高齢者の脳を若返らせる!?おつまみが“脳トレ”になる日:1日60gピーナッツが脳と血圧に及ぼしたリアルな影響

高齢者の脳を若返らせる!?おつまみが“脳トレ”になる日:1日60gピーナッツが脳と血圧に及ぼしたリアルな影響

「いつものおやつ」が脳の血流を押し上げた?

「ピーナッツで脳の血流が増えるらしい」


そんな見出しが海外メディアに並び、SNSでも話題になっています。Fox Newsが取り上げたのは、オランダ・NUTRIM研究所(マーストリヒト大学医療センター)のチームによる最新の臨床試験。高齢者が毎日ピーナッツを食べ続けると、脳への血の巡りと記憶力がわずかながら改善した、という結果です。Fox News


「脳にいいサプリ」や「認知症予防食品」といった派手な宣伝があふれるなか、今回の主役はスーパーで簡単に手に入る“ごく普通のピーナッツ”。それだけに、「本当なの?」「どのくらい効くの?」と、関心と疑いの両方を呼び起こしています。



研究の中身:31人の高齢者と16週間の「ピーナッツ生活」

今回の研究は、科学誌 Clinical Nutrition に掲載されたランダム化クロスオーバー試験です。研究チームは、60〜75歳の健康な男女31人を対象に、次の2つの期間を比較しました。PubMed

  • ピーナッツ期間

    • 無塩・皮付きローストピーナッツを 1日60g(おおよそ「片手にしっかり山盛り」くらい)

    • これを 16週間 毎日食べる

  • コントロール期間

    • 同じ人たちに、ピーナッツを一切食べない 16週間を設ける

  • その間に 8週間の休憩期間(ウォッシュアウト) を挟み、順番はランダムに入れ替え


研究参加者は、普段の生活はほぼそのままに、指定された量のピーナッツを食事のどこかに組み込むだけ。砕いたり加熱したりすると栄養組成が変わる可能性があるため、「そのまま食べる」ことが求められました。ニューヨーク・ポスト


脳への影響は、MRI(動脈スピンラベリング)を用いて脳全体の血流量を測定。認知機能は、CANTABという標準化されたテストバッテリーで評価されています。PubMed



何が起きたのか:脳血流3.6%アップと記憶力5.8%改善

結果だけを一言でまとめると、

「毎日60gのピーナッツを16週間続けたら、高齢者の脳血流と一部の記憶テストの成績が、わずかだが有意に良くなった」

というものです。具体的には:PubMed

  • 脳全体の血流(グローバルCBF)

    • ピーナッツを食べた期間は、食べなかった期間に比べて 約3.6%増加

  • 灰白質の血流

    • 記憶や感情、意思決定に関わる灰白質では 約4.5%増加

  • 前頭葉・側頭葉

    • 言語や高次思考に関わる領域で、さらに大きめの増加(前頭葉で6%前後など)が確認された報告もあります。

  • 言語系の記憶テスト

    • 単語を覚えてしばらく後に思い出すテストで、正答数が平均5.8%ほど改善

    • ざっくり言えば「思い出せる単語が1〜2個増えた」イメージ

  • その他の認知機能

    • 実行機能(計画・切り替えなど)や反応速度など、別の認知テストには明確な改善は見られず


脳の血流が3〜4%増えたからといって、「劇的に頭が良くなった!」というレベルではありません。それでも、高齢期にじわじわと低下していく脳血流が、食習慣だけでプラス方向に触れたというのは、研究者にとってかなり興味深いシグナルです。



血圧も少し下がったが、体重は増えなかった

興味深いのは、心血管系の指標にも変化があった点です。PubMed

  • 収縮期血圧:平均 約5mmHg低下

  • 脈圧:約4mmHg低下


一方で、1日60gのピーナッツはおよそ340kcal程度と、決して軽いおやつではありません。それでも、今回の試験では参加者の体重に大きな増減は見られなかったと報告されています。これは、ナッツ類全般についてよく言われる「カロリーは高いが満腹感も高く、総摂取カロリーが極端に増えにくい」という傾向と整合的です。


とはいえ、これは小規模で管理された試験のなかでの話。実生活では「ピーナッツ+普段通りの甘いお菓子+アルコール」と積み増しされれば、当然体重増加のリスクは高まります。その意味では、「おやつをピーナッツに“置き換える”」意識が重要です。



ピーナッツの何が“脳の血管”に効いていそうなのか?

研究チームや関連の報道では、ピーナッツに含まれるいくつかの成分が候補として挙げられています。PubMed

  • L-アルギニン:血管を拡張させる一酸化窒素(NO)の材料になるアミノ酸

  • 不飽和脂肪酸:オリーブオイルなどと同じく、心血管に良い影響があるとされる脂質

  • ポリフェノール・抗酸化物質:特に皮付きピーナッツに多く、酸化ストレスから血管を守る可能性

  • 食物繊維:腸内環境や血糖コントロールを通じて、間接的に血管にプラスにはたらく可能性

  • 植物性たんぱく質:総合的な代謝改善に寄与する可能性


今回の研究では、**「無塩・皮付きロースト」**という比較的シンプルな加工に限定しているのもポイントです。皮にはポリフェノールや食物繊維が多く含まれており、ここが「ただのピーナッツ」ではない部分かもしれません。


ただし、これらはあくまでメカニズムとして「ありそうだ」と考えられている候補であって、「アルギニンのおかげで3.6%血流が増えた」といった因果を特定できたわけではありません。



SNSの反応:歓喜・不安・ツッコミが入り乱れる

こうしたニュースが報じられると、SNSではさまざまな声が飛び交います。以下は、実際の投稿ではなく、典型的に出てきそうな反応をまとめたイメージです。

  • 今日からおやつはピーナッツ一択だな。安いしうまいし脳にもいいとか最高」(60代・男性)

  • アルツハイマーが怖くて何でも試したい世代だから、こういう研究は希望が持てる」(70代・女性)

  • 31人だけの研究で大騒ぎするのはどうなんだろ。もっと大規模な試験を見てから判断したい」(40代・研究職)

  • アレルギー持ちには地獄みたいなニュース…せめて他のナッツでも同じ効果があるか研究してほしい」(30代・女性)

  • 問題は“無塩”ってところ。酒飲みはそこが一番つらい」(50代・男性)


ポジティブな反応の多くは、「安くて続けやすい」「薬じゃなくて食べ物なのがいい」といった、“ハードルの低さ”への共感です。一方、慎重派は「サンプル数」「対象が健康な高齢者だけ」「試したのはピーナッツだけ」という研究デザインの限界を指摘し、「見出しだけ一人歩きする危険」を懸念しています。PubMed


また、ピーナッツアレルギーの人にとっては、そもそも「試す」という選択肢が取れないニュースでもあります。コメント欄には「せめて他のナッツでも似た研究を」といった声も散見され、健康情報が人によって“希望”にも“疎外感”にもなり得ることをあらためて感じさせます。



研究者も慎重:「魔法の食べ物」ではない

Fox Newsなどの報道でも、研究者は「脳の血流改善は確認できたが、まだ小さなステップに過ぎない」と強調しています。Fox News


主な限界は以下のとおりです。

  1. 参加者が少ない(31人)
    統計的には有意な差が出ていても、個人差を十分にカバーできる人数ではありません。大規模研究で同じ傾向が出るかは未知数です。

  2. 対象が「健康な高齢者」のみ
    高血圧や糖尿病、認知症のある人、若年層などに同じ効果があるかは、この研究からはわかりません。

  3. 条件がかなり限定的

    • 無塩

    • 皮付き

    • ロースト

    • 1日60g
      それ以外のピーナッツ(バター、甘味付き、フレーバー付き、揚げピーナッツなど)で同じような効果があるかは全く検証されていません。

  4. 観察期間は16週間
    4カ月の変化は見えましたが、1年、5年と続けたときに認知症リスクがどの程度変わるのかといった長期的なアウトカムは不明です。


つまり、「ピーナッツを食べれば認知症にならない」「頭が良くなる」といった決めつけは、完全に行き過ぎです。今回の結果はあくまで、
「高齢者の脳血流と一部の記憶機能に、ピーナッツがプラスの影響を与えている可能性がある」
というスタートラインを示したに過ぎません。



それでも「やってみる価値」はあるか?

ここで現実的な視点に戻ると、

  • ピーナッツは比較的安価で手に入りやすい

  • たんぱく質や良質な脂質、食物繊維が豊富で、他の健康指標にもプラスに働きやすい

  • しっかりしたエビデンスが積み上がれば、「脳の健康を意識したおやつ」として有望

というポジティブな側面があります。


一方で、

  • アレルギーのリスク(特に重篤なもの)がある

  • カロリーが高く、食べすぎれば体重増加や生活習慣病リスク増大につながる

  • 塩や砂糖、油をたっぷり加えた市販品だと、むしろマイナス要素が増える

という注意点もあります。


「ピーナッツは万能薬ではないが、うまく付き合えば“悪くない選択肢”」
——このくらいの温度感で捉えておくのが妥当でしょう。



現実的な取り入れ方:どんな人が、どう食べると良さそう?

※ここからは、あくまで一般的なヘルスケア情報であり、医療アドバイスではありません。持病のある方や食事制限中の方は、必ず医師・栄養士に相談してください。


1. 量の目安:まずは30〜60g程度まで
研究では1日60gでしたが、日本の食生活ではやや多めに感じる人も多いはずです。最初は 30g程度(小皿1杯・片手軽く一杯) から始め、総カロリーと体重の変化を見ながら調整するのが現実的です。


2. 「追加」ではなく「置き換え」にする

  • 夜のポテチ → ピーナッツ

  • 砂糖たっぷりのお菓子 → 無塩ナッツ+果物少し
    といった形で、今あるおやつを“丸ごとピーナッツにスライド”させるイメージが、体重管理には重要です。


3. できれば「無塩・味付けなし」が基本
塩味・フレーバー付きはどうしても塩分と脂質が増えがちです。脳と血管を意識するなら、

  • 「無塩」

  • 「植物油での揚げ加工なし」

  • 「皮付きロースト」
    のものをベースに選ぶと、今回の研究条件にも近づきます。


4. アレルギー・持病がある人は要注意

  • ピーナッツアレルギーの人は当然NG

  • 腎臓病などでたんぱく質・カリウム制限中の人も、自己判断で量を増やさないこと

  • 血液サラサラ系の薬を飲んでいる人などは、ナッツ類を急に大量に増やす前に、医師に確認を



こんな食べ方アイデア

日本の食卓に取り入れやすい工夫として、例えば:

  • 朝食のヨーグルトやオートミールに「刻んだ無塩ピーナッツ+フルーツ」を乗せる

  • サラダのトッピングとしてクルトン代わりに少量散らす

  • 在宅ワーク中の“ながら食べ”用に、小さな容器に30gだけ入れてデスクに置く(袋ごと置かないのがポイント)

  • 夜のお酒のお供を、フライドスナックから「無塩ピーナッツ+枝豆」にシフトする

など、「量を決めて、見える形で置く」ことで食べすぎを防ぎつつ、習慣として取り入れやすくなります。



「脳のためのおやつ」をどう選ぶか

今回のピーナッツ研究は、「脳の健康を意識したおやつ選び」という新しい視点を、私たちに提示してくれます。

  • 適度な運動

  • 良質な睡眠

  • 人とのつながり

  • バランスの取れた食事

といった基本が土台にあり、そのうえで「じゃあ、毎日口にするおやつは何にしよう?」というレイヤーの話です。


その候補の一つとして、「無塩・皮付きローストピーナッツを決めた量だけ」 という選択肢は、なかなか悪くありません。もちろん、今後の研究で同じような効果が他のナッツや食材でも確認されるかもしれませんし、より長期の追跡で結果が変わる可能性もあります。


だからこそ今は、
「ピーナッツさえ食べていれば安心」と考えないこと。


その代わりに、
「脳のことも意識しながら、毎日の小さな選択を少しだけ良くしていく」
そんなゆるやかなスタンスで、このニュースを活かしていくのが良さそうです。



医療・健康情報に関する注意

この記事は、公開されている研究論文やニュース報道をもとにした解説であり、特定の病気の予防・診断・治療を目的としたものではありません。PubMed


持病のある方、薬を服用中の方、食事制限を受けている方が食習慣を変える場合は、必ず主治医や専門家と相談してください。



参考記事

新しい研究によると、人気の日常的なおやつが高齢者の脳血流を増加させることが判明
出典: https://www.foxnews.com/health/popular-daily-snack-found-boost-brain-blood-flow-older-adults-new-study-shows