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ネイティブアメリカン文化とファッションの共鳴:聖なる模様は誰のもの? 〈Hosh〉ローンチが投げかけた問い

ネイティブアメリカン文化とファッションの共鳴:聖なる模様は誰のもの? 〈Hosh〉ローンチが投げかけた問い

2025年06月17日 13:39

目次

  1. はじめに――“Hosh現象”とは何か

  2. 東村の夜を彩ったパーティーの全貌

  3. 参加アーティスト/モデルの横顔

  4. ブランド戦略とファッション業界の文脈

  5. SNSが映し出す称賛と批判

  6. カルチャー・アプロプリエーション/レプレゼンテーション再考

  7. 先住民クリエイターの声

  8. 日本の読者にとっての示唆

  9. おわりに――“共創”を続けるために



1. はじめに――“Hosh現象”とは何か

6月中旬、ニューヨークのアート・シーンとファッション業界を一瞬で席巻したワードが〈Hosh〉だ。The New York Timesが「Launch Party」と銘打ち報道したイベントの記事は公開後12時間で2万シェアを超え、関連ワードはX(旧Twitter)のトレンド上位を占拠した。reddit.com


〈Hosh〉はアメリカ南西部出身のデザイナー、エヴァン・ブラックサンダー(ナバホ/ホピ系)が共同設立した新興ライフスタイルブランドで、「ネイティブアートの現在形を都市生活に」というミッションを掲げる。今回のイベントはその旗揚げを祝う一夜であり、同時に“ネイティブアメリカン現代アートの祝祭”を標榜した。


2. 東村の夜を彩ったパーティーの全貌

会場に選ばれた“The Hole Gallery”は、ストリートカルチャーとハイアートの境界を曖昧にするキュレーションで知られる。6月12日午後8時、ギャラリー前にはビーズワーク柄のカーペットが敷かれ、ホピ族のコットンウッド彫刻を模したトーテムがゲストを迎えた。中に一歩足を踏み入れると、壁一面にプロジェクションマッピングで映し出される砂絵のアニメーション。奥では電子音楽ユニット“Red-Cedar Beats”とナバホのフルート奏者が共演し、ビートと祈りの旋律が交錯した。

バーカウンターでは、サンセットカラーのカクテル“Four Directions”が振る舞われ、ブースでは染色家ディー・ベゲイ(ディネ族)の指導で天然染料によるシルクスカーフづくりが体験できた。NYT記事によれば、招待客は約300人、その半数以上が先住民ルーツを持つクリエイターやモデルだったという。pechanga.net


3. 参加アーティスト/モデルの横顔

特筆すべきは、パーティーが単なるファッション・イベントに留まらず、現代先住民アートの“交差点”として機能した点だ。例えば、故ジャウン・クイック=トゥ=シー・スミスの遺族が新作連作『Urban Land Back』を初披露。en.wikipedia.org


また、モデルとして注目を集めたのがフィリップ・ブレッド(レイクペブル族の血を引くニューメキシコ出身)。伝統的な帯状毛布をドレープさせたガウン姿でランウェイに立ち、SNSでは「Regalia Reimagined」のハッシュタグで10万件以上の投稿が飛び交った。


4. ブランド戦略とファッション業界の文脈

〈Hosh〉が掲げるビジネスモデルは「デザイン=先住民クリエイター、製造=フェアトレード工房、利益1%をアート教育基金へ再投資」という三本柱だ。たとえば第一弾コレクションのシルクシャツ“Sand Painting No.5”は、ナバホの砂絵行事をモチーフにしつつ、生成された売上の一部をウィンドロック高校のアートプログラムに寄付すると明言。こうした“ソーシャルグッド”型ブランドはZ世代から強い支持を得る一方、「ストーリー消費」の温床になる危うさも同居する。


5. SNSが映し出す称賛と批判

ポジティブな声としては、Xユーザー@barrymoskが「文化を祝うに相応しい、美しい交歓」と絶賛。

 



一方、TikTokでは#CultureNotCostumeのタグが急上昇し、「先住民族の精神性を“インスタ映え”素材にするな」という厳しい動画が相次いだ。フェザー付きヘッドピースを着用したインフルエンサーの画像が拡散され、「ヘッドドレスは戦士や長老に与えられる神聖なもの」と指摘する解説動画は24時間で120万再生を超えた。


Redditのスレッド r/NYTauto でも議論が白熱し、「NYTはブランドのPR文を鵜呑みにし過ぎ」という批判や、「こうした記事こそ主流メディアの多様化の証」と擁護するコメントが双方拮抗。reddit.com


6. カルチャー・アプロプリエーション/レプレゼンテーション再考

「文化の盗用」という言葉は時に単純化を招くが、今回のケースでは①商業的利益が誰に帰属するか、②精神性や儀礼性が文脈を離れて消費されていないか、③当事者の声が意思決定に組み込まれているか――という三層で考える必要がある。〈Hosh〉は共同創業者に先住民当事者を含み、売上の再分配を約束している点で一定の“レプレゼンテーション要件”を満たすが、精神性の扱いについてはワークショップ参加者から「儀式の要素を短時間体験に切り出すこと自体が問題」とする意見もあった。


7. 先住民クリエイターの声

取材に応じた染色家ディー・ベゲイは「私たちの技術や模様は単に“デザインの差別化要素”ではない。布を染める行為は大地の記憶を写し取る祈り」と語る。ジャック・ウッズ(チェロキー/ビデオアーティスト)は「今回のような場が増えることで若手ネイティブ作家のキャリアパスが広がるが、同時に“ネイティブであること”が商品ラベル化される危険と隣り合わせ」と警鐘を鳴らした。


8. 日本の読者にとっての示唆

日本でもアイヌ文化や琉球文化をめぐり、観光土産としての消費と真正性保持のバランスがしばしば問題になる。〈Hosh〉のケースは「文化を守る最良の策は、当事者が主体的に経済循環の上流に立つこと」である一方、「商業空間に乗った瞬間、聖俗は必ず揺らぐ」という教訓を示す。日本国内で民芸を現代化する際も、デザインと祈りの位置づけを丁寧に再定義する必要があるだろう。


9. おわりに――“共創”を続けるために

パーティー終盤、会場はサークルダンスへと転じ、来場者が手を取り合いながら先住民歌手のコール&レスポンスに合わせステップを踏んだという。そこには“観客”と“演者”の境界が崩れ、文化が共有地として躍動する瞬間があった。だが、その歓喜を持続可能な共創へと変えるには、

  • 経済的リターンの透明化

  • 精神的要素の適切な扱い

  • メディアによる文脈化の努力
    が不可欠だ。〈Hosh〉はその出発点に立ったばかり。次にニューヨークを訪れる頃、彼らがどのような歩みを刻んでいるか――そして私たちがそこから何を学ぶか――に注目していきたい。


参考記事

ネイティブアメリカン文化とファッションの融合
出典: https://www.nytimes.com/2025/06/13/style/hosh-party-native-american-art.html

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