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プラスチック汚染対策の行き詰まり:環境団体が一斉反発、企業も強い規制を要求

プラスチック汚染対策の行き詰まり:環境団体が一斉反発、企業も強い規制を要求

2025年08月16日 00:13

導入——「海の色」が決まらない

“プラなしの未来”を賭けたはずのジュネーブは、空振りに終わった。8月15日、国連の政府間交渉委員会(INC)が主導する「世界プラスチック汚染条約」の第5会期・後半(通称INC5.2)は、会期を延長してなお、文面合意に至らず散会。議長は再開を示唆したが、次回の日時は白紙のままだ。核心は明瞭——“どれだけ作るか”を世界で決められるのか、である。UNEP - UN Environment ProgrammeReuters


何が詰まったのか:三つの壁

今回の交渉がはね返された壁は大きく三つある。第一に、バージンプラスチックの生産上限。欧州や小島しょ国は、増え続ける生産量に歯止めを求めたが、石油・石化依存国や米国が難色を示した。第二に、添加剤を含む有害化学物質の包括規制をどこまで世界一律で義務化するか。第三に、途上国が実行できるよう資金と技術をどう配分するかだ。ReutersAP News


世界はすでに年間4億トン超のプラスチックを生み、現状のままなら2040年までに約70%増えると見積もられる。この“上流”を締めるのか、“下流”の廃棄・回収の効率化に寄せるのかで、各国は真っ向から割れた。AP News


政治の現実:強硬化する米国、建設的な中国?

今回、米国は生産上限に反対し、姿勢を一段と硬化させたと複数メディアが伝える。対照的に、中国はライフサイクル全体を視野に入れた建設的なトーンを示したとの評価もある。交渉は“数十秒で散会”する混乱を見せ、コンセンサス(全会一致)方式の限界が露呈した。Reuters


「全員の賛成」を必要とする現行ルールは、少数の“拒否権”で全体が止まる——この構図を変え、採決(投票)への移行を求める声はテーブルの内外で強まっている。Climate Home News


テキストの中身:なぜ「これは条約ではない」のか

会期終盤に示された改訂案は、世界的な生産上限や有害化学物質の強制規制が事実上見送られ、各国の裁量に委ねる色合いが濃い——環境団体はそう批判した。「これは条約ではない」。WWFのグローバル・プラスチック政策アドバイザーのコメントは、会場の落胆を象徴する。The Associated Presswwf.panda.org


企業の空気感:規制を“嫌う”だけではない

意外に見えるかもしれないが、サプライチェーンの企業側からも「世界で整合的な(ハーモナイズド)規制」を求める声は強い。Ellen MacArthur財団とWWFが束ねる“Business Coalition for a Global Plastics Treaty”は、循環型経済へ移行する強い条約を要請し、今回の不合意を受けても「実効性のある合意」を重ねて訴えた。企業にとっても、国ごとにバラバラな規制より、世界で揃ったルールの方が投資判断をしやすいからだ。businessforplasticstreaty.org


市民社会の声:弱い合意より“不合意”を

一方、NGOの多くは「骨抜きの合意をするくらいなら、やり直しの方がマシ」との立場だ。NRDCは「多数派は量と毒性の世界的コントロールを支持したが、少数派が極めて弱い条約を望んだ」と要約。Break Free From Plasticは、議長案に即座に反対する会場外アクションを展開し、SNSでも“#PlasticsTreaty”の下にリアルタイムの反応を流した。NRDCBreak Free From Plastic


SNSの反応(要点)

  • 「生産量に踏み込まずに、廃棄とリサイクルだけでは状況は変わらない」——環境系アカウントの多数意見。X (formerly Twitter)

  • 「企業も規制を求めている。世界で揃ったルールが投資と技術革新を促す」——企業連合やサステナビリティ専門家の投稿。businessforplasticstreaty.org

  • 「合意方式を見直せ。少数の反対で世界が人質に」——交渉プロセスを批判するスレッドが拡散。Climate Home News

  • 「市民の声を締め出した終盤運営は問題」——傍聴制限や議事運営への不満も目立った。AP News

  • 「それでも次がある。弱い条約を急ぐより、やり直して強い合意を」——失望と同時に粘り強い楽観。Reuters


それでも時計は進む:次の現実

UNEPは「作業は続く」と明言し、INCの公式ページにも“次の会合での再開”が示される。ただし期日は白紙。国際条約の空白が続くほど、各国・地域は独自規制で先に進む——EUの使い捨て削減やアジアの拡大生産者責任(EPR)強化、企業の再生材シフト等だ。条約の役割は、こうした点在するルールを“世界語”に翻訳し、抜け穴をふさぐことにある。UNEP - UN Environment Programme


日本への示唆

日本は資源循環戦略や容器包装リサイクルで経験を持つ一方、樹脂の上流抑制、添加剤の国際整合、再生材品質の標準化などで主導的役割を果たしうる。特に「上流(設計・代替素材・リフィル)×下流(回収・高品質リサイクル)」を結ぶシステム輸出は、産業政策としても競争力の源泉だ。条約が揉める時こそ、国内外で“実装例”を積み上げることが、次の交渉の地図になる。


まとめ——“不合意”は終わりではない

今回の決裂は、政治の現実と産業構造の摩擦を白日の下にさらした。しかし数字は待ってくれない。年間4億トン超、2040年に+70%——人類は“使い捨て”を作る速度を、回収・分解の速度で上回れるのか。次のテーブルに持ち込むべきは、理念ではなく設計図だ。生産の天井、化学物質の封じ込め、資金の回路設計——最低限の三点セットを、地政学のノイズを超えて束ねられるかが問われている。AP News


参考記事

世界がプラスチック汚染を止める条約で行き詰まっている理由
出典: https://www.nytimes.com/2025/08/14/climate/global-plastic-pollution-treaty.html

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