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子どもから家庭へ拡大中――今すぐ知りたい“ノロ類似ウイルス”最新対策

子どもから家庭へ拡大中――今すぐ知りたい“ノロ類似ウイルス”最新対策

2025年06月08日 12:44

1. はじめに――「真夏のノロ」と呼ばれる異変

2025年6月上旬、日本各地の保育園や学校から感染性胃腸炎のクラスター報告が相次いでいる。盛岡市の保育施設では園児13人、函館市では15人、福岡市では園児と職員計46人が相次いで嘔吐や下痢を訴え、いずれもウイルス性胃腸炎と確認された。通常は気温が低下する秋冬にピークを迎えるはずの疾患が、初夏に急増した理由はどこにあるのだろうか。




2. 最新流行状況――定点報告から見える異例の伸び

厚生労働省・国立健康危機管理研究機構(旧国立感染症研究所)の週報によれば、第15週(4月7〜13日)の感染性胃腸炎定点当たり患者報告数は、過去5年平均を大幅に上回った。東京都の速報値でも6月第1週時点で前年同期比約1.6倍と高い水準が続く。埼玉県の同時期データでは13.2人/定点と、2021〜24年平均(約8人)を大きく超えている。  




3. 流行の主役――ノロ、サポ、アストロの“三兄弟”

検査機関のウイルス分離データを見ると、今シーズンはノロウイルスGII型に加え、サポウイルスとアストロウイルスの検出割合が急伸している。サポ・アストロはいずれもカリシウイルス科で症状がノロに酷似し、乳幼児での罹患が多い点が特徴だ。しかも環境中での生存力や感染力はノロと同等以上とされ、集団生活の場では一人の嘔吐で一気に拡散する。




4. 天候不順がもたらす「体温の乱高下」

2025年の春〜初夏は、全国各地で最高気温25℃超えの夏日と15℃前後の肌寒い日が数日単位で入れ替わる極端な気温変動が続いた。体温調節のため自律神経が乱れ、腸管粘膜の局所免疫(IgA分泌)が低下しやすくなる。専門家は「寒暖差ストレスが長引くほど、わずかなウイルス暴露でも発症リスクが上がる」と指摘する。




5. 「免疫負債」とは何か――コロナ対策の裏側

2020年〜23年に徹底されたマスク・手指アルコール・行動制限は、インフルエンザやノロの流行も劇的に抑え込んだ。一方、ヒトは自然感染を通じて免疫記憶を更新し続けることでウイルスに対抗している。3年近く曝露経験が途絶えたことで、特に就学前の子どもに“初感染”が一斉に押し寄せる現象が「免疫負債」だ。感染症専門医・二木芳人氏は「天候不順と免疫負債が重なり、抵抗力が大幅に落ちている」と警鐘を鳴らす。




6. 行動変容による「接触機会」の爆発

2024年春の新型コロナ5類移行後、人流はコロナ前の90%台に回復し、2025年のインバウンド客は月300万人規模に達した。保育施設や学校の行事が再開され、家族旅行・屋内外イベントへの参加も急増。ウイルスが入り込む“導線”が一気に広がったことも、流行カーブを押し上げた要因と考えられる。




7. 症状と重症化リスク――侮れない脱水と発熱

ウイルス性胃腸炎は突然の嘔吐・水様下痢・腹痛が主症状で、発熱は38℃前後とインフルエンザより低め。しかし嘔吐が続くと短時間で脱水が進行し、特に乳幼児と高齢者では意識障害やけいれんを起こすこともある。サポウイルスは嘔吐頻度が高く、アストロウイルスは長引く下痢が特徴とされる。




8. 感染力のメカニズム――たった10個で発症

ノロ類似型ウイルスは“最低発症菌量”が極端に低く、わずか10〜100個の粒子で感染が成立する。しかもウイルス粒子は二枚貝の殻やステンレス、プラスチック表面で数日~1週間残存することが実験で確認されている。乾燥すれば空気中に再浮遊し、吸入でも感染が起こり得る点がインフルエンザとは異なる。




9. アルコールは効かない――正しい手洗いと消毒

ノロ・サポ・アストロはエンベロープを持たない裸ウイルスで、アルコール消毒に耐性を示す。石けんと流水による20秒以上の手洗い、使い捨てペーパーでの手拭きが基本だ。嘔吐物や下痢便の処理は、0.1%次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤を原液の50倍に希釈)か85℃以上の熱湯1分。洗濯前に浸漬消毒し、洗濯槽は空運転で洗浄する。




10. 集団生活施設での対策――二次感染を防ぐ8カ条

  1. 嘔吐発生時は即座に別室隔離し、窓を開けて換気

  2. 処理担当者は使い捨て手袋・マスク・エプロン・アイシールドを装着

  3. 吐物半径2mをペーパータオルで覆い、外側から内側へ次亜塩素酸で拭き取り

  4. 床を水拭きした後、さらに二度目の次亜塩素酸処理

  5. 汚染した衣類はポリ袋内で次亜塩素酸処理後、密封して洗濯室へ

  6. トイレやドアノブは1日3回以上消毒

  7. 給食前の手洗い・手指確認を職員が声かけしながら実施

  8. 園児・児童の健康観察票を活用し、症状出現から48時間は自宅療養を徹底




11. 医師が勧める家庭内ケア

嘔吐初期は経口補水液(ORS)を小さじ1杯ずつ5分間隔で与え、吐き気がおさまったら水分量を徐々に増やす。固形物は嘔吐停止後6時間空けてから10倍がゆ・すりおろしリンゴなど消化の良いものを少量ずつ。下痢止めはウイルス排泄を遅らせるため原則使用せず、脱水兆候(尿量減少・口渇・涙が出ない)が見られたら早期受診が必要だ。




12. 梅雨〜夏は「細菌」の季節――食中毒へのバトンタッチ

ノロなどのウイルス性胃腸炎が落ち着くと、今度は高温多湿を好む細菌(カンピロバクター、サルモネラ、ウェルシュ菌)が台頭する。梅雨場は室温でも食中毒菌が20分で倍増するため、調理済み食品の2時間以内の喫食、中心温度75℃1分加熱、冷蔵は10℃以下の“三原則”を家族全員で共有したい。




13. インバウンド復活と“海外型”ウイルス

空港検疫では2025年3月以降、GII.17型やGI.6型など日本で稀なノロ遺伝子型の持ち込みが複数検出された。これらは既存ワクチンや既往感染で獲得した抗体が効きにくい可能性があり、流行株の多様化を加速させる恐れがある。




14. 高リスク群への提言――乳幼児・高齢者・基礎疾患



脱水症は子どもの死亡原因上位であり、経口補水液の常備は必須。腎機能障害や糖尿病で利尿薬を使用中の高齢者は水分管理を医師と相談する。介護施設では「嘔吐発生=即医療連携」をルール化し、訪問診療医と24時間連絡体制を取ることで重症化を防げる。



15. まとめ――「天候」と「免疫」を意識した新しい季節感

感染症の季節パターンはコロナ禍後に大きく揺らぎ、「冬のノロ」「夏の食中毒」という従来の常識が通用しなくなっている。気温の乱高下が続く年は、真夏であってもウイルス性胃腸炎が流行し得る──それが2025年の教訓だ。日々の手洗いと体調管理を軸に、「免疫負債」を少しずつ返済しながら、新しい感染症カレンダーに備えることこそ、これからのスタンダードとなるだろう。





参考記事

  • 関西テレビ|FNNプライムオンライン「天候不順が原因?“感染性胃腸炎”が流行中『ノロウイルス』類似型も発生 コロナ禍後の『免疫負債』も影響」(2025-06-08)  

  • 国立健康危機管理研究機構 IDWR 2025年第15週報告  

  • 東京都健康安全研究センター「感染性胃腸炎の流行状況(2024-2025シーズン)」更新日2025-06-05  

  • 埼玉県感染症発生動向調査 第10週速報(2025-03-09)  




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