メインコンテンツにスキップ
ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア ロゴ
  • 記事一覧
  • 🗒️ 新規登録
  • 🔑 ログイン
    • English
    • 中文
    • Español
    • Français
    • 한국어
    • Deutsch
    • ภาษาไทย
    • हिंदी
クッキーの使用について

当サイトでは、サービスの向上とユーザー体験の最適化のためにクッキーを使用しています。 プライバシーポリシー および クッキーポリシー をご確認ください。

クッキー設定

クッキーの使用について詳細な設定を行うことができます。

必須クッキー

サイトの基本機能に必要なクッキーです。これらは無効にできません。

分析クッキー

サイトの使用状況を分析し、サービス向上に役立てるためのクッキーです。

マーケティングクッキー

パーソナライズされた広告を表示するためのクッキーです。

機能クッキー

ユーザー設定や言語選択などの機能を提供するクッキーです。

「恋愛できなくても結婚できた昭和」と「恋愛も結婚も難しくなった令和」——日本の結婚のかたちを海外と比べて読み解く

「恋愛できなくても結婚できた昭和」と「恋愛も結婚も難しくなった令和」——日本の結婚のかたちを海外と比べて読み解く

2025年09月11日 14:42

序章——「できた」と「できない」の間に横たわるもの

昭和(1926–1989)の日本では、恋愛は“あれば良い”が“なくても結婚はできる”ものでした。家同士や職場のネットワークが仲人を介し、条件を整え、入籍までの段取りが半ば社会化されていたからです。令和の今、結婚は「個人の恋愛と自己決定」によってのみ駆動される比重が増しました。ところが、出会いの希少化、経済の不確実性、制度の硬直性が重なり、恋愛も結婚も実行に移しづらい。ここに“昭和はできたのに、令和は難しい”という感覚の源泉があります。



1. 昭和の標準装備:仲人・会社・家

1-1 見合いが作った“段取りの社会化”

1930年の日本では婚姻の**約69%が見合いでした。見合い比率は戦後も長く高止まりし、2015年には5.2%**まで低下しています。見合いの衰退は、恋愛が前提となる結婚への移行を象徴します。Nippon



1-2 企業・地域コミュニティが担った「マッチング」

昭和は職場・地縁・血縁が濃密でした。会社の社宅、職場の飲み会、地域行事など、偶発的な出会いと第三者の仲介が豊富に存在。昭和的な「標準家庭モデル(正社員の夫+専業主婦)」や終身雇用も、若年層に早めの結婚を後押ししました(詳細データは後章)。



2. 令和の現実:出会いは可視化されたが、結婚は遠のいた

2-1 婚姻数・初婚年齢の変化

日本の婚姻件数は2023年に474,741件で戦後最少、2024年は485,063件でした。平均初婚年齢は**男性31.1歳、女性29.8歳(2024年)**へ上昇。晩婚化・未婚化の流れが続いています。厚生労働省+2厚生労働省+2



2-2 「交際経験」が細る若者層

国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)の2021年調査では、18–34歳の未婚者で、交際経験ありは男性60.0%、女性64.8%。裏を返せば、男性の約4割・女性の約3.5割は交際経験がない状態です。未婚意欲自体は高いものの(女性の「いずれ結婚するつもり」は2015年89.3%→2021年84.3%と低下)、出会いの希少化がボトルネックになっています。IPSS+1



2-3 「どこで出会うか」が激変

出会いの場は昭和の「職場・親族・仲人」から、令和は「アプリ・SNS・趣味コミュニティ」へ。IPSSは職場での出会いの割合が低下し、近年は**インターネットサービス経由の交際が15.1%**に達したと報告しています。IPSS



2-4 政府・自治体も“マッチング”を公助化

東京都はAIマッチングを活用した公式婚活アプリを開始し、政府も婚活支援のデジタル化を後押ししています。公共セクターが“出会いのインフラ”を補う動きは、見合い文化の公共アップデートと言えるでしょう。東京都交通局+1



3. 海外との違い——「恋愛・同棲・出産・結婚」の関係式

3-1 婚外子と同棲の一般化

OECD平均では出生の約4割超が婚外子。日本・韓国・トルコは婚外子比率が**2–3%**と極めて低く、恋愛や同居が“結婚の代替”になりにくい社会構造です。結果として「恋愛ができても、結婚に踏み切るには入籍の壁が高い」現象が起こりやすい。OECD WebFS



3-2 近隣・先進国の動向

韓国は婚姻の長期減少と超低出生で日本以上に深刻でしたが、2023年に11年ぶりに婚姻増、2024年はさらに増加の兆しも。ただし婚外子は依然希少で、住宅価格や長時間労働が障壁です。欧州では事実婚が定着し、恋愛→同棲→出産→(必要なら)入籍という多様なルートが制度により担保されています。Reuters+2TIME+2



4. 日本の制度と慣行がもたらす“入籍のコスト”

4-1 夫婦同姓義務という日本固有の制度

日本は民法750条により、婚姻時に夫婦が同姓を選ばなければならない世界で唯一の国です(事実上、約95%が夫の姓)。最高裁は2015年・2021年に制度を維持。国際的には別姓容認が主流で、日本でも別姓導入支持は多数派との調査があります。朝日新聞+3ABC+3Harvard Law Review+3



4-2 税制(配偶者控除・配偶者特別控除)の影響

配偶者控除・配偶者特別控除は、特定の所得範囲で第2稼得者(多くは妻)の就労を抑制するインセンティブになりうる——との議論が長年あります。制度は更新されつつあるものの、「“入籍+専業・短時間就労”を前提に最適化された税制」の名残が、家計設計や結婚意思決定の複雑化要因になっています。国税庁+2国税庁+2



4-3 働き方と家計不安

2019年の「働き方改革」で**残業上限(年720時間、単月100時間未満、2–6か月平均80時間未満)**が導入されましたが、若年層の可処分所得の伸び悩みや非正規比率の高さ、都市部住宅費の負担感は依然重く、結婚・出産の経済計画を難しくします。厚生労働省



5. なぜ令和は「恋愛も結婚も難しい」と感じるのか(ロジックツリー)

  1. 出会いコスト:職場・地域の偶発的出会いが減り、プライバシー尊重とハラスメント規範強化で“職場恋愛”のハードルが上昇。→ デジタル移行で母集団は増えても、マッチング・選別・コミュニケーションの学習コストが増大。IPSS

  2. 合意形成コスト:価値観多様化により、同棲・家事育児分担・姓・キャリアのすり合わせ項目が増加。夫婦同姓義務が意思決定の“難所”になるケースも。ABC

  3. 生活コスト:賃金や雇用の不確実性、首都圏の住居費、保育と教育費負担、長時間労働の観念的重力が、入籍・出産の期待効用を下げる。厚生労働省

  4. 制度代替の乏しさ:婚外子や事実婚への寛容度・制度整備が低く、「入籍」しないと権利保障されにくい。結果、恋愛→同棲→出産の途中段階で“つまずくと全体が止まる”。OECD WebFS



6. とはいえ、前進の芽はある

  • アプリ経由の交際が一定の割合に到達(15.1%)。公的支援も拡充し、見合いの公共アップデートが進行中。IPSS+1

  • 未婚者の結婚意欲はなお高水準(低下傾向に注意しつつ)。“機会の再設計”が効く余地が大きい。IPSS

  • 働き方改革の継続や最低賃金の引上げ、育休・保育の整備は、結婚・出産の計画可能性を押し上げる。厚生労働省



7. 海外在住・外国人読者のための日本の“勘所”

  1. 法律と手続き:婚姻届は戸籍に基づく法的手続き。同姓義務の例外は国際結婚などに限られます。赴任・留学での婚姻は、ビザや在留資格の実務も要確認。ohrh.law.ox.ac.uk

  2. 同棲と権利:欧州のように事実婚の法的保護が厚いわけではありません。保険・相続・親権・税の多くで入籍が前提。OECD WebFS

  3. 出会い方:英語話者向けコミュニティや趣味サークル、自治体の国際交流、職場外の活動が鍵。東京では公的支援アプリやパブリックなイベントも増加。futari-story.metro.tokyo.lg.jp



8. 提案——「昭和の段取り」を令和の価値観で再設計する

  • 制度の摩擦低減:選択的夫婦別姓の導入検討、婚外子・事実婚家庭の権利整備、税制の第2稼得者バイアス緩和。朝日新聞+1

  • 出会いの社会化 2.0:自治体×民間の安全なAIマッチング/対面イベント/職場外コミュニティの支援。東京都交通局

  • 時間とお金の再配分:長時間労働の更なる是正、住宅・育児コストの軽減、若年層の所得安定化。厚生労働省



9. 結び——恋愛と結婚を“個人だけ”に委ねない

昭和は“制度と共同体”が恋愛を補完し、結婚の予見可能性を高めました。令和は“個人の自由”が進みましたが、その自由を支える公共の段取りが追いついていません。出会い・合意形成・家計設計・権利保障を社会が一段支えることで、「恋愛も結婚も難しい」を「恋愛も結婚も、やろうと思えばできる」へと転換できるはずです。


Powered by Froala Editor

← 記事一覧に戻る

お問い合わせ |  利用規約 |  プライバシーポリシー |  クッキーポリシー |  クッキー設定

© Copyright ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア All rights reserved.