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インフルエンサーが導く“静けさ”の趣味:ベルリン発・きのこブームの正体 — きのこが教える集中と配慮

インフルエンサーが導く“静けさ”の趣味:ベルリン発・きのこブームの正体 — きのこが教える集中と配慮

2025年10月27日 15:24

序章:都会の疲れが向かう先は、土の匂い

ベルリンとブランデンブルクの森では、秋になると籠を手に歩く人影が増える。いまやきのこ狩りは「食材ハンティング」を超え、静けさや集中を取り戻すための“都市の外側の習慣”になりつつある。あるベテラン採取家は、森を「メールも通知も入り込まない、雑音のない場所」と表現する。採取の成果より、黙々と歩き、耳を澄ませ、対象と向き合う時間そのものに価値があるという姿勢が、ブームの根にある。こうした観点は、ドイツの日刊紙が2025年10月に伝えた現地のルポとも重なる。記事では、ベルリン南東の森を定期的に歩く採取家の哲学と、にぎわう採取者の実情が描かれている。tagesspiegel.de


きのこブームの現在地:人が増え、関心が広がる

ブームの裾野は、いわゆる「食べられるきのこ」だけにとどまらない。免疫や胃腸の不調に役立つとされる“機能性きのこ(Vitalpilze)”に注目が集まり、それだけを狙う採取者もいるという。現地の専門家は、10年前に比べて興味を持つ人が増え、特にベルリン近郊の森では人出が顕著だと語る。また、Facebookなどのコミュニティで判定依頼の投稿が相次ぎ、SNSが関心拡大を後押ししている現状も指摘されている。tagesspiegel.de


インフルエンサーの存在感

こうした流れを象徴するのが、いわゆる「きのこインフルエンサー」だ。現地報道は、人気アカウントの一つがInstagramで約24万フォロワーを集めていることを紹介し、採取のHow toや“森時間”の魅力が視覚的に拡散されている実態を示した。単なるグルメ情報でもアウトドア趣味でもなく、「静けさ×学び×実用」が三位一体となったライフスタイルとして提示されている点が、共感の広がりを生む。tagesspiegel.de


“成果主義”を手放す:森で育つ注意深さ

現地の採取家は、量を競うのではなく「小さく若いものを丁寧に選ぶ」「まずは落ち着いて観察する」という態度を強調する。彼/彼女が嘆くのは、森で大声を張り上げて成果を急ぐ“都会のノイズ”をそのまま持ち込む振る舞いだ。ブームで人は増えたが、森のペースに自分を合わせること——それが、この趣味が本当に提供する価値だと示唆している。tagesspiegel.de


安全のコア知識:傷み、同定、そして「無理をしない」

人気の高まりの裏側で、誤食や体調不良も後を絶たない。専門家は、実は「痛んだきのこ」が多くの食中毒の原因になっていると説明する。タンパク質の分解が進んだ“老化株”は、食用種であっても胃腸に有害となり得る。触って弾力を確かめる、割って内部の状態を見るといった基本の見極めに加え、少しでも不安なら口にしない判断が大切だ。tagesspiegel.de


ドイツのリスク評価機関(BfR)は、各州の毒物情報センターに毎年多数の問い合わせが寄せられ、重症例や死亡例も発生すると注意喚起している。アプリやフォーラムがあっても「実験はしない」——この原則を強調する現地の採取家の姿勢は、ブームの熱量よりも優先されるべき“安全の羅針盤”だ。tagesspiegel.de


SNSの反応:4つの潮流

  1. X(旧Twitter)
     「森は究極のデトックス」「深い集中が得られる」といった“メンタルの効用”を語る投稿が目立つ。一方で「人が増えすぎて落ち着けない」という混雑への不満も散見される。

  2. Instagram
     採取直後の“フラットレイ(真俯瞰)”や、森の薄明かりと籠をあしらった写真が人気。#foraging #pilze #wald のタグで、審美性と学び(見分け方・旬・料理)が同居する。

  3. TikTok/Reels
     “音で学ぶ”ショート動画(軸を折る音、触感の違い)や、識別の失敗談→注意喚起のクリップが伸びる。BGMを削ぎ落としたASMR系の“森の環境音”も支持を得ている。

  4. コミュニティ(Facebookグループ/Reddit系)
     「これは食べられる?」の同定依頼が大量に集まり、経験者が「この場では断定しない」「地域の鑑定士へ」というテンプレ回答で安全文化を守る構図が定着。

総じて、SNSは“映える自然”の見せ場であると同時に、安全のナレッジ共有インフラとして機能し始めている。反面、拡散速度が“誤った自信”を生みやすい面もあるため、最後は自分で食べない判断ができるかが問われる。


森で学ぶ3つの作法(ミニガイド)

  • 観察の優先:採れ高よりも、環境・樹種・地形ときのこの対応関係を記録する。立ち止まって“におい・質感・胞子面”を確かめる。

  • フレッシュ最重視:古い・崩れやすい・変色が進んだ株はスルー。小ぶりで締まった個体を選ぶ(痛みが疑われるものは食べない)。tagesspiegel.de

  • 無理しない:アプリの判定は参考情報。確信が持てないものは食べない。地域の鑑定士・講習・博物館イベントなどのオフライン学習を活用する。tagesspiegel.de


エシカル・フォレージング:ブームを持続可能に

人が増えれば、採り尽くしや踏み荒らしの懸念も増す。群落の一部を残す、若い個体は採りすぎない、土を掘り返さない、ゴミを持ち帰る——ブームを“文化”に昇華させるには、採る自由と残す配慮の両立が欠かせない。森は共有資源であり、次の季節の楽しみでもあるからだ。


料理は“おまけ”、主役は“感覚”

きのこのパスタやスープはもちろん魅力だが、料理はこの趣味の“出口”にすぎない。主役は、感覚を研ぎ澄ます行為そのもの。歩幅、呼吸、湿り気、陰影、匂い——台所に立つころには、すでに豊かな体験を食べ終えている。


結語:森がくれる、現代のリセットボタン

きのこブームは、都会生活の疲労や情報過多から離脱する小さな反乱でもある。人が多くなった森にイラつく日もあるだろう。そんなときは、地図の白地を求めてさらに奥へ。そこには耳を澄ませるしかない静けさが、今日も用意されている。



参考(現地報道)

  • ベルリン/ブランデンブルクのきのこ採取の現状、SNSの影響、鑑定と安全に関する専門家のコメント、人気インフルエンサーのフォロワー規模、BfRの注意喚起など(2025年10月26日付)。tagesspiegel.de


参考記事

キノコブーム:「森はただのナンセンスのない場所」
出典: https://www.tagesspiegel.de/berlin/pilz-trend-der-wald-ist-einfach-eine-bullshitfreie-zone-14661140.html

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