3〜5pt
為替変動円高反転で海外利益が目減り海外営業利益▲15%
人手不足省人化が進まない店舗時給上昇で人件費率+1.2pt
環境規制強化使い捨てプラスチック禁止包装コスト+0.3pt


Opportunity:植物由来ネタ(Plant-based Seafood)の開発で、コストを抑えつつヴィーガン市場に参入可能。



結論

回転寿司業界では、原材料コストの上昇という外的ショックに対し、データ活用による廃棄削減と価値訴求型メニューの二軸でリスクを最小化できた企業が勝者となっています。スシローが示したモデルは“高効率+高付加価値”の両立であり、今後はESGやサステナビリティ基準を加えた多元的競争へ発展するでしょう。くら寿司・かっぱ寿司が巻き返すには、コラボ頼み・価格競争から脱却し、独自のブランド体験と統合デジタル戦略を再構築することが必須です。



📚参考記事一覧(外部リンク・日付順)

  • Foodrink「スシロー、第2Q営業利益6割増」(2025-05-12)

  • F&LC「2025年9月期 第2四半期決算短信 PDF」(2025-05-08)

  • くら寿司「2025年10月期 第2四半期決算短信 PDF」(2025-06-12)

  • 流通ニュース「くら寿司/営業利益48.5%減」(2025-06-17)

  • カッパ・クリエイト「2025年3月期 決算短信 PDF」(2025-05-09)

  • Nippon.com「高止まるコメの価格:その理由と今後の見通し」(2025-06-25)

  • Nomura Wealth Style「備蓄米放出後もコメ価格が高騰しているのはなぜ?」(2025-05-10)





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