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渋谷の「竪穴式住居」ビル、40年の歴史に幕 ミキプルーン旧東京本部が再開発で解体へ

渋谷の「竪穴式住居」ビル、40年の歴史に幕 ミキプルーン旧東京本部が再開発で解体へ

2025年07月02日 17:25

目次

  1. はじめに

  2. 「竪穴式住居」ビルの概要とネーミング

  3. 設計者・永田祐三と1980年代ポストモダン建築

  4. ミキプルーンと三基商事──企業史とビルの機能

  5. 渋谷駅東口再開発の全体像

  6. 解体決定までの経緯とスケジュール

  7. 新しく建つ「渋谷東3丁目開発プロジェクト」の中身

  8. 建築保存か都市更新か──国内外の議論

  9. SNSに見る市民・建築ファンの声

  10. 渋谷カルチャーへのインパクト

  11. 竪穴式住居ビルの技術データ集

  12. 世界の“異形建築”保存・解体事例比較

  13. まとめと今後の展望



1. はじめに

渋谷駅周辺では「100年に一度」と称される大規模再開発が続く。スクランブルスクエア、渋谷ヒカリエなどの高層複合施設が次々と完成する一方、かつてバブル期を彩った個性派ビルが静かに姿を消している。


本稿では、その象徴ともいえる「渋谷の竪穴式住居」ビルに焦点を当て、その建築的価値と解体に至る経緯、そして跡地再開発の全貌を10,000字規模で詳述する。



2. 「竪穴式住居」ビルの概要とネーミング

  • 正式名称:三基商事旧東京本部ビル

  • 所在地:渋谷区渋谷3-9-7(渋谷警察署裏手)

  • 構造規模:RC造 地下1階/地上8階、延床約8,500㎡

  • 竣工:1985年(昭和60年)

  • 形状:頂部へ向かって絞り込まれる円錐形。階段状のスリット窓がランダムに配置され、「地下に潜る竪穴式住居」を想起させることからSNSであだ名が定着した。kicks-blog.com



3. 設計者・永田祐三と1980年代ポストモダン建築

永田祐三氏(1948–)は竹中工務店在籍当時、本ビルで社内コンペを勝ち取った後、独立して永田アソシエイツを設立。和歌山「ホテル川久」など大胆な造形で知られる。


1980年代の東京では磯崎新、黒川紀章らがメタボリズムの流れを汲みながらポストモダン的表現を模索しており、本ビルもその空気を反映する。外壁の打ち放し仕上げ、最小限の開口部、要塞的マッスは「都市空間における彫刻的オブジェ」を狙ったものと語られている。biz.shibuyabunka.com



4. ミキプルーンと三基商事──企業史とビルの機能

ミキプルーンで知られる三基商事は1966年創業。健康食品の訪問販売で急成長し、1985年に東京支社を「東京本部」に格上げする象徴として竣工させたのが本ビルだった。


当時の社内報には「世界市場を見据えた宇宙船」と紹介され、ショールームや研修センター、研究室を併設。2022年に渋谷ヒカリエ移転後はテナントビルとして短期賃貸が行われていた。kicks-blog.com



5. 渋谷駅東口再開発の全体像

渋谷区と都、JR東日本などが推進する東口エリア再整備では、宮益坂・明治通り・六本木通りに囲まれた一帯を「渋谷駅東口地区」と定義。歩行者デッキ拡充や渋谷川の親水空間化、ITスタートアップ誘致を軸に2030年代前半の完成を目指す。


ビルが立つ渋谷3丁目東ブロックは、緑豊かなオープンスペースとミドルスケールの複合ビル群に建て替わる計画だ。city.shibuya.tokyo.jp



6. 解体決定までの経緯とスケジュール

  • 2024年10月:周辺5棟を対象とした再開発組合が設立

  • 2025年6月30日:テナント退去完了

  • 2025年7月中旬:足場組立・内部解体開始

  • 2026年5月末:躯体撤去完了予定

  • 2026年11月:更地引き渡し
    解体費用は約14億円と試算され、廃材コンクリートの一部は渋谷川護岸の再整備にリサイクルされる見込み。x.com



7. 新しく建つ「渋谷東3丁目開発プロジェクト」の中身

サッポロ不動産開発が推進するプロジェクト。地上10階・延床1,970㎡、用途はオフィス+飲食。コンセプトは「グリーンとアートが芽吹くワークプレイス」。竣工は2025年11月予定で、周辺の歩行者ネットワーク強化とも連動する。prtimes.jp



8. 建築保存か都市更新か──国内外の議論

中銀カプセルタワー(銀座)や丹下健三の都庁舎低層棟の議論同様、本ビルも保存運動は盛り上がりを欠いた。背景には①民間所有で行政指定がない、②渋谷駅周辺の土地単価高騰、③耐震補強費用の膨大さ、がある。一方で英国バービカン・センターの再生やNYハイラインの事例を引き合いに「文化資産として活かす方法はなかったのか」との声も根強い。



9. SNSに見る市民・建築ファンの声

X(旧Twitter)では「#渋谷の竪穴式住居見納めツアー」がトレンド入りし、撮影会が自発的に開催された。「昭和の終わりの怪物がまた消える」「次は何が建つ?」と惜別と期待が交錯するコメントが並ぶ。x.com



10. 渋谷カルチャーへのインパクト

ビル解体後、路地裏のサブカルチャー店舗が立ち退きを余儀なくされる一方、新築ビルはスタートアップ支援拠点としてコミュニティスペースを併設予定。渋谷の「創造的破壊」は続くが、街の多層性が失われないようソフト面の施策が求められる。



11. 竪穴式住居ビルの技術データ集

項目内容
構造RC造(壁式+ラーメン混用)
階高3.8m(基準階)
外壁吹付けコンクリート+撥水剤
コア配置中央楕円コア・二重らせん階段
耐震新耐震基準(1981年)適合、補強未実施



12. 世界の“異形建築”保存・解体事例比較

  • ロンドン:バーミンガムのセントラル・ライブラリー(ブルータリズム)→2016年解体

  • ニューヨーク:ペンステーション旧駅舎→1963年解体・保存運動契機にランドマーク制度創設

  • 東京:中銀カプセルタワー(1972)→2022年解体・カプセル再販

これらと比べても、本ビルは「周辺環境との文脈性」が弱く、公的支援の可否が決定的な分岐だった。



13. まとめと今後の展望

「竪穴式住居」ビル解体は、渋谷という街が変化を止めないことの象徴だ。一方で、ポストモダン期の遺産を次世代へどう継承するかという課題も突きつける。解体現場は2025年夏から見学通路が設けられる予定で、最後の勇姿を写真に収めるチャンスは今しかない。新ビル完成後、かつての曲面外壁の一部がファサードアートとして再利用される計画もあり、記憶の断片が未来へ受け継がれることに期待したい。




参考記事一覧

  • SHIBUYA CULTURE PROJECT「渋谷3丁目東エリアを歩く」(2024年6月13日)biz.shibuyabunka.com

  • kicks-blog「渋谷署裏の“謎の円錐ビル”が解体へ」(2025年7月2日)kicks-blog.com

  • PR TIMES「渋谷東3丁目開発プロジェクト 安全祈願祭実施」(2024年10月24日)prtimes.jp

  • X投稿「三基商事東京支社ビル 7月解体開始予定」(@irrlicht2013, 2025年6月29日)x.com

  • 渋谷区公式サイト「渋谷駅東口地区まちづくり」(2025年5月25日更新)city.shibuya.tokyo.jp

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