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「空のブラックフライデー」――中東新戦争が引き起こした国際航空券

「空のブラックフライデー」――中東新戦争が引き起こした国際航空券

2025年06月23日 11:47

1 午前3時17分、ナタンツの閃光

6月13日未明、イスラエル空軍と米軍の共同編隊がイラン・ナタンツを含む核関連施設へ200機規模の空爆を敢行した。攻撃直後にイラン、イラク、シリア、イスラエルが相次いで領空を封鎖。ヨルダンまで巻き込み、東西を結ぶ“大動脈”が同時に途絶えたことで、旅客機の空は一夜にしてブラックアウトした。欧州航空安全機構(Eurocontrol)は「1950年以来最大規模の同時空域閉鎖」と速報し、世界のハブ空港で“行き先未定”の乗客が溢れ返った。reuters.com


2 フライトレーダーから機影が消えた

空爆から数時間後、FlightRadar24のリアルタイム地図は、イラン・イラクの上空が真っ黒に塗りつぶされ、その周縁を白い点線が大きく湾曲して回り込む異様な図を映し出した。サウジアラビア上空のオーバーフライト数は平時の700便/日から1,400便へと倍増し、アフガニスタン上空は500%増という異常値を記録。カブールFIRは“渋滞によるエンルート・ホールディング”を警告するNOTAMまで発出した。flightradar24.com


3 燃料費は急上昇、運賃は急降下

回り道で増えた燃料コストが航空会社を直撃した一方、戦争不安が旅客需要を冷え込ませ、価格決定メカニズムが崩壊。国際航空券は、需要蒸発と供給過剰が同時に進む“負のスパイラル”に落ち込んだ。航空データ会社Ciriumによれば、欧州―アジア長距離路線の平均CASK(有効座席キロ当たり総コスト)は+17%、一方RASK(有効座席キロ当たり売上)は-23%。まさに「燃料費が上がるほど、運賃は下がる」という逆説が現実になった。economictimes.indiatimes.com


4 エア・インディア、崖っぷちの値下げ戦略

そんな“空のデフレ”で筆頭株を演じているのがエア・インディアだ。デリー―パリは片道₹21,785、デリー―ニューヨークは₹28,678――競合の半額以下。短距離でもデリー―ドバイが₹9,800、デリー―香港で₹46,000が₹14,000まで崩れた。同社の説明は「需要喚起セール」だが、実際には6月12日のアーメダバード墜落事故で予約が30~35%蒸発。国際線ワイドボディの15%削減とナローボディの5%減便を余儀なくされ、空席埋め合わせに“特売”を投下せざるを得なかった。ndtvprofit.comreuters.comm.economictimes.com


5 SNS炎上:#FareWar と #AirspaceChaos

価格破壊は瞬時にX(旧Twitter)へ飛び火。「燃料サーチャージより安い航空券w」「寝台列車より安いNY行き」などの自虐ジョークがタイムラインを埋め、「#FareWar」「#AirspaceChaos」がインドのトレンド1位と2位に躍り出た。事故後に機内から「新しいスタート」と写真を投稿した女優ラヴィーナ・タンデンは「宣伝乙」「遺族感情わかってる?」と炎上し、翌日謝罪に追い込まれた。navbharattimes.indiatimes.com


6 墜落事故という“もう一つの火種”

同社の値下げには安全面の影もつきまとう。6月12日、ボーイング787-8(AI-171便)が離陸直後に失速・墜落し241人が死亡。インドDGCAは即日、同型機全機に追加点検を命令。エア・インディアは保険料率の24%上昇と広報費の急増を抱え、乗客離れを“価格”で食い止めようとしているのが実情だ。reuters.com


7 遠回りの代償:CASKが示す“赤字操縦”

航空経済学者アマル・ミシュラ氏は「西アジアルートの封鎖は1便あたり平均40分の迂回、燃料を約2トン追加で燃やす。現行の値下げが続けば、エア・インディアは8週間で営業キャッシュフローがマイナスに転落する」と試算する。JetA1燃料は1バレル当たり$118を突破し、航空保険ブローカーのMarshは戦争リスク保険料が「週内に倍増」と予告した。economictimes.indiatimes.comreuters.com


8 欧米・湾岸キャリアの苦渋

エールフランスKLMとブリティッシュ・エアウェイズはドバイ・リヤド便を48時間停止。シンガポール航空はドバイ線をキャンセルし、香港―テルアビブ経由便は香港で打ち切られた。中東系ではエミレーツとカタール航空が南回りルートで運航継続するが、所要時間は最大2時間、運航コストは片道$38,000増。ガルフ系の“国運エアライン”といえども赤字覚悟の飛行だ。reuters.com


9 旅客の心理:安堵と葛藤

旅行ポータルMakeMyTripの検索ログでは、デリー発欧州行き予約のキーワード「safe airlines」が前週比+114%。「少し高くても安全なキャリアを」と書き込むユーザーが増えた一方、若年層バックパッカーは「今がチャンス」と最安値で即決。日本人駐在員の間では「保険会社から『Air India禁止』のお達しが出た」という“転送メール”が拡散し、信憑性不明ながら不安を煽った。


10 見えないコスト:環境と人道

遠回りで燃える追加燃料は1週間で推定2.9万トンのCO₂排出増。EU-ETS(排出権取引制度)下ではクレジット費用が約€7.2百万に相当する。また、イラン・イラク上空を通る医療チャーター便は全便キャンセルされ、国境なき医師団が「シリア難民の移送に深刻な遅延」と声明を出した。


11 専門家が読む“値下げの賞味期限”

航空アナリストのカピル・カウル氏は「燃料・保険料・整備コストの三重苦で、現在の価格水準は最長でも3〜4週間しか持たない。7月中旬にはリバウンドし、現行運賃の1.5〜1.8倍で均衡する」と指摘する。国際列線(IATA)も「戦争リスク保険料の急騰で、アジア〜欧州の平均運賃は8月には30%反発」と予測。買い時は“まさに今”という皮肉な結論が浮かび上がる。


12 今後のシナリオ:三つの分岐点

  1. 早期停戦・空域再開
     21日以内に外交的休戦が成立すれば、運賃市場は急回復―“V字反発”コース。

  2. 長期膠着
     空域閉鎖と迂回が常態化し、燃料高が直撃。航空券は10月まで乱高下し、キャリア間の“体力勝負”となる。

  3. 地域拡大
     ホルムズ海峡封鎖が現実化すれば、燃油高騰と貨物スペース逼迫で「空も海も運賃インフレ」という最悪ループへ。


結語――“乱気流”をくぐり抜ける術

旅行者にとっては、史上稀に見る値下げ――しかし裏には燃料・安全・環境という隠れコストが潜む。専門家の共通見解は「今買うなら“可変条件”のチケットを」「フライトレーダーで日々状況を確認せよ」。航空会社側には、短期の値下げ競争より“安全・信頼の再構築”こそが長期的利益を生む、という当たり前の教訓が突きつけられている。



参考文献
NDTV Profit「Middle East Chaos Sends International Airfares Into Tailspin; Air India Leads The Plunge」ndtvprofit.com
Reuters「Air India cuts less than 5% of narrowbody jet routes…」reuters.com
Economic Times「Turbulence in West Asia hits global air travel」economictimes.indiatimes.com
Reuters「Airlines weigh Middle East cancellations after US strikes…」reuters.com
Flightradar24 Blog「Saudi overflights double with Iran-Iraq airspace closure」flightradar24.com
Economic Times「Air India bookings down 20%; fares dip up to 15%…」m.economictimes.com
Navbharat Times「ラヴィーナ・タンデン…SNS批判」navbharattimes.indiatimes.com


参考記事

中東の混乱が国際航空運賃を急落させる、エア・インディアが下落を主導
出典: https://www.ndtvprofit.com/world/israel-iran-us-war-middle-east-chaos-sends-international-airfares-into-tailspin-air-india-leads-the-plunge

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